「うまれて はじめて てらしたのは、うまれて まもない あかちゃんと、しあわせそうに わらっている かぞく。 オレンジいろの 小さな火が、くらいへやを いっしょうけんめい あかるくします」
女の子が生まれたとき、ろうそくは初めて火を灯されました。
それからは、いつも大切な時間に、家族はろうそくに火を灯しました。ろうそくは、家族の幸せな時間を照らし、女の子がつらいときにはよりそうあかりになり、その小さな火で女の子と家族を見守り続けたのです。思い出の数が増えるごとに、ろうそくは溶けて小さくなっていきました。
やがて女の子が大人になると、今度は女の子の新しい家族を照らしました。しかし時の流れとともに、ろうそくは使われることがなくなっていきます。
暗闇に灯るやさしいろうそくの光。ちらちら揺れる炎の動きは、語りかけると首をふったり、うなづいてくれているよう。女の子にとってろうそくは、いつも心強い味方でした。ろうそくに照らされた女の子の顔は、どの時代も柔らかなオレンジ色に包まれ、幸せそうです。
女の子の時間を照らしてきたろうそくの光は、いつしか、いのちの灯りと重なっていき・・・。
ぬくもりのある絵と叙情的な言葉が、優しく心に触れる、ろうそくのあかりのように心に灯る一冊です。
大人の方にもおすすめしたい絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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