「世の中は、〈こども〉と〈もとこども〉でできている」
ぼくのおじいちゃん、わたしのママ、はたまたむかいのおねえちゃん。
先生だったり、看護師だったり、はたまた大工をやってたり。
今はいろいろ、でももっとむかしは、みーんなみんな―
〈もとこども〉!
元パイロットのおじいちゃんはかつて、空にあこがれる〈もとこども〉。
お化粧しているおねえさんはかつて、おしゃれが大好きな〈もとこども〉。
ニワトリやチョウや、強そうなトラも!?
やっぱりみんな、〈もとこども〉!
子どもたちと一緒に、よちよち歩くヒヨコや、足の生えた小さなおたまじゃくしの描かれた、可愛い表紙が目を引く一冊。
今はりっぱなおとなでも、だれもに実は子ども時代がありました。
色鉛筆のあたたかな色彩で描かれるたくさんの〈もとこども〉たちを通じて、そんな当たり前だけどあまり考えなかったことを、想像させてくれる作品です。
子どもにとっては特に、身の回りのおとなたちに子どものころがあったと想像するのは、むずかしいことかもしれません。
身の回りのおとなが、どんな〈もとこども〉だったのか。
そして今こどもの自分は、将来どんなおとなになっていくのか。
この作品を通して、そんなことに思いをはせ、親子でお話をしてみるのはいかがでしょう。
(堀井拓馬 小説家)
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