あるばん、おばあさんが空を見上げておったまげた。
「こりゃ たいへんだ!」
何があったのかって…?見上げた空に浮かんでいたのは、ほそーいほそーいお月さま。
あれ、おばあさんこれって三日月じゃないの?
そんなことはおかまいなし、おばあさんは言います。
「おつきさまは まあるく なくっちゃ。」
お野菜いっぱいのスープをぐつぐつ煮込みます。
食卓を囲んでおつきさまとおばあさんは、スープをふう、ふう、食べています。
ああ、おいしそう。
おかげでちょっと太ったおつきさま。でも…
「まだまだ まあるく ならないねぇ」
おばあさんは台所にかけこむと、今度は大きなピザをこしらえて。
「いただきまあす」
ああ、これもおいしそう。
さらに、さらに…。
どれもこれも食べたくなる、おばあさんの料理。そして、少しずつ太っていくお月さまの顔の可愛らしいこと!おばあさんがどんどん太らせたくなる気持ちもわかるし、お月さまがいくらでも食べちゃう気持ちもわかる。奇想天外、でも、なんてチャーミングな物語なのでしょう。
ふくだじゅんこさんの描き出す、幻想的であたたかな世界にすっかり夢中です。
さて、おつきさまはおばあさんが思うようにまあるくなれたのでしょうか。
最後のページはお楽しみ!!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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