はるか彼方。
地球から831光年はなれた銀河のかたすみに、新たな惑星が発見された!
黄緑色に輝く、その惑星の名は「キャベジ」。
そこは、野菜と動物が組み合わさった、まか不思議なキャベジ動物たちが住む星でした。
トマトの体を持つブタ、「トマトン」
まるでしりとり、「リンゴリラ」
ゴボウ足すゾウ、ほそ〜い体の「ゴゾウ」
などなど、その数28種。
野菜の写真を組み合わせて描き出す、奇妙な生き物たちの動物図鑑です。
作者は『しろくまのパンツ』、『パンダ銭湯』などの作品で知られる大人気絵本ユニット、tupera tuperaさん。
さまざまな作風の絵本を発表してきた著者の、オリジナリティあふれるあらたな一冊!
むいたみかんの皮は、ライオンのたてがみ!?
カボチャの断面は、おおきく開いたカバの口!?
それぞれのキャベジ生物は、ひとつの野菜だけを使い、それを切ったりくっつけたりしながら組み合わせることで、モチーフとなっている動物を描き出しています。
「なるほど、その部分をこう表現するのか!」と、大人もうなるおもしろい工夫がたくさん。
また、それぞれの野菜の特徴と動物の性質とをうまく組み合わせた、キャベジ動物のユニークな生態もみどころ。
「体がその野菜なら、たしかにそうかも!」
そんなふうに思わせる不思議なリアリティが、巨大なキャベツの大地で懸命に生きている彼らの様子を、ありありとイメージさせます。
キャベツを巨大な惑星に見立てて、そこにある目には見えないミクロな世界を想像してみたり、身近なもののサイズ感を極端に変えてイメージしてみたり――。
この作品でおこなわれている大胆な発想の楽しさは、子どものワクワクする空想には欠かせない要素ですよね。
この絵本には、それと同じワクワクがいっぱいに詰まっています!
読み終わったら、きっと自分だけのキャベジ動物を作りたくなるはず。
男の子、女の子、問わず楽しめるおすすめの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む