ジオジオは、ライオンの中でも一番強かった王様でした。
でも最近はつまらかったのです。
白髪が生え、目もよく見えなくなってきて、キリンやシマウマを追いかけるのがいやになり、誰かとゆっくり話をしたくなっていました。
そこへ、6つの卵をぜんぶ死なせてしまった灰色の鳥がやってきました。
ジオジオはあることを思いつき、鳥に持ちかけます。
老いによって、王様ジオジオの心境が変化します。
落ち着いて、誰かと話したい。誰かの役に立ちたい。
そして王様の象徴である王冠の中に、巣を作って卵を産むことを鳥に提案するのです。
それからのジオジオは、鳥のひなたちが育っていくことが生きがいだったことでしょう。
小鳥がジオジオのたてがみやしっぽにとまってさえずる、それを聞いているジオジオの安らかな表情が、そのことを物語っています。
小さな子どもと接する老人の姿がジオジオと重なります。
昔は強くて威張っていたこともあったけれど、今は子どもたちが育っていく姿を見守ることが何よりの楽しみ。
孫に会う祖父母の、そんな喜びが見て取れます。
人はずっと自分のために生きていくのではなく、人のためになりたいと思う時期が必ず来るのでしょう。
それはまた自分のためでもあるのです。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
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