ひとりで暮らすふくろうくん。お人好しで心優しく、けれど一度考え出すと止まらない性格のせいで、何だか毎日が忙しそう……? そんなふくろうくんの個性あふれる日常のお話5つ。
●「おきゃくさま」
暖炉のそばにすわるふくろうくん。晩ごはんのバタつきパンと熱いスープを食べていると、玄関でどんどんと音がする。何度ドアを開けても誰もいません。「ははあ、かわいそうな冬がぼくんちの玄関をたたいてたんだな」 そう思ったふくろうくんは、ドアを大きく開けて冬を家の中に招き入れます。そのとたん、家じゅうが大変なことに!?
●「こんもり おやま」
ベッドに入っていると、ふくろうくんは毛布の下に二つこんもりとしたおやまを見つけます。「おや、これはなんだろう」一度気になりだしたらとまらない、ふくろうくん。毛布をのぞいてみたり、めくってみたり……。
●「なみだの おちゃ」
今晩は涙でお茶を入れようと思いついたふくろうくん。悲しかったことを考えはじめます。足の折れてしまったいす、うたえなくなった歌、読めなくなってしまった本……あとからあとから涙がこぼれて湯わかしに落ちていきます。
●「うえと した」
ふくろうくんの家には1階と2階があります。彼が2階のベッドの部屋にいる時は、1階にはいません。1階の茶の間にいる時は、2階にはいません。その時、2階はどうなっているのでしょう。いっぺんに2階と1階にいられるやり方があるはずです。そこで……。
●「おつきさま」
海辺で波を見ていたふくろうくん。するとお月さまが海の向こうから顔を出しました。やがて夜空へのぼっていったお月さまを見ながら、ふくろうくんは「ぼくたちお友だちにならなくちゃ」と言います。けれど、今日は帰らなくちゃいけません。するとお月さまは……。
ふくろうくんが、ふくろうくんだからこそ起こる、エピソード。思いもつかない発想ばかり。滑稽に見えるでしょうか、それとも共感してしまうでしょうか。どちらにしても、こんな毎日を過ごしていたら、退屈なんてことはありませんよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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