大島妙子さんの味と愛嬌のある絵が光る「当世落語絵本」シリーズの2冊目は、人気の新作落語から。
「くらのすけ。きょうからおまえは、おっきなおっきな海へでる。」
今日はくらげのおっかさんの一人息子、くらのすけのめでたい海デビューの日。
「慣れるまでは、おっかさんのそばを離れちゃいけないよ。万に一つ、はぐれちまって、怖い目にあった時には、からだじゅうに、ありったけの力をこめるんだよ。」
だけどくらのすけはもじもじ、なかなか外へ出てこない。
それもそのはず、海の世界は本当に広い。たくさんの生き物たちが暮らしていて、そこにはたくさんのドラマがあるのです。しかも、外には陸ってところや、空ってところもあって、そこにもたくさんの生き物がいるんだという。腰も引けるよね。
そのうち、すっかり慣れて友達と夢中で遊んでいると、大波がやって来てくらのすけをさらって浜にうちあげられてしまった!?小さな水たまりでひとりぼっち。心細くみんなを探していると…突然空からふってきたのはみかんの皮。
「おっかさん?」
さてさて、どうなるくらのすけ。無事に海の世界に戻れるのでしょうか。
くらのすけが渾身の力を込める時、何が起こるのでしょう?
「母恋いくらげ」は落語家柳家喬太郎の自作の新作落語。「みかん・電気・水たまり」の三つのお題を客席からもらってつくった「三題噺」として誕生したのだそう。それがこんなお話になってしまうなんて、落語ってすごい。そして、それをこんな愉快な絵本にしてしまった大島妙子さんもやっぱりすごい!!
声に出して読んだ時の心地よい面白さと、くらのすけの沢山の愛らしい表情をご堪能ください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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