ペンダは西アフリカの小さな村に住む女の子。ヒツジの群れのお世話をしに山の上に行っているお父さんのために、ミルクを持っていこうと張り切ります。
「とちゅうでミルクをこぼしちゃだめよ」
お母さんの注意を受け、大きなおわんに入ったしぼりたてのウシのミルクを頭の上に乗せて、歩きだしました。
ゆっくり そうっと あるくのよ。ふらふらしないで、ふらふらしないで。
ペンダは自分に言い聞かせながら歩いていきます。
たくさんのラクダがいる砂丘を通って、川も渡って、山ものぼって。
途中で出会ったおまつりでは、おめんをつけている人たちが踊っています。
白っぽいキリンが15とう、ゆったりと歩いています。
それでもよそ見をせずに、ふりかえらないで、しっかり堂々とあるきます。
ペンダ、すごい!
だって、想像してみて。おわんになみなみと注がれたミルクを一滴もこぼさないように運ぶなんて。それを頭の上に乗せて、でこぼこ道をひたすら歩いていくなんて。
やっとのことで着いた山の上では、ヒツジ100頭に囲まれてマンゴーの木の下で休んでいるおとうさんの姿が。
「おとうさん!」「おお、ペンダ、よくきたね」
・・・ところがその時、思いも寄らぬ出来事が!?
涙を流すペンダ。でもね、お父さんはペンダをぎゅっと抱きしめて言うのです。
「全部こぼれたわけじゃない。おわんには、まだちゃんと残っているものがあるんだよ。」
舞台となっているのは、西アフリカのニジェールという国にある小さな村。
ビタミンカラーで描かれているのは、自分たちとは全然違う格好をして、違う暮らしをしているペンダたち。
きっと子どもたちも興味津々、夢中になって読み進めていくはずです。
でも、ベンダの一生懸命な姿や家族のあたたかい愛情は世界共通。元気をもらえる絵本ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む