暑い暑い夏の午後。ぼつっ、ぼつっ、ぼつっ。
突然アスファルトを濡らすのは…
「あめだ!」
大きな水玉がはじけ、傘の上に太鼓の様な音を鳴らしながら、
「ずだだだだだだだ ぼぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼぼ」
すごい勢いで降ってくる。
「ずざあ ずざあ」「じゃばばば ざばああああ」「ぽとととと ぴしゃっ」
これは、雨の声? 雨のうた? ぼくのところに降ってくる。
ぼくだって、こうしてはいられない。
雨の中を走り出し、はだしで水しぶきを飛ばし、思いっきり顔にあびて。
遊ぼう、遊ぼう、もっと遊ぼう!
おーなり由子さんとはたこうしろうさんのコンビで描き出す、夏の午後のある一瞬。
カラカラに乾いた地面の上が、あっという間に瑞々しい風景に一変。
雨も男の子も、言葉も、構図もなんて大胆なのでしょう!
その思い切りの良さに、あっという間に引き込まれ、思わずつぶやいてしまうのです。
「真似したい…」
どしゃぶりの雨を存分に楽しむ様子の気持ちよさそうなこと。生き生きと描かれる雨のしずくの美しいこと。びちょびちょになるのって、こんなに楽しかったっけ? 読んだ後、文字通り「雨が待遠しくなる」絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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