こんにちは、絵本ナビ事務局です。
絵本ナビは、HonyaClub.comに対して、絵本児童書紹介コンテンツの提供を開始しましたのでお知らせします。
今回のコンテンツ提供は、絵本ナビに掲載している絵本児童書の内容紹介文と、絵本ナビユーザーの皆さんに投稿していただいた作品レビューの一部を中心としたテキストデータを、HonyaClub.comの商品ページに掲載するもので、当初は約2万3千タイトルが対象となります。
これによりHonyaClub.comユーザーの皆さんは、より詳しい情報に基づいて絵本選びが可能になります。
今後も、絵本ナビとHonyaClub.comは、絵本児童書の販売において連携を強化してまいります。
※絵本ナビから他ネット書店へのコンテンツ提供は、楽天ブックス、TSUTAYA Online、セブンネットショッピングに続いて4社目となります。
絵本ナビのトップページや全ページためしよみトップページ他、一部ページを新しくしました。
今回のリニューアルでは、絵本ナビならではの「全ページためしよみ」サービスを多くのユーザーのみなさんに楽しんでいただけるようなっています。
・これまでメンバー登録(サインイン)が必要だった「ちょっとためしよみ」は、サインイン不要で何度でも試し読みできるようになりました。
・「全ページためしよみ」はメンバー登録(サインイン)が必要ですが、メンバー登録を「メールアドレスとパスワードだけ」で登録できるようにして、カンタンに楽しんでいただけるようにしました。
・全ページためしよみで作品を読み終わると、次のおすすめ作品が表示され、次々にためしよみを楽しんでいただけるようになりました。
ためしよみして気に入った作品は「チェック」しておけば、後でマイページのチェック一覧で確認できて、ご購入もカンタンです。
ぜひ、新しくなった全ページためしよみを体験してくださいね。
これまでのデザインに慣れていらっしゃった皆さんにはご不便をおかけすることがあるかもしれません。
これからもより使いやすく便利で楽しいサイトを目指して改善を重ねてまいります。
応援よろしくお願いいたします。
絵本ナビ代表 金柿秀幸
2012年4月3日(火) 本日は暴風雨のため営業時間を繰り上げ、12時までの対応とさせていただいております。
ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんが、なにとぞご了承のほどお願いいたします。
明日(4月4日)は通常通り営業の予定です。
なお、Webからのご注文は、24時間お受けいたします。
お問い合せにつきましては、下記の通りとさせていただきます。
ご不便をお掛けいたしますが、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。
お問い合わせについて
【メールでのお問い合わせ】
メールでのお問い合わせは、24時間受け付けております。
本日中にいただいたメールにつきましては、明日(4月4日)以降、順次、お返事させていただきます。
【電話でのお問い合わせ】
本日(4月3日)は、受け付けを休止させていただきます。
誠に恐れ入りますが、明日(4月4日)以降におかけなおしくださいませ。
明日(4月4日)より、通常どおり営業いたします。[営業時間:10:00~17:00]
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絵本ナビカスタマーサポート
フリーコール 0120-935-596 受付10:00-17:00(土・日・祝日を除く)
絵本ナビShop shop@ehonnavi.net
絵本クラブ club@ehonnavi.net
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アムステルダムで生まれ、アメリカに渡り活躍した芸術家の一人、巨匠レオ・レオニ。彼の絵本を読んだことがなかったとしても、国語の教科書に載っていた「スイミー」などでお馴染みの方も多いのではないでしょうか。
そんなレオ・レオニ作品の新刊が、2冊発売されました!これまで未発表だったイラストを加えたあかちゃん絵本になっています。この新刊発売を記念して、絵本ナビ×好学社では、レオ・レオニ作品のみんなの声を大募集いたします!
みんなが知っている名作から、最新の新刊まで、いろんな作品を対象にしていますので、奮ってご応募ください!賞品も、レオ・レオニ作品の翻訳をされている谷川俊太郎さんの直筆サイン本やビッグブックなど、素敵な賞品が揃っていますよ!
絵本ナビでは、絵本を通じた被災地支援プログラム「絵本エイド ーこころにひかりをー」の第5弾として、「絵本を求めている被災地団体に絵本を送ろう」を実施しました。(2011.4.30に締め切りました)
このプロジェクトの中でご紹介させていただいた、岩手県宮古市の団体「おどっつぁんS」の前川代表より、絵本ナビユーザーの皆さん宛にメッセージと写真をいただきましたので掲載します。
>>> 絵本エイド第5弾「絵本を求めている被災地団体に絵本を送ろう」の詳細はこちら
(受付は4月30日に終了しています)。
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絵本提供への御礼
こんにちは。しばらくご無沙汰しておりました。絵本読み聞かせグループ「おどっつぁ ん S(ず)」の代表である前川克寿(まえかわかつとし)です。
4月に絵本ナビで全国の皆 さんに支援をお願いしてから、早いもので3ヶ月が過ぎました。この間、皆さんから当地 域の子どもたちへ、本当に多くの絵本と善意をお寄せいただきありがとうございました。
4月から現在まで、当会宛に気付で届いた絵本は 5000 冊を越える冊数に達しました。 本当に感謝に堪えません。同時に、これほど多くのご支援をいただきながら、これまで正式な形での御礼をしていなかったことを、心からお詫び申し上げます。絵本配布などの日々 の活動に追われるあまり、絵本を送っていただいた皆さんへの義理を欠いてしまったのではないかと反省し、遅ればせながらこの文章を書いている次第です。
さて、当方の近況ですが、図書館の一角にうず高く積まれていた絵本の山はだいぶ低く なりました。いただいた絵本のほとんどを、当会メンバーと有志の方により、岩手県沿岸 地域の子どもたちに届けることができ、プロジェクトの完遂まであと一歩という状況です。
思えば震災直後、子どもたちのためという使命感から行動を始めたものの、それがどの ような実を結ぶか、おっかなびっくりのスタートでした。しかし、全国の皆さんから次々 に届く絵本を目にして、同封されたメッセージを読むたびに、「被災地の私たちは孤独ではないのだ」という確信を深めることができました。この連帯があったからこそ、私たちは これまで活動してこられたのだと思います。訪問した避難所や児童施設で出会った子どもたちの笑顔、保護者や先生方の感謝の言葉、絵本により和らぐ雰囲気、どれも皆さんの後押しがあったからこそ実現したものです。彼らの顔や言葉を直接届けられないのが残念ですが、私から皆さんに最大級の感謝を表したいと思います。
今後のおどっつぁんS の活動ですが、絵本配布は8月をめどに終了させる予定です。当会では今回の取り組みを震災後の緊急支援と認識しており、一旦終わらせることが妥当と判断したためです。また、私が3月からとっていた育児休業を終え職場に復帰することもその一因です。現在、当会では被災地の保育園に送る本棚作りに取り組んでいます。
先日、避難所で懇意にしていたご家族と町中で再開し、子どもさんの笑顔を見る機会に恵まれました。震災直後はこわばっていた表情がだいぶほぐれ、友達とはしゃぎ回る姿を 見て、私も日常に復帰して自身の家族や生活を再建する頃合いだという気持ちになりました。とはいえ、今後も子どもたちを笑顔にし、パパ・ママを支援するという当会の活動目的は変わりませんので、私たちができる復興支援を模索していくつもりです。興味がある 方は、Blog などで時々気にかけていただければ幸いです。
おどっつぁん S 代表 前川克寿
ブログ http://www.voiceblog.jp/odottuans/
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「おどっつぁんS」への絵本寄付の受付は終了させていただきました。
たくさんの絵本をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
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絵本ナビの東日本大震災被災地支援プログラム「絵本エイド -こころにひかりを-」の第4弾「被災地避難所に絵本を送ろう」では、皆さんからお送りいただいた寄付絵本約1万6千冊、出版社からの寄付3千冊、絵本ナビの蔵書約5千冊の合計2万4千冊の絵本・児童書を、岩手県、宮城県、福島県の被災地へとお届けしました。
「今、避難所で不安で退屈な生活を送っている子どもたち」に向けて、「一刻も早く、できるだけ多くの避難所へ包括的に届ける」ことをポリシーとしてすばやいアクションを実行しました。
第4弾の寄付絵本送付は約4日間という極めて短い募集期間であり、受付終了後も絵本を寄付したいというご連絡を多くいただいています。
これまでの被災地からの情報から判断し、絵本エイドでは「迅速かつ大量な包括的支援」から「必要なところに必要な本が届く個別支援」に切り替えていきたいと考えています。
そこで、第5弾は「絵本を求めている被災地団体に絵本を送ろう」を実施したいと思います。
具体的には、「実際に絵本児童書を求めている被災地の団体」と連絡をとり、現地で子どもたちが絵本や児童書を楽しめる環境を作ってくれるところまで含めて実施できることを確認した上で、
(1)寄付絵本の送付を絵本ナビからご案内します。
(2)欲しい本のリスト(ウィッシュリスト)をいただいて、絵本ナビで購入して届けられる機能を用意します。
ということを実行していきたいと考えています。
そこでまず、岩手県宮古市の市の職員を中心とした父親読み聞かせグループ「おどっつぁんS」の前川代表と連絡を取りました。
「おどっつぁんS」は、絵本ナビ代表の金柿がパパ's絵本プロジェクトの一員として宮古市の図書館で絵本おはなし会を行い、その影響もあって宮古市で誕生したパパ絵本グループです。
彼らが中心となって、宮古市の子どもたちの読書環境を復旧させていきたい、そのために絵本が必要だということで、絵本ナビでこれに協力し、ご紹介をさせていただくことにしました。
もし、主旨にご賛同いただける場合にはご協力くださいませ。
---(以下、前川代表からのメッセージです)--------------------------
<絵本提供のお願い>---(以上、前川代表からのメッセージです)--------------------------こんにちは。私は岩手県沿岸で活動している、パパによる絵本読み聞かせグループ「おどっつぁんS(ず)」の代表である前川克寿(まえかわかつとし)といいます。全国のパパ・ママにお願いがありこの文章を書いています。
3月11日に発生した東日本大震災で、私の故郷である岩手県沿岸は大きな被害を受けました。家が流され避難所で生活している家族が多数おり、私たちが生活を立て直すにはまだまだ時間が必要なようです。しかしこんな状況だからこそ、子どもたちには明るく元気に育ってほしい。そんな思いから私は、避難所などに絵本を配布するボランティアを始めました。しかし、まだ絵本の数が充分ではありません。備品が流された海沿いの保育所では、再開のために沢山の絵本が必要な場所もあるようです。
そこで皆さんにお願いです。岩手県まで絵本を送っていただけないでしょうか。受け取ったものは、私たちのグループが責任を持って配布します。ご協力をお願いいたします。
~送付の際にご注意いただくこと~被災地では、絵本を受け入れるための人員と時間に限りがあります。仕分けの手間を省き、子どもたちに素早く絵本を届けるため、以下のことにご協力のうえ送付ください。
(1) お送りいただく絵本は状態の良い物をお選びください(新品かそれに準じた状態)。
(2) 多数お送りいただく場合は、できれば対象年齢ごとに仕分けてください。めやすは乳児(0~3歳)、幼児(4~6歳)、小学校低学年、小学校高学年の4分類です。
(3) お送りいただく絵本の使い道はお任せください。
(4) 現地の子ども・パパ・ママたちへ励ましの言葉などありましたら添付ください。
★「おどっつぁんS」への絵本寄付の受付は終了させていただきました。
たくさんの絵本をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
送り先 〒027-0052 岩手県宮古市宮町3-2-2 宮古市立図書館 気付
前川克寿(絵本読み聞かせの会 おどっつぁんS代表)問い合わせ おどっつぁんS 代表 前川克寿
E-mail odottuans@gmail.com
ブログ http://www.voiceblog.jp/odottuans/
※絵本ナビからのお願い
・送付先は絵本ナビではなく宮古市立図書館です。お間違えのないようお願いします。
・十分な冊数が集まり次第、募集を終了させていただきます。
・被災地は今も大変な状況にあります。「送付の際にご注意いただくこと」をお守りいただきますようお願いします。
【追記】
宮古市立図書館の住所に誤りがありました。正しくは3-2-2 となります。
関係者ならび皆さまには大変ご迷惑をおかけしました。訂正してお詫び申し上げます。
(2011.4.30)「おどっつぁんS」への絵本寄付の受付は終了させていただきました。
たくさんの絵本をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
いつも絵本ナビをご利用いただきましてありがとうございます。
皆さんから大きなご支持をいただいている「全ページ試し読み」(旧:全ページ1回だけ立ち読み)コーナーをリニューアルオープンしました!
(これにともない、サービス名を「全ページ試し読み」に統一することにしました)
現在、全ページ試し読みできる作品数を掲載し、続々と作品が追加している状況をわかりやすく表示するようにしています。
新着順、人気ランキング、売上ランキングの上位作品を表示、「一覧を見る」をクリックすればすべての作品をランキング順でご覧いただけます。
年齢別、テーマ別、作家別、シリーズ別などなど、楽しみやすく、選びやすくなりました。
著名な作家さんの作品がどんどん追加、4月14日現在281作品が全ページ試し読みできるようになっています。
どれだけ多くの方に利用していただけるか、どれだけ購入していただけるかで、今後のこのサービスの運命が決まります。
近い将来、絵本は「全ページ試し読みで選ぶ」のが当り前の時代がやってくる。絵本ナビはそう信じています。
皆さんの応援、よろしくお願いします!
先週に引き続き、レビュー募集企画のスタートです。
今回は親子のふれあいをテーマにした作品が目白押し。
JTBパブリッシングさんからは、あの「リラックマ」の生みの親、コンドウアキさんの新刊絵本と、多くの旅行記を手がけているk.m.p.さんの新刊絵本の計4作品。
どちらも読んでいるとついつい微笑んでしまいます。全ページ立ち読みも実施中。
赤ちゃんとママ社さんは、45周年を記念して、スギヤマカナヨさんの新刊絵本のレビューを募集します。
あかちゃんとおかあさんのコミュニケーションを絵本にしています。こちらも全ページ立ち読み実施中。
先週の企画も合わせて一気に4本も同時開催のレビュー企画。絵本ナビポイントゲットのチャンスですよ。
さらに豪華賞品も用意しておりますので、みなさま奮ってご投稿くださいね。
『もりのおくの おちゃかいへ』ふゆのレビュー大賞、『ココロのヒカリ』出版記念 みんなの声大募集!同時開催!
秋の同時開催に引き続き、冬のレビュー企画同時開催です。
偕成社さんは、この冬いちおしの『もりのおくの おちゃかいへ』。
ニッサン童話と絵本のグランプリで大賞を受賞した、注目の新人作家、みやこしあきこさん第2作目の絵本です。
文研出版さんは、話題の新刊『ココロのヒカリ』出版記念として、名作『もこ もこもこ』も一緒に募集します。
「もこ もこもこ」から33年、谷川俊太郎さんと元永定正さんのタッグが送りだす新作は圧巻です!
どの作品も期間限定で全ページ1回だけ立ち読みが可能。
読んで書いてポイントゲット。さらに素敵な賞品もあたるチャンスですよ!!
平凡社『この絵本が好き!2010年版』翻訳絵本部門で1位!
『第3回 子どもの絵本大賞 in 九州』で4位!
『第2回 MOE絵本屋さん大賞』6位!
と高い評価をいただいているバーバラ・マクリントックの『ないしょのおともだち』。
少女とネズミのふれあいをデテールまで描きこんだ作品です。
今回、バーバラ・マクリントックの新刊『どろんこのおともだち』発売を記念して、代表作、『ないしょのおともだち』のレビューを大募集します!
やぎたみこさんが遊びにきてくれました の記事は移行しました。
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
いつも絵本ナビをご利用いただきましてありがとうございます。
絵本ナビでは、メンバーの皆様にご投稿いただいた感想(レビュー)のうち、ごく一部の優れた感想について、以下のような他メディア(弊社の運営でないメディア)への提供を行っております。
・絵本ナビから生まれた絵本ガイドブック『幸せの絵本』シリーズ、『大人のための絵本ガイド』
・絵本の「帯」(出版社からの要望があった場合)
・出版社の発行する冊子、webサイト、書店POPなど
・伊勢丹、ハッピーローソン、アカチャンホンポなど提携先店舗にて販売される絵本の紹介(POP)
・楽天ブックス、ツタヤオンラインなど提携サイト
また、新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどマスメディアからの取材時にご紹介させていただくこともあります。
これら他メディアに提供される感想については、「子どもに絵本を選ぼうとしている人へのアドバイスという観点で書かれた生の声は、単なる商品評価にはない暖かみと、情報としての深みがある」として各方面より高く評価されています。
絵本ナビでは、サイトにご投稿いただいた感想について著作権が弊社に帰属することをサイトご利用規約第8条に定め、また他メディアへの掲載についてもあらかじめご了承いただくようお願いをしています。
>>> http://www.ehonnavi.net/home04.asp#ご利用規約
また、今回の他ネット書店へのコンテンツ提供のような大きな動きの際にはユーザーの皆様宛に予告を含めた告知を行い、周知を図っております。
つきましては、あらためましてこれら他メディアへの感想掲載に関しまして、メンバーの皆様のご理解をいただけますよう、お願いを申し上げます。
<ご賛同いただけない場合の手続きについて>
なお、上記主旨にご賛同いただけない場合には、以下の要領にて絵本ナビ事務局宛にご連絡ください。
ご連絡を確認させていただいた以降に実施されるすべての他メディアへの感想提供の対象外とさせていただきます。
(すでに掲載されているメディアからの削除についてはできる限り対応させていただきますが、紙媒体など削除が不可能なものもございますのでご理解ください)
(1)絵本ナビサイト上の「ご意見」ページを開いてください。
>>> ご意見ページ
※サインインしていない場合はサインインページが開きますので、サインインをお願いします。
(2)ご意見の種類として「ご要望」を選択し、「他メディアへの掲載を拒否します」と入力の上、送信ボタンをクリックしてください。
(3)追って絵本ナビ事務局よりご登録メールアドレス宛に、掲載拒否確認のメールをお送りします。
どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは、絵本ナビ事務局です。
絵本ナビは、CCCが運営するTSUTAYA onlineに対して、10月14日より絵本児童書紹介コンテンツの
提供を開始しました。
今回のコンテンツ提供は、絵本ナビに掲載している絵本児童書の内容紹介文と、絵本
ナビユーザーの皆さんに投稿していただいた作品レビューの一部を中心としたテキストデータを、TSUTAYA onlineの商品ページに掲載するものです。
まずはTSUTAYA online内の絵本フェアページで紹介されている作品についての情報提供を行い、今後対象作品数を増やしていきます。
これによりTSUTAYA onlineユーザーの皆さんは、より詳しい情報に基づいて絵本選
びが可能になります。
TSUTAYA online: 読み聞かせ&知育絵本フェア
http://shop.tsutaya.co.jp/book/tokusyu/kids1.html
今後も、絵本ナビとTSUTAYA onlineは、絵本児童書の販売において連携を強化して
まいります。
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
絵本ナビでは、去る8月17日から9月16日までの1ヶ月間、世界初の試みとして、
サイト上で絵本を全ページ無料閲覧できる「全ページ1回だけ立ち読み」のトライアル企画を実施しました。
絵本ナビメンバーのみなさんからは、1000通を超える熱い応援メッセージをいただきました。
2万人以上の方にこの試みをお楽しみいただき、対象作品の購入冊数が平均で立読み実施前の4倍強になりました。
新聞の記事では、単なる話題作りでなく読者の利便性向上を主眼にした取組みであると高く評価していただきました(日経新聞2010/9/19朝刊読書面)。
作家さんからも出版社さんからも、とても好評をいただきました。
そしてついに、
絵本ナビの「全ページ1回だけ立ち読み」が、10月1日より正式サービスとしてスタートすることになりました!
ここであらためて、このサービスの主旨についてご説明させていただきます。
絵本ナビのWebサイト上で、絵本を無料で「全ページ」立ち読みしていただくことができます。ただし、「1回だけ」。
※立ち読みサービスをご利用いただくには、絵本ナビにメンバー登録し、サインインする必要があります。
メンバー登録がまだの方は、まず下記ページよりメンバー登録をお願いします。
絵本ナビ メンバー登録のご案内
私たち現代の子育て世代は、常に時間に追われています。
絵本が子どもによいのはわかっています。
親子で絵本を読む「幸せな時間」は、とても大切だということも。
でも、子どもにどんな絵本を選べばよいのでしょうか。
子育てに忙しい毎日の中で、絵本選びにかけられる時間は十分ではありません。
小さな子を連れて、本屋さんでゆっくり絵本を選ぶことは簡単ではありません。
そんな子育て世代の絵本選びが、苦労から楽しみに変わるようにと、絵本ナビは8年前に誕生しました。絵本の情報をワンストップで見ることができ、プロの紹介文や読者の「生の声」、中面画像、数ページの立ち読みと、少しでも作品について判断ができるように、情報を増やしてきました。
それでも、それでもやっぱり、ネットで購入するということは、「エイヤ」で買うことに他なりません。
そう、親にとっては、我が子に読む絵本は、きちんと全部読んでから与えたいのです。
おもしろがって聞いてくれるだろうか。
今の我が子の発達段階にあっているだろうか。
怖いシーンはないだろうか。
自分の育児方針と違うメッセージが入っていないだろうか。
心に残る作品だろうか。
お気に入りの一冊になるだろうか。
購入して本棚に加えておきたい作品だろうか。
・・・興味を持った作品について、街の本屋さんのように全ページ立ち読みができたら・・・
これが正直な気持ちだと思います。
一方、本の作り手からすれば、「家のパソコンから全部読めてしまったら、本を買ってもらえなくなってしまう」ということになります。
本が売れなければ、書き手も作り手もいなくなり、優れた作品は生まれなくなってしまいます。これは実に当たり前のことです。
でも絵本は、絵本に限っては「全部読めるようにした方が、本を買ってもらえるのではないでしょうか」という仮説を私は立てました。
子育て中の親の一人として、7年間にわたり全国の子ども達に絵本を読んで来た者として、月に55万人がご利用いただいているサイトの代表として、たどり着いた一つの結論です。
もちろん、立ち読みができればその絵本を買うわけではありませんが、立ち読みできなければ買いにくいのは事実でしょう。
そして、その仮説を証明するように、「全ページ1回だけ立ち読み」対象作品は、大勢の方にご購入いただくことになりました。
正式サービスとしてスタートしましたが、まだまだ作品数は少なく、サービスとしてはヨチヨチ歩きの段階です。
どれだけ多くの方に利用していただけるか、どれだけ購入していただけるかで、今後のこのサービスの運命が決まります。
私たちの願いがしっかり成果として現れていくならば、対象作品はどんどん増えていき、絵本は「全ページ1回だけ立ち読み」で選ぶ時代が来ることでしょう。
絵本ナビは、そのために全力で努力をします。
そこで皆さんにお願いです。もし、この企画の主旨に共感するところがありましたら、ぜひお友達にも「絵本ナビで全ページ立ち読みできるよ」と伝えてください。
そして、もしお気に入りの作品に出会って購入されることになりましたら、ぜひ絵本ナビからお買い求めください。
絵本ナビはすべての子どもと親を応援します。
飯野和好の痛快!浪曲絵本 ねぎぼうずのあさたろうシリーズ その8
最新作『にんにく にきち はしる!』原画展
日時:2010.9.7(火)〜10.2(土)
11:00〜19:00(最終日は17:00まで/ランチタイム11:30〜14:00)
*日月祝休み
場所:馬喰町ART+EAT
詳細はこちら>>>
こんにちは、絵本ナビ事務局です。
絵本ナビは、楽天ブックスに対して、9月15日より絵本児童書紹介コンテンツの提供を開始します。
今回のコンテンツ提供は、絵本ナビに掲載している絵本児童書の内容紹介文と、絵本ナビユーザーの皆さんに投稿していただいた作品レビューの一部を中心としたテキストデータを、楽天ブックスの商品ページに掲載するもので、当初は約2万タイトルが対象となります。
これにより楽天ブックスユーザーの皆さんは、より詳しい情報に基づいて絵本選びが可能になります。
コンテンツ提供開始に伴い、楽天ブックス内に特設ページを用意し、楽天ブックスユーザーへの告知を行います。
楽天ブックス: 楽天×絵本ナビ
http://books.rakuten.co.jp/event/book/ehonnavi/
今後も、絵本ナビと楽天ブックスは、絵本児童書の販売において連携を強化してまいります。
絵本ナビで作品に投稿された感想(みんなの声)を読んで、参考になったと思ったら、
その感想に対して「感謝!」を送る機能がはじまりました。
絵本ナビの各ページで感想(みんなの声)が表示される際に、
「参考になりました。『感謝!』」
とボタンが表示されます。
これをクリックすると、その感想の「感謝!」がカウントされます。
通常の表示では、感謝の数が多い順(感謝順)に感想が表示されます。
(感想の並び替えは、感想順/新着順/評価順を選べます)
感想を投稿したメンバーには、感謝の数がマイページに表示されるように
なります。(誰が感想を送ったかは表示されません)
大勢の方がどんどん感謝を送ることで、感想を投稿するのが楽しくなる、
そんなふうに絵本ナビが盛り上がり、もっと絵本ナビが楽しくなるといいなと思います。
ぜひ、どんどん感謝を送ってみて下さい。
(「感謝!」ボタンをクリックして感謝送るには、絵本ナビにメンバー登録しサインインしている必要があります)
あわせまして、メンバーの皆さんのご意見ご要望を元に、感想の表示表方法も一部変更し、
これまで使用していた「レビュー」という言葉は、絵本ナビらしく「感想」「みんなの声」に置き換えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは、絵本ナビです。
9月15日より他ネット書店へのコンテンツ提供を開始することとなりましたのでお知
らせいたします。
これまでも絵本ナビでは、絵本ナビ事務局にて制作した紹介文、特集などのコンテン
ツや、メンバーの皆さんから投稿していただいた感想(レビュー)の一部について、提携先の育児サイトなどへの提供を行ってきましたが、ネット書店への提供は初となりますのであらかじめご連絡させていただきます。
(今回の提携サイト名などにつきましては9月15日以降に発表となります)
絵本ナビのコンテンツについては、単なる商品評価にはない温かみと情報の深さがあ
るとしてご好評をいただいています。
より多くの方に絵本選びを楽しんでいただけるよう、今後も他サイトや店舗等との提
携を進めてまいります。
今後とも絵本ナビをどうぞよろしくお願いいたします!
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
本日の日本経済新聞朝刊で記事が出ましたが、8月17日より1ヶ月間の期間限定で、「キャベツくん」「なにをたべてきたの」など約30作品について、絵本ナビメンバーに限り1回だけ「全ページ立読み」を可能にする企画を実施します。
絵本ナビのWebサイト上で、絵本を無料で「全ページ」立ち読みしていただくことができます。ただし、「1回だけ」。
※立ち読みサービスをご利用いただくには、絵本ナビにメンバー登録し、サインインする必要があります。
メンバー登録がまだの方は、まず下記ページよりメンバー登録をお願いします。
絵本ナビ メンバー登録のご案内
※「1回だけ」とは、該当作品の全ページ立ち読みボタンをクリックしてから、30分間見られることをいいます。
私たち現代の子育て世代は、常に時間に追われています。
絵本が子どもによいのはわかっています。
親子で絵本を読む「幸せな時間」は、とても大切だということも。
でも、子どもにどんな絵本を選べばよいのでしょうか。
子育てに忙しい毎日の中で、絵本選びにかけられる時間は十分ではありません。
小さな子を連れて、本屋さんでゆっくり絵本を選ぶことは簡単ではありません。
そんな子育て世代の絵本選びが、苦労から楽しみに変わるようにと、絵本ナビは8年前に誕生しました。絵本の情報をワンストップで見ることができ、プロの紹介文や読者の「生の声」、中面画像、数ページの立ち読みと、少しでも作品について判断ができるように、情報を増やしてきました。
それでも、それでもやっぱり、ネットで購入するということは、「エイヤ」で買うことに他なりません。
そう、親にとっては、我が子に読む絵本は、きちんと全部読んでから与えたいのです。
おもしろがって聞いてくれるだろうか。
今の我が子の発達段階にあっているだろうか。
怖いシーンはないだろうか。
自分の育児方針と違うメッセージが入っていないだろうか。
心に残る作品だろうか。
お気に入りの一冊になるだろうか。
購入して本棚に加えておきたい作品だろうか。
・・・興味を持った作品について、街の本屋さんのように全ページ立ち読みができたら・・・
これが正直な気持ちだと思います。
一方、本の作り手からすれば、「家のパソコンから全部読めてしまったら、本を買ってもらえなくなってしまう」ということになります。
本が売れなければ、書き手も作り手もいなくなり、優れた作品は生まれなくなってしまいます。これは実に当たり前のことです。
でも絵本は、絵本に限っては「全部読めるようにした方が、本を買ってもらえるのではないでしょうか」という仮説を私は立てました。
子育て中の親の一人として、7年間にわたり全国の子ども達に絵本を読んで来た者として、月に50万人がご利用いただいているサイトの代表として、たどり着いた一つの結論です。
もちろん、立ち読みができればその絵本を買うわけではありませんが、立ち読みできなければ買いにくいのは事実でしょう。
今回のトライアル企画は、期間限定です。
この期間中に、どれだけの方が立ち読みをしてくれたか、どれだけの方が購入してくれたか、によって、今後絵本ナビで全ページ立ち読みができるかどうかの運命が決まります。
そこで皆さんにお願いです。もし、この企画の主旨に共感するところがありましたら、ぜひお友達にも「絵本ナビで全ページ立ち読みできるよ」と伝えてください。
また、この企画について、アンケートであなたの感想を教えてください。 そして、もしお気に入りの作品に出会って購入されることになりましたら、今回はぜひ絵本ナビからお買い求めください。
絵本ナビはすべての子どもと親を応援します。
★全ページ立読みOK企画は8月17日からです。
主人公は森の近くに住む女の子もねちゃん。もねちゃんには「秘密のたからもの」がたくさんあるのです・・・。
想像をふくらませる楽しさを、生き生きとえがいているのがこちらの絵本。
何だか面白い事を考えてくれそうなもねちゃんの表情を見ているだけでワクワクしてきますよね。
『もねちゃんのたからもの』
作・絵 たかおゆうこ 徳間書店刊
もねちゃんは、宝物集めが大好き。ある日「ひみつの宝物、見にきていいよ」という手紙を、紙ひこうきにして飛ばしたら、きつねの子がやってきて…? なめるたびに味のちがうあめや、海だってひとっとびのなわとび…わくわくする宝物がいっぱい!
※みどころ、内容詳細はこちらからどうぞ>>>
作者のたかおゆうこさんにインタビューしました!
子どもらしさに満ちあふれたこの物語、どのように思いつかれたのでしょう。エピソードと共にご紹介します!
たかおゆうこ(高尾裕子)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。大手玩具メーカーの企画デザイン室を経て渡米。アメリカでカリグラフィー、水彩画、銅版画などを学ぶ。帰国後、グリーティングカード、広告、雑誌、絵本の分野の仕事を手がける。主な絵本に『ハムスターのハモ』『ハモのクリスマス』(福音館書店)、『ふゆの日のコンサート』(架空社)、挿絵の仕事に『ねずみの家』『帰ってきた船乗り人形』『池のほとりのなかまたち』(徳間書店)など。
―― 子どもならではの夢や想像力にあふれているこの作品。特に、自分だけのたからものを次々見せてくれるもねちゃんの自慢気な様子にとっても惹かれます。物語誕生のきっかけなどがありましたら教えていただけますか?
「このオルゴールきれいでしょ。それからこの首飾り、天使のキラキラ音がするよ・・・」などと、遊びにきていた幼稚園のお友達らに、サンタクロースからもらったとされる歴代の品々をとくとくと自慢している娘を目撃。お友達らもさるもの、「へえっ、いいじゃん」「うわあ、わたしもほしい」とのりのりにのって会話そのものを遊びにしている子ども達の様子がとても心に残っていました。
私自身はガラクタのようなものに物語を重ねてたからものにしていました。願いがかなう石、魔法の棒、丸いガラスの粒になった人魚の涙、雨を降らせる小瓶、天国からの紙飛行機・・・などなど。
おもにこの二つが作品のきっかけになったような気がします。
―― 自分の好きなものがはっきりしていて、どんどん楽しい想像をふくらませてしまうもねちゃん。一方、きつねの子はちょっと控えめで怖がり。頼もしいもねちゃんと繊細なきつねの子、それぞれがとても魅力的なキャラクターですね。
もねちゃんは、くいしんぼうでいたずら大好き正義感もすごくあるんだけど、ちょっとずるいところもあるのかな。でも、つまらない時も悲しい時も怖い時も、想像力で自分や他者を楽しくしてしまうような女の子。
実は文章には書かれていませんが、冒頭もねちゃんのお母さんは用足しにちょっとでかけてしまうのです。その間不安なので、楽しいことを思いついてしまうわけです。お留守番の不安な気持ちが後半のきつねの子への共感に繋がります。でもそんなこと誰もわからないかな(笑)
きつねの子は、繊細で臆病ですが、ものごとを見つめる力が強く、理解する力、受けとめる力がとてもある子です。
―― 透明感のある色彩や雰囲気がとても味わいのあるたかおさんの絵の世界。作品によって表現方法が少し違うのも印象的ですね。『もねちゃんのたからもの』では、とっても自由で可愛らしくて、より子どもの世界に近づいている感じがします。
将来どうなるのかわかりませんが、私は今のところ、はじめに物語ありきなのです。物語のまとっている空気が重要で、それを全力で表現しようと思うと毎度違う絵の雰囲気になってしまうわけです。
この作品(『もねちゃんのたからもの』)は、明るくてのびのびしていて軽やかに描きたいと思いました。だから描いていてとても楽しかったです。やみつきになりそうです(笑)
―― 絵本をよく見ると、小さなハムスターがいつもさり気なくもねちゃんに寄り添っていているのがとても可愛いですね!もともと動物はお好きなのでしょうか?
動物はとても好きです。動物をずっと見ているとなぜか涙がでてきます。一番の号泣は白イルカ。
私のそばにはいつも小さな動物がいます。現在は猫とカメ。過去には、もちろんハムスター11匹も!
それがいないと、自分が未完成のような気さえします。
まるで、ポケットモンスターやライラのダイモンみたい!?
―― 『もねちゃんのたからもの』をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
ただ楽しんでもらえたら幸せです。そして、想像の翼を広げてじぶんだけのたからものを見つけてくれたらもっと嬉しいです。ついでに自慢ごっこも。そんなことをニンマリと眺めているゆるりとした大人がたくさんいるといいなあー。
―― 絵本を通して、絵本ナビ読者の方に向けて一言メッセージをお願いできますか?
固定観念をもたないで、いろいろな絵本をたくさん見て読んで一家の一冊を見つけて下さい。
仕事や家事や子育てで疲れた時こそ一冊の絵本を子ども達と。過ぎてみるとその時間は二度とない珠玉のような時間に思えてきます。
―― 今後どんな絵本をつくってみたいと思われますか?
おもちゃ、木の実、ピアノ、雪、海賊、花、星、小さな人達、小さないきもの・・・。
取り組んでみたいネタはたくさんあります。
耳をすまして目をこらして、聞こえてくる見えてくる物語をつかまえたいと日々願っています。
ありがとうございました!!
最後にたかおゆうこさんから絵本ナビ読者に向けて直筆メッセージを頂きました!
▲「絵本は心を耕す玉手箱」素敵なことばですね・・・。
あれ、よーく見ると見た事のあるような表紙の絵本が!絵本ナビで見つけてみてね(笑)。
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『学研の図鑑』夏のレビューフェスタ開催!
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夏にぴったり、ちょっぴり怖い妖怪の登場するこんな絵本が発売になりました!
『めかくしおに』
もとしたいづみ・文 たんじあきこ・絵 ほるぷ出版刊
雨上がりの夕方、神社の鳥居の向こうには、こわくて、ちょっぴりあたたかいもののけ達が待っている。のっぺらぼうに、ろくろっくび、かさこぞうに、ぬらりひょん。不思議な世界に迷い込んでみれば・・・。きつねのおめんで「めかくしおに」をした少女つきこがもののけの世界に迷い込んでしまうお話です。
文章は『すっぽんぽんのすけ』『ふってきました』のもとしたいづみさん、
絵は『ありさんぽつぽつ』や『春はあけぼの』のたんじあきこさん。
絵本ファンならとてもワクワクしてしまう組み合わせですよね。
『めかくしおに』はそんなお二人の出会いによって生まれてきた絵本なのだそう。
その制作過程は一風変わったものだったそうで、その様子を、担当編集者の方の目線から紹介して頂けることになりました!私達読者はめったに見る事のない、形になる前の作品というものにも触れることができるとても興味深い内容の記事となっています。お楽しみください!
■『めかくしおに』ができるまで
今回ご紹介する絵本『めかくしおに』は、作家(もとしたいづみさん)と画家(たんじあきこさん)が何度かやり取りをしながら完成していった本なのだそうです。
その時の様子を思い出しながら完成までの過程を、編集を担当されたほるぷ出版の中村宏平さんが語ってくださいました!
中村から、もとしたさんとたんじさんで、妖怪の絵本をつくろうと提案
(※このように、文章が出来上がる前に、画家が決まっていて、なおかつ事前にみんなで会う、ということ自体、そんなにあることではありません。多くの場合、まず本文テキストができあがり、その後でその内容にあった画家に依頼することの方が多いと思います。)
以下、もとしたさんのメールの抜粋です。
現代の家族が旅行へ。古い旅館に泊まる、という話。
その由緒あるという古い旅館は夕闇にぽつんと建っている。
家族構成は両親と姉弟か姉妹。昔の人の姿で出迎えた女将と女中たち。
大人船と子ども船にわかれて、小さな川を部屋まで移動。
おもしろがる両親と、わくわくするけどちょっと怖い子ども達。
霧が濃くなる。。。と、船頭さんの姿が、あれ? 別のものに見え。。。
不思議なものたちが現れて。。。
決して怖いだけではない、かわいかったり楽しげなものたちだったり、
薄暗がりに潜むものたち。
脅かそうというものではなく、一緒に遊ぼうよ、という感じのもののけたち。
数時間経ったように思えたが、部屋に着いた船からおりると、
なにも変わったことはなかったという親。
どうやらものの3分ほどのことだったらしい。
部屋に用意された食卓を囲む。
わーい、おいしそう! と喜ぶ子どもたちだが
何かがありそうな予感の旅館。
というもやもやっとしたものを感じさせるラスト。
本来ならここで、編集者と作家(もとしたさん)で打ち合わせをして、この方向でいこうとか、もう少し怖い感じに、などの意見交換をして、実際の本文を書いてもらうのがふつうです
(※このプロットだしをすっとばして、いきなり原稿をいただくこともあります)。
でも、作家と画家が会うことから始まった企画なのだから、その前に、一度、たんじさんに、この設定文を読んでイメージしたものを絵に描いてもらおうと思いつきました。そこで、もとしたさん、たんじさんの快諾を受け、イメージ画を依頼しました。
たんじさんらしいかわいらしいイラストながら、もとしたさんのプロットのもつ不思議な雰囲気を醸しだした、よいイメージイラストでした。
最初のプロットでは「何か怪しげなお化け屋敷」といった雰囲気だったのが、イメージイラストは、それをさらに一歩踏み込み、「もののけの世界(国)に行く話」というイメージがより強く打ち出されていました。
▲イメージイラストのコピーを特別に見せて頂きました!
以下、もとしたさんのメールの抜粋です。
1、母と姉、弟の3人でおでかけ。主人公は女の子。お買い物に弟は邪魔だと感じている。
2、姉としての役割にうんざりしてるところへ案の定、弟が「カエルだ! ほら!」
「こんな所にいないよ!」「いたよ!」と駆け出す弟。「動いちゃだめだって。もう!」
とプリプリしながら追いかけていく姉。
3、「どこまで行くのよ!」と橋を渡りながら(あれ? 橋なんてあったっけ?)
と振り返ると、見知らぬ時代の見知らぬ町。
4、弟は見失うし、さっきの場所はないし、様子がおかしいし。。。途方に暮れていると
5、笛の音。自分と同じ背格好の、お面をかぶった少女が吹いている。
6~13物怪の協力で見つかる弟(カエルのような物怪と遊んでいる)。渡れるけれど、戻れない橋であったこと。(帰りは舟で戻るしかない)
*弟を発見し、ほっとする気持ち。
*弟が活躍し、それを頼もしく、一人の人間として見直す気持ち。
13、少女の計らいで、物怪に戻る手配をしてもらい、無事帰ることができる。
14、元の場所へ。時間の経過はなかった様子。(母が傘を買って走って来る)
15、手に握っているものによって、物怪の世界が確かにあったことを姉弟は確認し合う。
たんじさんのイメージイラストに触発されて、主人公の子どもたちが初期プロットよりアクティブに動くストーリー展開になりました。
けれども、ここから、何回も打ち合わせやメールのやり取りをして、物語はこのプロットとも全く別の形に変わっていきました。「めかくしおに」の決定稿となるテキストが完成するまで、ここから半年かかりました。
イメージイラストが表現している「主人公がもののけの国(世界)に行って、そこでさまざまな妖怪たちに出会う」というイメージを大切にしたいという思いが、もとしたさんに強くあり、それを絵本の限られた紙面の中で納得の行くストーリーにしたてていく、というところで試行錯誤を繰り返しました。
実は、人間の世界の中でもののけ(や妖怪)に出会うお話はたくさんあるのですが(初期設定のように、お化け屋敷のようなところでもののけに会うというのもその一つです)、完全に人間の住んでいるところとは別に存在するもののけの世界(国)に、人間が迷い込むという物語を絵本で描くのは、かなり難しく作品の数もあまり多くないのです。
(※小説ならば問題ないのですが、「なにをきっかけに別の世界に行ったのか」「どうやって戻ってくるのか」「その別の世界は人間の世界とどうちがうのか」といったことを絵本という限られた紙面のなかで表現するのが難しいのです。)
ですから、主人公がどのような経緯でもののけの国に行ったのかに、もとしたさんは、ものすごく悩み、ストーリーも二転三転しました。
案1)先祖が泥棒で、物の怪たちから盗んだものを主人公が持っていたので、連れてこられた。
案2)物の怪学校の卒業試験で、人間をこわがらせていた。
案3)咲かなくなった物の怪の花を咲かせるためにには、人間の子の力が必要だった。
案4)お面をかぶった物の怪が、人間の子と遊びたくて、連れてきた。
案5)お面をかぶって鬼ごっこをしていたら、もののけの国に迷い込んでしまった。
この案5が、決定稿の設定になり、タイトルも「めかくしおに」に。この設定変更にともない、姉弟という設定から、主人公が一人でお面かぶってもののけの国に行く物語に変わっていきました。
最初のプロットからだいぶ物語が変わったため、たんじさんには、キャラクターからつくりなおして、ラフを描いていただきました。
▲表紙絵のラフのコピーより。(ほぼ完成形ですね。)
物語とイメージイラストが互いに影響しあうことで、この絵本は少しずつ形になっていきました。作家さんと絵描きさんが往復書簡をやりとりするようにして作り上げたおかげで、文章と絵の雰囲気がうまく合わさった素敵な絵本になったと思います。
※『めかくしおに』で重要な役割をする「お面」ですが、最初のプロットが出来た時のの打ち合わせのときに、たんじさんが持っていたポストカードが、元になっています。このイラストをもとしたさんが気に入って、ストーリーのなかに「お面をかぶった少女」を登場させようと考えたのが原点です。
▲とてもイメージの広がる素敵なイラストです。
▲つきこが「お面」をかぶったまま・・・。心に残る、とても印象的な場面が誕生しました。
■もとしたいづみさん、たんじあきこさんが絵本ナビ読者に向けて直筆メッセージを描いてくださいました!!
絵本の完成を記念して、作者のお二人が絵本ナビ読者の為に素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!
▼もとしたいづみさんより
▼たんじあきこさんより
はちのす城に住むお姫さま「みつばち みつひめ」。
美しい着物、豪華なお部屋、沢山の家臣にかしずかれ、何不自由ない暮らしをしているのです。
でも、みつひめにとってはちょっと退屈。好奇心の赴くまま外に飛び出してしまいます。
そんなみつひめのおてんばぶりが突き抜けている前作『てんやわんやおてつだいの巻』で、すっかりみつひめファンになってしまった読者野方も少なくないのでは?
さて、今度の舞台は夏です!大好きなおっちゃんばち達とこっそり夏祭りに出かけるみつひめですが・・・?
『みつばちみつひめ どどんとなつまつりの巻』
秋山あゆ子・作 ブロンズ新社
★その“みどころ”を編集を担当された沖本さんに伺いました!
ご存知「みつばちみつひめ」シリーズの第2弾がついに出来ました!
今回はみつひめを孫のようにかわいがる、おっちゃんばち軍団も初登場。みつひめは、このおっちゃんたちと、生まれてはじめてのなつまつりに出かけます。かいこ印のわたあめに、じゅえきソースやきそば、ミズグモのヨーヨーつりに、ムシーカステラ・・・虫の世界のおまつりも、人間界に負けず劣らずにぎやかで楽しそう。花火師・ほたるやげんじが、どどんと夜空に打ち上げる「ほたる花火」も圧巻です。どこのお家にもそっくりな子がいそうな、おてんばひめの活躍にもご注目ください。
虫をこよなく愛する秋山あゆ子さん。原稿取りに来た編集者にアゲハ蝶の幼虫を見せてくれたり、画用紙の上を小さい虫がうろうろしても「困っちゃうな」などといいつつ、そのまま遊ばせてあげていたり。そんな虫への深い愛情が、比類なきこだわりとなって、絵本の中で炸裂しています。虫の種類と浴衣の柄が対応していたり、ほたる花火の筒がほたるの幼虫の形をしていたり、数え切れないほどの遊びがあちこちに隠れています。その一端を知っていただこうと、今回は絵本に特別ふろくを挟み込みました。絵本のなかに描き込まれたあれこれを、親子で探して遊んでみて下さい。
ラフからもわかる通り、秋山さんの絵はとにかく精緻。六角形建築が見事なみつばち城も、細かい計算をしてパースをとっています。その分時間がかかるのも当然。本当に夏前に出せるの?と、青ざめつつスケジュール調整したのも、宝物をいただくように、原画を一枚ずついただきにあがったのも、もはや遠き思い出。。。
楽しいものがぎゅっとつまった、夏にぴったりの「みつひめ」、どうぞお楽しみください!
(編集担当/沖本)
★貴重なラフを見せて頂きました!
▲出来上がった楽しい絵本からは想像つかないほど、その下書きは精密に描かれていてびっくり!!「はち」の世界が舞台ということで、部屋から小物などあらゆるものが六角形に描かれているのは気がついていましたか?そのパースは全て正確なのです・・・。
▲下の絵は、出来上がった絵に登場する虫たちそれぞれの名前が書き込まれているメモ。
編集沖本さんの為に書かれたそのメモは、こちらに生かされました!
▲今回の新作についてくる「特別付録・さがしてみよう!」。
ここに上げられている虫たちを絵本の中で探してみよう。かなり夢中になります。
★作者の秋山あゆ子さんが絵本ナビ読者の為に素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!
▲わーーー!みつひめが、おっちゃんばちが、まつむしきょうだいが・・・えほんナビに来てる!!
★秋山さんのサインは本当にスゴイ!!
絵本ナビ読者の為に描いてくださったサインを見てびっくり!全部違う絵なんです!!
あまりにも感激してしまったので、その1部をちらっとご紹介しちゃいます。
▲今回は100冊すべてこんな感じで違う絵が入っていたのです・・・。色々なみつひめがいっぱい!
★更にご用意してくださったおまけもユニークです。
今回、絵本ナビの為にサイン本のおまけとしてこんなユニークなおまけもプレゼントしてくださいました!
▲みつひめや、登場する虫たちが嬉しい!紙定規。
※おまけは上の4種類のうち2枚が届きます。
▲こちらは「みつひめくるくる」。
くるくるとは・・・?どうやって遊ぶの?しっかり説明も添えてあるから大丈夫。届いてからのお楽しみです。秋山さんの書き下ろしの絵がまたおもしろすぎます。
さくらせかいさんが遊びにきてくださった記事は移行いたしました。
すぎはらけいたろうさんが遊びに来て下った記事は、移行いたしました。
『光村教育図書の絵本の世界 轟編集部長、鈴木編集長にインタビューしました!』は移行しました。
⇒『光村教育図書の絵本の世界 書籍編集部の轟部長と鈴木編集長にお伺いしました!』
江戸時代の大阪を舞台に、「きくきく屋」というくすりやに奉公する小さな丁稚(でっち)、
こまめどんの日常を大阪人ならではの人生の知恵を交えながらテンポよく描く
「なにわのでっちこまめどん」シリーズ。とにかく泣いたり、笑ろたり、大忙し!
『どっちもどっちの巻』 『ねずみこわいでちゅうの巻』 『どろぼうどいつやの巻』
作・村上しいこ 絵・たごもりのりこ 佼成出版社刊
作者は村上しいこさんです。設定がとってもユニークですよね!
江戸時代の大阪。くすりやで働く丁稚。この独特な世界は絵の力なくして表現はできません。
そこで登場するのがたごもりのりこさん!
佼成出版社の担当編集者の方に誕生秘話エピソードを教えていただきました。
村上しいこさんご夫妻と奈良観光をご一緒していたときでした。興福寺で、昔の奈良の町なみを描いた絵が目に留まり、「あ、しいこさんの時代ものって読んでみたい!」と思いつくまま、その場で、しいこさんにご相談。「自分が描くならば、では大阪で」ということで、あれよあれよという間に“こまめどん”が誕生しました。笑いと人情味あふれるテキスト。その絵は――?
そのとき「!」と頭にうかんだのが、たごもりさんでした。テキストを読みこんで読みこんで、作品世界を魅力的に広げてくださる、たごもりさん。そののびやかで温かな画風は、きっと、こまめどんをいきいきと、絵本の中で動かしてくださるだろうと、大いなる期待とともにお願いしました。もちろん、できあがりは期待以上でした!
そして完成した「なにわのでっちこまめどん」シリーズ。
今回はその発売を記念して、たごもりのりこさんへのインタビューが実現しました!その作品への想いを語っていただいています。
たごもりのりこ(田籠範子)
骨董屋を経て、絵本作家・イラストレーターに。主な作品に『そらうで』(講談社)、『ごっほんえっへん』『ばけばけ町へおひっこし』『ばけば町のべろろんまつり』『ばけばけ町でどろんちゅう』(以上、岩崎書店)、『おったまげたとごさくどん』『どうぶつどどいつドーナツ』(共に鈴木出版)、挿画に『鬼の市』(岩崎書店)、『ぼくんち戦争』(PHP研究所)、『うちゅういちのタコさんた』(国土社)など多数ある。公式HP>>>
大阪の江戸時代とな!と、最初は慌てふためきました。
でも、登場する目かつら売り、のぞきからくり、南京玉すだれ等々・・・昔ちんどん屋さんの仕事をしていたこともあり、路上の演芸や商売は、興味のある分野でもありましたので、これらを描ける機会をいただけたことは、とても嬉しかったです。
▲ちんどん屋さんのお仕事とは!!その好奇心が存分に生かされている場面ですね!
―― この作品の大きな魅力は何と言っても“こまめどん”の愛嬌!くるくると変わる表情を見ているだけでも楽しくなってきます。たごもりさんは“こまめどん”を描かれる時にはどんなキャラクターとして考えられたのでしょうか?
こまめどんの顔立ちは、関西弁のテキストをいただいた時、頭にすぐに浮かびました。関西弁には、それだけの強い力、押しの強さ(笑)があったといいますか。「こんな 顔やろう?そやねん!」と、こまめどんに言われている気分でした。泣き虫だし、つまみぐいしちゃうし、ばんとうさんに叱られつつも、「まあ、ええやん!」と明る く丁稚奉公している、そんなところがこまめどんの魅力でしょうか。
▲この表情!!確かにセリフを読んでくるとこんな表情が自然に浮かんでくるかも・・・!?
―― こまめどんだけでなく、作品に出てくるその他の登場人物たちもとても表情豊かで大らかで魅力的ですね。たごもりさんのお気に入りのキャラクターはいらっしゃいますか?
こまめどんを、時に見守り、時に叱咤する、ばんとうさんですね。実はいかりや長介さんがモデルなんですよ。
―― 時代は江戸、舞台は大阪のくすり屋。設定がかなり具体的ですよね。絵を描かれるにあたって、大変だった点、面白かった点などを教えていただけますか?
「浪速名所獨案内」(なにわめいしょひとりあんない)という、大阪の古地図があるのですが、作者の村上しいこさんが、その古地図をもとにしてイメージを膨らませたお話だったのです。残された数少ない当時の資料から、お話に合わせて画面を再構築しなければなりませんでした。絵本としては、実際の当時の状況から異なる創作部分もあるのですが、“タイムマシン”と“どこでもドア”がどんなにか欲しいと思ったことか!(笑)
面白かったのは、大阪と江戸の違いを意識できたことです。
大阪だと鍋の把手が無 いものが一般的、とか、まな板の足の数が違う(今回、絵にはしませんでしたが)とか。あとは、薬屋さんゆえ、へっつい(※)にはお客さんにお茶を出せるよう茶釜がいつもあったり、数も多かったり。長屋の台所と商家の台所も、違うものだな あと、思ったりしました。
※竈(かまど)
西荻窪のベビヰドヲルという、古人形や昔の玩具、生活道具を扱うお店で、たまにちんどん屋さんの仕事に呼ばれたりしながら、7年ほど働いてました。日常的に数多く の昔のものに触れられたことは、今の自分の財産になっています。ただし、自分で開業したお店はあっという間に閉店させてしまったので、商才は無かったようです。
骨董屋で働く前に、図書館の児童書コーナーで働いておりました。下っ端図書館員ゆえ、よく閉架書庫の整理などしながら、こどものとものバックナンバーなどを読み あさってましたね。絵本にのめりこんでいったのは、この頃です。鈴木三重吉の赤い鳥の復刊バックナンバーなどもこっそり読んでいたので、昔の絵本や、古いものへの興 味も、この時に生まれました。
―― 「なにわのでっちこまめどん」シリーズ3冊、それぞれの「ここは見てほしい!」というポイントを教えていただけますか?
一巻「どっちもどっちの巻」では、目かつら売りや、のぞきからくりなど、当時の子どもと一緒に遊んでいるよ うな気分を味わえてもらえたらと、思います。
二巻「ねずみこわいでちゅうの巻」は、町人のようなねずみ達とのやりとりですね。また、暗くて怖い蔵の中だというのに、そこはやはり大阪の子ども、妙にのりのりでもあるだいきちどんとこまめどんの姿に注目です。
三巻目「どろぼうどいつやの巻」は、疾走していく言葉遊びと、次々出てくる町人達と共に、泥棒追いかけ、息をぜえはあ切らして下さい。
―― 子ども達にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
小学校のイベントに伺った時、高学年の子達でしたが、丁稚という存在そのものを知らなかったんです。そりゃ確かに大村昆さんの丁稚ものとか、よく知ってる今の子 ども達がいたらそれはそれで驚きかもしれません。(大阪の子どもは知ってるのかも しれませんね。)
子どもが働き手でもあった時代、実際の丁稚奉公は絵本とは異な り、過酷な面もあったかと思いますが、東京、大阪、関係なく、江戸時代の丁稚気分を楽しんでいただけたらと思います。
―― 今後どのような絵本をつくっていきたいと思われますか?
しばらく江戸時代ものが続いてるので、昭和あたりにタイムスリップなんてのもいいですね。
しかし、まあ、まだまだ未熟者ゆえ.・・・、ひたすら精進といいますか、筆を動かし、学び、表現していきたいと思います。
―― ありがとうございました!
西荻窪・ベビヰドヲルにて撮影
▲お話にも出てきました、たごもりさんが以前長いこと働かれていた古物屋さんを背景に。
ベビヰドヲルのサイトはこちらです>>>
温かく、ユーモアたっぷりの絵なのですが、細かい部分にたくさんのこだわりも垣間見えて・・・その幅広い表現力こそが大きな魅力のたごもりのりこさん。今後どんな風に更に開花されていくのか本当に楽しみですね!
人気絵本『くだもの だもの』に引き続いての名コンビ作品が発売となりました!みずみずしくて美味しそうな野菜たちが準備運動をしている様子が何とも愛らしい表紙の絵本『おやおや、おやさい』です。言葉遊びの達人石津ちひろさんの文章をユーモラスな絵で見事に視覚化しているのが山村浩二さんです。
今回はその発売を記念して、山村浩二さんのアトリエ訪問、インタビューが実現しました。
山村浩二さんは、アニメーション作家として、その作品の国際的な受賞が60を超えるほどの大活躍をされている方なのです。そんな山村さんの絵本の制作方法とは・・・?
『くだもの だもの』、『おやおや、おやさい』のお話を中心に、制作の秘密からみどころなどたっぷりお話をお伺いしました。素敵なアトリエの様子も必見ですよ!
山村浩二(やまむらこうじ)
1964年、愛知県生まれ。東京造形大学絵画科卒業。短編アニメーションを多彩な技法で制作。作品に『パクシ』『年をとった鰐』など。『頭山』がアカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート、6つのグランプリ、『カフカ 田舎医者』が7つのグランプリなど、国際的な受賞は60を超える。絵本に『くだもの だもの』『おやおや、おやさい』(福音館書店)『あいうえおとaiueoがあいうえお』(小学館)など。東京都在住。
『くだもの だもの』 石津ちひろ・文 山村浩二・絵 福音館書店刊
▲夏の海水浴場でくり広げられる果物たちの愉快な行動を、ユーモラスな絵で描いた言葉遊びの絵本です。
―― 絵本ナビでも人気の絵本『くだもの だもの』。まず石津ちひろさんの言葉遊びの面白さというものがあって、そこに、山村浩二さんの愛嬌のある絵によって違う世界が広がっていき、子ども達も大喜び。暗記してしまうくらいです。その組み合わせがとても絶妙なのです。まず不思議に思うのが、どうやってその2つの世界が組み合わさっていくのか、という部分です。
最初に石津さんのテキストを頂くんです。その時は構成(順番や組み合わせ)というのは決まっていないんですね。石津さんの案として、果物にまつわる様々な言葉遊びをたくさん頂いて。だから、実は実際に本文に使われている以上の数のテキストがあったんです。
── その石津さんのテキストを最初に見られた時の印象はどうでしたか?
それはもう本当に、楽しいなと思いました。果物たちが生き生きと動いてる様子が見えてくるといいますか。
でもそこで、単純に言葉の絵解きだけの絵本じゃ面白くないかなというのがあったんです。石津さんのテキストを読んでいく中で、たまたま「海水浴」というテーマで、夏とかスイカが出てきたところから一つの情景が浮かんできたんですね。一個一個は、本当にばらばらの言葉遊びなんですけど、「海水浴」という所に関連するところで組み合わせていけば何かストーリー性が出てくるんじゃないかなというのが見えたんです。
「かいすいよくには いかない スイカ」
▲海水浴の誘いに、スイカさんのうちに行く所からストーリーが始まります。
―― そこからなぜかパパイヤのパパが砂浜でパンを焼いたりと、思いもつかない展開になっていって(笑)。
そうなんですよ。これはパパイヤの言葉遊びなんですけど、最初はテキスト的には「海水浴」というのはどこにもなかったわけですね。じゃあ、海水浴場でパンを焼く情景というのはどんなのだろうと考えていって。一つの場を設定することで、言葉遊びだけじゃなくどんどん絵の世界が広がっていって、キャラクター性といいますか、登場人物たちが生き生きとしてくるんですね。そうやって、言葉から情景やシーンをイメージしていうるちに海辺という舞台が見えてきて。そこからだんだんこちらも遊び出すんですね。
── そうやって色々な場面が登場しながらお話として全体が進んでいく一方で、その間のつながりといいますか、サイドストーリーみたいなものも描かれていますよね。そういう遊び的な部分というのは子ども達も大好きですよね。
言葉遊び自体はそれぞれが単体ですが、そこで何かストーリー性を持たせることで絵本に膨らみを出せるかなというのがまず見えてきたんです。それは言葉の順番だけでも変わってくるんですよね。そこの間にうまく関連させて、例えば「ビワのお詫び」の場面にうまくつなげていったりとか・・・色々なシーンを後からパズルのように組み合わせていくことで、だんだん立体的に絵の構成も決まってきたんです。
── その段階で、石津さんとのやりとりというのはあるんですか?
基本的にお任せいただいていました。逆に僕はすごくやりやすかったといいますか、楽しくやらせていただけましたね。
── この作品の大きな魅力、人気の秘密の一つとして登場する果物のキャラクターというのがあると思います。果物に手足がぴょんぴょんって生えていて、キウイの腕は毛むくじゃらだったりとか(笑)。表情もすごく豊か。そのキャラクターはどんな風に誕生したのでしょうか?
『くだもの だもの』では、必ず果物が登場して色々なことをしてるので擬人化していかなければいけないですよね。絵の方法としてどうしようかなという部分は、少し苦労しましたね。
方法としては色々あったと思うんですけど、一つは単純に果物そのものを感じてほしいというのがあって。果物はリアルに描きたい、果物自身を簡略化はしたくないなと。それで、手とか目とかささっと描いたように、わざとちょっと粗くしているんです。しっかり果物から生えている手というふうにはしないようにして。ついでに、ちょっと描き足したみたいな印象にしていこうかなというのは、絵を描いていくうちに思い付きました。それで、例えばキウイだったら毛がいっぱい生えてるから毛深いんじゃないかとか(笑)。果物を見た時にそのキャラクターが浮かぶような感じにしたいなという風に思って描いています。
── ああ、それででしょうか。果物の描写が本当につややかで美味しそう!1~2歳ぐらいの小さな子ども達でも、果物を見て美味しそうというのはわかるんですよね。
しずる感っていうんでしょうか、フルーツなのでみずみずしさみたいなものを感じさせなきゃなというのはありました。だから、普段は空想で描く場合も多いのですけど、本作は全部本物を見て描いたんです。でも、季節的な問題で手に入りにくい果物も随分あって(笑)。秋も深い頃、ちょっと冬に差し掛かっていたのかな。スイカもなかなかなくって。ビワやさくらんぼなどは、贈答品の高級なものを編集部の方に手に入れていただいたりしたんです。スモモもちょっと難しかったですね。種類がとても多いので、これぞスモモという典型的なものにしないとというのがあったりして。
おもしろいのは個体差があるといいますか、同じみかんでも一つずつ表情が違うんですよね、そうすると、やっぱりこの一つのみかんをモデルに描き上げないといけないというのがあって。だから、ラフはちょっとラフで描いておいて、本番が本当に本番なんです。最後に実物を見ながら描いてきちっと仕上げる段階がすごく重要。表情やキャラクターが決まる瞬間ですので。そのタイミングをうまく見計らって。だから、果物ごとに描いていくんです。同じ果物が登場するところはそこの果物だけを仕上げていくみたいに。だから全体にはまだ色が付いていないんだけど、みかんの部分だけは仕上がっていて、こっちのフルーツはまだこれからという感じで。最後のほうで、脇役的なスターフルーツみたいなのを描いて(笑)。でも、スーパーで探すのはすごく楽しかったですね。
―― 絵を描かれる時の素材というのは・・・?
インクと色鉛筆ですね。背景の感じは水性のインクで、キャラクターそれぞれは油性のカラーマーカーで色をつけます。画材としては3種類使って描いています。背景の感じで全体の空間、雰囲気を創っていって、鉛筆で落書き的な手足と、逆にもっと果物の細かいディテールの質感のほうと、うまくつなげて違和感ないようにしている感じです。
── 続いて、今度はフレッシュな野菜がたくさん登場する『おやおや、おやさい』。石津さんも作者の言葉として「子どもの頃の元気でイキイキとしていた野菜に、絵本の中でふたたび出会うことができた」とおっしゃっている通り、山村さんの描く野菜たちはごつごつしていて、張りがあって。そしてマラソン大会を繰り広げるのです。こちらもやはり同じような制作方法で・・・?
『おやおや、おやさい』 石津ちひろ・文 山村浩二・絵 福音館書店刊
▲今日は野菜たちのマラソン大会。「そらまめ そろって マラソンさ」「りっぱなパセリは つっぱしる」韻を踏んだような言葉とユーモアたっぷりの絵が実に楽しい絵本です。
基本的には同じつくり方です。野菜も本物を見ながら描きました。やはり季節柄手に入りにくいものも色々あって、その辺りの苦労は同じでした。
でも、実際に画面上に描き始めてから気がついたんですけど、野菜は比較的長いものが多いんです。セロリだとか、大根だとかもすごく長いわけですよね。全部リアルに描きたいというのが基本的にあるので、小さい野菜と一緒に画面上に収めようとすると・・・「あ、これ、難しいな。うまく収まらないや」なんて(笑)。厳密にいうと実際の大きさの比率は違いますが、それぞれの形の比率は変えないように。うそをつかない様なバランスで、長いものは長いものっていう印象をちゃんと画面に収めるのが結構難しかったです。果物の場合は大体丸いので、あまり意識しなくても良かったんですけど、野菜になってみたら長いのと丸いのと太いのって、すごく形がばらばらなんですね。賞味期限もそうで、ものによってはすぐにしなっとなってきちゃうんですよね。
それから人参の“葉っぱ付き”というのは売ってたようなイメージがあったんですけど、いざ探してみるとこれが売ってないんですよ。大根はまだ時々葉っぱ付きは売ってるんですけどね。それが自分では意外だったんです。でも、そこはちょっとこだわって。子ども達が知ってるのは、この黄色い部分の人参だけだと思うんです。これ、実際は体の一部を切られてるわけですね。それがかわいそうだなと思って、なるべくちゃんと丸のまま描こうと。厳密に言うとツルとかも取られちゃっているんですけど、まあ一体化してるものは付けてあげたいなと。やっぱりキウイなんかも、イメージとしては切られてた緑の中身のほうが、果物として印象深いと思うんですが、やっぱりその切り身のままのキャラクターというのは、こわいかなと思って。浮き輪の柄でらしさを、演出していますね。そういう所はなかなか難しく、面白い部分でした。
── ストーリーの最後の展開で意表をつかれると言いますか、はくさいのこのキャラクターが笑っちゃいますよね。誰かモデルでもいるのかな、と思ったのですが・・・。
モデルというのはいなかったんですけどね。これは本当に、石津さんの「はくさい はくしゅは てれくさい」という言葉から連想して、こういうキャラクターなんだろうなって、自然に出てきて。わーって騒がれたりすると、そっちに気持ちが行っちゃって、本来やってることを忘れちゃうみたいなね(笑)。そんな事をしている間にとうがらしのとうさんが・・・って。この最後の終わり方もストーリー的に、意外性を持たせて(笑)。
―― 『おやおや、おやさい』の隠れたみどころみたいなものがありましたら教えて頂けますか?
全部実在する野菜を描いているんですが、同じような葉っぱの緑の感じで違いを出すのというのが結構難しかったんですね。このシーン(スタートしたマラソン選手達を沿道で沢山の野菜が応援するシーン)なんかは、一番楽しみながら描いたのですが、ここも色々な野菜が出てくるんです。頭の葉っぱの部分しか見えていないんですけど、ちゃんとホウレンソウだったり、春菊だったり、三つ葉だったり。葉の形をよく見て、その違いでわかるように。パセリも葉がもこもこしていて立派です。はちまきができるくらい。そういう意味で、今回は“葉物”に力が入ってるかもしれないです。はくさいにしても。描きがいがありました。
── 言われてみると!これは親子でクイズ遊びが出来そうですね。意外とお母さんも答えに困っちゃったりして(笑)。
―― 素人の勝手なイメージですが、アニメーション作家の方といいますと、どんどんイメージが膨らんでいってとにかく沢山の枚数の絵を描いたり、描き込むのがとにかく好きだったりするのかな、と思ってしまうのですが、絵本ですと場面が限られていますよね。そういう部分で苦労などはありましたか?
やっぱり絵の見せ方が違うんですよね。当然、アニメーションの場合は動きで説明できるので、その動きの枚数を重ねることで展開できるわけですね。だから例えばラディッシュがダッシュしてるんだったら、やっぱりダッシュしてるスピード感というのは現実的な時間として出せるわけです。ところが絵の中だと、停止しているんだけど、この人は速そうに見えるだとか、色々な事を含めて一場面でそれを表現しなければいけない。絵本の中で出来ることというのはまたアニメーションとは違ってくる、という実感はありました。両方の仕事をしていてすごく勉強になっていますね。そのたびごとに発見があります。
―― 違うジャンルでの表現もされているからこそお伺いしてみます。絵本のおもしろさというのは、どんなところにあると感じられますか。
絵本というのは戻れるんですね。サイドストーリーを見つけた時もそうですけど、子どもは気になったらもう1回、「あのキャラクターってなんだっけ」みたいにページをめくって後ろに戻れるわけです。映画は1つのディレクションを僕らが作って、それを見てもらう。それから考え感じてもらうという感じですけど、その体感の仕方というのがまったく違うんですよね。そこはおもしろいですね。
それから、絵本の感想なんかを見ると、すごく親子で読んでくれているんだなと感じます。アニメーションというと、テレビの前で座りっぱなしで見ているという印象があるんだけど、絵本の場合は親子で読んでいるその間、どういうことが起こっているかというリアクションがすごく見えてきて。そこはちょっとアニメーションとは違うのかなという気がしますね。
―― この絵本は親子でどんな風に楽しんでほしいですか?
親子それぞれで色々なストーリーを見つけてほしいと思います。絵本の中では、どのキャラクターがどの辺に、どの場面でどこにいるのかというのを、結構細かくつながりを考えて描いていますから。実はこの辺でこのキャラクターがいたんだ、みたいなのを見つけながら楽しんでもらえたら嬉しいです。
―― ここに出来上がったばかりの最新作『おかしな おかし』があります。(月刊誌こどものとも年少版2010年7月号※)先ほど拝見させていただいたんですが、今度の主役はお菓子!とにかく美味しそうなお菓子が次から次へと登場して・・・本当にどれも子どもたちが泣いて喜びそうな内容になっていますね。「お菓子」という題材は石津さんの方からのご提案ですか?
※こちらは絵本ナビでは取り扱っていない商品になります。詳細・問い合わせはこちら>>>
『おかしな おかし』 石津ちひろ・文 山村浩二・絵 福音館書店刊
いや、お菓子というアイデアは僕なんです。実は最初、石津さんと編集の方から「お魚」で、という話があったんです。今までの絵の作り方は、目鼻のない所にそれをつけてキャラクター化するという方法。ところが、魚はもうキャラクターですよね。鮭なら鮭で。切り身にキャラクターつけるわけにもいかないしなあ、と思って。だから目鼻のない、本当には生物ではないもののほうがいいんじゃないですか、例えばお菓子とかパンとか・・・と提案させていただいて。そこで、石津さんの方からお菓子で行きましょう、という事で決まりました。
―― お魚もおもしろそうですけど、言われてみると確かに・・・。絵を描かれる側の方ならではの発想ですね。ところで、お菓子というと例えばお菓子の家だとか、ちょっとファンシーな感じを思い浮かべるんですけど、こちらは思い切り汗が流れていますね。
石津さんからいただいた言葉の中に、体操という言葉が出てきたのでそこからイメージして。オリンピックだと広がり過ぎてしまうし・・・ということで身近で色々なスポーツが出来るスポーツジムが舞台になりました。プリンやゼリーが飛び跳ねていたり、ドーナツやクッキーがサッカーをしていたりします(笑)。
お菓子は意外と地味でしたね。焼き菓子が多いので、茶系のものが多いんですよ。やっぱり果物が一番カラフルにできましたね。野菜はグリーン系が多いので、爽やかな印象。お菓子はなるべくポップな感じにしたかったんですけど、お菓子そのものは意外と地味なんですよね。でも、そこで「おいしさ」のほうにちゃんと目がいってもらえれば。
やっぱりお菓子も本物を見ながら描きました。それはすごく楽しかったんですけども・・・食べたくなるんです。お菓子は描くものじゃなくて、やっぱり食べるもんだと(笑)。おまんじゅうを見ながら鉛筆で描いてるのはすごく変で、こりゃあ口に持っていくもんだろうって。果物ですと静物画として、まだ冷静に見られたんですけど。お菓子を眺めてるのは、すごく変な感じがしました。
でも娘も喜んでいました。モデルが最終的には食材になるので。果物や野菜の時もそうでしたけど、普段買わないようなものを買うから大変おもしろかったですね。意外と美味しいだとか、料理に入れてみたり。全部食べるようにしてましたね。
―― 1つの作品が完成するまでにはどの位の期間がかかるのでしょうか?
プロジェクトとしては、だいたい1年以上前からお話をいただきます。ラフから進んでいくんですけど、そのラフが固まるまでの時間と、実際色をつけていく作業というところで、トータルでやはり1年ぐらいですね。設定、ストーリーなどを決めるラフのやりとりでは数ヶ月かかかっています。でも、作業自体は比較的早いので、実際色をつけたりしているのは2カ月か3カ月ぐらいで仕上げているんじゃないですかね。
―― 子どもの頃絵本を読まれた記憶はございますか?
実は子どもの頃、僕はそんなに絵本を読んでいなかったんですね。物語絵みたいなものは見ていた覚えはあるんです。世界名作童話集などで絵が沢山ついていると、絵に興味があったりとか、昔話の絵本だとかはすごく読んでいた記憶があるんですけど。漫画世代で、物心ついたころはもう漫画を読んでたほうが、印象としては多くて。
絵本の世界が本当におもしろいなと思ったのは、子どもができてからですかね。例えばエリック・カールさんとかの絵本を見たりして、ああ、おもしろいんだと。子どもに見せながらそういうものに気づいていったというのがあります。
絵自体は見るのも描くのも大好きでしたね。漫画やアニメーションは学生の頃から作っていて、それがいつのまにか今の職業になっていたという感じです。
―― その中で、絵本を描かれる事になるきっかけというのはあったんでしょうか。また、絵本を描く事について興味はおありでしたか?
特に大きなきっかけってあったのかな。アニメーションだけの仕事というのは、なかなか最初のうちはメインではできなかった部分もあって。仕事を始めた頃から挿絵の仕事はやっていました。ガリバー旅行記だとか、シャーロックホームズなんかの物語につけるイラスト。こういう挿絵の仕事は好きでした。テキストからイメージして絵をつくるというのは、結構初めの頃からやってたんですね。振り返れば、児童書の世界には何かしら関わっていますね。
最初の絵本というのは福音館書店さんの『サカナカナ?』(月刊誌こどものとも0.1.2 2002年1月号※品切れ)です。絵本らしい形で仕事ができた最初だった気がします。
絵本を描くということにはすごく興味がありましたね。やはり絵描きの興味として、絵本画家の人たちというのはすごく魅力ある人が多いので、絵を描くという立場からは、絵本を描いてみたいというのはずっとありました。だからといって、最初から絵本作家を目指そうみたいなところじゃなくて、やはり自分の興味の中心がアニメーションにあったものですから、どうしてもそこが中心にはなっていたんですけど。
―― 現在、当然アニメーションの仕事も並行されているんですよね。取り組み方や時間のかかり方は全然違うのでしょうか?
そうですね。アニメーションのほうが、どっちかというとコツコツやっていかないと出来上がっていかなくて。絵本は気持ちをうまく持って行って。もちろんそれなりに両方時間はかかりますけどね。やはりある意味で、同じ絵なんですけど、自分の気持ちが切り替わるので、両方の刺激になるというか。うまくそれぞれの仕事がプラスにできてるんじゃないのかなという気はしています。
―― 絵本や絵本を通しての楽しみ方など、絵本ナビ読者の方へのメッセージをお願いします!
子どもとのコミュニケーションとして、絵本は映像よりも密に親子がコミュニケーション取りやすいのかなというのはありますね。読み聞かせだったり、一緒にページをめくっていったりというところで。
それから、僕自身は絵を描くので、絵本の選び方としては、やはり絵に興味があると見るんです。絵本には色々な要素があるのですが、特に絵の部分、そこには言葉以上の何かがあって、そこに魅力があるからこそ、絵本というのがあると思っているんです。単純に物語の読み聞かせではなくて、その絵から発しているものというのはなかなか言葉には置き換えられないけど、その絵本や画家さんそれぞれの雰囲気というか、独特に発しているものがあるんです。絵を描く立場としてはそういう絵の面白さ、絵が発している魅力みたいなところから絵本を探してみるのもいいのかなという気がします。
子どもにとっても、そこで感受性が養われるのではないかなと。子どもの頃に見たビジュアルイメージというのは、たぶんずっと残っていくと思うんですね。目からの触角といいますか。そういうものが記憶にすごく結びついていくというのはありますよね。大人は言葉や良い物語というので選びたがるところがあるんですけど、やっぱり忘れちゃいますよね。その雰囲気とか印象という方が、強く記憶に残ったりするんです。
自分で表現するにあたっても、そこは難しいところですね。うまくいい気持ちで描けていないと、ちょっとした事で元気な感じが出ていなかったりしますし。同じ絵でもちょっと変わっちゃうんですね。例えば野菜でも果物でも、それと接しているときの自分がうまい具合にいかないと、美味しそうと思っていないと、美味しそうに描けないですよね。単純な話ですけど。
ありがとうございました!
記念にぱちり。
お話を聞いていると気が付くのですが、山村さんにとって制作中の「難しい」や「苦労」というのはイコール「面白い」なんですね。そんなお話をされている時は決まってとても楽しそうな表情をされているのです(笑)。創作絵本にもご興味があるという山村さん、今後どの様に世界が広がっていくのか本当に楽しみです。
★今回、素敵なアトリエにもお邪魔させて頂きました!
この場所から、子ども達を喜ばせてくれる絵本も、世界中で絶賛されているアニメーション作品も生まれていくのですね。
▲これが作品の生み出される机!アニメーションの原画もずらり・・・思わず緊張します。
▲カラーインクやペン、色鉛筆など。主に制作に使われている画材がびっしり。
▲制作の時はいつも音楽を聞きながら。アニメーションの原形フェナキストスコープ(驚き盤)を見つけて、絵本ナビ取材スタッフも福音館書店編集チームも思わず夢中に!簡単な解説までして頂いて・・・。
▲素敵な本棚の間から、ちらりと見え隠れしていたラフ画。どうやら新作絵本の制作も進行中の様ですよ!
▲やはりアトリエの主が座っているとしっくりきますね。サイン本も描いて頂きました!
期間中、対象作品はレビュー掲載時のポイントがもれなく2倍、最優秀レビューに選ばれると著者があなたやお子さんの似顔絵入りの色紙(まさに家宝!)を描いてくれるというスペシャル企画です。
第1弾、『しごとば』『続・しごとば』レビューコンテストは5月末締切り。
グランプリのレビューを書いてくれた方には、鈴木のりたけさんがあなたが登場する“しごとば”色紙を描き下ろしてくれます。
世界にたったひとつの豪華プレゼント!応募ルールをご確認の上、ふるってご投稿ください!
↓詳しくは下記ページで!
特別企画『しごとば』『続・しごとば』レビューコンテスト
ミッフィー誕生55周年を記念した大規模な展覧会「ゴーゴー・ミッフィー展」が開催されます。
人気絵本8作の原画やスケッチ200点が日本初公開!また、展覧会限定のオリジナル・グッズも数多く販売されます。ミッフィーファンなら見逃せませんね。
2010年4月22日(木)より、全国巡回の皮切りとなるのが東京松屋銀座8階大催事場です。
その松屋銀座さんが、絵本ナビユーザーの方へ向けて、素敵な特典をご用意してくださいました!
「ゴーゴー・ミッフィー展」開催期間中【2010年4月22日(木)~5月10日(月)】に、会場入り口受付にて「絵本ナビの特集ぺージを見た」と言うだけで、なんと先着100名の方に「ゴーゴー・ミッフィー展開催記念ストラップ」をプレゼント!!
お近くの方は、是非この機会にお立ち寄りくださいね。
絵本とキャラクターの月刊誌MOE。
2009年に創刊30周年を迎えられました。
絵本ナビでも新刊&バックナンバーを取り扱っているので、ご存知の方も多いですよね。
絵本を軸にして、関連する情報が満載の絵本専門誌です。人気絵本・人気キャラクターをテーマにした巻頭大特集のページは徹底した取材と豊富なビジュアルが魅力!
「絵本の世界って、こんなに面白くて奥深いものなんだ・・・」と気が付かせてくれる大事な存在です。
また、アート・映画・旅・ハンドメイド雑貨・スイーツなど、旬の情報もたっぷり詰め込まれています。絵本ファンはもちろん、詳しくなくても気軽に楽しめるようになっています。絵本の世界を身近に感じさせてくれる、というのも大きな特徴なのかもしれませんね。
そんな雑誌MOEを、毎月生み出しているのが「MOE編集部」。
今回、何と月刊MOE副編集長の森綾子さんにご協力いただき、お邪魔させて頂けることになりました!
▲静かな熱気にあふれる編集部。
そこかしこに珍しい資料や絵本がたくさん!目移りしてしまいます。
ずっと愛読してきたMOEの裏側をのぞくことができる・・・と、冷めやらぬ興奮を抑えつつ、
色々なお話をお伺いしてきました。お楽しみください。
取材させて頂いたのは、ちょうど2010年4月号が発売されたばかり。
この時期に主に取りかかっていたのは、5月号、6月号だそうです。
5月号はすでに入稿が終わり、最終段階の作業が進行中、6月号では原稿依頼や取材の真っ最中、更に7月号に向けて取材の為に海外出張中!と並行して作業が進められていました。
この時点で9月号位までは、大きなテーマは決定しているそうで、そんな風に常に同時進行で作業が進められているのですね。
今回は、2010年4月号を中心に、完成までの様子をわかりやすく教えて頂きました!
『MOE 2010年4月号』
▲巻頭大特集は「リサとガスパール&ペネロペのすべて」。
表紙の絵は、「リサとガスパール」と「ペネロペ」が一緒に登場している貴重な3ショットです!
中を開いていくと、
作者アン&ゲオルグ夫妻のパリの新しいアトリエを訪問した取材記事や、「リサとガスパール」「ペネロペ」それぞれのキャラクターの紹介や徹底比較、絵本の舞台となるパリの町の紹介や、最新グッズなどなど・・・知りたい!と思っていた情報が次から次へと続き、絵本ファンにはたまらない内容となっています!
それでは、どうやってその内容が決まっていくのでしょう?
森さんに、他では見られない貴重な資料などを見せて頂きながら、完成していくまでの工程や、雰囲気などをお伺いしました。
★企画会議
「毎月企画会議というのが開かれるんです。」と森さん。
編集部全員が、それぞれ一冊まるごと「どんな構成がいいだろう」と、内容を考えて企画書を作成し、提示するそうなのです。
▲特別に4月号「リサとガスパール&ペネロペ特集号」に提案された企画書を見せて頂きました!
こんな風に、巻頭大特集から関連特集、連載記事までひととおり考えます。
ちなみに、編集部の人数は現在7人。
(その他に、ほぼ毎月仕事をお願いするカメラマンさん、ライターさん、デザイナーさんもそれぞれ4~5人いらっしゃるそうです。)
各自がそれぞれ情報を収集し、その時期にぴったりな内容を企画したり、
得意分野のジャンルで企画したりします。
★企画が決定!
基本的には、採用された企画を考えた人がその特集の担当となり、一人(!)で進めていくのだそうです。もちろん、特集内容に合わせてライターさんやカメラマンさん、デザイナーさん等々に依頼して、取材や撮影などの準備を進めていきます。
特集が、とても流れのある内容となっているのは、一人の方が全て企画されているからこそなのかもしれませんね。
▲こちらはMOE4月号の「台割(だいわり)」。編集長が管理します。
そして、特集内容、連載記事の内容等が決まるとこの台割に記入していきます。
それぞれ細かい記事は、他の編集部員が担当していきます。
(毎号必ず担当ページが1ページ以上はあるそうです。)
見方は難しいのですが・・・MOEは中綴じ製本なので、真ん中の数字を中心に
右に刷られるページ、左に刷られるページ・・・という並びで表がつくられています。
▲編集後記や次号の予告、広告ページなども含めて全ての決定事項を入れていきます。
▲「絵本ナビの広告見つけた!」小さなことで喜んでしまうのは素人ならでは・・・。
★詳細内容を決めていく
台割がほぼ決定すると、いよいよ具体的に動き出します。
▲ページ割り。例えば巻頭大特集の30ページの中でそれぞれのページ数、流れなどを決めていきます。
アトリエ訪問の記事は何ページ分使って、
「リサとガスパール」「ペネロペ」のキャラクター紹介は2見開きずつにして・・・などなど。
取材をしてみて、その内容によってページ数を変更することもあるそうです。
▲デザイナーさんにデザインの依頼をする為のラフです。
こちらも担当編集の方が描いていくそうです。
巻頭特集のデザインにはアートディレクターさんが手がけるそうで、
話し合いながら具体的なレイアウトを考えていきます。
例えば、アン&ゲオルグ夫妻の写真がとても素敵だったので大きく使いましょう!というと・・・
(ラフ画像の右上の欄)
▲一ページに大きく掲載されるレイアウトで完成!
引越しされたばかりのご自宅兼アトリエのソファで、仲良くくつろぐお二人の写真には本当に魅入ってしまいます。
「MOEの読者の方は、絵本の背景にある情報を知りたいという方が多いですね。中でも作者ご本人が登場するぺージというのは一番人気があります。 だから、現地に取材に行くのは大変だけれど、そこはしっかりと時間と手間をかけて作っていきます。」と森さん。
この号の為にも、カメラマンさん、通訳さん、ライターさんなどに依頼してパリまで取材をしています。
また、絵本の表紙画像や中味画像などを贅沢に使ったレイアウトもMOEの特集ページの魅力です!
「作家の方々のご厚意で、かなり自由な誌面づくりができていると思います。」
▲『リサとガスパールのクッキングブック』に登場するお料理を実際に作って撮影。すごく可愛い!
左の画像がこのページのラフ、右が実際のページです。
お料理や小物の写真での、こだわりのスタイリングも見逃せません。
▲記事を作るために撮った写真は、かなりの数!?
奥がアトリエ訪問取材の写真、手前が料理の写真。
それぞれ、得意分野のカメラマンに依頼するのも編集の方のお仕事なのだそうです。
★いよいよ仕上げ!
依頼したラフをもとに、デザイナーさんからレイアウトページが送られてきます。
▲チェックしながら、写真やレイアウトの変更などをしていきます。
そしていよいよ入稿!印刷会社にデータを送ります。
送られてきた刷り見本をもとに、色校(刷り上がりの発色のチェック)などを行います。
▲4月号のおまけ、特製リサとガスパール&ペネロペシールの絵が印刷された段階!シールになる前です。ワクワクしますね。
▲表紙の色も、初校、再校、三校と修正していきます。
言われてみると、空の色や、ペネロペの色などかなり変化していますね。
同時に細かい誤植なども修正していきます。
▲こちらは目次順に並べて一冊にまとめた状態です。分厚いですね。
▲これを、1ページ1ページ、間違いがないかチェックしていきます!
チェックを担当するのは編集長と副編集長である森さん。
この作業もまたかなり大変そうなのです。
そして出来上がったのがこちら!!
皆さん、実際に手にとって味わってみてくださいね。
ご存知の通り、巻頭大特集の他にも、月刊MOEには人気の企画がたくさんあります。
例えば描きおろし絵本コーナー。
発表された作品が、のちに書籍化される事も多いこのコーナー。
MOEイラスト・絵本大賞で受賞された新人作家さんから人気作家さんまで、
かなり贅沢な内容を毎号楽しむことができるという事なんですよね。
(写真は2010年3月号より。2007年MOEイラスト・絵本大賞で準グランプリを受賞されたもりかさんの作品です。)
「絵本作家さんにおそわる描き方教室」など、実際に作家さんが絵を描かれている様子が見られるコーナーは、イラストレーターを目指している読者はもちろん、そうではない方にも大好評なのだそうです。
(写真は2010年3月号より。ダヤンシリーズの作者池田あきこさんが実際にダヤンを描く過程を細かくみる事ができるのです!)
絵本が出来上がる前の鉛筆で描かれたラフスケッチなど貴重なショットが満載なのも、MOEならではですよね。
上の2コーナーが掲載されているのは、2010年3月号。西巻茅子さんの『わたしのワンピース』のうさぎさんが目印!
▲巻頭大特集は「絵本みたいな雑貨が生まれるまで」。
可愛い雑貨をつくるアーティストがたくさん登場しています!
こんな風に、絵本だけでなく、絵本に興味を持った人が、
更に広がっていくであろう世界についても徹底して取材をしてしまうのが
MOEの大きな魅力の一つでもありますね。
その他にも美術館、カフェ、映画などのテーマなどで特集されている号もあります。
「絵本はあんまり詳しくないけれど、このうさぎさんには見覚えがある!とか、可愛いものが大好き!という方って沢山いると思うんですよね。そういう方達が自分の興味のあることをきっかけに絵本の世界を知ったら、きっとどんどんはまってくれるんじゃないかと。そういう意味でも、常に間口を広げておきたい、というのはありますね。」と森さん。
こういう特集号があるからこそ、MOEには広いファン層がいるのでしょうね。
普段、絵本に縁がないような人達でも気軽に絵本の世界が楽しめる雑誌がある・・・というのは、とっても大きな存在なのだと思います。
更には、今年で2回目となった大好評企画「絵本屋さん大賞」の様な、新しい動きというのも目が離せません!
最新号に向けて、作業真っ最中の編集部は当然大忙し。
そんな所をこっそりお邪魔しながら、探索させて頂きました・・・。
▲まだ発売前だった2010年5月号「ミッフィー大特集」の資料もたくさん!
2010年5月号は、今年誕生55周年を迎えるミッフィーの大特集です。
ディック・ブルーナさんとMOEとのお付き合いは、とっても長いそう。
MOEの取材だったら・・・と、いつも快く受け入れてくださるそうです。
この号では、今も変わらず毎日絵を描いているブルーナさんの様子を見る事ができます。
※MOE絵本フェスティバルでは、直筆コメントも展示さています!>>>
▲最新刊はきれいに並べられて。もちろん、バックナンバーはぎっしり。
▲あきらかに邪魔をしてしまっています・・・。でも、皆さんとっても温かく受け入れてくださいました!
最後に森さんと記念にぱちり。
貴重な体験をありがとうございました!
★最後に月刊MOE編集長の新村晃一さんより、絵本ナビ読者に向けてコメントを頂きました!
国内外の絵本を中心に、編集部スタッフの琴線にふれた
愛らしいもの、かわいいもの、美しいものを、
これからもどんどんご紹介していきます。
日常を少しだけはなれた世界で心を遊ばせたいとき、
ほっこりとなごみたいとき、ぜひMOEを開いてみてください。
*4月19日まで名古屋パルコで開催中の「MOE絵本フェスティバル」では、
たくさんの絵本原画をはじめとする、充実した展示がご覧になれます。
ぜひ足をお運びください。
MOE編集長 新村晃一
<おまけ>
今回、取材にご協力頂いた森さんが担当されている来月2010年6月号のMOEの巻頭大特集のテーマが「子どもに手わたす絵本100」。
0歳から10歳まで、年齢別におすすめの絵本をずらり100冊ご紹介しています。MOEが本格的に子どものための絵本特集を組まれたのは始めてなのだそうです。
そしてその記念すべき特集に、何と、私イソザキも絵本ナビ編集長として登場します!こちらもお楽しみに・・・。
▲一足お先に中味ページをご紹介!右下の一番右がイソザキです。
2010年4月に創立30周年をむかえる「ひさかたチャイルド」とは、どの様に誕生し、その30年の道を歩まれてきたのでしょう。ひさかたチャイルド・嶋崎社長にインタビューいたしました。
Q.始めに伺いたいのですが、ひさかたチャイルドというと、ちょっと、古めかしい(笑)というか、ユニークな社名のように感じますが、そのルーツは?
嶋崎社長(以下嶋崎、敬称略):よく皆さんからそう言われます(笑)。実は「ひさかた」はわたしたちの会社が現在もある文京区小石川の一部が「久堅」町でそれを使ったという大変単純なもの(笑い)です。しかし、平仮名で表記すると、なんだか奥ゆかしく感じて、いいと思いませんか?
Q.そう思います(笑)。「ひさかた」は分かりましたが、チャイルドというのは創立時から子どもの本を目指していたからですか?
嶋崎:はい、よく聞いていただきました(笑)。そのチャイルドがまさしくわたしたちのルーツなのです。ひさかたチャイルドは、月刊絵本チャイルドブックの発行などで知られるチャイルド本社の書店販売部門として、昭和56年に生まれました。その「チャイルド」に、「ひさかた」を冠したのが「ひさかたチャイルド」というわけです。
Q.チャイルド本社さんというのは老舗の会社と伺っていますが?
嶋崎:わたしたちの親とも言えるチャイルド本社は、月刊絵本を中心とした教材・教具などを幼稚園・保育園に販売する直販メーカーですが、設立は昭和5年で、今年創立80周年を迎えます。また、看板商品であるチャイルドブックは、創刊73年を経過し、いまも月刊で60万人以上の園児さんたちに読まれています。
Q.チャイルドブックは、わたしも幼稚園の頃読んでいました。大変伝統ある会社ですね。保育で実績ある会社がどうして書店販売に進出されたのですか?
嶋崎:月刊絵本を発行し続けるなかで、これはぜひいつまでも残しておいていただきたい、次の世代の子どもたちにも読ませてあげたい、と保育者の先生方がおっしゃる作品が数多く生まれてきました。
それを、書店販売版の形で残していこうということで、ひさかたチャイルドを設立したわけです。
Q.それは、どういう作品ですか?
嶋崎:たくさんありますが、当社のロングセラー絵本である「どうぞのいす」、「ねずみのでんしゃ」を初めとする「ねずみの7つ子シリーズ」、「ころわんシリーズ」、「999ひきのきょうだいシリーズ」、「わんぱくだんシリーズ」、「でんしゃでいこう でんしゃでかえろう」などがその代表ですね。これらは全て月刊絵本チャイルドブックから生まれた絵本です。
Q.よく知られている作品ばかりですね! これらがみんな月刊絵本だったとは驚きです。
嶋崎:保育現場では本当に子どもの心情に近いものでなければ評価されません。よくひさかたの絵本は子どもの心に寄り添っていると言われますが、これは生まれも、育ちも子ども一筋ですから間違いありません(笑い)。
Q.新刊としては現在どういった絵本を出版しているのですか?
嶋崎:現在もチャイルドブックから生まれた作品を出版し続けていますが、それに加えてひさかたオリジナルとして、「あかちゃんえほん」、「創作絵本」、「科学絵本」、「海外翻訳絵本」など、さまざまなジャンルの絵本の他、幼年童話にも出版の幅を広げています。
Q:そのひさかたチャイルドさんが創立30周年を迎えられての感想と、今後の抱負を聞かせてください。
嶋崎:いつのまにか30歳の大人になってしまったみたいですが(笑い)、気持ちはいつまでも子どものままです。子どもの心をなくしたら、子どもの本は作れませんからね。ひさかた30年の歩みは「子どもの絵本一筋に30年」と言えると思います。この気持ちをいつまでも持ち続けていこうと社員一同心を新たにしています。
「親子共々子どもの絵本一筋」でがんばってまいりますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
先日(2010/1/17)の日曜日、丸善ラゾーナ川崎店さんで
「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」という
ワークショップが開催されるという事でお邪魔してきました。
丸善ラゾーナ川崎店さんは、この「みんなの100かいだてのいえ」というワークショップを
一番最初に開催されたお店だそうですよ。
「100かいだてのいえをつくろう!」ワークショップ会場はこちらです。
机の上にはペンやはさみなど。
そして、一人二部屋描ける専用の紙が用意されています。
さあ、岩井俊雄さんの登場です!
「この絵本、読んだことあるひとー?」
「この『100かいだてのいえ』みたいに、みんなも好きな部屋を描いてください。
必ず上と下の部屋につながる階段もつけてくださいね。」
今回は、「冬の100かいだてのいえ」をみんなでつくることになりました!
「お父さんやお母さんも一緒に描いてみてくださいね。」
早速スタートです!
「うーん、冬と言えば何だろう・・・。」
一所懸命考える子、手がどんどん進んでいく子。お母さんも真剣です。
時間が経つにつれ、集中力が増していく子どもたち。
終わりの時間が近づいてます。ここにもうちょっと描き足して・・・。
終了~!!
「みんな出来た作品を前に持ってきてくださいね。」
一枚ずつみんなが描いた部屋をつなげていきます。
どんどん長くなります!
「これ、わたしの!」「これ、ぼくの!」
みんなの描いた部屋を順番に見ていくから、並んで座ってね。
部屋を暗くして、カメラが乗った台をコロコロ動かしていくと・・・?
うわー、みんなの部屋が大きく映りました。
岩井さんが、描いた子に質問をしたり、感想を言ったりして、一部屋一部屋紹介してくれます。
思いがけないアイデアが次々と飛び出します。
「かわいいー!」「おもしろい!」「なるほど。」かなり盛り上がりました。
最後に岩井さんが描いた屋上がのって・・・「みんなの冬の100かいだてのいえ」が完成!!
ジャーン!こんな立派なうちが建ちましたー↓
雪がたくさん降ってますねぇ。中には、どんな部屋があるのでしょう?
大きく載せてみました。細かくご覧になりたい方はこちらからどうぞ>>>
丸善ラゾーナ川崎店さんで行われた、
「いわいとしおさんと100かいだてのいえをつくろう!」
というワークショップで、参加された皆さんが描いた作品が全部つながった
「みんなのいえ」が完成しました。テーマは「冬のいえ」です。
『砂漠でみつけた一冊の絵本』『大人が絵本に涙する時』など、「大人こそ絵本を」という呼びかけを広く行っており、また近年絵本の翻訳にも力を入れてらっしゃるノンフィクション作家柳田邦男さん。
その柳田さんがこれまで翻訳された絵本の中でも、最も心を揺さぶられた作品の一つだとおっしゃっているのが昨年の11月に発売されたばかりの新刊『でも、わたし生きていくわ』(文溪堂)。訳しながら涙が止まらなかったということですが、一体どんな内容の絵本なのでしょう、そこにはどんなメッセージが込められているのでしょう。
今回、絵本ナビでは柳田邦男さんへのインタビューが実現、仕事場にお伺いしました。
とんでもなくお忙しい日にお邪魔してしまった我々一同に、始まりは少しバタバタしながらも、一度絵本の話になるととても情熱的にメッセージを語ってくださった柳田さん。
子ども達の「心の成長」について、「いのち」について、真摯な言葉の数々に思わずこちらが涙してしまうシーンも・・・。
その深く温かいメッセージをじっくりと味わってください。
柳田邦男(やなぎだくにお)
1936年生まれ。ノンフィクション作家。現代人の「いのちの危機」「心の危機」をテーマにドキュメントや評論を執筆する傍ら、心の再生のために「大人こそ絵本を」のキャンペーンを展開。エッセイ集『砂漠でみつけた一冊の絵本』(岩波書店)『大人が絵本に涙する時』(平凡社)『みんな、絵本から』(講談社)や、翻訳絵本『エリカ 奇跡のいのち』『ヤクーバとライオン』(ともに講談社)、『だいじょうぶだよ、ゾウさん』『くもをおいかけてごらん、ピープー』(ともに文溪堂)などで、子どもの心の発達についてのメッセージを発信し続けている。
■ 『でも、わたし生きていくわ』に込められたメッセージ
―― 突然の両親の死というショッキングな出来事で始まる『でも、わたし生きていくわ』。この絵本に最初に出合われた時の印象を教えて頂けますか?
以前、文溪堂の『だいじょうぶだよ、ゾウさん』と『くもをおいかけてごらん、ピープー』というローレンス・ブルギニョンさんの作品を訳したんです。その二冊を出しているベルギーの出版社から出ているって事でこの絵本にも出合ったんです。
僕は絵本を読む時に、そこに心を動かす決定的な言葉なりシーンなりがあると「これはどうしても訳したい」っていう気持ちになるんです。この作品は、子どもの心が一段階成長したり、あるいは何かに気づいたりする、そこのところがすごくよく描かれている。子どもの心っていうのは、なんとなく漫然と1日ずつ大人になっていくんじゃなくて、何か出来事とか出会いとか言葉とか、そういうものに遭遇することによって、階段をぽんっと二段ぐらい上がるような形で成長するんだと思うんですよね。そういう心の成長なり発達なりが、見事に描かれている。そういう場面があると、この絵本作家の伝えたいことっていうのがズシーンと胸に響いてくる。それで訳したくなるんだ。
『でも、わたし生きていくわ』
(コレット・ニース=マズール作 エステル・メーンス絵 文溪堂)
両親の死で、7歳のネリーは幼い弟妹と別れて引き取られる。そこで温かく迎えられ、週末には3人一緒に過ごせるようになるが…。両親を亡くした幼い3人姉弟に周囲は温かい。しかし、優しさに触れれば触れるほど、何かの瞬間に甦る喪失感は深くなってしまう。その悲しみを乗りこえた時、人は大きく成長します。
―― まず作家のメッセージを感じ、それをどう表現するかという事なんですね。
そう、それがとても大事なことで。『でも、わたし生きてくわ』の主人公ネリーは両親が亡くなってしまうという大変ショッキングな不幸に出合う。しかも幼い弟、妹がいる。そういう中で長女であるネリー、まだ7歳で、大変な経験だと思うんですよね。だけど、そのネリーを支えて再生させたものは何なのか。再生させるところまでネリーの気持ちを持ち上げていった結果何が生まれるのか、それがこの絵本で語りたいところなわけです。
それがもっとも象徴的に語られてるシーンというのがここ。
<ときどき、夜になると、あの事件がおきるまえの日々のことを思いうかべるわ。パパやママがいまもいたら、どんな毎日になってるだろう。思わず涙があふれるけれど、そのうちねむってしまう。悲しみは消えないけれど、いま、わたしは、しあわせ>
この、思わず涙があふれ、だけど眠っちゃうっていうの、本当に子どもらしいと思うのね。大人だったらもう夜を徹して、まんじりともしないで泣き明かすようなところが、子どもだから寝ちゃうの。寝ちゃうからって悲しみがなくなるわけじゃなくって、消えない。でも、幸せって言って・・・この矛盾ね。矛盾は矛盾じゃないんですよね。子どもであれ大人であれ、人間の心っていうのは対立するような感情なり矛盾するような感情が同時にあるのが自然な姿で。
そういう喪失体験があったときに、悲しいし、ショックも受ける。だけれどね、子どもっていうのはものすごい順応能力があって、まわりが優しく支えてくれると、すぐに遊んだり、歌ったりできるようになるのね。だから、「悲しみは消えないけど幸せ」と言えるほど前向きに生きられるまで持ち上げていくということが、真の癒しであり、子どものケアにとってはとっても大事なこと。そのことをここでは端的に表しているんです。
―― この絵本の中でとても印象的だったのが、ネリーを取り巻くまわりの人達の優しさです。
そうですね。ここの親戚のおじさん、おばさん達がものすごく優しいし、クラスメートもとっても心配して。時には「優しすぎて変に感じるときがある」なんて言ったりしてね、ここの表現はすごくおもしろいよね。こういう風にまわりのみんなが支える。「しっかりしなさい」とか「頑張れ」とかって言うんじゃなくて、本当に優しく、その子なりに生きられるように支える、それが条件なのね。その結果、悲しいのだけれど毎日が生きられる、明日も生きられると言えるようになるんです。
―― そして生まれたものというのは・・・。
最後のシーンでネリーは、窓辺で遠くを見ながら、自分が大人になったら、窓やドアがたくさんあって、どんな子でも入って来られるそういう家をつくりたい、大きい子でも小さい子でも誰でも入ってきて「私の家族よ」って言って抱きしめてあげるの、と思いをめぐらせるんです。これはすごいことですよね。
自分自身が親がいなくなって、そして親戚に預けられた。だけど、おばさんもおじさんも自分の子として扱ってくれる。単に、義理で預かってるんじゃなくて。
例えばここの場面、髪の毛を自分で切って、とんでもないざんばら髪になっちゃっておばさんに怒られる。その時に泣いて「ママー」って言ってね、おばさんじゃなくて自分の死んだママに対して「ママー」って言っちゃったんだよね。そしたら、おばさんが怒っちゃうわけ。「なんでママに助けをもとめるの?私がママよ」って言ってね。「もうあなたは私の子よ」って言って抱きしめてくれるんだよね。
そのぐらいの支えがあるから幸せって言える。その経験があるから、自分が今度、大人になったらおばさんの様にどんな子でも受け入れて自分で育てるって言う。そういうような開かれた家庭、血のつながりじゃない、幼い子は万人の子なんだって、そういう意識につながっていく。
それを生み出すものっていうのは、落ち込んだり悲しんだりしてる子どもが、そこで閉じこもらないで開かれた心になるように支えてやる、ってこと。ここでの「おまえはもう私の子なのよ」っていう支え方っていうのが結局その子の人生を決めちゃうわけですよね。悲しみを乗り越えて、そして自分の人生を切り開いていくような強い心を持てる、それがこの子にとっての決定的な成長になる。恐らく、階段でいえば3段も4段も一気に上がるようなものだと思うんですけどね。
そういうようなことがすごくよく描かれているんです。
―― 今のお話を聞いていて、子どもが成長していく瞬間を見るっていうのが、大人にとってはすごい心を動かされる、揺さぶられる瞬間なんだっていうことに気が付かされました。
ええ。だから、もう、これね、訳しながら何回涙が出ちゃったか。
(絵本の中の)「訳者のことば」にも書いたけど、今の子って自己肯定感を持ってない子や自尊感情の持てない子がすごく多い。3割位いるっていうね。そういう時代に、この絵本を子どもたちに読んでほしいと同時に大人たちに読んでほしい。自己肯定感を持てない子のお尻たたいたって駄目なんですよね。「しっかりしろ」って言っても駄目なんです。その前に自分自身が本当に目覚めていくような優しい包み方、そういう中から再出発できるんだよってね。
―― 『でも、わたし生きていくわ』というのは少女ネリーの強い意志を感じる、印象的なタイトルですね。また、表紙の絵にもこだわられたと聞いています。
原題はフランス語なんですけども、英語だと『Since that day』、つまり、お父さん、お母さんが突然居なくなっちゃった日以後の話って。なんか小説的タイトルですよね。
自己肯定感の持てない子どもたちへのメッセージとして、生きるっていうこと、どんなつらいことがあっても生きるっていうこと、それを伝えたいっていう気持ちで、こういうタイトルにしたんです。
僕自身が小学校の4年の時、終戦の翌年ですけれど、父親が亡くなって、貧困になって、そして兄弟が多かった。当時の家族ですから。もうみんなティーンエイジャー時代から自分で働く、働かなきゃ食えないっていう、そういう中で生きて。だから僕は苦労することとか境遇が恵まれないってことは、むしろプラスに評価するように人生観が持てたんですよね。それをばねにして生きていく。そういう僕自身の背景もあって、人間って本当に強くなるなり、あるいは自分の人生を開いていくっていうのは、逆境のほうがむしろいいんだっていうぐらいの気持ちでこの本をすすめたいと思って。
実は表紙もね、この絵がいいと思って直前で変えてもらったんですよ。日本には表紙カバーというのがあるからね、こういう形で実現できたんです。このネリーの顔、この目がね、未来を見つめる目がいいんです。どうしてこれだけの悲劇から、こんなに未来を見詰める目が生まれてくるかっていう、象徴的な顔なんだ。生き生きとしてさ、「わたし生きていく」っていう、決意がここに表明されてる。
▲表紙カバー取ると違う絵になるんです!カバーの絵は柳田さん自身が選ばれたそう。
■ 「死」をテーマにした絵本について
―― 『わたし、生きていくわ』という作品には「死別」というをテーマが含まれていますね。他にも「死」や「いのち」というものをテーマにした絵本というのがあります。自分自身、それらを読む事によって様々な事を考えさせられたりしています。それで、大人というのは自分の意思で読む事ができると思うんですけど、子どもたちにこの様なテーマの絵本をどのようなタイミングで読んでほしいかとか、どういう触れ合い方をしてもらいたいというのがあれば一番お伺いしてみたかったのですが。
ええ。あのね、僕は非常にショックを受けた場面があるんです。
ある絵本原画展で、その会場の前にいっぱい絵本が並んでいてね。その中にイギリスのスーザン・バーレイの『わすれられないおくりもの』(小川仁央・訳 評論社)っていう絵本があって。それを子どもが手に取って、興味を引かれて読み出していたのね。それで「これ、欲しい」って言ったんです。小学校の1年生か2年生ぐらいの男の子だったかな。そしたら、お母さんがね「それ、嫌い」って言ったの。「だって、死んじゃうんでしょう」って・・・。僕は、そのシーンを見ててすっごいショックだったのね。このお母さん、誰のために絵本考えてるんだろう、何だろうってね。「死んじゃうんでしょう、そんなのいや、嫌い」って。もう僕はがっくり来たんだけどね。
僕のエッセイの中でも書いているんだけど、『わすれられないおくりもの』っていうのは、細谷亮太先生(聖路加国際病院副院長 小児総合医療センター長)の病院に入院された2歳半の子が亡くなった時に、細谷先生がそのお姉ちゃん、お兄ちゃんに読んで聞かせてあげたそうなんです。そしたら今まで弟の死を理解できなかったお兄ちゃんとお姉ちゃんがね、しっかりそこで涙を流して看取ってお別れもできたって言うんです。それだけじゃなくてね。その時小学校に上がる直前、6歳だったお兄ちゃんが、弟を失った体験、その絵本を読んでもらって涙を流した体験っていうのをずーっと誰にもしゃべっていなかったの。
ところが5年後、5年生になって本当にしゃべってもいいような気心の通じる友達に出会えたので、初めて話したそうなんです。そうしたら、友達が涙を流してくれたって言うのね。で、話して良かったと思った。自分も弟のことを1日も忘れたことないし、あの絵本を思い出すと悲しくて涙が出るって。それは、彼にとってはものすごく大事な心の成長につながったわけですよ。ただ漫然と弟がいなくなっちゃった、死んじゃった、そして月日の中で忘れていくっていうんじゃなくて、細谷先生がそれを読んだことによってものすごく深く刻まれて。
絵本ではアナグマさんが年をとってあの世へ行ってしまうのだけれど、みんな忘れない、心の中では生きてるっていう構造を彼もそこで気付いたわけですね。それを胸に刻んでるから5年経ってもいまだに毎日「(弟が)天使の姿で現れる」って言うんですよね。だから、そういう別れとか死別っていうのも、子どもにとっては大事な経験だし、ある意味では一番大事な心の成長につながる経験なんじゃないかと思うんですね。
『わすれられないおくりもの』 (スーザン・バーレイ作 評論社)
別れや死別、というのをテーマにした絵本というのは確かに悲しい話ですよね。
小学生の男の子でね、悲しい場面が出てくるととにかく泣いて先が読めなくなっちゃう、という子がいたんです。『だいじょうぶだよ、ゾウさん』とか、他の幾つかのそういう別れの場面のある絵本だとか。だからそういう本を読ませられないって言って親御さんは頭を抱えてるんだけど、僕はそれはそれでいいと思っているんです。きっとその子は感性がものすごく鋭いんだろうと。人の10倍ぐらい感じて、読めなくなるぐらい悲しくなっちゃうんだと思うけれど、いつかね、そういうのを乗り越えられる日が来るから。
ただ「この子は泣いちゃうからこの本は読ませない」というのはやめたほうがいいです。むしろ、強制的に読ませないとか、無理に読ませるとかってそんなことじゃなくて、自然に段々そういうものを受け入れていくようにね。感性が鋭くて先が読めないぐらいだった子が、それを受け入れられるようになった時っていうのはすごい心の成長になるわけだからね、とても大事な経験になるはずだと。
そういう目で接したほうがいいんじゃないの?って言ってあげたんですけどね。
── 読みきかせている方が泣いてしまうかもしれません。
読み聞かせっていうのは絵本にとっては不可欠で、買って与えるだけじゃ絵本にならない。やっぱり、親が肉声で感情込めてやるのよ。読み方っていうのは自己流でいいと思うんですね。あまり感情を込めずに穏やかに読むといいって言われている事もあるけど、僕はそう思わないんだな。親子っていうのは感情を共有することが大事で、だからお母さんが泣けばいいんですよ、一緒になって。「あ、お母さんも泣いてる」とか「お父さんも泣いてる」とかって。それでいいんだろうと思うんですよね。
『だいじょうぶだよ、ゾウさん』を学校で担任の先生が読み聞かせしたらね、途中で先生が泣いて行き詰っちゃったらしいの。そしたら、クラス中にどよめきが起こったって。子どもにとって、先生が読み聞かせしながら泣いちゃって言葉が続かなくなる、っていうのはすごいショッキングな経験だと思うんですよね。それでいいんだと思うの。「ああ、先生も泣くんだ」って。その中から、自分の心が、感性なり感情なりが、非常にきめ細かく育っていくんだと思うの。
■ 翻訳したいと感じる絵本について
―― 今までも様々な絵本を翻訳されてきた柳田さんですが、それぞれの作品の最後に必ず「訳者のことば」というのが記されていますよね。どの様に翻訳する絵本を選ばれるのでしょうか?
ただ漫然と絵本なら何でもいい、楽しければいいとかじゃなくって、僕が訳すってなんだろうってなって考えるんです。
僕は絵本作家でもないし児童文学者でもない。だけれど、今の日本の状況を見ていて、子どもたちの成育環境っていうのは本当に劣悪だと思うのね。親子の肉体的な接触、スキンシップ、そういうものが非常に希薄になっている。核家族化が進む中、マンションの中で子どもが孤立している。あるいは、母子が孤立している。そういう状況下で、子どもの心っていうものの成長が怪しくなってきて、ゆがみやすくなってきてる。それが僕が時代を見詰めたり、世の中の事件を見たり、あるいは時代の変化を見てると、もうすごく深刻な問題だなあって思ってるわけですよね。そっちから、絵本にアプローチしているんです。
もう一つのアプローチとして、大人自身の心に潤いを取り戻さないといけないという思いがある。大人自身の心が枯れてるから、非常に索漠としてる。よくいわれるようにお金と物に振り回されてるみたいな。もうちょっと踏みとどまって自分を見つめてみましょう、と。あるいは、中高年になって病気をしたりとか、人生思うようにいかなくなったりした時にもう一度「生きるってなんだろう」とか「大事なものはなんだろう」とか考える上で、絵本っていうのは意外に普遍的なものを教えてくれる。気づかせてくれる。そういうアプローチと、僕には2つあるんですね。
そういう意識があるから、この絵本は何を伝えたいんだろうかと考え、その伝えたいテーマなり、エピソードなりが僕の問題意識にピンと来るものに限定してるんです。編集者から作品を持ち込まれたり相談される事は多いのですが、お断りする例も多いんです。で、ピンっとくるものがあると「あ、これは訳したい」と思う。
―― 大きなきっかけとなった作品の一つが『エリカ 奇跡のいのち』なのだとか。
『エリカ 奇跡のいのち』
(ルース・バンダー・ジー作 ロベルト・インノチェンティ絵 講談社)
僕は翻訳始めて7~8年になりますけれど、その最初の頃、講談社で『エリカ 奇跡のいのち』っていう絵本を訳したんです。
第2次世界大戦中のドイツで、収容所に向かう列車の窓からせめてこの子だけはと投げ捨てられた赤ちゃんが、農家の優しい女性に拾われて奇跡的に助かったというお話です。
<お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。>という原文を読んだ時、ぼくは震えるような思いがしたんです。子育てがいいかげんになってる今の時代だからこそ、もう一度生きるか死ぬかの原点に戻って、子どもに対してどういう向き合い方をしなければいけないか考える。こんな強烈なメッセージはないと思って、それで「訳しましょう!」って言ったんです。
そのとき一番苦労したのは、今はもう自分で孫もいるような主人公エリカという女性が、旅行中だったアメリカの女性に顔も知らない実の母の気持ちを推測しながら話をする。その綿々とつながる言葉ね。これをどう訳すかっていう文体が、おそらくこの絵本の成否を分けるだろうと。母の愛のすごさというものが伝えられれば、時代を超えて伝わっていくに違いないと。
この絵本を訳してから、日本の親たちや子どもたちに「これは今伝えたい」というものがある作品に限定していこうと思ったんです。
―― 「伝えたい」という意識を持って絵本の翻訳をされるのでしょうか?
『だいじょうぶだよ、ゾウさん』でもね、すごく意識的に原文直訳じゃなく、僕の言葉で訳しているんです。
<ネズミはいまや心の成長をし、前のように怖がらなくなっていました。>
ここは原文にはないって言ってもいいような訳なんです。だけど、絵本の言葉っていうのは、ものすごく省略した、いわば研ぎ澄まされたエッセンスといっていいわけで、それを日本語に置き換える時には、言葉の背景にある作家の思想なり、あるいは作家が伝えようとしたものを読み取って、じゃあそれはどのような文体や言葉にしたら読者に伝わるかっていう、そういう考え方をしないと、いい翻訳にならないんですよね。
『だいじょうぶだよ、ゾウさん』
(ローレンス・ブルギニョン・作 ヴァレリー・ダール・絵 文溪堂)
年老いたゾウは自分の死期を悟るが、一緒に暮らしていたネズミはそれを受け入れられない。しかし幾つもの季節を重ねるうちにネズミも成長して…。
この作品で大事なのは「心の成熟や成長とかっていうものは時間経過の中で生まれてくる」、そこが描かれているということ。そうすると、心の成長という問題が別れの場面でとても大事になる。それをどういうふうに表現したらいいか。どの瞬間に言ったらいいかっていうのを考えて、翻訳したんです。
もう一つは、旅立つゾウさんが心置きなくつり橋を渡っていく、つまり死を受容し、人生に納得して、何も恐れや不安がないということ。そのつり橋が壊れていたんでは、痛みや苦しみで、本当に人格を失うようなことになる。それを直すっていうことは、言うならば緩和ケアをするわけですよね。痛みも苦しみも不安もなく渡っていけると。その時に、いったいゾウさんの心模様なり、見送る者の心模様というのはどんな言葉だろうかと。
原文では「fine」という言葉を使ってるんですよね。「fine」って何なんだってね。「いい橋つくってありがとう」って、そう言ってるんじゃないんだよね。要するに旅立ちというものの全体、つまり不安や恐れもなくあの世に行ける、そしてあの世へ行っても、そこには安心立命の地があるという、この全体を指して言ってるわけね。それを子どもにも分かる一語で表現したら何だろうかって、考えて、考えて、考えて、1カ月考えて。「だいじょうぶ」っていう言葉にしたんです。
最後にゾウは振り向いて答える「こわくなんかないよ。だいじょうぶ」、こう言ってるんだよね。
―― 昨年には『でも、わたし生きていくわ』も含めて4冊も翻訳されているんですよね。それぞれの作品の、翻訳者から見たみどころというのを教えて頂けますか。
ええ、それはもうさっき言いましたように、私自身の問題意識やテーマ意識にぴたっと来る、そういう本がたまたまあってね、4冊も抱えちゃって。
それぞれ絵本の山場というか、メッセージを発している大事な場面というのが、一つか二つかあるんですね。そこをしっかり押さえて翻訳していくんです。
『その手に1本の苗木を』 (クレア・A・ニヴォラ 作 評論社)
例えば「もったいない」運動で知られるようになったケニアのマータイさんの伝記絵本『その手に一本の苗木を』で言うと2箇所あるんですね。
1つは、若き日にアメリカに留学したマータイさんがシスターである教師から「自分のことだけをかんがえるのではなく、もっと大きな世界のことを考えなさい」と教えられた。アフリカのケニアの農村地帯からアメリカへ行って、キリスト教的な世界の一つの人生観というものに触れたということは、大きなインパクトだったと思うんですね。それがマータイさんの一生を決めることになる。だから、それをケニアという国でどう生かすかという姿勢がはっきりとできるんですね。
それと同時に、留守にしていた5年の間でケニアの国土がガラッと変わっていた。商業農業が入って来て、古典的な自然の森や作物を大事に育てていたというものが大量生産で一面森が切り払われている。砂漠化し、貧困と健康被害が広がっている。その様変わりを見て、マータイさんが意を決して植樹運動を始める。グリーンベルト運動を女性達に呼びかけるんです。最初は失敗してなかなかうまくいかないのだけれど、マータイさんはひるまずにやる。第二の山場っていうのが、失敗してもくじけないで続けるという、継続は力なりっていうこと、それがきちっと描かれてるんだよね。
タイトルとして非常にヒントになったのは、刑務所や軍隊に行ったりまでして植樹をキャンペーンした時に、その兵士たちに「あなたたちは両手でこう銃を持ってる。何を守るんですか?」と呼びかける。「風が吹き雨が降るとこの国の大地が失われていく。銃は右手に持ち、左手に1本の苗木を持ちなさい。」って説くんです。これが一番タイトルにアピールするだろうと思って。軍隊相手っていうよりは、すべての人、仕事をする人でも誰でもいい、とにかく右手で仕事をし、左手に1本の苗木を持ちなさいって、そういう意味でこのタイトルを僕がつくったんですよ。原題は『Planting the trees of Kenya』(ケニアに木を植える)って言うんですけどね。
『少年の木』 (マイケル・フォアマン・作 岩崎書店)
戦乱の瓦礫の中で暮らす少年が主人公の『少年の木 希望のものがたり』は何を描いているのか。この瓦礫の中にあっても、小さな植物の芽、あるいは命の芽に対して水やりをする。空き缶にたまった雨水で。この少年のピュアな気持ち、感性、大切さみたいなもの、そこからすべて再生のエネルギーが出てくるんだっていうことが、この本の中で一番大事だと思うんですね。
だから「しっかり飲んでね」っていう言葉、これがとても大事だったんですね。この「しっかり」っていう言葉、ずいぶん翻訳で考えたんですけどね。
それともう一つは、いったん育ったブドウ園がまた兵隊に引き抜かれちゃう。そのときの涙ね。くじけそうになる涙。でも次の年、再び大自然の力で芽が出てきたときに、希望を取り戻してブドウ園をつくっていくんです。マータイさんと同じですね、失敗しても立ち上がる、というこの2つ。命に対する本当にピュアな感性、そこからすべてが始まるということと、挫折しても立ち上がるっていうこと。ドストエフスキーの言葉で「1人の子どもの涙は地球より重い」って言葉がありますけれど、本当にこういう涙を流した少年がもう一度立ち上がるっていう、その大切さっていうのをよく描いてるなと思うんです。
『やめて!』 (デイビッド・マクフェイル 作 徳間書店)
それから、特殊な表現で言葉のない絵本『やめて!』。原書は『NO!』です。
暴力なり嫌なことに対して「嫌だ」と言える。単に自分が身を引く「嫌だ」じゃなくて、はっきり「やめろ」という能動的な拒否、戦争や弾圧で委縮した国家に対して「やめて!」と言うこと、それが世界を変えるんだということ。それを非常にシンボリックに表現している。
不良少年になぐられそうになった幼い少年が叫ぶ「やめて!」、その瞬間から世界が一変している。この不良少年も一瞬びっくりして殴れなくなっちゃう。秘密警察は穏やかな市民を守る立場に変わり、そして兵隊たちは弾圧じゃなくプレゼントを持ってくる。戦車は破壊ではなくて農耕の手助けをする。飛行機は爆弾じゃなくてプレゼントを落としていく。しかも、それが不良少年と二人仲良く一緒になって遊べるよう自転車で。そういうように世界が変わるっていうこと。そのためには、とにかく暴力、戦争をやめるという、その意思表示が大事なんだっていうメッセージを、これほど強烈なイメージで語った絵本はこれまでになかったんじゃないかと思う。
『ヤクーバとライオン(1)勇気』『ヤクーバとライオン(2)信頼』
これは一昨年になるけど、講談社から「ヤクーバとライオン(1)(2)」っていう2冊を訳しました。絵の構成として、モノクロで非常に空白の多いユニークな絵本ですね。
これも、暴力に対してはっきりと拒否する。非常に大事なのは、意思表示の大切さ。手負い傷のライオンと向き合ったとき、「本当の人間の気高さって何か」「人間の精神性って何か」ていうことをライオンが語りかけてくる。そこで少年が気付いて、そのライオンの命を奪うことをやめる。つまり、自分の名誉のために相手を殺すというようなことをやめるっていう、暴力否定の表現。
その背景には更に「本当の勇気ってなんだろうか。相手を倒すことだけ、それが勇気なのか。自分が強くなることだけが勇気なのか。本当の強さっていうのは、それは踏みとどまるところではないか」と、哲学的な問いをしてるんですね。
その中の「おまえには2つの道がある。」という一文は、僕が付け足した言葉なんです。殺すことを勇気とする立場と、自分は村八分になっても殺さないという真の勇気と、これをはっきりと読者に分かってほしい。そのために、ここで文脈をいったん止めて、メッセージ性を強くしたんです。原書でもこのライオンの言葉だけのページをつくってるんですね、相当意図的に。それを生かす為にもこういう訳し方をしたんです。
これね、僕は喜んでいいのか、小学校で道徳の時間でこれ使ってるそうなの。先生は道徳の時間はいい意味で使ってくれてるんだなっていうことで、僕は感謝してるんだけれど、それはそれでいいと思うんですよ。だから、道徳なり、あるいはいわゆる自由時間なり、そういうとこで使って。そうするとね、やっぱりいじめた側に入ってた子どもが気付くと思うんですよね。
―― 翻訳された絵本を並べてみると見えてくること。
翻訳した絵本作品全体を通して、どうしてこういうものが僕の視野に入ってくるか。
幼少期から少年期に至る中で、子どもはそれぞれ発達段階がある。最初は親離れ、乳離れをしていき始める。そして自分で歩き出す。その次には今度は知的興味、好奇心が出てくる。それに対してどういうふうに応えていくか。他者に対して優しさとか、思いやりの気持ちを持つとか、本当の勇気とはなんだろうか、とか。例えばいじめという問題が起こったときに、いじめるグループに入っていれば自分の身は守れるけれど、必ず犠牲になる者が居る。そのときに、自分はどっちに属するのかみたいな、そういうことを問い掛ける。暴力否定なり、他者を犠牲にして自分だけがっていうのを否定していく、そういうのは本当の意味で人格形成の一番大事なところに行くわけですよ。
僕の翻訳した絵本を全部並べるとね、成長段階のステージにそれぞれ全部合うようになってるんです。文溪堂で出した『くもをおいかけてごらん、ピープー』なんてね、子どもが最初に地面に足を付けて歩き出すときを描いていて、それが象徴的に自立への第一歩。それに始まって今ね、訳した本が14冊になったかな。14冊並べると、全部こう一列に並ぶ。最後にはこの死別というものにどういうふうに向き合うかっていくかという『だいじょうぶだよ、ゾウさん』があるんですね。
―― 今後もピンっとくる絵本があれば?
はい、翻訳したいと思っています。今も色々とね、検討中です。
■ その他柳田さんの幅広い絵本活動
絵本の紹介や、絵本の翻訳の他にも、絵本普及活動の為に様々な活動をされている柳田さん。そのほんの一部をご紹介しますと・・・。
●『みんな、絵本から』
柳田さんが子どもの成育環境への危機感と共に、10年間取り組んできた絵本とメディアと子育ての問題についてのエッセンスをまとめた本がこちら。
『みんな、絵本から』
子ども達の「ノーケイタイ、ノーゲーム、ノーテレビ」を呼びかけながら、一方で絵本「読み聞かせ」が子ども達の心の成長をいかに促してくれるかというのを
<絵本「読み聞かせ」のすごい力10か条>
と、明確にあげています。
子育てに悩んでいる方、共働きで一緒にいる時間が少ない母親にとっても、とても心強いメッセージとして受け取ることができるのです。
●「柳田邦男絵本大賞」
絵本の普及活動の為には、自治体や教育委員会や学校などにも具体的にどんどん働きかけていくという柳田さん。大きく反応してくれる所も少なくないそうです。
例えば、福島県の矢祭町という所では、町をあげて絵本キャンペーンというのをやっているのだそう。去年の12月には第1回矢祭町絵本大賞というのを作って全国から手作り絵本を募集、「子ども読書の街・ふるさと人づくり」という大会が開催されたのだそうです。「とても素晴らしい作品が集まったんですよ。」と嬉しそうに語られる柳田さん。表彰式にも出席されて、作品を読み上げたり、子ども達と語りあったりされたそうです。
更に、読書推進活動が盛んな荒川区でも「柳田邦男絵本大賞」なるものが創設され、柳田さん宛の手紙という形で絵本の感想文を全国から募集したそうです。「子ども達の感想文に感動しちゃいましたね。」と柳田さん。「今度は僕の希望でね、受賞した最優秀と優秀の子どもたちに壇上に上がってもらって、僕と対話をしようという、そういう場をつくることにしたんです。」と今後の展望も語ってくださいました。
●映画『かぜのかたち』
小児がんの子ども達のサマーキャンプの10年間の記録を撮った映画。伊勢真一監督。
自主映画で最初は一日だけのロードショーだったところを、細谷先生や柳田さんの働きかけもあって各地で上映されるようになったのだそう。
その他にも様々な取り組みに積極的に参加されていて、本当にパワーにあふれている柳田邦男さんなのです。
長い時間ありがとうございました!最後に記念に・・・
<取材を終えて>
本文では紹介しきれないほど、絵本と子ども達にまつわる沢山の興味深いお話を、熱く丁寧に沢山語ってくださいました。特に、ノンフィクション作家である柳田さんらしく、事例を沢山交えて話してくださり、その説得力にただただ頷いてしまう取材陣なのでした。
私達にできることと言うと、その一つ一つの真摯なメッセージを真正面からきちっと受けとめていくという事なのかもしれません。
でも・・・絵本の面白さについて語る時の、子ども達の素晴らしさについて語る時の、柳田さんの心底嬉しそうで優しい笑顔は私の心の中に大切にしまっておこうと思います。
ぶたが木にたわわの名場面を生み出した佐々木マキさんの大人気作品『ぶたのたね』。
それから16年が経って続編『また ぶたのたね』が再登場した時は本当に驚きました。
今度は(わずか?)4年の時を経て再々登場の第3弾『またまた ぶたのたね』!!
「ぶたのたね」 「また ぶたのたね」 「またまた ぶたのたね」
あれからおおかみはぶたを食べることができたのでしょうか・・・?
※各絵本の内容詳細は表紙画像をクリックしてください。
今回、その最新作の発売を記念して「ぶたのたね」シリーズ作者の佐々木マキさんよりコメントを頂くことができました!!
また、「ぶたのたね」シリーズを始め、佐々木マキさんの魅力的な絵本を数多く出版されているのが絵本館さん。その絵本館編集長有川裕俊さんが、『またまた ぶたのたね』の発売までの貴重なエピソードや佐々木マキ作品の魅力について熱く語ってくださいました。
絵本ナビ読者の皆さんに、是非じっくりと読んで頂きたい興味深い内容となっています。お楽しみください!
■佐々木マキ(ささきまき)
1946年神戸市生まれ。絵本に『やっぱりおおかみ』『まじょのかんづめ』『おばけがぞろぞろ』『くりんくりんごーごー』(以上福音館書店)、『変なお茶会』『ピンクのぞうをしらないか』『はいいろこくのはいいろひめさま』『ムッシュ・ムニエル』シリーズ(以上絵本館)、『やまからきたペンギン』(フレーベル館)、『ねむいねむいねずみ』シリーズ(PHP研究所)、『おばけのばむけ』(教育画劇)など。童話に『なぞなぞライオン』『おれはレオ』(以上理論社)などがある。
※佐々木マキさんの作品一覧はこちらから>>>
■ 作者佐々木マキさんにいくつか質問をしてみました!
―― 『ぶたのたね』から20年、『また ぶたのたね』から4年!そして待望の第3弾『またまた ぶたのたね』。最新作について、「ここがポイント」というのがございましたら教えて頂けますか?
〈読者に楽しんでもらえるかどうか〉毎回これがポイントです。
私は絵本を子どものための娯楽と考えていますので、
おもしろいものを作るのが私の仕事です。
―― 今も変わらず大人気の『ぶたのたね』。誕生のエピソードなど教えて頂けますか?
なにか軽くて、ばかばかしいものを作ってみたかったのです。
あまりチカラをいれずに気楽にかいたのですが、20年のあい
だに思いがけず多くの読者を得ることができました。
―― 『やっぱりおおかみ』からの<佐々木マキオオカミ>ファンです。
佐々木マキさんにとって、オオカミというのはどんなキャラクターと考えていますか?
『ぶたのたね』シリーズのおおかみは、しくじったり、ひどいめにあったりするのですが、そのわりにはあまり可哀そうとか気の毒という気がしてきません。それにめげないだけの強さと〈そのうちいいこともあるさ〉という楽天性を持っているからでしょう。
作者としては、とても使いやすいキャラクターです。
―― 絵本ナビ読者の皆さんにメッセージをお願いできますか?
佐々木マキさんから直筆メッセージを頂きました!
・・・感激です。そして、4作目も期待しちゃっていいんですね?
■絵本館編集長有川裕俊さんに佐々木マキ作品の魅力についてお伺いしました!
佐々木マキさんの魅力的な作品を数多く出されている出版社絵本館さんの編集長
有川裕俊さんの文章をご紹介します。
またまたぶたのシンフォニー
絵本館 有川裕俊
佐々木マキさん。
ガロ世代の方には漫画家として、
村上春樹ファンには
村上さんの本のイラストレーターとして
お馴染みです。
ちなみに村上春樹さんは学生時代から
佐々木マキさんのファンだったそうです。
村上春樹の世界、佐々木マキの世界、
相通ずるものがあるわけです。
そして絵本作家としての佐々木マキさんは
子どもから大人まで、
その独特な世界へといざなってくれる
水先案内人でもあります。
絵本館には、そんな佐々木マキワールドを
たのしめる絵本がたくさんあります。
『変なお茶会』や
『ムッシュ・ムニエル』シリーズ。
そして、今回の『またまた ぶたのたね』の
前作、前々作にあたる『また ぶたのたね』『ぶたのたね』などです。
実は、この『ぶたのたね』は今から二十何年も前に、
今は作家として活躍の湯本香樹実さん(『夏の庭』『くまとやまねこ』など)から
「おもしろい絵本があるのよ」と教えてもらったのがきっかけで
出版することになった絵本です。
一見して「おもしろい!」と思いました。
ところがというべきか、うまいぐあいにというべきですね、
その出版社は一般の書店では
この『ぶたのたね』を販売していないとのこと。
それなら絵本館で出版させていただこう、ということで
絵本館版『ぶたのたね』が誕生したのが1989年。
以来、重版をかさね、今では親子2代で
楽しんでいただく人気絵本となりました。
2005年の夏の終わり、マキさんから
「有川さん、ながらくおまたせしました。
『ぶたのたね』の続編の構想が
やっとまとまりました」
という電話が入ったのです。
16年もたち、すっかり続編のことはあきらめていたので、
その時の社内のよろこびは大変なものでした。
『またまたぶたのたね』は、16年もたたず
2009年秋に原稿をいただきました。
『ぶたのたね』が1989年。
『また ぶたのたね』が2005年。
そして『またまたぶたのたね』が2009年。
だんだん間隔が短くなっています。
まるでブラームスのシンフォニーのようです。
ブラームスは第1シンフォニーを仕上げるのに20年かかりました。
ところが、第2、第3はあっというまだったそうです。
なにか堰を切ったようにということが芸術家にはあるのですね。
今回も、とてつもなく走るのが遅いおおかみが主人公。
なんとかぶたをつかまえて食べたい。
そこできつね博士から
「ぶたのたね」というものをもらいます。
ところが結末はというと・・・・。
このあとの展開は、
みなさん絵本を手にとってたのしんでください。
マキさんファンはもちろんのこと、
たくさんの子どもや大人が
たのしめる絵本がまたまた誕生!
と相成りました。
実は、こういったユーモラスな絵本をつくれる作家は
とても少ないのです。世界的に見ても少ない。
意外かもしれませんが、それでも日本は特別に多い国、
だと思います。
でも10人はいないかもしれません。
佐々木マキさんは、そんなユーモアやナンセンスを
絵本で表現できる数少ない作家のひとりです。
「ユーモラスな絵本やナンセンスな絵本を読んで
子どもに何が身につくのですか?」
と真面目な方から問われることがあります。
ぼくの答えは簡単です。
「子どもがユーモアや冗談をたのしめる人に
なってくれるといいな」です。
ユーモアって心の余裕、ゆとりです。
ナンセンスはいろいろな角度から
物を見る訓練に最適なものです。
おもしろいとおもっている、その上こんな余禄が
ついているんですから、いうことありません。
グリコではないけど、二度おいしいです。
真面目を金科玉条にしている人と生活するのは
つらいものです。
家庭でも学校、会社でも、ユーモアや冗談で
笑いがたえない生活がいい、とぼくはおもっています。
まあ、人それぞれですが。
大人はユーモアやナンセンスの絵本を見て
「大人のわたしがおもしろいとおもったのだから
子どもには無理だろう」とおもいがちです。
ところが、大人が考えるより子どもの
おもしろいものに対するキャパシティはずっと広い。
あたりまえですが子どもはおもしろいものに貪欲です。
それにおもしろくなければ長つづきしません。
読書にとっての肝心要はおもしろいです。
役にたつとか、ためになるというのは、
おもしろいとおもったあとに自然についてくるものです。
「なにごとも熱中してやれば自然となにかが身につく」
そんな気楽な気持ちで、子どもと絵本のことは考えるといい。
知識も教養も、人それぞれのおもしろいから生まれるものです。
これをとりちがえている大人は多い。
ここが絵本だけでなく、子どものことに関するボタンの
かけちがえのスタートです。
かわいそうですがとりちがえた人は、
あと混乱がまっているだけです。
つまり子どもに絵本を読んであげながらイライラすることに
なりかねません。
そんな話だとおもいませんか。
繰り返します。
読書にしてもなんにしても、子どものおもしろいをおろそかにしない。
つまり興味や関心が芽生えたのですから、それを見まもる。
長つづきのためにもおもしろいがすべてです。
そして、気づいたら知識も教養も身についていた。
身についてこそ教養です。
なによりもおもしろいが最優先です。
子どもだけでなく、大人のあなたも
おもしろいが重要です。
大人のあなたがおもしろいとおもった絵本を
子どもにすすめる。なんの問題もありません。
言ったように子どものおもしろい絵本にたいする
キャパシティは大人が想像するよりずっと大きいのです。
このことは自信をもって言えます。
理由は、毎日届く愛読者カードです。
様々な「声」を日々読んでいるのですから
「おもしろいと思う気持に年齢は関係ない」
と、確信させられます。
たとえば『変なお茶会』。
「なぜなのでしょう、2歳の子どもが気に入って、おどろきました」
などというお便りがたくさんきます。
シュールな絵本。意外でしょうが、これがけっこう子どもには人気なのです。
ためしに子どもと見てください。
おもいもよらないことでしょうが、『変なお茶会』には
子どもの大好きなものがたくさん登場します。
わたしの子ども(すでに30歳すぎています。)、それに姪たち、
いまや孫たちにも人気の絵本です。
「子どものときも気に入っていたけど、
大人になった今もすきだなあ」。
姪のことばです。
最後にナンセンスの本領をあますところなく表現した
俵万智さんの文章をご紹介します。
子どもと私が手にしている絵本のラインナップを
見た友人が、「とてもいいけど、足りないものがある。
それは、ナンセンス系だ!」と言いました。
で、彼のオススメの中の一冊が、『ぶたのたね』でした。
何気なく読みはじめたのですが、まさか、ほんとうの
ほんとうに「ぶたのたね」だとは思っていなかった息子と
私(つまり、それほどまでに常識というものにしばられて
いたんですね)。
ぶたの実が、たわわになっているページを開いたときの
衝撃は、今も忘れることができません。
「ぎゃははははは、ぶただ、ぶただ!」
「ほんとうに、ぶたのたねだったんだ!」
二人で、こわれたように笑い続けました。その爽快感。
かたくなった心の筋肉が、ほぐされていくようでした。
ナンセンスの力というのは、こういうことなんですね。
後に本屋さんで、息子が『またぶたのたね』を見つけた
ときの目の輝き、それも忘れることができません。
俵万智さんの息子さんへ『またまたぶたのたね』を
ご紹介したくなる文章です。
北欧独特の洗練された色使いで描き出す『SIKA』(邦題:『ぶた』)の物語はシュールでユーモアたっぷり。自由なコマ割りを用い,シンプルな様式の中に都会的で優しいユーモアに溢れ,ところどころに哲学的なエッセンスも感じられる作品です。
(ちなみに、「SIKA」とはフィンランド語で「ぶた」という意味なのだそうですよ。)
作者はフィンランドの絵本作家ユリア・ヴォリさん。
■ユリア・ヴォリ (Julia Vuori)
1968年生まれのフィンランド出身の絵本作家。
『SIKA』はフィンランドの日刊紙「ヘルシンキ・サノマット」に掲載されていたかわいい主人公、ぶたのせつなく楽しい日々のお話をもとにした絵本。もともとは友人を元気づけるため描きはじめたという本作品はふっと気持ちがなごやかになる物語で愛情に溢れ、大人の女性たちの圧倒的な共感を呼んでいます。父親は絵本作家のペッカ・ヴォリ。
この度、絵本ナビ読者の皆さんから寄せられた質問(「ユリア・ヴォリさんへの質問大募集」企画より)をもとにインタビューさせて頂くことができました。遠くフィンランドからのユリア・ヴォリさんの声をお楽しみください!!
■ 自然と主人公になっていった「ぶた」・・・
絵本「SIKA(ぶた)」シリーズは、何といっても主人公ぶたのキャラクターが魅力的!
好奇心旺盛で元気いっぱい、何にでも挑戦する姿が見ていてとっても楽しい気分にさせてくれますね。一方で、すぐに考え込んでしまったり、切なくなってしまったり、繊細な一面もあったりして。そんな時、いつも何とかしようと健気に努力し続けるぶたの姿はとっても強く、しかも愛らしく、子ども達だけでなく多くの女性が共感してしまうのも納得なのです。
『ぶた』 『ぶた、ふたたび』
ユリア・ヴォリ 作 文溪堂 ユリア・ヴォリ 作 文溪堂
―― 主人公に「ぶた」という動物を選んだのはどうしてですか?
実は最初からメインキャラクターとして「ぶた」を選んだ訳ではありません。自然と主人公になっていったのです。初め「ぶた」は白黒で、他にキャラクターはいませんでした。「ぶた」はとても気まぐれで同情しやすい登場人物だったので、当然ながら即座に主役になりました。
―― 誰かモデルはいるのでしょうか?
SIKA(ぶた)は完全に作られたキャラクターで、現実に存在するキャラクターを元にしているわけではありません。ただもちろん、私が経験する事や知り合う人達によってSIKAも影響を受けています。
更に、ブタを取り巻く友人達のキャラクターがとても強烈な個性の持ち主ばかり。でも、それぞれがぶつかり合うことなく、お互いを尊重し合って付き合っている様子がとても印象的です。
こんな声もありました。
私はペンギンが「殻を破ってこの世にあらわれたのは何故か」と問い詰められているお話の中のヒナが印象的で好きです。このヒナの生命力は1歳の息子に通じるものを感じます。<絵本ナビ読者の声より>
―― ユリア・ヴォリさんの中でお気に入りのキャラクターはいらっしゃいますか?
SIKAシリーズの中で特にこのキャラクターが好きということはありませんが、キャラクターを描き出している瞬間、そのキャラクターに全ての注意を払っているので、その時描いているキャラクターが私のお気に入りになります。
―― アイデアはどの様に浮かんでくるのでしょうか?ご家族からも影響を受けられることはあるのでしょうか?
SIKAのストーリーは、大体私の生活で起こったことからヒントをもらいます。そこから話を面白く装飾していくと、SIKAやキャラクターたちが自然とストーリーを上手く回し始めてくれるのです。私の友人や家族は、ストーリーの中のある部分によっては見覚えがあるのでSIKAの話に含まれているように感じているかもしれません。でも実際のストーリーは風変わりなSIKAの世界をベースに作り上げています。
―― 多くの読者の方の感想にもありましたが、色彩が独特でとても美しいですね。
色のこだわりに関しましては、私は鮮やかな色合いや独特な色のコントラストが好きで、作品に必ず使用する色の幅というのがあります。色を選ぶ際、私はまず気に入った一色から塗り始めます。私の目が満足できるように他の色を選んでいくと、他の色も自然とうまい具合にあるべき場所に収まっていくのです。
フィンランドの自然が大変色鮮やかな春の時期や、湖畔の小別荘で過ごす霞のたちこめた夏の朝などにも私の色のパレットは刺激を受けます。
自宅にある飾り物にも私の作品と似たような色の要素を見つけますが、私は3人の男の子の母親でもあるので、家に関しては基本的に実用性を重視しています。
■ 読む人に自由に楽しんでもらいたSIKAの世界・・・
もともとは友人を元気づけるため描きはじめた、というエピソードが興味深いですね。読者の方からの反応についてもお伺いしてみました。
―― この作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
実は、読者の皆様が持つ様々な感想に私自身も魅了されたりします。ファンのコメントを通して作品の新しい見識を知ることもあるのです。私は作品を読む人に対してSIKAをこう読むのが正しいとか、ストーリーを想像する上である特定の見方が大切だ、など指定しないようにしています。読者にとって、2回目に読んだストーリーの印象や見解が、最初に読んだ時と違うことは良いことだと思っています。
―― 作品を読んだ方からの反応で嬉しかったエピソードなどございますか?
特に印象に残っているのは、こんな二人のファンの方です。
一人は中高年の日本人の方で、銅線を使用し、小さくて素晴らしいSIKA像を私に作ってくれました。もう一人は若いフィンランド人の男の子で、どんなにSIKAの「SIKA JA OIKUKAS SIENI (日本未発売の「きのこ」に関する絵本)」が好きかを何通も手紙で送って知らせてくれました。私にとって、世代も文化も違うこのようなファンの方たちがSIKAの話を楽しいと感じてもらえていることは大変嬉しく喜ばしいです。
■ユリア・ヴォリさん御自身についてもお伺いさせて頂きました!
―― 子どもの頃好きだった絵本はございますか?また、小さい頃から絵を描く事はお好きでしたか?
私は1歳の頃から絵を描き始めました。
当然のことながら、幼い頃に読んだ、そして読んでもらった子どもの絵本には大きく影響を受けていると思います。特に感化されたのはトーベ・ヤンソン(Tove Jansson)の「ムーミン」シリーズやリンドグレーン(Astrid Lindgren)の本などです。
それから「不思議の国のアリス」、子ども用の詩に関する本、有名なおとぎ話などにも影響を受けています。コミックを読むことも好きで、動物図鑑で動物の写真を見ることも大好きでした。
―― 好きな作家さんや影響を受けられた作家さんはいらっしゃいますか?また、日本人の作家さんでもいらっしゃいますか?
私は、日本の芸術には大変興味を持っています。日本の短歌が訳された本も沢山読んでいますし、広重や北斎などの浮世絵は特に興味深いですね。学生時代には、フィンランドのシネマ記録保管所で観ることができる黒澤監督の映画を全て観に行ったこともあります。私にとって「スタジオ・ジブリ」や「宮崎駿監督」というのもとても大事な存在で、東京のジブリ美術館に行った時は大変感動しました。それから和太鼓の芸術形式にも興味があります。
―― 絵本を創作されている時に、一番楽しいと感じる瞬間を教えて頂けますか?
私が絵本創作の際、一番楽しいと感じるのは、大まかなストーリーが頭に浮かび、SIKAとキャラクター達自身がどう描かれてほしいか、というのがわかった瞬間です。絵の構成は必ずしも用意できている訳ではありませんが、私の頭の中では、どのキャラクターがどこに配置され、どのように描かれるべきか、その時点で整理できています。たまに私でさえ驚くことがありますが、SIKAの世界では驚かないほうが不思議なのかもしれません。
―― 今後の作品について、少しだけアイデアを教えてくださいませんか?
今後も新しいSIKAのストーリーを沢山作っていく予定です。次にフィンランドで出版される新作絵本は、小さい子ども用のSIKAと数字に関する絵本です。SIKAのアルバムに新しいお話や新しいキャラクターも登場します。
■ 最後に・・・
―― 絵本ナビ読者に向けて一言メッセージをお願いします!
『SIKA』を読めば、SIKAは読者の皆さんに、「もっと怠慢に過ごして、ブラブラすることを楽しんで、美味しいペストリーのお菓子を味わうこと」を勧めてくれると思いますよ!
ありがとうございました!
ユリア・ヴォリさんの頭の中でも、きっとSIKAたちは自由に動き回っているのでしょうね。日本にこんなに興味を持っていらっしゃるという事にも驚きました。嬉しいですよね。続編が本当に楽しみです。
さて、絵本ナビshopでは、SIKAのこんな可愛いグッズ達も取り扱っています!
絵本ナビshopぶた(SIKA)コーナーはこちらから!>>>
絵本の雰囲気そのままにアニメにもなっています!>>>
SIKA公式サイトもお楽しみください>>>
『となりのせきのますだくん』『すみっこのおばけ』『ありんこぐんだん』などなど、子ども達に大人気の作品を沢山描かれている絵本作家武田美穂さん。子どもの気持ちを代弁してくれるかの様な内容を、とても明るい絵とユーモアたっぷりのお話で楽しませてくれるその作品の数々は、多くの読者から共感を呼んでいます。
そんな武田美穂さんの二年ぶりとなるオリジナル絵本が発売されました。
テーマは「おいしいおいしい絵本」。一体どんな内容なのでしょう。
武田美穂さんご本人にお伺いする事ができました!
また、現在開催中のちひろ美術館・東京「武田美穂の絵本づくり展」(2009年11月15日~2010年1月31日)の様子についても語ってくださっています。その作品の魅力をたっぷり味わってくださいね。
■ とにかく美味しそう!武田美穂さんの最新作『ハンバーグハンバーグ』
武田美穂さんの作品のファンは特に驚かれるかもしれません。今度の新作『ハンバーグハンバーグ』には、なんと食べ物しか登場しません!いつも大活躍する子ども達は絵本の画面の中には出てこないのです。ところが、読んでいくうちにそのあまりにも美味しそうに出来上がっていくハンバーグの様子に口を半分開けながら見入っている子ども達の姿がありありと思い浮かんでくるのです(笑)。
『ハンバーグハンバーグ』
武田美穂・作 ほるぷ出版刊 絵本の詳細内容・みどころはこちら>>>
―― 「ハンバーグ」を題材に絵本を作ろう!と思われたきっかけなどあるのでしょうか?
ほるぷ出版の担当編集者さんとご飯を食べながら、「小説の食事のシーンとか、なにげに好きなんだよね。おいしそうに書いてあるとお腹がすいてくるよねー。」なんて話をしていて、「じゃあ絵本で、おいしそうー食べたーい、おなかグー、みたいなの作ろうよ。」と編集者さんが言い出して。
「武田さんになら絶対おいしそうに描けるよ!」との言葉につい気分よく乗ってしまいました。
その場でいくつかの料理を考えたのですが、やっぱり親しみやすいし、作る過程がおもしろいし、子どもは大抵好きだよね、ということでハンバーグで合意!
―― 小さな子でも楽しめる内容となっていますね。特にこだわりの点などはございますか?
リズム感のある、テキスト(文)にすること。
ハンバーグおいしそ~とか、うわ~あのぐちゃぐちゃやりたい~…とか思われる絵にすること。
―― 大人の私が読み終わった後も、思わず「ハンバーグが作りたい!」と思ってしまいました。この作品の為に実際にハンバーグはかなり作られたのでしょうか?また、ハンバーグは武田さんの得意料理なのでしょうか?
作りましたとも(笑)。
まわりはいい迷惑・・・。
昔、弟が好きでよく作ってあげてたので、自分では得意料理のつもりでいましたが、弟に言わせれば、よく焦がしてたよね、と。
―― ハンバーグに焼き目をつけていくシーンは本当に臨場感たっぷり。音、温度、においまで伝わってくるような。食べ物を描かれるということで苦労された点、面白かった点などございますか?
まさに。音、温度、においまで感じて欲しいと思って描きました。
資料写真をそのまま描いてはダメだけど、リアルさは出したい・・・と、少しずつアングルを変えたり塗り方を変えたり、何枚も描きました。
苦労したけどおもしろかった。
▲ジュージュー聞こえてきますよね!
―― この作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
この本は、是非、お母さんお父さんに読み聞かせして欲しいです。
(お兄ちゃんお姉ちゃん、おじいちゃんおばあちゃんにも)
ことばのリズム、めくりのリズムを工夫して、最初はリズムにのって、絵本にうたわせるように読んでみてください。
子どもさんが反応したら、二度目はゆっくり。見たいページはじっくり見せて。
読み終わって「ハンバーグ作って」と言われたら、はい、読み聞かせは成功です。
子どもたちにも、是非フレーズをおぼえて楽しく唱和してほしいです。
▲『ハンバーグハンバーグ』の帯より。あまりに可愛かったので掲載してしまいました!
―― オリジナル絵本を出版されるのは二年ぶりだとお伺いしました。この作品に寄せる想いなどお聞かせ願えますか?
家族の介護で仕事を減らしていたので、オリジナルはだいぶブランクができてしまいました。
再出発の気持ちで、自分の原点にたちかえって作りました。
・・・といっても、ほんとのことを言うと、最初は、コマ割り入れたり、キャラを出したり、いくつかのバリエーション作ってみたりしてたのですが、
ある時ふと、シンプルに、ことばやめくりのリズムで料理の過程を追っていったら、すとんとお腹におちるものが出来ました。
喫茶店で、担当者相手にラフの読みがたりをしました。
「おもしろい、なんか美味しそう」と言ってもらえて、「おし!」と。
こみ入った物語じゃなくても、ひとつの料理を作る過程の中にも、起承転結…ささやかなドラマがあるんだ、とそんなのもやりたかったです。
■ 絵本作家武田美穂さんについて、少しお伺いさせて頂きます。
明るくてユーモアたっぷり、子ども達の日常に寄り添った内容の武田さんの作品。それでいて、繊細な心や結構大変な毎日をしっかり描かれていて、まるで子ども達を応援してくれているかのよう。武田さんの作品が学校や図書館で大人気なのも納得なのです。
―― 武田さんご自身、特に思い入れのある作品はございますか?
たくさんのお手紙をいただいて、読者を強く意識した『となりのせきのますだくん』と、ナンセンスに徹し、やりたいようにやった『ありんこぐんだん』は、特別な二作。
それぞれの編集者に、機会を与えてくれてありがとうと言いたい。
自分の中に強く残るシーンを絵本の中に入れ込んだ、『きょうはすてきなくらげの日』『か・げ』は個人的な思い入れのある作品。
『吾輩は猫である』は、尊敬する漱石さまと組めて?ただただ、感激の一冊。
―― 絵本のアイデアはどんな所から浮かぶのでしょうか?
結構日常のささいなきっかけで浮かんだりします。
こどもたちの手紙を読んでいて…という作品もあります。
―― 絵本作家になられた良かったなぁ、と思った瞬間を教えて頂けますか?
デパートの中の書店で、子どもが私の本を選んだのを偶然見たときは、うわーうわーうわー、という感じでした。
しかもお母さんがお金を払って、本を受け取ったら、その子、自分で持つ、と主張。
大事に抱えてくれるのを見たらもう、走っていって、「わたしがその本描きました~!」と言いたいような。
・・・やりませんでしたけど。
―― 今後こんな作品をつくってみたい!などございましたら教えて頂けますか?
笑える本。
ことばのリズムを大事にした本。
こどもの気持ち。わくわくや、不安や…。
・・・題材としてとりあげたいものは、いっぱいあります!
■ 原画をはじめ、絵本づくりのひみつも覗ける展覧会「武田美穂の絵本づくり展」
ちひろ美術館・東京で現在開催中の企画展「絵本はたのしい!武田美穂の絵本づくり」(開催期間2009年11月15日~1月31日)についてお伺いしました。
『となりのせきのますだくん』より 1972年 ポプラ社
詳細はこちら>>>
―― 今回の展覧会では、原画の展示を始め、武田美穂さんの絵本づくりのひみつについても覗くことのできる内容になっているそうですね。武田さんご自身も美術館にたくさん顔を出されているとか。どんな雰囲気になっているのでしょう?
企画段階で、ちひろ美術館の担当の上島さんに「長い会期なので、会期中、どんどん変化していく展示にしませんか!?」と提案されて、それは楽しそうだな、と、行くたびになにかしら持っていきました。
案内板を作らせてもらったり、いろんな場所にキャラクターをちょこちょこ貼らせてもらったり、・・・トイレにまで。(笑)
あこがれの美術館にこんなことしていいの?ちひろさま、すみません~、と心の中で詫びつつ・・・、楽しくて、行くたび、増殖させちゃいました。
二階の展示室は、デビュー前のちょっと恥ずかしい作品(汗)から、となりのせきのますだくん、コマ割り、ナンセンス、ハンバーグハンバーグ前のオリジナル「か・げ」まで、年代を追って、見せる工夫を凝らして展示していただいてます。
コマ割り作品については、本当に、前日遅くまで「どうやれば、面白くわかりやすく見せられるか」と、いろいろやっていただきました。意見を取り交わし、それによって全部できていたガイド版を、いきなり総取り替えしたり。
妥協のない誠実な仕事に感激。
あっ、「ざわざわ森のがんこちゃん」も、展示してます。ひみつの引き出し♪というのがあるので、是非見てください!
門外不出?の設定資料入ってます。ふふふ。
一階の多目的展示ホールは、それこそ会期中ばんばん変わっていってます。
今のメインは子供たちと作ったお化けとかいじゅう型秘密基地!
かっちょいいです。
もひとつ。ハンバーグハンバーグの制作過程を展示。本当は出したくなかった仕事修羅場時のお部屋の写真も公開…。(汗汗)
▲『となりのせきのますだくん』の原画。その下には、その制作方法の説明なども展示してあるのです!
▲最新作『ハンバーグハンバーグ』の制作過程も展示してあります。
更に、打ち合わせの様子からハンバーグを実際に作っている様子の写真まで!
▲武田美穂さんのお仕事部屋のお写真も大公開!ここから数々の作品が生まれていくのですね。
▲仕事修羅場時のお部屋!壁は『ハンバーグハンバーグ』のラフで覆いつくされています。下からちらっとのぞいているのは、実際にハンバーグを作った写真ですね。
▲この立派なオブジェは、美術館のワークショップで武田美穂さんと子ども達が一緒につくった「怪獣型秘密基地」。
―― 今回の展覧会の期間中には、子ども達とのワークショップも開かれたそうですね。
私のワークショップは、なにか教えるのではなくて、楽しく考えたり作ったりするための時間と場所と素材を用意して、はい、どうぞ!という感じ。
でも、こどもたちってもともとクリエイティブ。お互いの作品にも刺激しあって、びっくりするようなものを作ってくれちゃいます。
こどもたちのオリジナリティあふれるたくさんのおばけたちと、秘密基地、是非見てください!
▲秘密基地を真剣に制作する武田さんと子ども達。
終了後に、子どもたちが武田さんに宛てたお手紙には
「みほさん、てつだってくれてありがとう」と書いてあったそうです!
■ 絵本ナビ読者の皆さんへ
―― 最後に絵本ナビ読者に向けて一言メッセージをお願いします!
よく、読みきかせする本の選び方を聞かれますが、
まずは自分が読んで、面白かったものを!それが一番大事だと思います。
小さい頃、自分のたからものを大切なともだちに見せたくてたまらなかった、あの気持ちで、
こどもたちに自分の大好きな絵本の良さを、伝えてあげてください。
(でも、それでも迷ったら、是非私の本を!)
▲ こんな素敵な直筆メッセージを描いてくださいました。
可愛い!そしておいしそう~。
武田美穂さん、ありがとうございました!
会期中、イソザキも息子を連れて展覧会を見に行ってきました。
原画がたくさん見られるだけでなく、その制作方法やアイデアの工夫なども垣間見ることのできる、とても充実した展示内容なのです。
「エンターテイメントに徹する」という武田さんの言葉がとっても印象的でした。
更に「怪獣型秘密基地」。息子はもぐり込んだままずーーーっと出てこなくなってしまい、困ってしまいました。子ども達にとっては居心地が良すぎるようです(笑)。
※展覧会の最終日、1月31日(日)14:00〜16:00にはみんなで作った秘密基地とおばけ達を公開解体するそうです!誰でも参加できるそうですよ。
詳細はこちらでご確認くださいね>>>
ハッピーローソンってご存じですか?
横浜・山下公園内にある、「子育て応援コンビニ」です。
遊具スペースがあったり、子ども大喜びの「お菓子の詰め放題」があったり、
ミルク用のお湯のサービスがあったりと、子どもと一緒に寄りたくなるコンビニです。
この店舗内には、絵本ナビショップの棚があるのです。
※2009年9月の棚の様子
クリスマスに向けて、この絵本ナビショップ棚をリニューアルし、
また、絵本ナビセレクトのしかけ絵本で埋め尽くしたクリスマスコーナーが設置されました。
※しかけ絵本スペシャル!クリスマスコーナー
※先着50名様には絵本ナビオリジナルのクリスマスオーナメントとシールをお付けしています。
※店内の様子です。
横浜にお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいね。
このハッピーローソンが誕生したのは2006年7月。
「子育て応援コンビニ」というコンセプトで、ママ社員である小嶋衣里さんがリーダーとなって立ち上がったプロジェクト、その奮闘ぶりはテレビや雑誌など多くのメディアで紹介されましたので、ご存じの方も多いと思います。
絵本ナビはそのコンセプトとプロジェクトチームの熱意に共感し、プロジェクトの立上げ当時からご一緒させていただいています。(当時は日本橋にコンセプトショップがありました)
このプロジェクトやお店の様子など、ローソンのサイトでご覧いただけます。
>>>ローソン-ハッピー子育てプロジェクト
ブルーナデザインのロゴもカワイイのです。
今はこの山下公園店1店舗だけですが、全国にできるといいのにな~と思います。
黄色いフワフワの可愛いひよこが表紙の『ぴよちゃんの かくれんぼ』『ぴよちゃんの おかあさんどこ?』を初めて目にした瞬間、これはママと小さな子ども達の人気者になる!と確信してしまいました。あれから6年余経った今、赤ちゃん向けからおはなし絵本まで18冊もでる大人気シリーズとなっています。
この度、その作者のいりやまさとしさんにインタビューさせて頂くことができました。
いりやまさとしさんってどんな方? ぴよちゃんの誕生秘話とは?
たくさんお話をお伺いしました。お楽しみください!
9月に下のお子様が誕生されたばかりだといういりやまさとしさん、父親オーラがたっぷり出ていてとても優しい雰囲気のような。おそらく、大変な時期なのでしょうが、そんな中、貴重なお時間を頂いての取材はスタートしました。
■ 「ぴよちゃんえほん」誕生のきっかけ
―― シリーズの最初に登場したのが『ぴよちゃんの かくれんぼ』『ぴよちゃんの おかあさんどこ?』。「ぴよちゃんえほん」誕生のきっかけなどを教えて頂けますか?
「市販の絵本はぴよちゃんが初めてでしたが、それまでもイラストレーターとして様々なところで絵を描かせてもらっていたり、学研さんの保育誌などでもお仕事をさせて頂いていました。絵本作家として仕事をしていきたいというのは、漠然と、ずっとあったんです。ただ、絵本をつくるといってもなかなかアイデアがまとまらなくて。
そこで絵本ってなんなんだろう、と考えてみたんです。僕にとっての絵本とは、と。その時頭に浮かんできたのが、昔から読んでいた(福音館書店の「こどものとも傑作集」のような)何十年も読み継がれているような絵本。そういう絵本って、時が経っても変わる事のない普遍的なテーマで描かれている事が多いですよね。そういうものが描けないかな、と思ったんです。『かくれんぼ』だとか『お母さんを探す』といった子ども達にとって基本的な動作みたいなところでアイデアが出ないかな、と。
そこで考えてみたのがこんな形・・・」
▲見せて頂いたのがこちら! 最初のアイデアを絵本の形にしたものだそうです。何と、これがぴよちゃんの原型なんだそうです!! 題名も同じ。でも何だかとっても素朴。味があって可愛いですよね。
▲内容は今の「ぴよちゃん」とほとんど変わっていないそうなのですが、雰囲気はかなり違います。
「これが『ぴよちゃん』の原型となったラフなんですが、ひよこだけが主人公じゃないでしょ? 他の動物の仲間も登場していて、みんなでという感じ。全然今の『ぴよちゃん』じゃないんですよね。」
確かに、昔からある絵本のような落ち着きがあるような・・・日常生活の中の遊びとか動きをシンプルなお話で絵本にしたい、そういうテーマというのが最初にあって、つくられたそうです。まず『ぴよちゃん』というキャラクターが思いついて、という訳ではないのですね。
「だから本文はそんなに変わっていないんです。たまたま探すというテーマだったので、この時は最初からしかけも一緒に考えて。それを学研の編集の方にお見せしたんです。でも、なかなかすぐ絵本にはならなかったんですよね。少し時間が経ってから、編集の方から『ぴよちゃんというキャラクターを前面に出したらどうですか?』というアイデアをいただいて。そこからじゃあこうしよう、ああしよう・・・と具体的に決まっていって『ぴよちゃん』のえほんが誕生しました。だから、自分が最初に思い描いていたイメージとは全然違うんですよね。」
それがちょっと意外な気もする「ぴよちゃんえほん」シリーズ誕生のエピソードなのだそうです。
■ テーマ探しは子どもとの触れ合いの中で
―― 「ぴよちゃんえほん」シリーズのお話は、先程もおっしゃっていた通り小さな子ども達の日常のひとこまを切り取ったようなテーマというのが大切な要素ですよね。そのアイデアというのはどんな時に浮かぶのでしょう?
「ぴよちゃんを描き始めた時には、もう上の子どもがいたので、子どもと普段接しているところから自然にテーマというのは見つかっていった気がします。子どもとの遊びの中でアイデアというのが出てきたり・・・。あらかじめ編集の方からテーマが来る時もあります。絵本の中に出てくるエピソードは、親子で旅行に行った時に出会った動物だとか、体験した事なんかが無意識で入っているかもしれませんね。(アイデアが浮かぶまで)苦しい時もありますし、割とすんなり浮かぶときもあります。」
―― ご自身の子どもの頃の経験からも影響される事はあるのでしょうか?
「例えば『おかあさん どこ?』というテーマ。よく考えたらちっとも楽しいテーマじゃないですよね。お母さんがいなくなっちゃうという、子どもがつらいお話でしょ。無意識に、知らないうちにこういうテーマが出たということは、自分の中の原体験として(迷子になったとか)そういう事があったのかな、とは思いましたね。同じ絵本を作っている人でも、もっと楽しいテーマで作っている人もいると思うのですが、僕の場合はこの本の様に、子どもの時の不安な気持ちがテーマとして現れてくることも。
そういう意味では、今でも全く新しいお話を作るときには、まず自分の子どもの時の経験を掘り起こしていく作業というのがありますね。過去が遠くなっていって、どんどん忘れていくから最近はちょっとつらいというのもありますど(笑)。」
そうおっしゃるいりやまさんですが、それを補う様な形で子ども達のことはよく観察されていたそうです。
「(この仕事をしているおかげで)自由な時間が割とあるので、保育園の送り迎えなどはよく行っていたんです。保育園に行ったときに自分の子どもは勿論ですが、他の子ども達の様子も見たりして。ああ、子どもってこういう遊びするんだとか、こういう人間関係が出来ているんだ、とか。それをそのままぴよちゃんに当てはめたらこうなるかな、なんて。
自分がやりたいお話のテーマに使えるかな、と思ったら、前後のお話の肉付けは自分の世界観で広げていったり。人間の子どもの関係という基本のモチーフをぴよちゃんの世界に入れてみて、前後のお話はどうなるかな、と考えていくことが多いですね。」
■ 表現方法について
―― 何といっても真っ先に目に飛び込んでくるのはぴよちゃんのそのホワホワ感! 他の作品も含めていりやまさんの作品のチャームポイントだと思うのですが、この感触が好きなど、こだわりがあるのでしょうか?
「ぴよちゃんは主にパステルという画材で描いているんですが、その画材がたまたま自分にすごく合っていた、というのが大きいですね。質感が動物の毛足の表現などにとても合っていて。ですからそのホワホワ感の表現というのはパステルと出会ってからです。勿論、以前は他の素材でも描いてみた事はあるんですけど、ちょっとまどろっこしくて。表現方法と素材がぴったりきた、という事だと思います。指で伸ばして描いたりする事が多いので、自分の手で描いている、という感覚が好きなんでしょうね。印刷で色が出にくい事もあり、編集者や印刷所にはいつも迷惑をかけてるんですけどね。」
―― 実際にぴよちゃんを描いている時のお写真を見せて下さいました! これは貴重ですね。
※ちなみにこれは、1月下旬発売の『多湖輝のNEW頭脳開発2歳 はじめてのくれよん』というワークの表紙イラストです。
①鉛筆で下描きをしるす。 ②厚口トレシングペーパーをその上にのせ
③下描きのアウトラインをうつします。 ④ステンシル(型)が出来ます。
⑤本描きの紙を下描きの上にのせ、 ⑥パステルを粉にしてパフをこすりつけます。
ライトテーブルで下描きが見える様にします。
「僕が使っているのはハードパステルと言います。チョークみたいな感じですね。粉状につぶして使います。いらないスケッチブックをパレット代わりにして色をのせます。色を混ぜたりすることもできます。」
⑦ステンシルをのせ、パステルをぬりこみます。 ⑧色鉛筆で形をととのえます。
▲完成です!!
「指でぬる事もありますけど、お化粧で使うパフで色を塗るのが一番早いんです。ただ、買いにいくのが恥ずかしいんですよね(笑)。ちゃんと専門店で売っている高いものがいいんですよ。お化粧の筆とかも色々な太さがあるからいいなぁ・・・と思っているんですけどね。」
このように、直接塗りこんでいくから色はちゃんと定着するそうです。
「最後に色鉛筆でケバケバ感を出したり、目のハイライトに絵の具を使ったり。絵の具は本当にちょっとだけ、ポイントに使います。」
よく見ると、色鉛筆での書き込みも、きわの部分だけであまり描いていないのです。あまり描いてしまうと、とげとげしくなったり、印刷すると更にうるさく線が目立ってしまうそうで、その頃合いが結構難しいそうです。
聞いちゃっていいのかしら、ちょっとしたコツも教えてくださいました。
「ステンシルをのせる時、わざとちょっと隙間があくようにテーピングをしているんです。そうすることでいい感じにアウトラインがホワホワっとなるんです。」
そしてそして、⑦と⑧の間には実はもうちょっと秘密の写真があるそうで・・・。
「この間の作業の途中で、実は絵に気を入れる作業があるんです。指先で・・・。」
ここから先はさすがに企業秘密だそうです! 制作期間としては、作画だけだったら1ヶ月位、でもお話を含めると1年くらいかかることもあるそうですよ。
―― もう一つの大きな魅力なのは、小さな子ども達も一緒に楽しめるしかけ。しかけもいりやまさん御自身が考えられるのでしょうか?
「そうですね。学研さんの保育誌でしかけのコーナーを担当していたりしたので、こういったシンプルなしかけのノウハウは最初から割と持っていたんです。ですからお話としかけは同時につくっている場合が多いですね。子どもに反応を見せながら・・・という事もありますね。」
■ 長く楽しめる絵本、『ぴよちゃんのおはなしずかん おてがみきたよ』
そんなぴよちゃん絵本の中でも、「おやこであそぶしかえほん」シリーズから始まり、赤ちゃん向けの「ぴよちゃんとあそぼ!」シリーズ、さらには「おはなしえほん」シリーズまで、「ぴよちゃんえほん」の中でも様々なジャンルへと広がっています。中でもいりやまさん御自身がとてもお気に入りの一冊だとご紹介してくださったのが『ぴよちゃんのおはなしずかん おてがみきたよ』。
『ぴよちゃんのおはなしずかん おてがみきたよ』
いりやまさとし 作・絵 学研刊 ※内容詳細はこちらから>>>
「僕は、リチャード・スキャリーという人の絵本が好きで。自分なりのスキャリーの絵本が作りたかったというのがあるんです。」
※リチャード・スキャリー:出版した絵本は200冊以上、「スキャリーおじさん」と呼ばれ、ABCの本や言葉絵本など、その多くが海外の子ども達に長く親しまれています。いりやまさんも絵本の仕事を始められる前から集められてたそうです。
「日本でそういう絵本ってあまりないんじゃないかな、自分なりのスキャリーの絵本ができたらいいなと思っていたら、作らせてもらえることになったんです。」
なるほど! 納得です。そういえば、こういう形の図鑑絵本って、ありそうでなかったかもしれません。ぴよちゃんと絵本の世界を一緒に進んでいきながら、出会っていく植物や動物や物の名前を覚えていけるなんて、理想的。子ども達は絶対夢中になるはずだし、親としても嬉しいですよね。
▲まさに散歩の途中で』出会いそうな草花がいっぱい!子ども達に聞かれた時に答えてあげたいですよね。この絵本でならすぐに覚えられそうです。全てに英単語とその読み方まで記載されています。
▲それまでも、ぴよちゃん絵本の巻頭巻末にこんな図解を入れていたそうで、ストーリーに出てくる植物や動物を「これなに? これなに?」と聞くなになに世代の子ども達に答える為のアンチョコとして、親御さん達から「助かる!」ととても好評だったそうなんです。
▲『ぴよちゃんとひまわり』の見返しです。更にアップにすると・・・↓
▲確かに子ども達って、一口にカエルと言っても「アマガエル? 何ガエル?」なんて意外と細かい具体的な名前を知りたがるんですよね。それでお話の中に出てくる絵図鑑を作ろうという流れもあったそうです。
―― 図鑑の絵を描くというのはどうでしたか?
「図鑑の絵は、描いてみたいなとずっと思っていたんです。でも実際描き始めてみると、丁寧に観察して描けば描くほど自分の絵の世界とのギャップというのが出てきてしまうので、そのへんの兼ね合いというのがね。本当にリアルな絵にしちゃうとぴよちゃんの世界じゃないし、だからと言って図鑑だからいい加減な描き方をしたくないし。デフォルメ具合が難しかったですね。物とかは自分の世界観で描けるんですが、植物、動物、虫などは描き始めてから大変だという事に気が付きました(笑)。だから実際より要素を少し減らしたり・・・というのはしています。」
―― 特に畑の場面というのは、しかけをめくる事で地面の上と下というのが見えて・・・すごく面白いですよね。
「野菜ってこういう風に育つんだ・・・っていう事って意外と知らなかったりしますよね。地面の上と下ってこんな風になっているんだよ、なすやきゅうりってこんな風になるんだよ、という事が一目でわかるページになっていると思います。」
↓ページを開くと・・・
▲スイカやかぼちゃが丸ごと転がっていたり、それぞれの葉っぱの形がわかったり。科学絵本としての要素もぎゅっと詰まっているページですね。見応えがあります。
―― 更に牧場や森の中、池の様子まで登場します。それぞれ本当に細かくしっかり描かれているのですが、やはり取材はされたのでしょうか?
「それはもう図鑑はいっぱいお借りしましたね。(学研さんですからね!! )
牧場は・・・行きました。と言っても、この本の為だけでなく、もともと牧場好きだったので(笑)、旅行に出かければついでに一緒に牧場を見に行ったりしていたんです。その時に見てきたものが生かされていますね!」
―― 最近、鳥にはまっている私の息子も喜びそうだと思ったのですが、例えば「きつつき」だとか、可愛らしいけどちゃんと種類がわかるように描かれているにが面白くて。やはり動物は好きですか?
「動物は子どもの頃から好きでしたね。動物園にもよく行っていたし、動物図鑑を揃えて一人で読んでいたり。実際に飼った事があるのは犬くらいだったんですけどね。動物番組だったり、ディズニーの動物のお話なんかも好きでよく見ていました。」
そんないりやまさんが絵本の中で動物を描かれる時には、ちょっとしたこだわりがあるようです。
「絵本の動物を描くときには、実際に見てからでないと不安がありますね。だから、それをきっかけにして今でもよく動物園に行きます。その動物を見ていると、動きでお話が膨らむ場合もあるんです。なんでのろのろしているのかなあとか。見た目だけでなく、特徴も含めてね。本当は野生動物を見られるといいんだけど、なかなかね(笑)。
動物も個体差をきちんと描き分けるのが好きなんです。犬の種類もちゃんとわかるように描きたいと思っています。デフォルメして曖昧に描くのは、自分としてはちょっといやなんですよね。それを絵本の世界観に合わせて描くというのが好きなんです。怖い動物をいかに可愛くしていくかというのが楽しいんですよね(笑)。だから、結構描写はリアルなんですよ。
他の作品でアライグマを主人公に描いた絵本があるんですけど、よく『たぬきの絵本』って言われるんです。何か悔しいんですよね(笑)。こんなにこだわって描いているのに。僕の中では、たぬきとあらいぐまって全然違うイメージですから。」
こんなこだわりを聞いていくと、いりやまさんの絵の魅力の秘密が見えてきますよね。そうなんです、かなり実物に忠実なんですよ。是非実際に手にとってじっくり見てみてくださいね。
そして、この絵本のおすすめポイントはまだあります。
―― 英単語も同時に覚えられるようになっているんですよね。動物の鳴き声があったり、読み方もちゃんとわかりやすく記載されていたり。お母さん達も意外と勉強になっちゃいそうですね。
「これは、実際に小学校の教師をされている方からもお褒めの言葉を頂いてきました。小学校で英語の授業を進めていく時に、楽しい教材というものが少ないそうなんです。だからとても喜んでくれて、嬉しいですね。」
そういう訳で『ぴよちゃんのおはなしずかん おてがみきたよ』は、とても幅広い年齢層で楽しめる内容となっているんです。ぴよちゃん絵本の中でも、言葉を覚え始める小さい子に限らず、ストーリーを楽しめるようになった小学生低学年に、更には英語の授業が始まる3年生にも。長く楽しめるというのが最大のポイントかもしれませんね!
■ シリーズを通して
人気者となったぴよちゃん絵本は今では18冊以上も出版されています。
―― ぴよちゃんシリーズを長く続けられているというのは、気持ち的にどう感じられているのでしょうか?
「おかげさまで、こんなにたくさん出して頂いてとても嬉しいですね。でも、長く続けていく難しさというのもあります。最初の頃は、本当に自分の素直な気持ちで描けていたと思うのですが、テーマよりまずぴよちゃんが可愛いかどうかとか、キャラクターが確立してくるとそちらの方に依存してしいきがちですよね。そうなっていくのは自分では嫌なんです。本当に自分が描きたいものが描ければいいんですけど、そういうニーズがある時は、ジレンマがあります。でも、もしこのまま(シリーズとして)続けさせて頂けるならば、そういう部分は自分の中で努力をしていって、キャラクターも確立して、内容もグレードアップしていければいいなと思っています。質が落ちていくというのが自分の中ではいちばん怖いですよね。」
―― 赤ちゃん絵本だったり、もう少し長いお話絵本だったりと、ジャンルも広がっていってますね。
「ぴよちゃんに限らないんですけど、自分の中で描きたいなと思っているのが小学校低学年くらいの子が自分で読めるような絵本ですね。小学校2,3年生というのは、自分が絵本や児童文学を一番読んでいた時期なんです。だからというのもありますが、子どもが自分で読みたいと思えるようなものが描きたいと思っています。お母さんに選んでもらえるものをつくるよりも、もしかしたら難しいかもしれないと思うんですけどね。自分は、まだそういう絵本って出来てないな、と思うんです。本当に子どもの感覚で好きな絵本というのがまだわからないんですよね。」
だからこそ、これから描いていきたい本がまだまだあるんでしょうね。今後の展開が楽しみです。
―― 「ぴよちゃん絵本」の読者の方たちの反応で、嬉しかった反応や意外な反応ってありますか?
「自分がいいなと思っていたことを、読んでくれた人が共感してくれたときが一番嬉しいです。絵本を通じてその人とつながった感じがします。自分と同じ環境だった人が同じ事を感じてくれたんだとか、自分の言いたい事を感じとってくれたんだとか。
『まだ子どもはいないんだけれど、自分に子どもが生まれたら読んであげたいと思った』 そんな声を聞いてすごく嬉しかったですよね。『私が気に入りました。』って言ってくれて。」
『みどりのくまとあかいくま』などの作品で、実は大人のファンも多いいりやまさん。そういう意味では『ぴよちゃんえほん』にも切なさとか、優しさなど、通じるものがあるのかもしれませんね。
読者カードにも、「読んでいる私の方が癒されました」「読み聞かせていると親子で優しい気持ちになります」など、びっしりと感想を書いてくださる方が多いそうですよ。
―― <来年のクリスマス>に向けて大型しかけ絵本が準備中だそうですね。
ここで、担当編集者の方が進行中の絵本の見本を持ってきてくださいました。
※ 画像はまだお見せできないので、文章で想像してください(笑)。
「うわーっっ! これはすごい!! 」
まだ未完成なのに、思わずそう叫んでしまうほど、とても豪華で素敵!
そしてもちろん、相変わらずぴよちゃんは健気で可愛くて。読み応え、見応えも充分なお話&しかけ絵本なのです。
でも、とにかくまた来年のクリスマスまでは待たなくてはなりません。その頃にまた詳しくご紹介しますのでそれまで楽しみにしていてくださいね。
■ 絵本作家いりやまさとしさんについて
絵本作家いりやまさとしさんについても少しお伺いしました。
―― 絵本を描かれていて楽しいと思われる瞬間はどんな時ですか?
「絵をかくのは基本的に大好きなんですが、やっぱり形に残るものを作れる事が嬉しいですね。
読書家という訳でもなかったけど、絵本というのは小学校の時までよく読んでいて、すごく鮮烈に残っているんです。
絵本のいい所というのは、ページをめくっていく時に自分がそこの世界観に入れることですよね。ページを開いているあいだはそこの空間にいられるんです。自分でもそういう表現ができると嬉しいし、そうあるべきだと思っています。そういった自分の世界観を伝えていくには一番いい仕事かなと思ってます。」
―― 絵本作家になって良かったと思われるのはどんな時ですか?
「若い頃、自分がいいと思っていてもなかなか表現出来なかったことが、だんだん伝えられる様になってきて本当に生きていて良かったと思えるんです。わだかまっていた事なんかが解けて、自分の生きる場所、居場所が見つかったという感じです。これを続けていきさえすれば・・・という存在価値が見つかって本当に良かったと思っていますね。」
居場所が見つかる喜び・・・表現者ならではの深い想いが伝わってくる言葉です。
■ 絵本ナビ読者に向けて!
―― 『ぴよちゃんえほん』シリーズをどんな風に楽しんでもらいたいですか?
「一番は、ぴよちゃんえほんが親子のコミニケーションのきっかけになってくれれば嬉しいですね。
なかなか絵本を読まなかった子が、ママと一緒に遊びながら読めるぴよちゃん絵本だけは読むようになって、そのまま絵本好きになってくれたという話も聞いた事があって。そういう風に絵本を読むきっかけになってくれればいいな、と思っています。」
―― まさに子育て真っ最中のいりやまさん。同じく子育て中の方に応援メッセージをおくるとしたら?
「子育てというのは、こうしたらいいというのは全然ないですよね。子育ても、生きていくのも悩みごとの連続です。正解はないと思います。子育てが、自分の思う通りなんて絶対いかないのは自分も経験しています。でも、愛情があれば悪い方には行かないんじゃないかなと思います。こういう(絵本ナビの様な)場所で情報交換出来ればより良い方向は見えてくるんじゃないかな、と思いますね。毎日僕も悩んでますよ。
( 現在ご長男が小学校一年生、次男は0歳です。)
毎日大変ですよ。応援どころじゃなくて教えてほしいくらい(笑)。男の子なんでね。『今日は元気に帰ってきた・・・』それだけでほっとする毎日ですよ。」
ありがとうございました!
今後はしかけで遊べて、でもお話としてしっかり読める、そんなものを作っていきたいとおっしゃっていました。方向性をしっかりと見据えているかの様な表情が印象的。一方で、ぴよちゃんにはこれから先、色々なものや場所に出会って欲しいと思っていると、ぴよちゃん一色に染まっていた学研さんの部屋で話される姿は、まさに優しい父親の姿そのものでもありました!(実はいりやまさん、仕事の合間に家事も育児も積極的にこなしてしまう理想的なパパなのだという事を、後からそっと編集の方が教えて下さったのでした。)
今後生まれてくる作品からますます目が離せませんね。
最後に記念にぱちり。
サンタの帽子をかぶったぴよちゃんぬいぐるみが終始雰囲気を盛り上げてくれました!
(※ちなみにこの「おっきなぴよちゃん」ぬいぐるみは吉徳さんから発売中だそうです。こちら>>>)
「小さなこびと達が働く車を駆使してケーキを作る」
子ども達を喜ばせ、大人達を驚かせた前作『おたすけこびと』の登場からはや2年。
待望の第2弾が発売となりました!!一体どんな内容なのでしょう、気になりますよね・・・。
『おたすけこびと』の発売時に続いて、今回も絵を描かれているコヨセ・ジュンジさんが絵本ナビにいらして下さることになりました。
『おたすけこびと』発売当初のコヨセ・ジュンジさんへのインタビュー記事はこちらから>>>
そして更に・・・作者のなかがわちひろさんが一緒に来て下さることになったのです!
新作『おたすけこびとのクリスマス』制作秘話やみどころ、そして前回のインタビューで語られる事のなかった裏話(!?)までお二人にたっぷりとお伺いすることができました。お楽しみください。
この日、お久しぶりのコヨセさん(ちょっと風邪気味のご様子)が絵本ナビオフィスに登場、続いてキリッとした素敵な雰囲気のなかがわちひろさん、更に編集長始め徳間チームの方々(全て女性!)が続き。それぞれオーラを発している女性達に囲まれているコヨセさんを拝見した瞬間「今日は何だか面白くなりそうだぞ」という予感がしてしまったのでした。そして・・・その予感は見事的中するのです。
■ 今度のテーマはクリスマス!
「おたすけこびと」シリーズ第2弾がこちら↓
『おたすけこびとのクリスマス』 なかがわちひろ・文 コヨセ・ジュンジ・絵 徳間書店刊
※内容詳細・みどころはこちら>>>
―― まずはコヨセさんにお伺いします。『おたすけこびと』に続く新作のテーマが「クリスマス」と聞いた時、どう思われましたか?
コヨセ・ジュンジさん(以下コヨセ、敬省略):「『えーーーっ?』と思いました。」(一同笑)
クリスマスというのはあまりにも普遍的で大きなテーマなので、最初はどうしたらいいか呆然としてしまったというコヨセさん。ではどうやってこんな素敵な絵本が完成していったのでしょう、じっくりとお話を伺っていくことにしましょう。
―― 「クリスマス」というアイデアを出されたのは、作者のなかがわちひろさん(翻訳家、絵本や童話作家として活躍されています)だそうですね。そのアイデアはいつ頃から考えられていたのでしょうか?
なかがわちひろさん(以下なかがわ、敬称略):「前作『おたすけこびと』が完成した直後のコヨセさんは、疲労困ぱいしていたんですよね。でもしばらくすると、むくむくっと復活してきて(笑)次はどうするの?って聞いてくるようになって。じゃあどうしようかと具体的に色々考え始めたんです。
ただ、『おたすけこびと』という物語を考える時に、いくつもアイデアは出していたので、私の中ではクリスマスというテーマはかなり前からあったんですよね。今回、おたすけこびとに仕事を依頼したのは、お父さんでもお母さんでもなくサンタクロース。これで行こう!というのは、実はかなり早い段階で決まっていたんです。」
―― ほとんどの作品では絵も文章も手がけられているなかがわさんですが、この「おたすけこびと」シリーズでは文章の担当。特にこの作品は、とてもシンプルな言葉で書かれていますよね。具体的にどのような形で画家であるコヨセさんにお渡しするのでしょう?
なかがわ:「依頼人はサンタクロースということで、設定を考えながら15見開き(絵本の完成形)にわけて文章を書いていきます。そしてそれぞれの場面に、『ここではこんな事が行われている』とか、『こんなことがあるんじゃないかな』『こういうことがあると思うよ』というような具体的なイメージや説明を書き込んでいきます。だから、私の頭の中では場面割というのは出来ているんですね。でも、それを画家であるコヨセさんに伝える為に、絵を描くのではなく、文章だけで渡します。文章を実際に絵にしていくと、今度は色々つじつまの合わない事も出てきますよね。だから今度は、出来上がってくるコヨセさんの絵を見ながら、また設定を練り直したり、アイデアを少し加えていったり・・・というような作業を重ねていきました。」
―― 夢のある存在として象徴的なサンタクロース、一方とても堅実で働き者のこびと達とくるま。一見、相反するような組み合わせにも思えますが、アイデアはすんなりと完成したのでしょうか?
なかがわ:「全然すんなりじゃなかったです(笑)。
依頼人がサンタクロースという事は決まっていたのですが、じゃあ何を依頼しよう?こびとになにをしてもらおう?というのは色々考えましたね。昔から童話に登場するサンタクロースのお手伝いとしてのトムテという存在ともちょっと違う気がするなぁと思ったり。また、機械(働く車達)というテーマがあり、運搬業というイメージもあり。さらには緊急車両というテーマも浮かんできて。他にもイメージとしては、前作が白くすっきりした感じだったので、今回は夜のシーンで行きたいなぁとか。そういういろんなアイデアやイメージが合体して出来上がっていったんです。」
完成した作品を読んでいて改めて気がついたのですが、そういえば子ども達ってどちらの要素にも興味津々ですよね!
なかがわ:「子ども達は、サンタさんがプレゼントを家まで届けてくれるっていうのを、とても楽しみにしていますよね。その一方で色々具体的に心配もするんです。『サンタさんが来るといっても、うちにはえんとつがないよ。』とか『窓を開けておいた方がいいのかな』、『マンションだけど大丈夫かなぁ』とか。だから、『どんな家でも大丈夫!こういう小人たちがいて、それぞれの家に合わせてちゃんと配達してくれているから』、そういう事が言えるお話になっていると思います。」
なるほど。その絶妙なバランス感覚は、やはりなかがわさんならではなのでしょうね!子ども達の心を惹きつけてしまうはずです。
なかがわ:「小さな世界のこびとに、大きなミッションをやらせたい!という想いがあって。でもこれが結構難しかった。絵描きさんはもっと難しかったと思います。」
■ 大きなポイントはやっぱり「働く車」
さぁ、そこからコヨセさんの仕事がスタートします!今作でもやっぱり大きなポイントは「働く車」。前作でのインタビューで車両を描く為に色々と取材をされたというお話がとても印象的でした。今回は、更に精密に描かれているようにも見えますが・・・。
―― 今回も車両を描く為に、実際に取材はされたのでしょうか?
コヨセ:「機械についての取材はもちろんしました。今回は、パソコンや書籍で調べる事も多かったんですけどね。外国の車両なんかが見られますし。でもやっぱり、出かける時は必ずカメラを持参していました。というのは、描きたい車両が作業をしているのを見つけたらすぐに写真に撮っておかないと、次の日は既に次の工程に進んでいて見られなくなる事が多いんです。前回はそうやって撮った写真が頼りだったのでかなり必死でしたね。違う角度を見る為に色々な方向から写真を撮りに行ったり・・・。
ところが今回は、描き始めた時に、僕が住んでいる家の道路を挟んで向かい側の広い農地がつぶされて、マンションが建設される事になったんです。
まさに『欲しい角度で、欲しいクレーン車が』一生懸命目の前で働いてくれているんです!」
それは何という幸運!(笑)タイミング的にはバッチリだったのですね。
■ 前作との大きな違いは「おたすけ会議」
―― 内容としては同じくこびと達と「働く車」が大活躍している新作ですが、実は制作段階では、前作の時と大きな違いがあったそうで?
なかがわ:「前作では作品が出来上がるまで、実はコヨセさんとは直接お会いしていなかったんです。初めてお会いしたのは完成した後だったんです。もちろん、作品についてのやり取りはありましたけどね。でも今回は定例おたすけ会議と言うのがあって、月に最低1~2度は行われていたんですよね。最後の方は2週間に一度のペースでコヨセさんと編集者と顔を合わせて。それが前作との大きな違いです。
そうやってこの作品を作っていったので、私としてはとても楽しかったですね。コヨセさんはどうだったか知らないけど。」(一同笑)
コヨセ:「・・・そうですね、楽しかったですよ。(と前置きをしながら)僕の中では、今回はスケジュールが決まっていたので、それが一番大きな違いでした。前作では(僕が心配になるくらい)催促が全くなかったので時間を存分に使って描いていたんです。実は編集部の方はイライラしていたみたいですけどね(笑)。」
コヨセさんにとって初めての絵本である前作については、編集部の方も催促は敢えてしない様にされていたそうです。ところが今回のテーマはクリスマス。当然スケジュールが重要となってきます。会議では、まず編集の方がスケジュール帳を開いて待機していたそうで。そういう意味ではコヨセさんの環境はがらりと変わった?
コヨセ:「お尻をたたかれて描く快感を覚えたというか(笑)。でもそのお陰で結構いいペースで出来たんだと思いますけどね。」
―― そのおたすけ会議というのはどんな様子なんですか?
なかがわ:「おたすけ会議があるというと、コヨセさんが原画をクリーニングの袋にぷらーんぷらーんって下げながらやって来るんですよ。その原画を大きな打ち合わせ机に広げて、みんなで『わー!あそこが可愛い、ここが素敵!』って。『でもコヨセさん、ここはへんじゃない?』今度はつっこみが出始めて。そうすると、編集部の他の皆さんも集まってきて『あーだ、こーだ』と・・・。それでまたコヨセさんが『はーい』といって持ち帰って。泣きながらね(笑)女子がいじめてるみたいだったりして?
でも、絵になって初めて『この設定はこういうことだったのか』というのが見えてくるので『じゃあこうした方がいいね』とプラスしてみたり。
前作『おたすけこびと』の時に<こびと達の世界>というのがコヨセさんの中にしっかり入っていて、今回は彼の中でこびとたちを呼ぶというような感じに見えました。何も言わずにいてもこびと達が動いているんですよね。」
コヨセ:「そうですね、そういう意味では2回目の方がスムーズでしたね。」
最初に皆さんが登場された時に感じた、何だか和気合あいとしたこの雰囲気は、「おたすけ会議」を経て作られていったものだったんですね。納得です。
■ コヨセさんの描く絵のみどころは?
そうして全力を尽くして描かれたコヨセさんの絵についてお伺いしてみましょう。
―― 今回は「夜の世界」という設定。そこが前作との大きな違いですよね。音をたてちゃいけないなど、制約もあったのでは?
コヨセ:「そうですね。今回は全部背景があって、しかも夜。大丈夫かなーというのはちょっとありましたね。表紙で言うと前作が白で今回は黒。でも描いているうちに開き直りが出来て、今回は全く違うものになりそうだ、と思いながら描いていきました。」
でもその背景が描かれる事により、コヨセさんが持っている詩情的なものがプラスの要素として加わったのではと、なかがわさん。音についてもお伺いすると「意識していなかった」とおっしゃるコヨセさんに対して、すかさずなかがわさんが「今回は音はなしでいく、と言ったのはコヨセさんですよ!」と突っ込んでいました(笑)。文章でも「おとなも こどもも ねむるまち」「しーっ!ほえちゃ だめだよ。」という部分などがあり、お二人とも無意識にその辺りは実現されていたようですね。
―― 今回描かれた絵の中で、みどころを教えてください!
コヨセ:「やっぱりぎょうれつの楽しさですね。実際に家があるような住宅街を、そんなちっちゃいのがぞろぞろ歩いているっていう楽しさ。それだけで充分かなって。」
確かに夜の街を小さな小さな車両がずーっと並んで進んでいく様はかなりワクワクします!この玄関前の敷石の場面もかなりの迫力ですよね。
▲車両が迫ってくるかのよう。他にも、小さなこびと達と大きな犬や敷石など、様々な要素がぎゅっと詰まっています。
コヨセ:「最初は、この絵の出来はどうなのかなぁという不安もあったんですよ。そしたら天の声(※)があって。「あれはいい!!って言ってるよ」という声を聞いて。それでああ、ここはこれでいいんだと思えたんです。」
※天の声とは誰なのか?後程じっくり説明します!
なかがわ:「この場面については、例のおたすけ会議でも、設定について(砂利道とか素材感についてとか)色々突っ込んでいて、コヨセさんいじめをたくさんしてたんです。ですので画家さんとしては混乱をしていたかもしれないんですけど、この車の見せ方についてはやっぱり素晴らしいと思いましたね。」
―― プレゼントの中味がとっても気になりますね。
なかがわ:「プレゼントの中味は男の子でも女の子でもどちらでも喜ばれるものにしました。でもこの包みの形は気になりますよね~。」
なかがわさんもおっしゃる通り、とても気になる形をしているプレゼント。やはり皆さんから色々な意見が出たようなのですが、実はコヨセさん、この絵を描かれる前に実際にプレゼントを包まれたそうなのです。その時の写真がこちら!(編集部からお借りしました。)
確かに同じ形をしていまね・・・。コヨセさんいわく、「忠実に描いているだけです。」
―― 今回は大胆で迫力のある構図も印象的です。
コヨセ:「小さい小さいこびと達と、実際の玄関や窓の高さ、クリスマスツリーなどの大きさ。そのスケール感を表現するにはかなり苦労しましたね。そのまま一画面で描くと画面がすごく大きくなってしまいますしね。」
結果的にはとても独創的で大胆な場面がたくさん生まれています。クリスマスツリーを上から見た構図なんて、なかなか見たことないですよね。部屋の中での小人たちの大仕事ぶりも臨場感たっぷりに伝わってきますよ。
コヨセ:「部屋の中で登場するこの赤いトラックですが、設定はわかりましたか?おうちの中に最初からあったラジコンカーなんです。この家には大きなラジコンカーがあるという事は最初から調べがついているんです。(毎年のデータが蓄積されていて、サンタさんの支部からこびと達に指令があるそうなんです。)だから家の中でもスムーズに作業が進んでいくんですね。」
うーん、なるほど。子ども達ならきっと気がつくのではないでしょうか。言われてみれば犬がいる事も調べ済みの様子です。ちなみに、その赤いトラックはコヨセさんが持っているふるいブリキのおもちゃをモデルに描かれたそうですよ。なかなか味わいのある姿をしているんです。
■ 天の声とは?そしておたすけこびと誕生秘話
―― さて、気になるのが先ほどコヨセさんのお話の中に登場した「天の声」。一体誰の声の事なんでしょう?
なかがわ:「天の声というのは・・・実は私の息子でして。」
ここで、そもそもの『おたすけこびと』誕生秘話まで話がさかのぼります!必読です。
なかがわ:「うちの息子は、小さい頃から働く車が大好きだったんです。1歳の頃からゴミ収集車を見て興奮するような子で。だから、毎日色んな工事現場に連れて行かされたり(これが退屈!)、夜になると今度は『はたらくくるま図鑑』というのを持ってきて『読んで!』。それが、ひたすら説明を読まされている感じなんです。でも間違えば『ちがう!』と指摘されるし、毎晩それは砂をかむような読みきかせを繰り返してきたんですよ。面白くないなーと思って<働く車が出てくる絵本>を読んでも、彼には図鑑くらいハードなものじゃないと物足りないらしく。それで、母親が読んでも退屈しない働く車の本をつくりたい!という野心がその時芽生えたんです。
一方で、おうちでは誕生日の時にはケーキを作ってあげていたんです。スポンジにクリームをまっすぐきれいに塗っていくのって結構難しいでしょ?(私の頭の中には働く車図鑑がいっぱい入ってるから)ああ、ロードローラーが出てきてざーっとならしてくれたら楽なのにな!と思ったのがそもそもなんです。」
そういう状況になっても、ロードローラーはなかなか出てこないですよね!息子さんの働く車好きは相当なもののようです。更にお話は続きます・・・
なかがわ:「『きょうりゅうのたまご』という私の作品があるのですが、
『きょうりゅうのたまご』 なかがわちひろ・作 徳間書店刊
これは、<働く車と恐竜が好きな息子>のために作ったという絵本なんです。主人公の男の子が恐竜のたまごを探すために、ちっちゃなパワーショベルに乗って土の中に潜って行く場面があるんですよ。でも私、働く車に全く愛がないものですから、これは調べないと、と思ってコマツ・テクノセンタという所に行って取材までしたんです。
働く車に愛のあるおじ様方に車両について色々語ってもらい、大きなウインドウの向こうのデモンストレーション(広大な土地で実際に働いてその機能を見せてくれる場所があるそうなんです。)というのがあってじっくり眺めて。実際に私、試運転までしましたから!(何とその時の写真が『きょうりゅうのたまご』の著者紹介写真として掲載されているのです。是非見てみてくださいね。)そうして、私なりに一生懸命愛を込めて描いたのが『きょうりゅうのたまご』の中に登場するパワーショベルなんです。でもそれを見て息子が冷静にダメ出しをするんです!何か違う、と。」
それにしても、そのお話(『きょうりゅうのたまご』)はかなり面白そうですね・・・。
そんな一生懸命の取材時、一方でこんな出来事もあったそうなんです。
なかがわ:「ウィンドウの向こうの(巨大な車両達の砂を積み上げたりする)デモンストレーションをずーっと見ながら『これってさ、あの働く車たちがお菓子つくってるみたいだよね・・・。』とつぶやいたんです。そしたら横にいた編集長がガバっと起きて『それだ!』って言ったんです。それでお話をつくれという話になって『ああでしょ、こうでしょ、』なんてすぐ「おたすけこびと』のお話の原型ができちゃったんです。」
それが『おたすけこびと』が誕生する瞬間!でも・・・
なかがわ:「私絶対絵は描きたくないから!って言ったんです。それが条件。働く車に愛がある絵描きさんを探して作ってくれればいいけど、私は絶対にイヤ!そこから絵描きさんを探しているうちに白羽の矢がたったのがこちらのコヨセさん~!」
「そうだったんですね。編集長がガバッと起きたんですね。」と相変わらずマイペースのコヨセさんなのでした。
なかがわ:「長くなりましたけど・・・そういう訳で、先ほどの『天の声』というのがその働く車両が大好きな息子なんだというお話です。
『おたすけこびと』が出来た時、校正段階で絵を見てよだれをたらしながら『これだよこれ!おかんの絵に欠けていたのはこれなんだ』『しびれるな~』とか言っちゃって。それで、その時からコヨセさんに『息子がここがいいって言ってるよ、ここがしびれるって言ってるよ』とか時々メールしていたんです。」
―― その息子さんが太鼓判を押したのが先程のあの場面なのですね。
なかがわ:「今回はこびと達が外に行くという設定なので、車両がどうしても小さくなっちゃうでしょ。そういう状況説明というのも大切だけど、やっぱり働く車が好きな読者には「血わき肉おどる」というページも欲しいのだ!という事なんですね。子どもって、実はそもそもこういう目線で見てるんですよね。さっと視線が近づいて『ここがこうなって、これが回って・・・』なんて。そういう意味ではとても子ども達を満足させるページになっていると思います。これは男の子ならではの感覚なのでしょうか?なかなか女性チームではわからない部分なんですよね。」
『おたすけこびと』シリーズでの「天の声」の存在は、かなり重要な様です!?
■ 隠れたみどころを教えてください!
―― 絵本ナビ読者の為に、何か隠れたみどころを教えて頂けませんか?
なかがわ:「コヨセさんの、こびと達への愛というのを感じるお話をひとつ。この子たち、今回は冬服を着ているんです!気が付きましたか?」
気が付きませんでした~
なかがわ:「前作では綿のシャツだけだったんですけど、今回はフリースの上着をきて、あたたかいカラー軍手をしているんです。ブーツも長め、中にはもこもこが付いている冬仕様です。これはね、コヨセさんの父心なんです。」
―― コヨセさんもこびと達に関して、何かありますか?
という事で、コヨセさんにもいくつか挙げてもらいました。実際に購入された方はお手許で確認しながら楽しんでくださいね!
☆ 18ページ、めくって19ページ目。
「前のページで転んじゃったこびとがいて、次のページではそのこびとにヘルメットを渡してあげているこびとがいます。」(細かいポイントですね。)
☆ 前作同様、服の色で仕事を分けているそうです。
「黄組み、赤組のひと」なんて気がついた小さな子もいるんだそうですよ。親子で考えてみてね。
☆ こびと達があの依頼人から荷物を預かっている場面では、ちゃんと仕事に専念しているこびと、嬉しくてはしゃいじゃっているこびとなど様々な様子が楽しいですよ。
☆ サンタさんの部屋に置いてあるマグカップに描いてあるこびとは、前作『おたすけこびと』に一度だけ登場しているらしいです!
―― サンタさんの部屋はどんなイメージで描かれたんでしょうか?
コヨセ:「寒い国の牧場的な所にある建物。外は寒そうなんだけど、中は暖かくて、というイメージですね。仕事部屋として整然としていて、棚はたくさんいるだろうな、とか考えながら。サンタさんの机の上には住所録もつんであります。」
なかがわ:「サンタさんが着ているセーターもお洒落ですよね。コヨセさん、ニットものには愛があるんですよね。」
コヨセ:「ありますね。」
そんな所も見所かも?
―― 今回も見返し(表紙の裏の部分と、裏表紙の裏の部分)がかなり楽しい感じですね。
コヨセ:「ここには気が付きましたか?最初と最後の見返しのページは楽しいでしょう。」
なかがわ:「ここは女の子もキャー、ワーなんて言いながら楽しめるポイントですよね。この2ページだけで、子ども達はどんどん物語をつくっていくんです。絵によってどんどん世界が広がっていく、それがとっても面白いですよね。」
コヨセ:「この見返しの場面はね、作品の制作が始まって最初の頃に描きあげたんですよね。おたすけ会議に持っていって『これいいでしょ?』って言ったら、にこりともしないでチェックが始まったんです。」(一同笑)
なかがわ、編集者:「そんなことないですよ!最初は感動してたじゃないですか。でも、それには理由がちゃんとあるんですよ。前作『おたすけこびと』の時、コヨセさんが想像以上の数のこびとを描いてきたのでびっくりしたんです。それはいいのですが、ちょっとおかしな事になっているこびとや塗り残しがたくさん見つかったんですよ。だから、みんなでチェックを入れる作業は恒例になっていて。でも、今回は一個も間違いはなかったですね。」
前回の取材では、こんな話は一つも出なかったですよね(笑)。
■ 子ども達にはこの作品をどんな風楽しんでほしい?
―― 出来上がってみて、子ども達にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
コヨセ:「こういう内容のものは好きなように楽しんでくれたらそれでいい、私が言葉にする必要が全くないんじゃないかと思ってます。
以前、ある写真を見せてもらったことがあるんです。男の子が、こたつの上に『おたすけこびと』を広げて座ってテレビ見ている写真、それから今度は腹ばいになってその下に『おたすけこびとのクリスマス』が広げてあるという写真。どちらも目線はテレビなんですけど、それがすごくいい写真なんです。絵本の楽しみ方の景色としてね。それでいいんじゃなないかな、その子にしか楽しめない楽しみ方があっていいんじゃないかなって思いますね。」
その男の子は、まず朝起きると『おたすけ~』を抱えて、ごはんを食べるにも何をするにも取りあえず持って行動するそうなんです。「おたすけ~」は愛されているんですね・・・。
―― それでは、絵本ナビ読者である大人の方に向けてこの作品の魅力を語るとすれば?
なかがわ:「ありふれた言い方かもしれませんが・・・やっぱり想像力なんでしょうね。子ども達が各シーンの中で起きている色んなドラマを想像できるんですよね。例えばこのシーン。
ある小さな男の子がね、このシーンを開いてじっと見ながら恍惚とした表情でため息をつくんですって!「ほお~」って(笑)。多分、彼には色んなことが想像できちゃうのでしょうね。単純に絵として見ると、もっと迫力あるページなんかが他にもあるんだけれど、このシーンには隙間がある。こどもがいっぱい想像できる隙間があるんです。もし、自分がこびとだったら・・・なんて、子どもたちの中ではすごい迫力で場面がせまっているのかもしれないですね。」
コヨセ:「このシーンは、全てを俯瞰(ふかん)しているんですよね。玄関先があって、小さい車がいて、小さなこびと達がいて、大きな犬がいて。そこが何が起こるのか。それを上から見下ろして。想像は尽きないかもしれませんね。」
■ 初めての絵本と今回の気持ちの変化
最後に『おたすけこびと』が絵本作品デビュー作、「おたすけこびとのクリスマス」が2作目となったコヨセさんにその心境などをお伺いしてみました。
―― 前作『おたすけこびと』が初めて手がけられた絵本だったコヨセさん、新作が出るまでに気持ちの変化などは何かございましたか?
コヨセ:「本当の事を言うと、2冊目は出ないと思っていたんです。1冊目のアイデアが秀逸すぎて。単純なことだけどスゴイ!と思っていて。こんなすごいものが2回はできないだろうなと思っていたんですよね。だから今回は、一作目を超えるものが出来るのかなぁというプレッシャーというのが結構ありました。
でも、出来上がってみると意外と好感触でほっとしているというのが本心です。読んでいる人がどう受け取るかというのは、想像できない部分もありますが、この作品を買ってくれるというのが僕の中では一つの答えとして受け取っています。そういう意味では、今はほっとしていますね。」
―― 子ども達の反応やレビューなどというのは未体験だったと思うのです。でも絵本というのは、そういう反応も含めて出来上がっていくんですよね。そういう意味では今回絵本が仕上がってからの気持ちも全然違ったのではないでしょうか?
コヨセ:「それはありますね。100%違いました。『おたすけこびと』の時は描き終わって編集の方に絵を渡した時点で終わった~と思ったんですが、今回は渡した時点で始まったという感覚でしたね。さぁどうする、どうなる、と。」
そうです、絵本ナビでの「おたすけこびとのクリスマス」はまさにこれからがスタートですね!
コヨセさんは本当に皆さんのレビューを楽しみにしてくれているんです。この絵本がより多くの子ども達に楽しんでもらえるように、皆さんで盛り上げていきましょうね。
■ 豪華なおまけ画像!
『おたすけこびと』を持っていらっしゃる方は気になっている方も多いかと思うのですが、著者紹介コーナーのお写真がとってもユニーク!
制作時、なかがわさんのレシピをもとにコヨセさんが編集チームと共に徳間書店さんの中でケーキを作ったそうなのです。それがなぜか「ふくらまない!」。でも何とか作ったんだという証拠写真として撮られたのがコヨセさんのお写真。それを聞いたなかがわさんがわたしもつくるわ!と言い、「同じレシピでつくってふくらみました!」とかなり得意気顔なのがなかがわさんのお写真。エピソードを聞けば聞くほど笑ってしまいます。
「まぁ、環境、道具が悪かったんですよね。」なんて、目の前で編集の方にまた慰められているコヨセさんが更に可笑しいのです。
じゃあ2巻目はどうしよう、という話になって。絵が描き終わって気が大きくなったコヨセさんが「じゃあ僕つくります!」と言って作り始めて完成したのがこちらの写真。
▲今回の撮影は徳間書店さんのエレベーターホール!
▲背景もその場でコヨセさんが描いております。
「これ真夏だったんですよね・・・」(なかがわさん)
著者紹介ページなのに、顔がほとんど隠れちゃってますね?
なかがわ:「これは意味が深いんです。わたしがサンタ、コヨセさんはよく働くトナカイ」
コヨセ:「あー!そうだったんだ」
なかがわ:「知らなかったの?」
段々こちらも、この絶妙の掛け合いがクセになってきてしまってます(笑)。
最後に記念写真をぱちり。
イソザキも一緒に。なぜかポーズまで付けられて。すごい盛り上がっています。
お二人とも楽しいお時間をどうもありがとうございました。
この取材を通して、「おたすけこびと」という作品が作者にも出版社にも本当に愛されているという事がよーく伝わってきました!
ちなみに次回作は・・・気長にお待ちくださいとのことでした。
★コヨセ・ジュンジさんが絵本ナビ読者の為に素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!
それぞれ個性的な翻訳絵本『かわいいことりさん』『サラちゃんとおおきなあかいバス』『おばけやしきにおひっこし』(全て光村教育図書刊)。これら3冊の翻訳をされているのは絵本作家、翻訳家として活躍されている石津ちひろさんです。
更にこれから発売される最新刊『ふゆのようせい ジャック・フロスト』の発売を記念しましてインタビューが実現しました!それぞれの作品の魅力について翻訳された石津ちひろさんからの口か語られるこの企画。何とも贅沢だと思いませんか?
インタビューを通して、絵本作家としての石津さんの魅力についてもたっぷりお伝えできると思います。どうぞお楽しみください。
石津ちひろ
1953年愛媛県生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。3年間のフランス滞在を経て、絵本作家、翻訳家として活躍中。『なぞなぞのたび』(フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞、『あしたうちにねこがくるの』(講談社)で日本絵本賞、『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞。訳書に『リサとガスパール』シリーズ(ブロンズ新社)他多数。
石津ちひろさんの作品はこちらから>>>
お会いした瞬間から、太陽の様に明るく気さくなオーラが伝わってくる石津ちひろさん。最初から笑いの絶えない楽しい雰囲気の中、取材をスタートさせて頂きました・・・。
◆特別な一冊『かわいいことりさん』
まず最初の一冊は、石津さんもお気に入りというこんな絵本についてお伺いしました。
『かわいいことりさん』
クリスチャン・アールセン・作 石津ちひろ・訳 光村教育図書刊
※作品の内容詳細・みどころはこちらから>>>
最初に出会った時から・・・。
小さな頃から鳥が大好きだったという石津さん。モチーフとしての鳥も好きで、色々小物を集めたりもされていたそうです。だからこそ、この絵本は、表紙をひと目見てとても気に入ってしまったそうなんです。
「でもそれ以上に、読んでみてその内容に強く心を惹かれました。人間にとって、避けて通れない「死」というものが大きなテーマになっていて、本当は悲しいお話なのですが、でも、もしこんな形で人生の最期が迎えられるのであればそれは幸せなことなんじゃないかと思えたんですね。この絵本の登場人物たち(鳥を観察するのが仕事のプリュームさん、鳥のさえずりが好きな奥さんのマドレーヌさん、そして孫娘のチェリーちゃん)みんなが鳥を通して密接なつながりがありますよね。そこのところがうまく出せればいいなと思いました。」
個人的にもすごく思い入れのある一冊
そもそも「動物が好きな人に悪い人がいない」という想いがあるとおっしゃる石津さん。この作品も、とにかく好きなお話だなと思って、心を込めて翻訳されたそうです。でも完成した後、石津さんにとって大きなある出来事があったそうで・・・。
「この絵本が出来上がったあと、(本作を出版された)出版社の方にお会いしたんです。その時に、なぜかしきりに自分の父の話をしたんですよね。普段あまり父の話をすることなんてなかったのに。実は、そのちょっと前から父は具合が悪かったのですが、出版社の方にお会いした後すぐに容態が悪くなったと連絡が入り、慌てて駆けつけて、その10日後に亡くなったんです。
そういうかなり悲しい事があって。でもこの本があったおかげで、『父はいつもそばにいてくれるんだ、見守ってくれているんだ』と思えて、支えになってくれたところがあったんです。絵本の中のチェリーちゃんのように、父から受け継がれていくものがあるんだろうな、と。父が最期に『みんながいるから幸せ』と言っていたのがとても心に残りました。
そんな風に自分の事とも照らし合わせながら、例えば悲しい思いをした人でも、この絵本を読めば何か救いを感じるんじゃないかな、と考えて。だからとても大切な一冊なんです。」
作者クリスチャン・アールセンの魅力について
石津さんの目から、この作品の具体的な魅力についてもお伺いしてみました。
「登場人物、鳥、果物、ケーキなど、出てくる全てのものをすごく丁寧に描かれていて、愛情が感じられますよね。日常生活をとても大切にされている感じが伝わってきて、いいなと思います。色づかいもとても鮮やかで、お子様が見ても親しみやすいんじゃないかしら。それに、悲しみも喜びも感情を色で表現されていてるのも魅力的。
重厚なテーマを扱っているけれども、読んだ後にほのぼのとした気持ちになれるんですよね。それでいて大切なものは残る感じ。それは、絵の力によるところも大きいのかもしれませんね。『死』というものをいい意味で身近であたたかく描かれているところにとっても共感できます。」
翻訳について
静かに淡々と、でも楽しさや愛らしさも伝わってくるような文章がまたとても魅力的。翻訳される時に気をつかう部分はあるのでしょうか?
「翻訳している時はいつも無意識ですね。原書の雰囲気を壊さずにと思って表現しています。しっとりと落ち着いた感じで、でも重くなりすぎず・・・という感じに自然と表現できたかな、と思ってます。」
原書のフランス語のニュアンスも出ていると喜ばれていた編集の方。きっと、英語とフランス語、両方に堪能な石津さんならではの表現もあるのでしょうね。
読み終えた後に・・・
「この絵本を読み終えた後に、家族や親子、または兄妹、夫婦間など少しでも感想を述べ合ったりしてくれたらいいなと思いますね。一冊の絵本なんですけど、一つの演劇、映画を観終わったような感じってあると思うんですよね。絵本以上の広がり、深みがあるような気がします。まだ小さいチェリーちゃんですが、こういう思い出があれば、きっとこれからの困難も乗り越えていけるんだろうな、なんて思ったりします。」
◆子どもの心に寄り添うお話『サラちゃんとおおきなあかいバス』
次にご紹介するのは、小さな女の子が主人公のこんな絵本。
『サラちゃんとおおきなあかいバス』
ジェーン・ゴドウィン・作 アンナ・ウォーカー・絵 石津ちひろ・訳 光村教育図書刊
※作品の内容詳細・みどころはこちらから>>>
取材日の2~3日前に出来上がりを見られたばかりという石津さん、ちょっとほっとされた様子で話して下さいました。
まず名前をつけるところから
「原作では主人公の女の子は『LITTLE CAT(リトルキャット)』と表現されているんです。愛称なのかな?それで、まず女の子に名前をつけたいと思ったんです。親しみが持てるように『~ちゃん』がいいなと思って。絵本の中でも一番小さいですしね。それから、日本にもありそうだけど世界共通の名前は・・・と考えて。そしたら知り合いの娘さんの「サラちゃん」っていう子が思い浮かんだの。(石津さんの)娘に聞いてみたら『うん、ぴったりぴったり。』って言ってくれて。」
そうして決まった名前サラちゃん。
「親しみやすくて、愛おしい存在。でも本人にはすごく不安な気持ちがあって・・・。そんな感じが出せたらいいなと思ったんですよね。」
石津さんにとってのサラちゃん
「最初、原書で『LITTLE CAT』と表現されていたこともあって、猫好きの私としては、この子のことを見守ってあげなきゃいけない存在だなと思ったんです。でもそれと同時に、私自身、子どもの頃二人の姉の後ろをついてまわっていて、サラちゃんに自分を投影するような感じもあって。立場として両方の感情がありましたね。」
赤いバスとサラちゃんの関係
そんな小さなサラちゃんと対照的に、とても大きな存在として描かれている赤いバス。その関係性の変化もこのお話の大きなみどころですね。
「サラちゃんにとってのこの大きな赤いスクールバスというのは、楽しいのだけれど、どこかちょっとやっかいな存在でもあるんです。(お姉ちゃんはすぐに友達の所へ行ってしまうし、好きな場所にはなかなか座れないしね。)だけど憧れの存在でもあって。ある日、ハプニングがあったけれど、サラちゃんは一番前の特等席に乗って一日過ごせるんです。まるで自分だけの秘密ができたみたいに。『わたし、一番前にのったことあるんだもん。』って。その満足感でこれからの日々、もう赤いバスのことはずっと好きなんじゃないかなと思えました。
赤いバスというのは、『物』なんだけれど、サラちゃんにとってすごく大きな存在で、社会でもあるわけですよね。自分が小さいばかりにいつも損な立場にあるんだけど、ある日一人で不安な思いをして、でもそのおかげで一番前に座れるというラッキーなできごとがあって。」
そんなちょっとした事が、サラちゃん自身をリラックスさせるかけがいのない思い出になったのでは、とおっしゃる石津さん。大人の目線から見ると、本当に些細で微笑ましい出来事なんだけれども、確かに自分がサラちゃんの目線に降り立ってみると・・・これは大事件ですよね。サラちゃんの目線を追っていくうちに、子どもの頃の不安な気持ちを思い出したり、自分の中のそんな経験と結びつけて思い出したりして。
(実際この取材時にも、それぞれみんなの小さい頃の思い出や、バスの中での出来事などが次々と飛び出して大いに盛り上がったんです!)
「そんな心情の変化やバスの存在感の変化が、絵によって繊細に細かく、そしてとても愛らしく表現されています。読みながら、また眺めながら、子ども達は自分に照らし合わせて、また大人は思い出したり見守ってあげたりしながら楽しんでほしいですね。」
◆立派なご意見番!
少し話ははずれますが・・・『サラちゃんのおおきなあかいバス』についてのお話の中で、名前を決定される時に娘さんに相談されたとおっしゃっていましたね。
「娘には普段から色々手伝ってもらってるの(笑)。小さい頃からバレエを習っているので『くるみわり人形』などのバレエの絵本では、ポーズを全部チェックしてもらったり。作品についても意見を聞いたりするんです。結構ダメ出しがあるんですよね。『全然ダメじゃん。』『うん、随分よくなった。』『これじゃ石津ちひろじゃないよ。』なんて(笑)。」
ご家庭での雰囲気も伝わってきます。そんな一面が垣間見られると、石津さんにぐっと親しみを感じられて嬉しくなっちゃいますね。
さて、次にご紹介する作品では、そんな娘さんがご意見番として大活躍されたそうで・・・。
◆娘さんもお気に入り!『おばけやしきにおひっこし』
『おばけやしきにおひっこし』
カズノ・コハラ・作 石津ちひろ・訳 光村教育図書刊
※作品の内容詳細・みどころはこちらから>>>
テンポの良い絵本の翻訳は結構大変!?
「この作品は絵がとってもくっきりしていて、文章が短くて、リズムがあって、きびきびしていて。軽やかな感じを・・・と思って訳してみたんです。そしたら娘から『全然ダメ、テンポが良くない』ってはっきり言われて(笑)。それでまた最初から全部やり直したんですよね。」
確かにこの作品は、先に紹介した2冊とはがらっと雰囲気が変わりますね。石津さんに対するこちらの勝手なイメージで想像して、こういうパキっとした感覚の作品の方がご自身に近くて翻訳しやすいのかなと思っていると・・・。
「翻訳の時は結構しっとり系の方がすんなりと出来上がるんです。言葉遊びなんかを作っていると、歯切れのいい言葉づかいがぱっぱと浮かぶんです。それが翻訳になると、こういうタイプの作品は、結構何度も何度もやり直しながら、絵と合わせてしっくりくるように完成させていく事が多いんですよね。(『リサとガスパール』シリーズなんかもそういう感じなのだそうです!)娘が感覚的にダメ出しをしてくれることも多いですね。」
それでも次に出来上がってきた石津さんの文章は、編集の方もはっとする程がらりと変わっていて、本当に感動されたのだそうですよ。結果的には、娘さんもこの作品が大のお気に入りとなったそうです!
作品の魅力
表紙からぱっと目をひくこの作品。オレンジと黒の2色の風景に、白い紙をはったような表現のおばけがとってもユニークです。作者はイギリスで活躍されているカズノ・コハラさん。まだとてもお若い方なのだそうです。翻訳者の石津さんの目から、その魅力を語って頂きました。
「使っている色自体はとても少なくて、構図もシンプル。でもここまでみごとに表現できるなんてすごいなと思いますね。人を引き込む力があるんですよね。すぐ目の前でその出来事を見せてくれているような。版画で表現されているんですけど、リアルに目の前で展開しているような躍動感があって。お話の方も、テンポが良くてぐいぐい進んでいきます。読み聞かせ会などで読んだとしたら、例えば絵本に慣れていないようなお子様でも引き込まれていくでしょうし、みんなが楽しんでいる様子が目に浮かぶようですね。」
マージョリィとオスカー
この作品も、原書では名前はついてなかったそうです。そこで親しみを持ってもらうために名前をつけようという話になったそうです。ところが、カズノ・コハラさんは日本人の方なので(イギリスを拠点に活動されているので、原書は英語。)翻訳版を出版するにあたって、コハラさんご自身の指定で新たに名前がつけらたそうですよ。
女の子がマージョリィで、ねこがオスカー。魔女らしく、それでいてとってもキュートな名前ですよね。
◆最新刊は『ふゆのようせい ジャック・フロスト』
以上3冊に加えて、最後にご紹介するのはこれから発売される新刊『ふゆのようせい ジャック・フロスト』。『おばけやしきにおひっこし』の作者カズノ・コハラさんの新作です。取材時にはまだ出来上がっていなかったので、どんな内容なのか、石津さんに少しご紹介して頂きました。
『ふゆのようせい ジャック・フロスト』
カズノ・コハラ・作 石津ちひろ・訳 光村教育図書刊
※作品の内容詳細・みどころはこちらから>>>
『おばけやしきにおひっこし』とはまた違った魅力!
「『おばけやしきにおひっこし』と同じ作者の方の新刊なんですが、雰囲気がまたガラっと変わって。こちらは冬の冷たくて澄み切った空気、ひやっとする感じが伝わってきますよね。色が本当にきれいで、空気感がすごよく伝わってきて。」
今作の舞台は冬。きれいな青い風景に、まばゆいばかりの白い線がとても印象的!
「季節は冬。退屈していた男の子の所へ、ジャック・フロストという『ふゆの精(日本語で直訳すると霜の精なのだそうです!)』が現れるんです。ジャック・フロストと一緒に、男の子は雪や氷の上であらゆる冬の遊びをします。この場面は実際に一緒に体験しているようで、見ていてすごくワクワクするんですよ。
でもある時男の子が聞くんです。『ねえ、ずっといっしょに遊べるの?』
ジャック・フロストは『遊べるよ。でもぼくの前で春の話はしないでね。魔法がとけちゃうから』と言うのですが・・・。(続きはお楽しみに。)
ちょっと切ない部分もあるのですが、最後にとてもあたたかい気持ちになれる内容です。
もちろん、雪がたくさん降る地方の子どもたちが読んでも楽しいですし、反対に雪を見たことがない様な暖かい地方の子ども達も、憧れの気持ちで楽しんで読めるかもしれませんね。」
これから要注目の作家さん
この作品では、前作とはまた違った魅力を発揮しているカズノ・コハラさん。冬の風景の描き方など、とても大人っぽく上品な雰囲気。でも登場人物たちがとても可愛らしく、そんなバランス感覚が何とも絶妙と石津さんも絶賛!コハラさんの作品は、出版されたイギリスでまず火がつき、更にニューヨークでも『おばけやしきにおひっこし』(初めての絵本!)でニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞に選ばれるなど、世界が注目する新進気鋭の絵本作家さんなのです。これからの展開も本当に楽しみですね。
翻訳版にだけ登場!
最後にとても石津さんらしいエピソード。『ふゆのようせい ジャック・フロスト』では男の子と一緒にワンちゃん(犬)が一緒に描かれています。原書では文章には登場していないそうなんですが、石津さんの翻訳バージョンにはちゃんと一緒に登場しているそうです。
「(編集の方に)言われて、『あぁ、そういえば』って気がつきました。ワンちゃんとか動物が出てくると無視できないんです、私(笑)。自然と登場させていました。」
そういえば『おばけやしきにおひっこし』でも、猫にもしっかり名前が与えられています。本当に動物が大好きなんですね。
今回ご紹介頂いた作品4冊に、石津ちひろさんが直筆サインを描いてくださいました!
気になる作品がありましたら、是非チェックしてみてくださいね。
続いて、絵本作家石津ちひろさんについてもお伺いさせて頂きました。
◆絵本作家 石津ちひろさんが生まれるきっかけ
今回の特集の様に、絵本の翻訳家として大活躍されている石津ちひろさん。(「リサとガスパール」シリーズも全て石津さんが翻訳されてます!)でも「言葉の魔術師」と評される通り、回文やなぞなぞを初めとして言葉遊び絵本をたくさん生み出されている作家さんでもあります。その他絵本作品も合わせると、絵本ナビに登録されているだけでも170作品以上!そのラインナップを見ていくと、意外と慣れ親しんでいた絵本が実は石津さんの作品だった・・・という方も多いのではないでしょうか?そんな石津さんに、絵本の仕事に携わるきっかけとなったエピソードをお伺いしてみました。
全てのきっかけは回文から
「絵本の仕事を始めさせて頂くきっかけとなったのは『まさかさかさま 動物回文集』(絵・長新太 河出書房新社刊)でした。」
と石津さん。全ては回文がきっかけなのだそうです。
「パリに留学していた時に、たまたま集まっていた2~3人の日本人のお友達とカフェでお茶をしていた時、『回文の作りっこをしよう。』という話になったんです。その当時、回文なんて知らなかったので聞いてみると『上から読んでも下から読んでも同じもの』とのこと。で、『例えば・・・きしゃのやしきとか?マカオのおかま?』なんて口に出してつくってみたんです。そしたらお友達が『紙に書かないで出来るんだ。すごーい、天才!』なんて言うから、『てんさい?じゃあ・・・さいさんててんさいさ。』どんどん出来たんです。それがすごくお友達に受けて。私こんなに受けたことなかったかも!なんて思った事が回文作りの最初のきっかけでしたね。」
うーん、何とも軽やかなきっかけ。口に出してみたら出来たなんて、石津さんらしいエピソードです。でも、ここからがもっとスゴイ。
回文が本になるまで
「それから日本に帰ってきて。暫く回文の事は忘れていたんですけど、ある日部屋にかすみ草を飾った時にふと『カスミソウ?逆さに読むとウソミスカ。じゃあ・・・わたし かすみそう うそみすかしたわ』できた!と。他にも『きりん ねていて ねんりき』『ちんぱんじいから かいじんぱんち』なんて色々思いついたんです。お友達に話してみたら、『それ絶対面白いよ!動物ばっかりで作ってみたらどう?』って言ってくれたんです。それで10個位書いてたんですよね。」
このお話を聞きながらも、石津さんの口からスラスラ出てくる回文に驚かされっぱなしです。いくらでも出てきそう・・・。
「ある日、何かのきっかけで河出書房新社の方から『お茶でも飲みにいらっしゃい。』と誘われたんですよね。飲みにいらっしゃいと言われても、何も持っていかないのも・・・と思って、作った回文を10個位持って行ったんです。そしたら『これ、面白いかも!』と言ってくださって。この動物回文を80~100個位書けたら本に出来るかもしれない、と言われたんです。」
もう、その帰りからずっと回文を考え始めたという石津さん。この頃お子様が誕生されたばかりで、なんと0歳の赤ちゃんを抱えながらずっと作っていらっしゃったそうです。目に見えたもの何でも回文にして・・・。
「そしたら130個位出来たんです。」
130個!そうして本を作る事になったら、今度は絵を長新太さんが描かれることになって。今では回文を書きながら絵が同時に浮かぶ事も多いという石津さん、この時の長さんとのやりとりで色々学ばれた事が多かったそうです。何ともうらやましい話ですね。その後も藤枝リュウジさんと組まれた人気シリーズなど、回文や早口言葉など言葉遊びシリーズは沢山出されてます。
お子様との生活の中で生まれた「なぞなぞのたび」
それにしても、まさに子育ての思い出と、回文作成の思い出が一緒になっている感じなのではないでしょうか?
「そうそう。だから娘は小さい時、原稿用紙のマスを○で埋めながら『オシゴト』『マシャカシャマよ』なんて言ったりしていましたね。ちょっと大きくなると、幼稚園のお迎えの自転車の上で『ママ早く帰りたい』って言うから、お腹空いたのかな?と思ったら『いい絵の考えが浮かんだの』なんて口にされて、驚いたこともあります(笑)。」
「そんな風にして家でずっと仕事していたから、じゃあもう日曜日だけは仕事をやめよう、娘となぞなぞでもしよう!・・・で生まれたのがこの『なぞなぞのたび』なんです。」
まさにお子様との遊びの中から生まれた絵本だったんですね。この絵本、小学生に大人気です。この日も石津さん自ら出題してくれました。
「あさにはなくて ひるにあらわれ よるのあいだは ずっといて
あさになると またきえる さていったいなあに?」
さあ、皆さんも考えてみてくださいね!絵を見ながら考える問題なので、気になる方は本を覗いてみてください。(※答えは記事の最後で)
更につながっていって・・・
その『なぞなぞのたび』を、あるイベントでみんなの前で読む機会があったそうです。たまたま新沢としひこさん(シンガーソングライダー・絵本作家)が司会をしていらしたそうで。(新沢さんはすごく回文がお好きだったらしく、石津さんに初めて会われた時も「あの『まさかさかさま』の石津さんですか!』なんてすごく喜ばれていたそうなんです。)
「なぞなぞをいくつか読み終えた時に、新沢さんが『石津さんのなぞなぞって、何だか詩みたいだよね。』って言うから、照れ隠しに『知らなかった?私詩人なのよ。詩を書かない詩人なの。』って言ったんです(笑)。」
それをたまたま会場で編集者の方が聞いてらして、数日後、石津さんに声をかけられたそうなのです。「詩集を出しませんか。」って!それがきっかけで出来上がったのが『あしたのあたしはあたらしいあたし』。
ここまでお伺いしていて多くの方も感じられているでしょうが、本当に<お仕事のしりとり>みたいだと思いませんか!何だかとっても不思議なお話です。その後も絵本のお話を書かれたり、翻訳の仕事をなさったり。大活躍の石津さんなのです。
石津ちひろさんの作品一覧はこちらからどうぞ>>>
◆娘さんとの貴重なエピソード!
お話の中で、度々登場している石津さんと娘さんとのエピソード。子育て中の方が多い絵本ナビ読者にはとっても気になる部分ではないでしょうか。そんな皆さんの為にとっておきの微笑ましいエピソードも教えてくださいました!
「実は、リサとガスパールの絵本の中でよく登場するセリフ『ひゃー、やっちゃった。』というのは、娘の口グセだったんです。よく驚いた時に『ひゃー!』って言ったり、失敗したら『やっちゃった。』なんて言っていて。」
そうだったんですね!あの可愛らしいセリフは、シリーズを通してもとっても印象的ですよね。あれ、そういえば『あしたうちにねこがくるの』の中にも「ひゃー、かわいい」というセリフがありますね?
「あ、そうそう。これもそうですね。」
それから思い出したように・・・
「そういえば、娘が小学生の頃に移動教室をかねて山登りに出かけた事があったんです。その日に担任の先生が宿泊先から家に電話をかけてくださったんです。どきっとして、『何だろう?』 と思っていると、先生が『実は・・・娘さんが、猫を拾ったんです。』って言うんです。『それが・・・とっても可愛いんです。2匹なんです。』って(笑)。」
娘さんは猫を連れて帰りたいと泣くし、校長先生に確認をしなければならないし、ミルクをやらなければならないし、ちょっとした騒動になっていたようなんです。
「それで、家でわくわくしながら待っている間に私が考えたんですよね。『どんな猫なんだろう?』『山にいた位だからすごく弱ってるのかな?』『目は何色なんだろう?』なんて。そしてたらすご―く可愛かったんです!!まさに『ひゃー、かわいい!』です。あの絵本は、実はこの出来事がきっかけで生まれたんですよ。」
そのまま2匹の猫は石津さんのご家族になられたそうです。
◆最後に・・・
絵本作家になられて良かったと思われる事はありますか?
「もちろん、自分の作品が本として出来上がるというのはとっても嬉しいことです。でも、何よりも・・・これは答えにはなっていないかもしれないんですけどね。絵本の仕事を始めてから、この業界の方達が本当にいい方ばかりなので嫌な思いをした事がないんですよね。絵本作家の方にしても、編集の方にしても。とてもいい方に囲まれて生活できるというのが、本当に幸せなことだなあって思うんです。」
絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いできますか?
「絵本っていうのは一冊ずつ完結していますよね。でも、例えば自分の好きな猫の絵本であったり、乗り物の絵本であったり、テーマを決めて読んでみたり。そういう風に系統をつけながら読んでいくと、世界が広がっていって楽しいですよね。
それからなぞなぞだったら、お子様に読むだけでなく、自分自身も一緒に考えたりして楽しんでほしいですね。更に自分でもなぞなぞをつくってみたり、回文や折句なんかを考えてみたり、参加してみる事を是非おすすめします。
他にも、例えば今回ご紹介した『かわいいことりさん』の本を読んだ後だったら「鳥を見つけてみよう』とか、「サラちゃん~」だったらバスに乗ってみようとか、シーツでおばけになってみようとか、絵本を読んだ後、日常生活に結び付けて考えてみると楽しめるかもしれませんね。」
なるほど、そんな風に絵本を楽しめるのも実際に子育てを楽しんでこられた石津さんならではなのかもしれませんね。
「それから大きくなってから絵本を読む事によって、子どもの頃の感覚を思い出せるという効果もあると思うんですよね。自然体だった頃の感覚を思い出したり、小さい頃に親に読んでもらって嬉しかった時の感覚を思い出せたり。そういう意味では、親子で絵本を読む時間っていうのは子ども達にとっては宝物のような、本当に大切な時間なのでしょうね。」
ありがとうございました!
色んな方との出会いがとっても嬉しいとおっしゃる石津さんですが、話していると、こちらの方が何だか幸せな気分になってくるんです。きっとまわりの皆さんもそう思われているのでしょうね。ついつい長い時間お話をお伺いしてしまいました。
翻訳のお話から回文のお話、更には子育てエピソードまで、本当に独自の才能に溢れている石津ちひろさんに魅了されっぱなしのインタビューでした。
最後に記念にパチリ!
この後、ご一緒にお茶までお付き合い頂いたのでした・・・。
※なぞなぞの答えは・・・「る」
今年の6月、絵本ナビメルマガで『あいうえおん』の特集号をご紹介しました。
メルマガバックナンバーは">こちら>>>
その際に作者のあきびんごさんからの宿題として、「お気に入りあいうえおん」を募集しました。
詳細はこちら>>>
この度、大好評の絵本『あいうえおん』がそのままカルタになりました。
その発売を記念に、カルタの札を使ってアンケート結果をご紹介してみましょう!
■ あなたのお気に入り「あいうえおん」を教えてください!
★1位・・・1位はこちらの2点。べんとうは大人に、ゼリーは子ども達に人気がありました!
「ベンチで べんとうが べんきょう」
「ゼリーに ぜんぶ ぜっけん」
★3位・・・次に人気があったのは、りりしいトラがカッコイイこちら。
「とんぼに とらが とまってる」
★4位・・・4位以下は票が割れました。あなたのお気に入りは入ってますか?
「ポストから ポップコーンが ぽろぽろ」 「メロンと めだまやきの めがね」
「ちりとりに ちいさな チンパンジー」 「おにの おならは おおきいな」
「ざぶとんに ざると ざりがに」
★9位
「てんしと てんぐが テニス」
「ぶどうがぶたにぶつかる」
「あひるの あかちゃん あまえんぼう」
「いぬが いちごを いただきます」
★その他
「きゅうきゅうしゃに きゅうりと キューピー」
「ニュースで にゃんこの にゅうがくしき」
「たこと たぬきが たいそう」
「すずめが すべりだいで スキー」
「げんかんで げたが げらげら」
「しゃちが しゃしんにしゃべってる」
「ケチャップと ケーキが けんか」
「ばしゃに ばけた バナナ」
「だるまが だいこんに だきつく」
「ぎょろめの ギョーザが ぎょうれつ」
「うまの うしろに うしがいる」
「へびの へやは ヘルメット」
「コアラが こたつで こっくりこっくり」
「パンダが パイナップルで ぱくぱく」
「さると つるが るすばん」
「ちょうの チョコレート ちょうだい」
「うさぎの ギターは ギザギザ」
「ヨットが よっぱらって よちよち」
「あんパンが しんかんせんを うんてん」
■ オリジナル「あいうえおん」を思いついた方は教えてください!
●「さると サメが さかなつり」
●「はさみの はしに はえ」(ハサミの端にハエ)
●「はな(花)が はな(鼻)に はな(話)しかける」
●「ウーパールーパーが うけつけで うまれる」
●「かっぱの からは かめ」
●「スリッパの すきまに すずめばち」
●「おかあさんが おおかみと おてだま」
●「あめのひに あまがえるさん あささんぽ」
●「おとうさん おみせで おろおろおろ」
●「きゅうりの きゅうどう かにとかきがかった」
●「くつに くりが くっついた」
●「パパの パンが パンクする」
●「ぶらんこに ぶらさがる」
●「さんまが さかみち サイクリング」
●「ビ-ルに 備長炭で ビビンパ」
●「かっこう かけっこ かてるかな」
●「ごきぶり ごきげん ごみのやま」
●「さるが ささっと さっていく」
●「きりんが きしゃに きりきりまい」
●「まんとひひが まらかすもって まわってる」
●「遠方に エリンギ似の えんどう君」
●「ほんのり ホットケーキの 本心」
●「ななめの なめこが 泣き通し」
皆さん、力作ありがとうございました!!
あきびんご先生にお伝えしましたからね。
他の方もこんな風に是非「オリジナルあいうえん」を作って遊んでみてくださいね。
意外と白熱しちゃうかもしれませんよ。
クレヨンハウス刊 谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズ第9弾『おそばおばけ』で谷川さんと組まれたのは漫画家しりあがり寿さん!この異色の組み合わせは聞いただけでもワクワクしてきます。更にブックデザイナーとしてもひっぱりだこの祖父江慎さんも加わって。一体どの様にアイデアが練られていったのでしょう。今回、クレヨンハウスさんが制作風景を絵本ナビの為に特別にご紹介してくださることになりました。これは貴重です。お楽しみください・・・。
■ あかちゃんから絵本の新作はこの3人で!
『おそばおばけ』は、なんといっても谷川俊太郎さん×しりあがり寿さん+祖父江慎さんという、すごすぎる組み合わせ。最初の打ち合わせからもう、びっくりの展開でした。
谷川さんが、しりあがりさんのために用意したテーマは「せん」。
「ひと筆描きの線」が主人公という提案に、「ライブでできちゃうかも?」と、祖父江さんがその場でコピー用紙を貼り合わせ、しりあがりさんが鉛筆を手に「えいや~っ」と描きはじめ・・・(このようすを詳しく知りたい方は、[月刊クーヨン]2008年4月号を読んでみてくださいね!)。
第1回目の打ち合わせのようす。左から谷川さん、祖父江さん、しりあがりさん。「ひと筆描きでやったらどう?」「フムフム」
(撮影/宮津かなえ)
打ち合わせのテーブルが作業台に! いきなり絵本完成!? と思いきや・・・。
(撮影/宮津かなえ)
しかしながらやっぱり、あかちゃんになりきって絵本をつくるには、少し時間が必要でした。
宿題として持ち帰ったしりあがりさん。その後考えることおよそ1年・・・。
着地点を求めて絵本はさまよいました。もう、「せん」は無理かも・・・そんな気さえしてきた頃、しりあがりさんのラフスケッチを見た谷川さんから、パウル・クレーのポストカードが。細い線で描かれたその絵は、なるほど不思議な魅力がありました。・・・やっぱり「せん」でがんばることに。
「せん」=「めん(麺)」というアイデアがひらめいてからは、祖父江さんの事務所で作画の日々。弥次さん喜多さんなど、ご自身のキャラクターはサササーッとものの数秒で描き上げてしまうしりあがりさんですが、このシンプルな線は、意外に難しい! 祖父江さんの「これ!」というOKが出るまで、ひたすら線を描き続けたのでした・・・。
コズフィッシュ(祖父江さんの事務所)で、しりあがりさん作画中。
しりあがりさん原画です。こうして「ぼく」と「おそば」別々に描かれたものを組み合わせました。
そうしてようやく完成した絵に、谷川さんが「おそばおばけ」のことばをつけてくれました。うひゃー、「そばばばーん!」だって……!
「読んだひとはきっと、一日でつくったんじゃないかと思うよね」と言い合いながら、手塩にかけて、手間ひまかけてできあがった絵本です。でも、そんな苦労はみじんも感じさせないこのナンセンス&ユーモアが、すばらしいではありませんか??
読者の方からは、「一度読んだときから子どものアンコールが出た」などうれしいお便りが届いています。
(文/クレヨンハウス編集部 吉原美穂)
☆完成した絵本がこちら!
『おそばおばけ』
谷川俊太郎・文 しりあがり寿・絵 クレヨンハウス刊
※内容詳細はこちらから>>>
谷川俊太郎
詩人。21歳のとき、第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行以来、絵本、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など、幅広く活躍。著作に『谷川俊太郎詩集』(思潮社)、『みみをすます』『わたし』『ことばあそびうた』(以上、福音館書店)、翻訳に『マザーグースのうた』(草思社)、『スイミー』(好学社)など。さまざまな画家、アーティストとの共作「あかちゃんから絵本」シリーズ(クレヨンハウス)は、今作が9巻目。
しりあがり寿
美術大学を卒業後、キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン、広告宣伝等を担当。1985年、『エレキな春』(白泉社)で漫画家としてデビュー。近年はエッセイ、映像、ゲーム、アートなど多方面に創作の幅を広げている。著作に『真夜中の弥次さん喜多さん』(マガジンハウス)、『地球防衛家のヒトビト』(朝日新聞社)、『ゲバラちえ子の革命的日常』(中央公論新社)、『ゲロゲロプースカ』(エンターブレイン)など。
絵本の中せましと動き回るピヨピヨ5人きょうだいが大活躍。
一度見たら忘れられない愛くるしさ!と噂の絵本「ピヨピヨ」シリーズ。
待望の第3弾『ピヨピヨもりのゆうえんち』の発売を記念して、作者の工藤ノリコさんにいくつか質問をさせて頂きました!ピヨピヨ一家の世界に、すでにはまっている方にも、今気になり始めている方にも、その魅力をより深くお伝えすべくご紹介していきます。
■ テーマは遊び!
【質問1】最新刊『ピヨピヨもりのゆうえんち』のテーマを教えて頂けますか?
『ピヨピヨもりのゆうえんち』 工藤ノリコ・作 佼成出版社刊
「森の中の遊園地でみんなに楽しく遊んでもらえたら、と思って描きました。」
工藤さんがおっしゃる通り、この絵本の中ではピヨピヨひよこ達5匹はもちろん、登場する全ての子ども達はとにかくあちらでもこちらでも遊んでいます。まさに子ども達にとっての「至福の瞬間」がつまっている様です。
【質問2】この作品を描かれている時、工藤ノリコさんご自身の子どもの頃の記憶が根底にあったのでしょうか?
「記憶のイメージと、浮かんでくるイメージと、半々な気がします。
この『森のゆうえんち』は、子どもの頃に連れて行ってもらった 「こどもの国」とか「アスレチック公園」など自然の中で体で遊ぶだけの場所で 本当に楽しく遊んだので、ピヨピヨたちもきっと楽しいだろうと思って 連れて行きました。 本格的な遊園地で大がかりな乗り物にのるのも楽しいですが、 身ひとつで走り回って遊ぶのが、何より楽しいと思うので。」
【質問3】描いていて、特にここが「お気に入り」という場面はありましたでしょうか?
「巨大な木でみんなが遊んでいるシーン、みんな楽しそうで描いてて楽しかったです。 」
↑夢中になって遊んでいる様子を見て、子ども達は自分の事の様に楽しくなり、大人はそんな顔を見て幸せな気分になってしまうのでしょうね。
■ 個性的なキャラクター
広い広い「もりのゆうえんち」。ピヨピヨ一家はあちこち動き回りますが、同時に回りにはたくさんの家族がそれぞれの休日を楽しんでいます。それが一度気になり始めたら目を離せなくなってしまうのです。家族構成、性格、お弁当の中身など・・・登場する家族の数だけ繰り返し楽しめるほど!そして、実はこの脇役家族達はシリーズを通して登場しているんです。ブタさん一家、ライオンさん一家、クマさん一家、ゴリラさん一家などなどなど。
このように、工藤ノリコさんが愛情を持って描き出される登場人物やその表情はとても個性的!
キャラクターについてもいくつか質問してみました。
【質問4】個性的でインパクトの強いキャラクター、でもそれが実在の子ども達に重なって見えてくるのが不思議(例えば息子)。ひょうひょうとしているようでいて、でも好奇心に満ちあふれていて、好きなものにはまっしぐら!登場人物にはモデルがいたりするのでしょうか?
「いるような、いないような・・・。」
【質問5】「ピヨピヨ」シリーズの中で、特に工藤さんがお気に入りの一家というのはいるんでしょうか?
「どの家族も大好きです。」
↑個人的にはカワウソ一家が気になって仕方がないのです・・・。(『ピヨピヨスーパーマーケット』より)
【質問6】「ピヨピヨ」一家のチャームポイントはどんなところ?
「お母さんがのんきなところでしょうか。」
だからピヨピヨ一家はいつも平和でハッピーな雰囲気にあふれているのかも?
■ 絵本作家工藤ノリコさんについて。
絵本作家工藤ノリコさんについても少しお伺いしました。
【質問7】 絵本作家になられて良かったな、楽しいな、と思う事を教えて頂けますでしょうか?
「思い浮かんだイメージを、読者の皆さんと共有できることが嬉しいです。 」
【質問8】 こんな絵本がつくっていきたい!というのがございましたら教えて頂けますでしょうか?
「文章だけのお話を書き、挿絵も少しつけてひとつの作品に仕上げてみたいです。」
【質問9】絵本ナビ 読者の方へ向けてメッセージをお願いします!
「絵本をひらいて、楽しい時間を過ごしてもらえたら、とても嬉しいです。」
■ 最後に・・・
最後に『ピヨピヨもりのゆうえんち』を皆さんにどんな風に楽しんでもらいたいか、素敵なイラストとともに直筆メッセージで描いてくださいました!
工藤ノリコさん、ありがとうございました!
やっぱり可愛いピヨピヨ。すっかり工藤ノリコさんのペースにはまってきています。
そんな私にとって、そしてピヨピヨファンにとって嬉しいお知らせがあります。
今回の特集企画を記念して、ピヨピヨオリジナルグッズを絵本ナビ限定商品として販売できることになりました!
↑ピヨピヨひよこぬいぐるみ。絵本からそのまま飛び出してきたような表情がたまりません!
↑やっぱりピヨピヨは5匹じゃなくちゃ、という方にはお得な5個セットもあります!
工藤ノリコさんの絵本の世界をもっと覗いてみたくなった方は・・・
パワフルでユーモアあふれる絵本の数々で、大人気の絵本作家長谷川義史さん。
そんな長谷川さんが、ご自身の「お父さん」をテーマにして描かれたのが今回ピックアップする作品『てんごくのおとうちゃん』。
この度絵本ナビでは、長谷川義史さんへのインタビューが実現しました!講談社創業100周年記念出版の絵本の一冊として制作されたこの作品、どんな想いが込められているのでしょうか。
「はいけい、てんごくのおとうちゃん、げんきにしていますか・・・。」
『てんごくのおとうちゃん』 長谷川義史・作 講談社刊
※内容詳細・みどころはこちら>>>
作品の制作の他に、講演会やイベントなどでも全国をまわられている長谷川さん。その合間の貴重なお時間を頂いてのインタビュー、少し緊張しながらの雰囲気で始まりましたが、この作品について、またお父様との大切な思い出について、一つ一つのエピソードをとっても丁寧に語ってくださいました。
■ ずっとお父さんの絵本をかきたかった・・・
―― 「講談社創業100周年記念出版書き下ろし100冊」の1冊として制作されたこの作品。依頼された時はどう思われましか?
「100周年!・・・すごいなぁ。そんなんやらしていただいていいの?」
最初はそう思われたという長谷川さん。
「どんなんしようかと考えてね。僕の作品には面白いやつ、アホみたいなやつが多いでしょ?それからしっとり系(『おへそのあな』など)。A面B面みたいなもんです。それで担当編集者にどっちでいきましょうかと聞いてみたら、今回はしっとり系がいいかなと言われて。そこからしばらくして僕が『お父さんのことを描きたい』と言ったんです。」
―― 様々な題材がある中、なぜ「お父さんのことが描きたい」と思われたのでしょうか?
「ずっと、お父さんの本を描かなきゃと思ってたんです。」
―― それはいつ頃からですか?
「一番最初の絵本『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』を作った時はそんなこと思ってなくて。その時はただ絵本を作ってみたかった、自分の絵が全部ページに載っている本を作ってみたかったという想いが強くてね。
『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』
長谷川善史・作 BL出版刊
でも、作った後しばらくすると、読んだ人達から反応が返ってきたんです。そんな事思いもよらなかったんで『絵本って素晴らしいなぁ』と思って。それで絵本の仕事をやり始めたんです。そうして何冊か描いているうちに、お父さんのことを描かなあかんなぁ・・・と思い始めたんですよね。
『てんごくのおとうちゃん』というのは本当の話で、実際僕が小さい時に父が亡くなってるんです。亡くなって随分経って、こんな人(絵本の中のお父さんを指差されて)もう誰も知らないんですよ。身内だって親戚だって亡くなっていくし、こんな人の事をもう誰も知らない。でも、自分にも子どもが出来て、絵本を描き始めて、何かここ(絵本)に描いとけばこの形で残るやん、と思って。誰も知らないんですけど、ここに登場させてあげたらこの人ここにいるじゃないですか。せっかくそれを表現することができる仕事してるんやから、いつかお父さんという切り口で描きたいなぁと思っていたんです。
ちょうど講談社から話があって、こっちとしてはいいタイミングだなぁと思って『お父さんの話を描いてもいいですか?』と提案したんです。」
―― 普段描かれる時の絵本の取り組み方とは、違う感情が湧いてきたりしましたか?
「違いました。絵本を描くにあたって、絶対にやらないかん使命みたいなものを感じていたので、この作品描いたらもうええんちゃうか、後はもう子ども達が喜ぶようなものを描いたらいいなぁ、みたいに思った。時間もだいぶもらっていたしね。」
■ 『てんごくのおとうちゃん』ができるまで
―― そんな思い入れのある本作品。一つ一つが本当に大事なエピソードなんだろうな、という事がすごく伝わってきます。お父さんの話でいくと決まってからは、内容はすんなり決まっていったのでしょうか?
「お父さんの話で行こうと制作が始まって。最初はこの中の一個のエピソードを中心に話を作り始めていたんです。飛行機のショーを見に行ってホットドッグを食べるくだりがあるんですけどね。それで一個の話を描いてたんです。『ホットドッグ』と仮の題をつけてね。」
▲完成版にもエピソードの一つとして描かれています。
「その日の出来事を思い出して一冊にまとめて。9割方できていたんですけど、なんかしっくりこない。もうちょっとで出来そうだけど、なんか違うなぁって。
お父ちゃんが飛行機のショーを見に行こう、って言うんです。お母ちゃんは興味を示さないから、ぼくとおとうちゃんとねえちゃんの3人で行って。お母ちゃんなら絶対買ってくれないホットドッグを買ってくれて『やっぱりお父ちゃんってすごいなぁ』と思うんやけど・・・。家に帰ってきて、お母ちゃんはご飯作って待ってるやんか。ホットドッグを食べてきた事なんて知らんとご飯作ってんねん、という絵を最後に絶対入れたいなぁと思っていて。
そんなら、結局お母ちゃんもっていくねん。最後に。(一同笑い)
お父ちゃん、色々やったのに結局最後に母ちゃん(おいしいとこ)持ってくでしょ。
―― お母ちゃんの絵本になっちゃう!?(笑)
「困った困った、えらいこっちゃえらいこっちゃ、仕事場の中をウロウロと歩いていたら・・・。
『てんごくのおとうちゃん』というタイトルがぴゅーってね、降りてきてん。急に。
天国のお父ちゃんに向けて、というストレートでシンプルなテーマが見えてきて、そうかそうか、これで描けばいいんや!と思って。
そこからすぐに、メモ帳みたいな紙に覚えているエピソードを全部書き始めたんです。お父ちゃんの事でぼく覚えてるエピソードって少ないんですよ。自分で覚えていることをワーっと書き出していったら、30分位で15枚ほどすぐに書けたんです。
それを、この話は先、これは後に持っていこう、これは亡くなる前の話、これは亡くなった後の話・・・順番を決めたり入れ替えたりして、すぐ出来たんです。それが出来上がった瞬間。そんな風にして作ったんです。」
■ 極めて私的な絵本
―― この作品は「お父さんの死」というストレートなテーマがまずあるんですが、例えば私の息子(5歳)は普通に絵本として楽しんでいるんです。その中で「どうしてお父ちゃんは天国にいるの?」「どうして天国にいるはずなのに会えるの?」といった風に自然に質問が来て。子どもって構えるわけでもなく、そうやって目の前の事実を自然に受け止めていくんだなあと感じたんですね。長谷川さんは、実際この作品を描かれている時に、小さい子が読む、子どもが読む、そういう事は想定されていましたか?
「していないです。誰が読むとかは全然考えてなかったです。かえって講談社の人には『こんな個人的なものを出してもええんでしょうか?』と聞いたくらいです。」
―― 絵本を通して読み手に何か伝えたい、という感じではなかったのでしょうか?
「ただ単に父親をここに描いときたい、というのが大きな一つ。反対に、すごい人に言いたいなぁというのがもう一つ大きくあって。
この絵本ってね。人前で読むと自分と重なって泣いてしまう人とかいるんだけど、僕はあんまり悲しく捉えてほしくないと思ってるんです。できるだけ前向きに伝わりたいと。
僕自身、まわりの大人の人や近所のおばちゃんによく『かわいそうにかわいそうに』って言われて、それがすごく嫌やってん。小さかったからだと思うんだけど、たいしてそんなに悲しいこと、というような感覚がなくて。『僕より、死んだ人のがかわいそうやん』というのがすごいあって。それは今もずっと。『死んじゃったらあかんねんで、生きていることがいいんや。生きたいと思っているのに運命で死んじゃう事もあるんだから、生きてるって事ははほんまにありがたいことやねんで。』もしこの絵本で伝えたいとしたら、こういうこと!
死んでかわいそうやなという本じゃなくて、お父ちゃんは死んでしまうんだけれど生きているのがええんやで、というのを結果的に教えてもろているという本。悲しいと言うよりも、子どもはその状況になれば、そんなもんやなって元気に思って生きていくやん。そうやと思う。」
―― 絵本の中の「ぼく」も、いつもお父さんの存在を感じている様子がとても伝わってきます。実際に経験をされている御本人の言葉からは、とても力強いものを受け取ります。子どもにはそういう力があるんだという事が伝われば、肩の力が抜けるお母さん方もきっといるのではないでしょうか。
「別にそんなもんやなと思ってやってきたからね。」
■ 家族って切ない
――とても私的、個人的な内容なのですが、エピソードや描写がリアルであればあるほど自分の中にも共通する切なさというものが伝わってくるような気がします。でもそれは、悲しくて切ない、というのとちょっと違う。自分の親のことを思い返したり、自分の子どもの事を想うとなぜか泣けてきたり、そういう感覚と近いのかもしれません。
「そう、家族って切ないねん。この絵もね、実際家にこんな写真があんねん。
▲裏表紙の絵を見ながら・・・。
これは確か動物園に行った時の記念写真だったと思うんやけど、ただ動物園に行っているだけなのに背広とか白いブラウスとか着飾って。しょうもないことなのに、大変な事みたいにしている。自分もそこに参加しているんやけど、この人たちを客観的に見たら、なんかね。それこそ、ようわからんちっこい幸せみたいなもんですよ、これ。それを一生懸命やっている、そういうのが切ないねんな。
今、親になってみると自分もそういう切ない事をしているんだろうなあと思うこともあるし。」
―― 家族って切ないという捉え方もあるんだなぁとしっくりきました。そういう家族への想いみたいなものが全ての作品を通して根底に流れている気がします。
「そんなことないんですけどね(笑)。」
■ 小さい頃から・・・
―― 他の絵本でもそうですけど、長谷川さんの作品というのは、登場人物の表情や風景など本当にしっかり描かれています。『てんごくのおとうちゃん』では当時の時代の雰囲気まで蘇ってくるようで。普段からよく観察とかされているんでしょうか?
「観察は好きなのかもしれない。やらしい人間やねん(笑)。
子どもの頃からそうだったね。あの人こんなんやで、あそこでこんなんあったよとか。例えば先生の絵を描いて、それを誰かに見せて誰かが喜ぶという、そういうのが好きで。自分で絵を描いてのめりこんでいくというより、描いたやつを人に見せて反応が返ってくるのが好き。今やってることと同じ様な事を、小さい頃からやっていたんやね。」
―― お父さんの記憶が鮮明なのはそのせい?
「でも本当にこのくらいしか覚えてないんですよ。」
―― その時に感じた感覚とか、見ていた風景とかすごく伝わってきます。
「やらしい子やったんかな・・・。詳しくは描いていないけど、お葬式の前後の事ってすごい覚えてんねん。思ったこと、考えたこと、周りの人の様子とかも。とんでもないことが起こっているという感覚はあったけど、わりと冷静で。そんな事を思い出します。僕だけじゃなくて、一年生くらいの子って、そんな風にすごいいっぱい考えてるんやと思う。」
―― ある日おとうちゃんとふと再会するシーンがありますが、実際にも?
「あれも本当にあったこと。身内にも誰にも言ってなかったエピソード(本邦初公開だったそうで!)。急に知らんおっちゃんに言われてん、『ぼく、だいじょうぶか?』って。一瞬にしてすぐ思ってん、『あ、お父ちゃんや』と。全然知らん、関係ないおっさんやろうけども、なんかそう思ったことをよく覚えてるんです。」
―― 絵本を作っているうちに子どもの頃の記憶が鮮明になっていく、そういう事ってありますか?
「描く時は、思い出して鮮明になっていったりするんですけど・・・『てんごくのおとうちゃん』なんかは、リアルな絵にして一個の話にしているから、描き終わってなんか頭ごちゃごちゃになってる。本当にあった思い出なのか、創作がだいぶ入っているのかわからんようになっている、と言うのがほんまのところあるんですよね・・・。」
■ 本が完成してみて
―― 完成した時の感想はどうでしたか?
「ほっとしましたよ、出来て。」
―― 改めて、この絵本をどんな風に読んで欲しいというのは?
「楽しむ絵本じゃないしなぁ・・・。」
―― どんな絵本か、と言うとすると?
「子どもってこんなんやで、元気に生きていくで・・・ということかな。
大人は自分がいなくなったらこの子は生きていけない!とか、すごい悲観したりするけど、置いてったらいいねん。どないでもなると思う。大変かもわからないけど、別にそれでやっていくんで。ごっつい幸せになること自体がそないええことなんかなと思ったり。僕みたいに物を作る人間なんかは、いろんな事が起こった方が良かったりもするでしょうしね。
かわいそうだけど、例えばそんな事になったりしてもそれは一つの運命。その子にはとって好きな人っていうのは一生続く。死んだからといって、そこで忘れるわけではない。大好きなままずっといるでしょ。全然子どもは大丈夫なんですよ。
自分に子どもが出来て、その立場になってみて特に思うんですけど、この人(お父さん)つらいやろな、子どもを残してつらいやろうな、と。子どもは「元気にやってますよ」と笑っている、何やかんやあったけど、こんな感じで笑っているんです。」
■ 絵本作家長谷川義史さんについて
――絵本作家長谷川義史さんについて少しお伺いさせてください。長谷川さんの作品を子どもに読んでいてと思うのは、子ども達が喜ぶツボみたいなものを知っているというか。子ども達の気持ちがリアルに描かれていたり。なんでわかるんだろう?と驚いたりします。子育てや日々の子ども達との触れ合いなどから影響を受けられているのでしょうか?
「自分の子どもからも勿論影響は受けてますし、イベントなんかで子ども達に言われる事も影響は大きいですね。
『いいからいいから』という作品なんかは、まだ全然絵本になる前に、ライブ紙芝居と言って、みんなの前で大きな紙に絵を描いていっていたんです。それを3回くらい見に来た子がいて『絵本にして欲しい』と言うんです。
子どもって何でこれ面白いの?って言うのがあるでしょ。大人が考える理屈で面白いとかじゃなくて。僕も、自分でやりながら、こんなん面白いかどうかわからなかったんです。でも子どもは面白いと言う。それが絵本になったきっかけ。」
『いいからいいから』 長谷川義史・作 絵本館刊
―― 絵本を作られていて、楽しい瞬間ってどんな時ですか?あるいは、絵本作家になって良かったなあと思われる事はありますか?
「絵本作家になって良かったなあ、というのは本当に思う。自分の思ってた事を、みんながいいとか悪いとか反応を返してくれる。絵だけ描いていた時は、そんな反応なんかが返ってくるという事はなかったからね。それが一番嬉しい。
描いている時は、そんな楽しいとかはあんまりないです。ちゃんと描けるんだろうかとか、プレッシャーの方が大きいかもしれないです。出来上がったら、例えば絵本ナビとかみたいに感想を寄せてくれたり、記事なんかで取り上げられたりして。一人で世の中に出て行く成人した子どもみたいなもんですね。そういうのがすごく嬉しい。」
―― 絵本ナビ読者の反応も喜んでもらえているんですね!
「よく見てんねん、僕は。」
■ 最後に・・・
―― 絵本ナビ読者へ、一言メッセージをお願いできますか?
「つくっている方は精一杯なので・・・5つ星くださいね!」(笑)
―― 長谷川先生も実は気にしてらっしゃる!?
「気にすんねん!
新刊出てしばらくしたのに、星どころか誰も反応を示してないと・・・あれもまたつらいものがあるねん(笑)。(レビューについて)こっちが思ってもない様な事が書いてあったりする時があってね。ああ、こういう風に捉えるねんなあ・・・とか。そんな事考えてないのになあとか。それもまた面白いねんな。」
最後に本当に嬉しいコメント、ありがとうございました!
★おまけエピソード
2009年の12月、講談社は創業100周年を迎えられるそうです!これを記念して、「100人の作家による100冊の書き下ろし作品刊行」という企画を遂行中。昨年11月にその先頭を切って、絵本の部署からは「100年読み継がれる絵本」をコンセプトに、『エゾオオカミ物語』『えほんのこども』『とうさんのあしのうえで』『てんごくのおとうちゃん』の4作品が出版されました。
あべ弘士さん 荒井良二さん いもとようこさん 長谷川義史さん
『エゾオオカミ物語』 『えほんのこども』 『とうさんのあしのうえで』 『てんごくのおとうちゃん』
※講談社HP特集ページはこちら>>>
そのうちの一冊が長谷川さんの作品なのです。
「締め切りも迫っていてこの作品を早く描かなきゃと思っていた頃に、ちょうど荒井(良二)さんがテレビ出てこの100周年の作品描いてはってん。(荒井良二さんの特集番組にて)それが、次から次へと出来ていくねん!3枚くらい。こっちはまだ1枚も出来てなかってん。ごっつ落ち込んで・・・(笑)。」と長谷川さん。すると、編集の方も同様に落ち込まれたそうで・・・「荒井さんあんなに進んでる!」って(笑)。
そんな思いもされながら(!?)完成されたこの作品、皆さん是非じっくりと読んでみてくださいね。
↓『てんごくのおとうちゃん』に寄せた、長谷川義史さん手描きメッセージをご紹介します!
(C) 長谷川義史 (講談社「子どもの本通信dandan19号」より)
子ども達や読者の方の反応がとても嬉しいと、笑顔でおっしゃる長谷川さん。一方、制作について語られる時はとても真剣な表情に。その二つのお顔がとても印象的で、長谷川さんの作品や子ども達に向かわれる姿勢の様なものを少し感じる事が出来た気がします。
今後はどんな「あほうな」作品が生まれてくるのでしょう。子ども達同様、楽しみで仕方がなくなってしまいました!
募集は締め切らせていただきました。
ありがとうございました。
新刊『きょうのそらはどんなそら』の発売を記念して、ふくだとしおさんが絵本ナビにいらしてくださいました!今回は今までの作品とちょっと雰囲気が違うような・・・その辺りも含めてたっぷりお話を伺いました。
この取材が行われたのは8月の終わり。思いのほか日焼けをされているふくだとしおさんの登場です。聞けばこの夏は1歳8ヶ月(取材当時)になられた娘さんのベランダのプール遊びに付き合っているうちに焼けてしまった「ベランダ焼け」だそうで(笑)・・・そんな愛らしいお話などを伺いながら和やかな雰囲気でインタビューはスタートしました。
※みどころはこちら>>>
『きょうのそらはどんなそら』 ふくだとしお+あきこ accototo ・作 大日本図書刊
<新刊『きょうのそらはどんなそら』制作秘話>
■ 『きょうのそらはどんなそら』での初めての試み
―― とにかく色々な空が登場するこの絵本。空をテーマで絵本をつくろう、と思われたきっかけなどはあったのでしょうか?
かつて、ふくだとしおさんがご自身のHP上で、娘さんの誕生日に「その日の、各地の空の写真を送ってください」と募集されたことがあったそうです。
「日にちを告知して募集したら、本当に色々な都市や外国の空まで集まって。すごく面白かったんです。それを見た(担当編集者の)山本さんが『空の本をかきませんか?』と声をかけてくださったのが直接のきっかけですね。僕自身もともと小さい頃から空が好きだったこともあり、お話を頂いた機会にじゃあちょっとやってみたいな、と。」
目の前に『きょうのそらはどんなそら』の油絵で描かれた原画をずらっと並べてくださいました!
▲何とも深い味わいで思わず見入ってしまいます。
―― 今回の作品は今までの作品とガラッと雰囲気が変わって油絵という技法を使って描かれています。背景や空をじっくり描かれる為に素材を変えられたのかな、とも思ったのですが・・・?
「そうですね、実際に空とちゃんと向かいあってじっくり描きたい、というのはありました。」とふくださん。
「最初は油絵で描くつもりじゃなく、いつもと同じように水彩で・・・と思っていたんです。でもどんな絵本にしていこうかと話している中で『油絵はどう?』と奥さんが言い出して。油絵だったら面白いんじゃないかな、と思えてきたんです。より空の雰囲気や奥深さが出るんじゃないか、と。
同じタッチじゃなくてもいい、という話をもらっていたこともあって描いてみることにしました。
油絵というと、今までも自分では描いてはいたのですが、絵本で使うのは初めてだったんです。
でもずっと水彩で描いてきていて、ちょっと慣れてきちゃっているなあ、という思いもあって。画材を変えることで完成図がみえなくなる、そういう状態で描ける面白さの方に惹かれました。自分自身が楽しめるんじゃないか、と。」
―― そうして新境地に進まれる事を選んだふくださん、今回は更に原画のサイズを決めないで描かれたそうなのです。
「キャンパスのサイズは決めないでください、と申し出たんです。とにかく自由に楽しく描きたいから、と。後はデザイナーさんに調節してもらって(笑)。
というのも、以前ジョン・バーニンガムの原画展を見に行った時にびっくりしたんです。実際の絵本と原画が全然サイズが違ったり、同じ原画なのに、サイズが全然違ったり、切り取って貼っていたり・・・もうむちゃなくちゃなくらい。
でも、絵を描く側の目から見たらそんな風なのが自由で楽しいなぁと感じていたんですよね。だから一度(原画のサイズを決めないで描くということを)ちょっとやってみたいと前から思っていたんです。」
―― 実際描かれてみてどうでしたか?
「油絵を絵本にするということは、水彩と違って上から塗り重ねたりできるのでより自由に絵を変えられるんですよね。だから僕自身の気持ちは結構楽でした。大きさのこともあって、硬くならずにより自由に描けたような気がします。
こういう広い空を描く時に、表現がちまちまならずに良かったなぁ、と思ってます。」
―― 結構時間がかかったのでは?
「いや、結構早いですよ。乾く時間を考えなかったら一日一枚描けちゃうくらい。もともと描くのは早い方なんですけどね。
制作中に立ち止まってしまった、といったことはなかったです。全部の絵を同時に進めて描いていくんです。それを引き出しに入れておいて、それぞれに手を入れたり、また並べてみて眺めたり。そうやって常に全体を見ながら描き進めていきました。
原画を描く段階にくるまでは色々と変わったりしてそれなりに時間はかかったんです。描きたい空のイメージが固まるまでは何となくずっとふわふわしていて・・・。でもあるシーンが固まってからは早かったですね。」
▲アイデアを練るためのラフ。小さいサイズでも本の形になっているのです。 可愛い!
何種類ものラフが繰り返し制作されています。最初のものとはかなり違う内容になっています。
■ 主人公は子猫のプチュ
―― 実はこの絵本の主人公である子猫は既刊『ぴっちゃんぽっちゃん』で登場する子猫<プチュ>なのだそうです。だから続編とも言えますね。そんなプチュに空を見させると何とも空の大きさが際立つ様です。一日中空を見て過ごせるのもプチュだからこそ?いい生活だなぁ、なんて(笑)。最初からプチュに空を見せようと思っていたのですか?
>※みどころはこちら>>>『ぴっちゃん ぽっちゃん』 ふくだとしお+あきこ accototo ・作 大日本図書刊
「そうですね。こんな風に一日を過ごすのは、いたって猫らしい行動ですよね。
僕の実家で飼っている猫も3日間帰ってこない、ということがあります。どこかで別の名前で呼ばれていたりして。だから気ままに空を見てても違和感ないと思うのです。
人間の子どもが同じようにしていたら『ごはん食べているのかな』『トイレどうしているのかな』なんて気になっちゃう様な気もしますしね(笑)。」
―― 『ぴっちゃんぽっちゃん』でプチュはとても小さな世界の中での発見を描き、今作でのプチュはとても大きな世界との出会いを描かれているような気がします。特に暮れかかった大きな空のなかにたたずむプチュの小さな姿の場面がとても印象的です。
実はラフスケッチの3番目くらいで夕日の場面というのが出てきたそうなのです。それを見て編集の山本さんが「ふくださんが描きたいのはこれじゃないかな。」と思われたそうで・・・。
「なかなか定まらなかったイメージをうまく拾って頂いた、という感じですね。そこからどんどんと広がっていきました。その後は早かったですね。」
▲見る者の胸にぐっとくる夕日の場面。プチュの小さなシルエットも何だか切ない気がして・・・。
「この夕日の場面についてはさみしい感じがするのではないか、と言う話もあったんですが、僕は子どもにとってそういう感情はとても重要だと思っているんです。
『さみしいな・・・』とか『かなしいな・・・』とか、そういう深刻ではない位の軽い『さみしさ』や『かなしさ』みたいなもの。或いは夕日をみて切ないと感じたり。今から振り返ってみると、そういう感情ってすごく豊かな気がするんですよね。そういう切ないなぁという感情を子ども達にも大切にして欲しいと思っています。
自分で改めて見ていても(この場面は)さみしい気がします。でもこういうのもいいんじゃないかなぁと思ってます。」
■ 記憶の中の空を探して・・・
―― 夕日の場面の切なさと合わせて、この絵本に描かれている風景というのも特に知っている訳ではないけれどとっても懐かしい感じがします。
「僕は小さかった頃、団地に住んでいたんです。
背景として描く場所をどうしようかと、小さい頃に住んでいた所と似たような場所を探していたところ、すごくイメージに近いところがあったんです。その辺りをぶらぶら歩いていたら、子どもの時の具体的な記憶じゃなくて<匂いのような記憶>といった感じのものがふわーとでてきて・・・。
この団地とか、この辺りを描きたいなと思ったんです。
なんかいいんですよね、団地って・・・(笑)。
大人の方が見ても、具体的な記憶をたどりながら『ちょっと懐かしいなぁ』と思ってくれるといいですよね。『あーこんな空見たことあるなぁ。』なんてゆっくり空を見てもらいたいな、というのもあるんです。」
―― この絵本のために実際に空を探しに行かれたりはなさったんですか?
「実際に空を探しに行ったり、というのはしていません。具体的にこの空というのは決めてないんです。思い出の中に残っている空の印象が強いので、逆にそれを大切にしたかった、というのがあります。一応描く為に、夕日の色や青い色などは見て参考にしてはいますけど、具体的な場面というのではなく、今見ているものと自分の記憶を合わせながら描いていくという作業でしたね。ほとんど想像です。
雲のかたちもイメージなんです。(表紙にも登場するもこもこ雲とか)実際にはあんな雲はないとは思うけど、自分の子どもの時には本当に実際にあったような気もしたりして。それは自分が作り出しているだけなのか、本当なのかどうかはわからないけど、イメージの中には確かに残っているんですよね。
風景にしても団地があって、フェンスがあって、工場が遠くにあって・・・こういうのも記憶の一場面なんですよね。」
■ 最終的に完成するまでに
―― そんな風にイメージが固定していってから、更に完成するまでにはちょっとだけ苦労されたそうで・・・。
「今回文章はちょっと悩んだかもしれませんね。
テキストは随分変わりました。最後にはかなり削ったりもしています。最終的に決定するまで、ちょっと違うなというのがずっとあって・・・。じっくり考えるというのではなくて、自分の心を広げて余裕をもたせた上で考えたいなと思ったんです。
そこで・・・旅行へいこう、と。
僕が好きな沖縄の小さな島へ一泊しに行きました。昼過ぎに着いて、夕方空を見てボーっとして旅館の部屋で文章を考えて。」
編集の山本さんがある日もらったテキストがあまりにも違っていて、それが凄く良かったのでふくださんに尋ねたら「旅行に行ってきました。」と答えられたそうなんです(笑)。
「真摯に空と向かいあってみたいなあと思い、家の中ではなく、ちょっと外に出て自然に言葉が浮かんでくるような状態、環境をつくったんです。」
結果的に読んでいる人の想像力や懐かしい記憶を喚起させるような、とてもシンプルな文章が出来上がったのです。
―― 作家ふくだとしお+あきこ accototoとして、奥様のあきこさんといつもお二人で制作されているそうですが、今回でいうと具体的にどんな作業分担になったのでしょうか?
「通常はストーリーは二人で考え、色づくりは奥さんです。『あたたかさを感じる茶色』といったふうに、イメージを伝えます。今回は自分の記憶を呼び起こしてながら一気に表現したかったので、この作品に関しては色も含めて僕が主体となって制作しました。奥さんは、構想とか絵本全体のながれを考えたりとか、今回は一編集者的な役割りでしたね。」
■ 子どもの頃に見た空の記憶は宝物。
―― この作品をこんな風に楽しんで欲しい、というのはありますか?
「今の子どもたちを見ていると、(ゲームをやっていたりして)ちょっと目線が下向きの様な気がするんです。もっと空を見てほしいなと思いますね。空って本当に毎日違いますよね。勿論似たような空もあるんですけど、厳密にいったらやっぱり絶対違う。
僕自身が子どもの時、あるきっかけがあって『ああ、空好きだな』と思ってから結構空を見るようになったんです。近くにあったマンションの一番高い所に登っては、兄とお小遣いを出しあって買ったカメラでしょっちゅう空を撮っていました。その12階でいつも撮っているうちに、そこに住むおばさんとも知り合いになって『今日はどう?』なんて聞かれたりしてね。そんな会話ですごく仲良くなったりもしました。ライフワークみたいになっていましたね。それって本当に豊かだったなぁと思うんです。
言葉では何も語らないけど、空は語ってくれるんです。嫌なことがあったら空を見て、より悲しくなる場合もあれば、そこから回復することもあったり・・・。幼いながらに空と向き合っていて。例えばきれいな夕方を見れば早く写真を撮りに行きたいなぁと思ったり、元旦だけは兄と分かれてそれぞれ朝日を撮って見せ合ったり。そんな興味を毎日自然に感じていました。
子どもも大人も、もっと空と向かい合って欲しい、そこかららもっと感じて欲しいなぁと思いますね。」
―― お話しを伺っているだけでもソワソワしてきます。何だか毎日空を見ていないのが損した気分!?になってきたりして。
「例えば子どもが凄いものを発見したかのようにキラキラした目で『おかあさん、雲が動いているよ!』なんて言ったりしますよね。子どもにとっては大発見です。親は流さないで一緒に付き合ってほしいですよね。
また大人になると当たり前になっている事でも、時間を巻き戻して子どもの気持ちになってみるとそれはすごい感動するっていうことは沢山あると思うのです。そういう薄れていく感動というのを大切にして欲しいな、と思います。」
「子ども達だけでなく、お母さんやお父さんにもこの絵本を一緒に見て欲しいですね。これをきっかけに空を見ながら色々話したりしてくれたらこの作品を描いて良かったなと思えます。」
■ ご自身について伺いました。
―― 『うしろにいるのだあれ』を始めふくださんの作品は「ひとりじゃないよ」と、とても大きくて温かい愛情を伝えてくれていると思うのですが、最近ではもっと具体的なテーマ、例えば『みんなにこにこ』の様にお友達との関わりだったり、心の変化が描かれていたりする気がします。お子様が誕生されて、制作にも変化がうまれたのでしょうか?
「子どもにあたえる、という気持ちは強くなった気がします。例えば食べものでも安心感のあるもの、からだにいいものをと考えるように、描く側としてはやっぱりからだにいいもの、心にいいものをあげたいなと思いますね。
今までは作品のダミーを机の上で声に出して読む程度だったのですが、今は子どもを膝に乗せて読んでみたり。反応が見られるので、実験ではないけれどそういう役割りを担ってもらってはいますね。
言葉の重要性、音としての言葉、リズム感、そういうものを以前よりも意識するようになったかもしれません。色に関しても発見が多いですね。絵を並べて描く事が多いのですが、子どもが反応するかなと思って塗った色がそうでもなかったり。明るい色にぱっと反応するけど、じっと見ているのは意外と暗い色だったりするんですよね。
大人が思う『子どもはこうだ』という枠みたいなものは、実は存在していないのではという事がわかってきたんです。子どもはもっと広い範囲でものを感じているんですよね。
だから、もっと僕自身は自由に描けたらいいなと思うようになりました。子どもが誕生して、自分の世界を広げてもらったような感じがするんです。」
―― ふくださんのアトリエはリビングと仕事場が隣合わせ、そして奥様も一緒にお仕事をされるので境界がないそうです。それはとっても大変な事ですけど、家族にとってはとても密な時間、そして作家としてもとても影響を受ける事は多いのでしょうね。
「子どもには仕事って言う感覚がないので、わたしにも描かせろ!と言わんばかりにクレヨンを持ってきて描こうとしたり(笑)。」
やっぱり大変!?
―― 絵本作家になられて一番よかったな、たのしいなと思われる瞬間はどんな時ですか?
「絵本をつくる、それ自体がすごく楽しいです。だから、それが今できているという事が嬉しいですよね。仕事っていう感覚があまりなくて、好き勝手に絵本がつくっていられて、それが仕事になっている・・・という感じ。もちろん、制作している際には迷ったり悩んだりという事があって、それは言い換えると苦しいという事になるかもしれない。でも、僕はそれも含めて楽しいと感じます。わからないからいいのであって、逆にゴールが見えていて、それに向かって作っていくのは何だか面白くないと思うのです。ああでもない、こうでもないと言いながら出来上がったものを後で見て、その過程も含めて楽しいなと。
原画が出来上がっちゃうと、もういいや、次の作品!ってなってしまいます。そういう意味ではちょっと無責任かもしれませんね(笑)。」
―― ずっと絵はお好きだったんですか?
「そうですね。もともと絵は好きで、その頃から感覚は変わってないですね。一枚の絵と、文章を含めた何枚かの絵のつながりで表現するという違いはありますけど、基本的にはあまり変わってないです。一枚の絵の良さもあるけど、絵本というのは絵を何枚も連ねて展開していって一つの作品にします。表現の幅が出ますよね。その作業自体が面白くて自分自身が楽しんでいるんだと思います。」
―― 今後こういう絵本が描きたい、というのはありますか?
「次にこういう絵本が描きたいな・・・と思って描き留めているノートは結構たまっています。だからアイデアはたくさんありますね。今後こんな絵本をつくっていきたい!というよりは、その時その時自分の中で出てくるものを、ちょっと時間をおいて熟成してみて、いいものになりそうかなと思ったら出していきたいな、と思っています。
絵本を通して何かを具体的に強く伝えたいというわけではなく、また面白ければ何も伝わらなくてもいいと思っている訳でもないんです。大切なものがちょっとあればいいかな、と。具体的に言葉でいう場合もあるけど、そうじゃなくて空気みたいなもので語れたら一番いいなと思ってます。
子どもは言葉じゃないところで通じ合えるところがあると思うので、(今回の本も)そういうものが伝わればいいですね。」
■ 最後に・・・
――絵本ナビ読者の方へメッセージをお願いします!
「子どもと絵本を読む時、はっきりいっちゃえば僕はどんな絵本を選んでもいいと思うんです。
親子で読んでいる雰囲気が一番大切です。
親がぎすぎすしていたり、忙しそうにめんどくさいなと思って読んでいるのは例えどんないい絵本でもよくないと思うんです。あまりいい本じゃなくても、親がその子にすごく楽しませたいなとか、読んであげたいなと思うと、多分それは子どもに伝わると思うんですよね。
絵本というのを親子の楽しい時間をつくる道具として使ってもらえればそれだけで充分です。
親も余裕を持って絵本を読む時間というのを本当に大切にしてもらいたいですね。絵本を読んでいるというだけじゃなく、違うコミュニケーションが存在していると思っています。」
ありがとうございました!
制作について話される時と、お子様について話される時と同じくらい楽しそうな優しい笑顔がとても印象的なふくださんなのでした。
絵本制作は全てが楽しくて仕方がないとおっしゃるふくださんですが、それはもしかしたら新しい事に立ち向かう時の答えが見えない時の不安や悩み、それさえも楽しんでしまえる大らかな心と才能の持ち主だから出てくる言葉なのかもしれません。改めて天性の絵本作家さんなのかもしれないなぁと感じてしまうのでした。
きっと子育てに対しても同じ姿勢で取り組まれているに違いありません。
今後も御本人の中の好奇心がなくならない限り、ずっと私達を楽しませてくれる作品を生み出されていくのだろうという確信がもてて、何だか嬉しくなりました。
★絵本ナビ読者の方へ向けて素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!
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『わたしのワンピース』が出版されたのは1969年。なんと今から40年も前のこと。
その間にこの絵本がどれだけたくさんの子ども達を楽しませてくれたのでしょう。
そしてこれからも小さな新しい読者がどんどん生まれていくのでしょうね。
絵本ナビでは『わたしのワンピース』生誕40年を記念して作者の西巻茅子さんへのインタビューが実現しました。
子どもの頃に読んでいたというファンの方へ、これから読まれるという方へ改めて絵本『わたしのワンピース』の魅力をお伝えしたいと思います。
西巻茅子さん プロフィール
1939年、東京に生まれる。東京芸術大学工芸科卒業。学生時代からリトグラフ、エッチングを手がけ、日本版画家協会展新人賞、同奨励賞受賞。「子どもが画をかくときの気持ちや大胆さを大切にしたい」と語るとおり、のびやかな線と明るい色調で描かれるその世界が、子どもの心に自然に受け入れられている。代表作『わたしのワンピース』は親子二代にわたるファンも多い。『ちいさなきいろいかさ』(もりひさし文/金の星社)で第18回産経児童出版文化賞受賞。『えのすきなねこさん』(童心社)で、第18回講談社出版文化賞絵本賞受賞。その他作品多数。
鎌倉にある素敵なアトリエ兼ご自宅に住まわれる西巻茅子さんを訪ねてお話を伺ってきました!
■ 子どもが選ぶ絵本『わたしのワンピース』
―― まず最初に、『わたしのワンピース』という絵本が誕生するまでのエピソードをお伺いできますか?
この絵本が出版されたのは40年前、その頃はオリジナル絵本(作家さんが絵と文章、両方描かれている絵本)がほとんど出ていなかった時代だったんですね。ほとんどの絵本は物語(名作や民話など)があってそれに絵をつけるというかたち。
私は物語じゃない絵本をつくりたいと思ったんです。絵が変化していくことが面白くて、その変化を楽しめる絵本。要するに絵そのものを楽しむ絵本をつくりたい、と思っていたんです。例えば児童文学と言われるものや長い物語を短く簡単にして絵本をつくる、という様なものはつくりたくないなあと。
それでとにかく沢山絵を描いていって生まれたのがこの『わたしのワンピース』なんですよね。
―― 読者の方には、「ミシンカタカタ」と楽しそうにワンピースをつくる場面や、色々な柄のワンピースを着せ替えのように楽しむ場面にとっても興味を持たれている方も多いかと思うのです。西巻さんご自身の小さい頃の体験に基づいている部分もあるのでしょうか?
小さい子どもの頃の体験の影響がすごくある、ということは後から気づくんですよね。描いている時はあまり意識していなかったんです。いたずら描きしているうちに絵が出来ていって、ストーリーと言いますか、全体の枠組みが自然に生まれてきたんです。
本ができ上がってからね、小学校からのお友達が言うんですよ。
「あなたの小学生時代そのままじゃないの!」
その時は「えー??」と思ったんだけど、確かに私の家は父が絵描きなので、大きなアトリエがあって、そこには沢山絵があって。私が遊ぶというとそこで絵を描いて遊んでいたんですよね。それに母が洋裁をやっていて、朝から晩までミシンの音をさせていたんです。父のアトリエの半分はミシンと洋裁の台で埋まっていて、布やきれが散乱しているような家だったのよね。仕事をした後の残りきれがいっぱいタンスの中に入っていて、それを引っ張り出して遊んでいたり。多分、絵を描いているうちに子どもの時に遊んでいた様な事が全部出てきたんでしょうね。
―― そうして出来上がった『わたしのワンピース』。でも出版された当時は、なかなか大人には評価されなかったそうですね。
その頃の時代は、「子どもとはこうあるべき」「ためになるおはなし」といったものをいい絵本、心が打たれたお話と言って紹介される事が多くて。私の中にはちょっとした反発心もありました。
そういう事もあって出版された当初、大人は評価してくれなかったなという思いはありますよね。絵を見て「なにこれ?何が言いたいの?文字がほんの少ししかないからわからない。」なんて言われたりしましたよ。
でも出版されてから5~6年経ってくると、徐々に子ども達がこの絵本を好きだという事がわかってきたんです。子どもが自分で選んで本棚から借りていってしまうから「本棚にはいつもない絵本」。そうやって図書館の方が新聞の記事で紹介してくださったんです。いつもは名作と言われる絵本を「よい絵本」として評価している欄だったのに、こういう内容を記事として紹介されたので私はすごく嬉しかった覚えがあります。
■ 子どもの絵を描く力の確かさ
―― 確かに絵本ナビのレビューでも「子どもが先に夢中になって」という意見が多いのが印象的ですよね。それは何と言ってもこの絵本の「絵の力」、西巻さんの作品を見ていると、子ども達の絵を描くときの楽しいという感覚にあふれていて想像力を凄く刺激されるような気がしてくるのです。プロフィールにも記載されている「幼い子どもたちの絵を見る目、絵を描く力の確かさ」という言葉もとっても気になります。その辺りも絵本作家になるきっかけとして影響しているのでしょうか、お伺いしてみました。
絵本の仕事を始める前に幼稚園の子ども達を集めてお絵描き教室を開いていたんです。そこで子ども達が教わらなくても素晴らしい絵を描くんですよね。自分達で夢中になってどんどんいい絵を描いていく姿にとてもびっくりしました。何年が続けているうちに、子どもというのはみんな絵が描けるんだ、絵が好きなんだ、ということがわかったんです。描くのも見るのも好き。あまりにも一生懸命絵を描くその姿に「絵との関係」というものが大人よりもずっと親密な感じがして。
だから子どもの絵本を描くという仕事を選んだような気がするんです。
版画家になるという道もあったのですが、子どもから大人までもっと沢山の人に見てもらえるこの仕事がいいと思ったんですね。また、こぐま社さんの絵本の制作方法がリトグラフという当時私が使っていた版画の技法に限りなく近い形の印刷方法だったのも良かったんだと思います。
■ 人気の秘密
―― 例えば表紙の絵や花模様のワンピースを着ているうさぎさんの絵。個人的に子ども心にとても印象に残る場面です。書店などで並んでいる表紙を見ると安心感があるというか、「あ、これこれ。」と思える。実はすごくデザイン性があるのではないかと思ったのですが。
私は大学でデザイン科の専攻でしたので。大いにデザインを意識して表紙をつくっていますよ。またページをめくるたびに布の四角やワンピースの三角の形が大きさを変えながら何度も登場してくる場面づくりなどもね。でも実はそういうことをなかなか誰も言わなかったですね。
本が出来た時は「なんでワンピースは花模様になったの?」と、言葉の世界の事での批評をすごくされた覚えがあります。絵画的、デザイン的な視点で絵本をみるという人があまりいなかったんですよね。だから「どうして?なんで?」と言われてなかなかOKが出なくて。私は絵本を理屈で描いているわけではない、という気持ちがあったし「絵が楽しければいいじゃない」と。子ども達は、この絵本を見てぱっと惹きつけられて手にとっていたと思うんですよね。当時はそのまま支持してくれた大人はほとんどいなくて、子ども達だけが支持してくれた、って感じはありましたよね。
―― 子どもにとってワンピースは永遠の憧れですよね。大人が思っている以上に子ども達はこの絵本を夢のあるファンタジーとして受け止めていたのではないでしょうか。
そうだと思います。私も子どものころ着せ替え人形遊びをしょっちゅうしていました。そのころはリカちゃん人形なんかはないので、紙で洋服を切り抜いてつくったりして。
まさにこの絵本そのままですね。そういうのは子ども達みんなの日常の遊び。女の子はそういう遊びが好きよね。大人になってもおばあさんになっても変わりませんけどね(笑)。だから受け入れられたのでしょうね。
―― 「ラララン ロロロン」「ミシン カタカタ」「にあうかしら」などの言葉も、読者がこの絵本が好きな理由としてあげられています。
この絵本を作っているとき、最初は絵だけで言葉はありませんでした。「絵を見ているだけでわかるでしょ?」と。言葉は後から付けたんです。だから童話になっていないんですよね。絵を見せていく為の応援歌、伴奏みたいなものかな。
だから絵と一緒になって印象に残るのかもしれませんね。
―― この絵本を制作された時は子育てをされていたんですか?
いいえ、まだ子どもが生まれる前でした。だから子どもっていうものは私にとってまだよくわからない存在だったんですよね。でも「すごくセンスがあって、絵を見る能力があって、あの素晴らしい絵を描くのが子ども」だという事は知っていたから私も本気で絵を描かなくちゃ、と当時は思っていました。絵を描く時の芯の部分って言うのかな、子どもと共通の感覚で絵を描きたいと思ったんです。
私は学生時代から絵の勉強をしているし、絵もいっぱい描いていたので流行のファッションや絵のことはよくわかっていました。子どもはそんなこと何もわからないですよね。人間が絵を描きたいと思う、そういう基本的な気持ちだけで描くんです。目の前にクレヨンや紙があればただ絵を描きたくてぐっと気持ちを集中させて描くのです。
私もそんな風に描きたいと思ったから、いわゆるデッサンなど習ってきた技法は全部捨てて、そういうものを使わないで絵を描こうと思ったの。だからこの頃は、子どもの為に絵本を描くということではなくて、私自身の表現が子どもの表現に近づけようと思っていましたね。
それが子ども達の感覚とフィットしたのかもしれません。
―― この作品が40年経った現在も子ども達が同じように楽しんでいる、という状況についてどうお感じですか?
描いている頃はね、そんなことになるとは夢にも思っていなかったですよ。今は「やったー!」と思ってます(笑)。
その頃の私は普遍性に向かって仕事をしようと思っていたと思うの。子どもの絵を見て「これが人間が絵を描く時の本当の形だ」と思って感動して、こんな風に「絵を描きたい」という普遍性を持って仕事をしていけば通用するんだろうと考えていたんです。
若い時っていうのは色んな事を考えるんだけど、その通りにいくことってほとんどないんですよね。でも私は40年続けてこの絵本が受けれられているという事は、あのとき私が考えて感じて仕事をしたことは良かったと思えるんです。子どもが「良し」と言ってくれたことはとてもありがたいと思っています。
■ 他の作品についても伺いました。
―― 子どもの持つ本来の優しさが感じられる「まこちゃんのおたんじょうび」や「ふんふんなんだかいいにおい」という作品もとても好きなんです。
『まこちゃんのおたんじょうび』『ふんふんなんだかいいにおい』
(一般的に)親が子どもに色々教えたり諭したり教育したりするものだと思われていますけど、私は子どもが生まれた時にはあんまりそういう風に思わなかったんですよね。「やっぱり子どもはすごいな」と思ったんです。
子どもの中には「自分が食べているものがおいしかったら半分あげましょう」という気持ちをみんな持っているんです。「わけてあげよう」という気持ちというのは誰の心にもあって、それが大きい子もいるし、小さい子もいるし。その気持ちは普遍性があると思うんですよね。だから自然と「みんなでわけあって」という社会が生まれたのだと思うのです。立派な考えだからそうしなさいとか、誰かに言われたからそう決めて生まれた訳じゃない。子どもを育てていてつくづくわかったんです。人間の中にあるものの良きところ、お互い認め合った部分、その感覚が社会化されて社会というものがうまれてきたんだなと思うようになったんです。
私の本は、お説教でもなく、「優しくしてあげましょうね」と言っている訳でもないです。みんなの心の中にあるもの、私の心の中にあるもの、そういうものが行き交えばいいんじゃないかなと思ってます。良き部分を皆さんも、と言うのではなくてね。
楽しむというのは自分の中にもあるから楽しめるんですよね。物語の楽しみってそういうものだと思うのです。
―― 西巻さんの作品と言えば、可愛らしい動物たちがたくさん登場します。何かこだわりがありますか?また、その中でも猫さんは具体的に描かれている事が多いというか西巻さん御自身を見ている感じもしますね。
動物は特にこだわりはなくて、何の動物でもいいの。でも「わたしのワンピース」のうさぎは子どもの頃によく描いていたうさぎ、そのままですね。
(後から伺った話ですが、絵本の完成までには本当にたくさんのうさぎを描かれたそうですよ!)
猫はね。モデルがいるからね。わりと便利に使わせてもらっていますよ(笑)。物語の進行役として活躍してもらうこともありますね。『おもいついたらそのときに!』なんかでは、原稿には猫はいなかったんですけど描きたくて描いたんです。
『えのすきなねこさん』もね、猫でなくてもよかったんですけど。子どもの時から猫がいつもそばにいたから表情なんかが描きやすいんですよね。
―― その『えのすきなねこさん』もとても楽しい絵本なのですが、絵描きさんの心情も垣間見れるような気がして・・・こちらもとても好きな作品です。お父さまが絵描きでいらっしゃったというのも関係あるのでしょうか?
そうですね。この作品は父を描いたんです。父が亡くなった時、絵を描く道具をいくつかアトリエから引き取ったんです。その道具を見ているうちに描いてみようかな・・・と。自然にできあがったのがこの絵本でした。父は朝から晩まで絵を描いていましたからね。
■ 読者の方からの質問です!
―― 『わたしのワンピース』の「ラララン ロロロン」をどういう風に読んだらいいのか教えてください。
(困ったわね、と笑われてから)「読んでください」とよく言われるんだけど・・・。
一度馬場のぼるさんの横で『わたしのワンピース』読んだ事あって、馬場さんはご自身の絵本をとても面白く読むんです、味があってね。
でも私は基本的に人前で気取って読むのは恥ずかしくて、ぱっぱぱっぱ普通に読んだら後から馬場さんが、
「ああいう読み方もあるんですよね。いいんですよね、西巻さんのよみかたで。」
優しく微笑みながら無理におっしゃってくださって(笑)
そんな風で私は結構素っ気なく読むんです。
でも読む人が楽しそうに読んでくれる、それはそれでとってもいいですよね。
例えばお母さんが楽しそうに歌を歌いながら読んでくれるのもいいです。
そういう所で、お母さんという個人と子どもという個人の交流が生まれる。私の絵本を通して交流があるというのがとっても素敵だと思います。そこにその人らしさがあるというのがいいんですよね。そうするとまた自分の子どもにもお母さんの記憶を伝えていったりしてね。
―― 影響を受けた絵本作家さん、或いは画家さんはいらっしゃいますか?
影響を受けた絵本作家というのはいなかったんですけど、絵を描き始めた当時にレオ・レオニの絵本『あおくんときいろちゃん』を見た時に「あ、これでもありだ。」と思えましたね。抽象というものを子どもが理解できる、という一番原点的な本だと思います。「あおくん」と名づければそれが「あおくん」になる・・・これでもいいんだな。「わたしのワンピース」をつくりながらそう思った事を覚えています。
画家で言えば・・・20世紀の近代絵画のピカソ、マチス、クレー、シャガールなんかはみんな好きでした。ちょうど絵を勉強している学生時代はそういう素晴らしい画家た沢山活躍していて。すごくいい時代でしたね
だから影響は受けていると思います。
―― どういう時にストーリーを思いつくのでしょうか?
今も四苦八苦してますよ(笑)
若い頃はふっとあふれ出てくる感じでしたけどね。40年やってくると色々な知識もついちゃうし、でも自分の中にあるピュアで子どものような心の中からぽっと出てきた様なものでつくりたいと思っていますし。そうやってうろうろしながらふっと出てきて出来上がることもあります。締め切りがあってこれこれと手順を踏んでつくっていってと言うのは無理ですし、そういう風にはつくりたいとは思っていないですね。
―― ご自身の作品の中でも思い入れのあるものは?
やっぱり『わたしのワンピース』ですね。
―― 娘さん(絵本作家の西巻かなさん!)と仕事のお話をしますか?
あまりしないですね。彼女の個性の中から生まれてくればいいと思っているので。できたものについてお互い話すことはありますけど。私も彼女が子どもの頃、自分の作品を見せて意見をしつこく聞いたりしていましたけどね(笑)。
―― 絵本作家になって一番楽しいと感じる時は?
やっぱり絵を描いている時が一番好きなのね。だから楽しいのは絵を描いているときです。
絵本の組み立てが決まって、後は描くだけのとき。それはすごく楽しい!
だからって朝から晩までずっと描いているといい絵がかけるとはかぎらないんですけどね。
―― オリジナル作品と他の作家さんと組まれて描く作品との違いはありますか?
作家さんと組んで描く絵には基本的に締め切りがありますし、原稿を読んでから描きます。オリジナルは絵が先に浮かんできて創作します。だから作業内容は全然違って、特に原稿がある場合は文字にとらわれるという意味ではそれなりに苦労したりもします。でも、それはそれで両方やってて良かったと思っています。だから楽しい絵本も出来てくるし、自分の絵が変化していったり、発想が広がっていくのが楽しみでもあります。
―― 絵本との関わりかたなど、絵本ナビ読者に向けて何かメッセージをお願いできますか?
子育てしているお母さんは、人生の中でいちばん充実している時だと思います。
充実している時間をほっとできる時間にするために絵本があるような気もするんです。
だから、大人も子どもと一緒に絵本を楽しんで欲しいですね。
―― 子ども達へは・・・?
子ども達へのメッセージは絵本です。
楽しんでくれればいいですね。
■ 最後に・・・
<取材を終えて>
『わたしのワンピース』『まこちゃんのおたんじょうび』など、お子様が誕生される前に生まれた名作が多いというのも意外な気がしますが、
「子どもが生まれてから描き始めなくて良かったと思っている。子どもの好みに寄り添いたくなっちゃうし、喜ばせたいと思ったけどうまくいかなかった。私の個性もあるのだと思うのですがそこに創作の不思議さがある。自分の子どもに向かって行けば、普遍性から離れていくという事もあるでしょうし。」
そう語ってらした姿がとても印象的でした。
「絵本は見て楽しければいい!」そう言い切る西巻さん。でもその為には本当に真剣に子ども達と向かい合わなければいけないという覚悟が垣間見られるのです。
絵本作家である前に、一人の芸術家としての側面も見せて頂いた様な気がしました。
★★おまけ画像★★
▲とっても素敵な雰囲気。お父様のパレットやイーゼルなどもさりげなく飾られて・・・
▲「ワンピース」のぬいぐるみ発見!可愛いこけしちゃんは形が「ワンピース」にそっくり。お友達が見つけてくれたそうですよ。
とても明るくて本当にさばさばとはっきり語って下さる西巻さんのお話に魅了されて、あっという間に時間が経ってしまいました。
「年を取ってくると大変なのよ。」なんておっしゃっている姿も何だかとっても楽しそう。
今も「何かいいものがうまれないかな。」と毎日一枚は必ず絵を描いているそうですよ!
ありがとうございました。
西巻茅子さんが絵本ナビ読者の方に向けてこんなに素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!
とにかく笑える絵本、面白い絵本をと、たくさんの「ユーモア絵本」を生み出されてきたのが出版社絵本館さん。
大人になった自分は「笑っている方が楽しいに決まっている」って事を知っているのに、子どもが絵本を読みながら笑ってばかりいると不安になる・・・なんて、考えてみれば不公平な話ですよね。
絵本館さんが今オススメしたい!という作品がきむらよしおさんの最新刊『ゴリララくんのコックさん』。もちろん思いっきり笑える絵本です。
この特集記事では、きむらよしおさんの作品の魅力とともに「なぜユーモア絵本なのか」というテーマまで含めて絵本館編集長有川裕俊さんの言葉をお借りしてご紹介したいと思います。
きっと子ども達と一緒に「面白い」絵本をもっともっと読みたくなるに違いありません。
■ この面白さ、ただものではありません。
きむらよしおさんの最新作がこちら!
『ゴリララくんのコックさん』
きむらよしお・作 絵本館刊
※内容詳細、みどころはこちらからどうぞ>>>
★作者のきむらよしおさんにコメントを頂きました!
きむらよしおさん
『ゴリララくんのコックさん』へのひとこと
アナは空間だけではアナになりません。
アナというものは何もない中空を囲っているカベを含めていうのでしょうが、その囲われた空間は何もなくはなくて「何もない」があるともいえます。
ちくわやパスタ類を食べるときは、その「何もない」、つまりアナも一緒に食べています。でも、アナを食べているという感覚はありません。本当はアナも食べているのですが、カベだけを食べていると思っています。
★更に絵本ナビ読者の方へ向けて直筆メッセージも描いてくださいました!
★絵本館編集長有川さんがその魅力について語ってくれました。
知ってるかな、車のハンドルにはクリアランスというものがある。止まっている車のハンドルを持つと少し動く。つまりハンドルにはゆとりというか余裕がある。
一般的には「ハンドルのあそび」といっている。そのあそびの機能がないと事故になる。ハンドルにあそびがあるから車は真直ぐ走る。遊園地のゴーカートのような車が街を走ったら大変。事故だらけ。あそびは車にとってなくてはならないものだ。
人間の精神も車と同じであそびがないと大変。なにより生活がギスギスするし、つまらない。人間らしく暮していくためにも心にあそびがないと、他人とすぐぶつかってしまう。トラブルだらけ。
気むずかしくて、ギスギスした仏頂面の家庭、会社。
考えただけでもぞっとする。
それにひきかえ、あそびやユーモアが、子どもというか人の一生にどれほど資するか、はかりしれないものがある。
平安時代『梁塵秘抄』の昔から「遊びをせんとや生れけむ」と日本では言ってきた。もうすこし日本人も伝統を重んじたほうがいいのではないか。
俳画というものがある。芭蕉も画いたそうですが、代表者、完成者は与謝蕪村。
『ほろにがい人生の悲しみ、心のそこからわきでる感情、それをおもてだっては表現しない日本人の感性、その境地を蕪村は俳画の世界で表現するようになった。
その俳画に「ベタづけ」と「匂いづけ」という言葉がある。
蕪村以前の俳画は、絵と句のつながり方が直接的だった。そういうベタづけをきらって、蕪村は匂いづけという絵と句をはなしてそこをやわらかく連想でつなげるようにしている。蕪村の俳画は絵と句が響きあうそういうやわらかい構造になっている。
見る人が読みとるたのしさ。見る人が参加していく参加型のジャンル。省略のきいた絵で句の意味とつかずはなれずあらわされている。』
この俳画についての長い引用は学習院大学小林忠先生の言葉です。
これはまさに絵本にたいする言葉でもあります。
今の絵本はほとんどが「ベタづけ」。子どもはわからないことが多い。だから説明してあげねばと思う。そんなおせっかいな、というか野暮な大人がつくった絵本が多い。なにごとも絵解き、説明だからおもしろいわけがない。見る人に読みとるたのしさがない。
「匂いづけ」絵本では「おもしろい」が第一。まず子どもが感覚的、直感的におもしろいと感じなければ想像力も湧いてこない。そのためには、なにより作家が絵本を創ること自体、おもしろくなければ、はなしにならない。
きむらよしおさんは、この「匂いづけ」絵本を創れる稀な絵本作家。『ゴリララくんのコックさん』という絵本には、きむらよしお的なあそびがちりばめられている。
その広大なあそびのフィールドのかなたにちくわの穴とちくわという虚と実が交錯している。『ゴリララくんのコックさん』に続く『ゴリララくんのしちょうさん』、『ゴリララくんのおぼうさん』は、更に「虚と実」「匂いづけ」が色濃く躍動している。
こんな絵本は今までなかった。
シリーズとは別の『はしれ、はしれ』という絵本に至っては「疾走する虚空」と言いたくなるほどの世界が描かれている。あるいは「静と動」それとも「虚空のなかの哀愁」かな。
しかしすべてのベースにあるのが愛嬌。そこにきむらよしお絵本の魅力がある。
ほんとうにすばらしい。絵本もここまできたか、という気持になれてうれしい。
こうした絵本を多くの子どもたちが楽しんでくれると、ことのほかではあるのだが。
最後にぼくのすきな蕪村の句を一つ。
「學問は 尻からぬける ほたるかな」
★きむらよしおさんの人気作品
■ 「ユーモア絵本」のすすめ
冒頭でも述べた通り、絵本館の絵本はどの作品もとにかく面白い。笑える。
そしてのびのびしているのです。
これは「こだわり」なのか、「偶然」なのか。
ユーモアを愛する絵本館編集長の有川さんにちょっとお話を伺ってみました。
心ひかれる。すきな言葉です。なにごともおもしろいから、
あるいは気になるから心ひかれる。
絵本選びも心ひかれるが基本です。
読書にとって、おもしろいが子どもも大人も大前提です。
ところが現実はおもしろいだけでは不安になってしまう大人が多い。大人たちは「人間、おもしろいだけでやっていける訳がない。へたをすると人間としてふぬけになったり、ふざけた人間になりかねない」と考えているのではないか。
反対に役に立つとか、ためになるとかそんなことなど考えずに、ただただおもしろいので夢中になって本を読む。
すると言葉に対するセンスとか、考え方にはいろいろな道筋があることとか、人とコミュニケートする能力とか、気持を明るくさせる方法とか、知らず知らず身につく。気づいたら役立っていたり、ためになっていた。
これがいい。
読書とは本来そういうものです。そうおもいませんか。
人間そういった経験を何度かするうちに、あるものが身についたりする。それを教養といいます。
なにごとも夢中になってやっていると、力も自然とつく。
おもしろいをマイナスに考えるのはやめましょう。
子どもが自ら考え行動する癖を身につけるか、つけないか。
これはその子の人生にとって重要なことです。
そのためには大人が心しなければならないことがある。子どもがなにか夢中になっているとき、大人はそのじゃまをしないことです。
絵本にかぎらず、ついつい大人はなにごとも教育的な見方で子どもをみてしまいがちです。考えて考えてなにが子どもに役立つだろうかとおもってしまう。
しかし、おもしろくなければなにごとも長続きしません。本もおもしろくなければ次を読む気がおこらない。読書にかぎらず、子どもにとっておもしろいがすべての行動の原動力・エネルギー源なのです。
どんなに高い車でもガソリンがなければ走りません。あたりまえです。同じく、どんなに世評高い良い絵本を与えても、子どもにおもしろいという気持ちが生まれなければ読書の習慣は身につかない。
すべてはおもしろいがスタート。
そんな笑える絵本、ユーモラスな絵本を子どもと一緒に
みなさんたのしんでください。
そのためには、まず大人のあなたがおもしろい、ユーモ
ラスだと思った絵本を読んであげることです。
くれぐれも大人のあなたがおもしろいとおもった絵本です。
子どもの年齢とか理解力を気にしてはいけません。
※更に有川さんのコラムを味わいたい方はこちらで楽しめます!>>>
★そんな絵本館の作品はこちらから
★更に他の出版社さんのおすすめも教えてくれた太っ腹な有川さん!
「本当に太っ腹(メタボ)で困ってます。トホホ」(有川)
※絵本の内容詳細は画面をクリックしてください!
更にこちらの特集もどうぞ
「笑いがとまらない!ユーモア絵本」特集はこちらから>>>
それでは皆さん、思いっきり笑ってくださいね。
「ぞくぞく村のおばけ」シリーズや「きょうりゅうほねほねくん」シリーズ、「ざわざわ村のがんこちゃん」シリーズ(テレビ版脚本、読み物)等々でユニークな作品をたくさん生み出されている作家末吉暁子さん。末吉暁子さんの作品はこちら>>>
そんな末吉さんが新たに取り組まれたのが「クルミ森のおはなし」シリーズ。その第1弾が発売されました!
『クルミおばばの魔法のおふだ』
作・末吉暁子 絵・多田治良 ゴブリン書房刊
夏休み。コータとお姉ちゃんのユカは、おじいちゃんに「クルミ森」につれてきてもらいました。セミ採りに夢中になったコータは、みんなとはぐれてしまい、木と葉っぱの手足をした女の子・クルミっこと出会います。コータはいつのまにか「クルミおばばの森」へ迷いこんでしまっていたのです・・・。(小学校初級~)続きはこちらから>>>
クルミ森の豊かな自然を舞台に繰り広げられる、ちょっぴり不思議でゆかいな物語です。
そして、物語をより奥深く、より魅力的にみせてくれる絵を描かれているのが多田治良さん。
「おばけ屋」シリーズのおおらかで大胆な絵が魅力的な画家さんです。
そんなお二人が、発売を記念して絵本ナビオフィスにお越しくださいました!
作家さんと画家さんのおふたりに同時にインタビューというのは初めて。
物語はどの様に生まれてくるのでしょう、絵本を制作される時との違いはあるのでしょうか、
大変貴重なこの機会にちょっぴり緊張しながらも・・・「クルミ森のおはなし」シリーズについて、またお二人御自身の話、読者に向けてのメッセージなど沢山お伺いしました。
■ 「クルミ森のおはなし」誕生のきっかけ
―― このお話は何と言っても、大きくて立派なクルミの木がとても印象的。そんな木のあるこのクルミ森を舞台に物語を書こうと思われたきっかけというのはあったのでしょうか?
末吉暁子さん(以下敬省略):「たまたま去年の秋頃、うちの夫が子どもの頃、戦争で疎開していた、高尾山の麓の小仏峠という所へ出かけたんですね。そうしたら、そこへ到る途中に森があって、それがとてもいい感じだったんです。更に、他にも色々な出来事や思い出があった場所をまわったりしながら、疎開していた家にも行ったんです。戦時中なので60年以上も前だったのにも関わらず、当時子どもだった方々が夫の一家の事を覚えていて下さったんですよね。
そんないろいろな事があってから、また森の風景を見ると全然違うように見えたんです。ああ、こんな森が舞台になった物語を書いてみたいなぁと思ったんです。ただ、そこにクルミの木そのものはなかったんですけどね。」
―― ではクルミの木は想像されて書かれたんですか?
末吉:「そうですね。ただ、実際にはその森の入り口付近に大きな美しい紅葉の木が立っていてとても印象だったんです。
そこで物語としては、クルミの木の実、木の精、そういうものがクルミおばばに繋がるような象徴的なものとして思い浮かんだので、森の入り口に立つクルミの木というものを想像して書いたんです。小川の風景や渓谷、森の印象などはそのままです。クルミの木は(絵を描かれた)多田さんが実際に近くで見に行って来てくださったんですよね。
またこの物語にはおじいさんが出てきますよね。おじいさんの話を通して疎開や戦争などの話も伝えたいというのもあるんです。ただ、最初からそういう事を言っても今の子はピンと来ないだろうという事もあって、最初は面白いお話をつくったんです。
これからシリーズが進むにつれてそういう事も伝えられたらいいなとは思っています。」
―― (多田さんにお伺いします)見返しにはクルミ森の地図も描かれていますね。こういう地図などは末吉さんと多田さん、お二人で決めながら描かれるのですか?
多田治良さん(以下敬省略):「いいえ、すでに末吉さんの文章が最初にありました。そのストーリーを読みながら僕の中で、クルミ森とはこういう森でこういう小川が流れていて、クルミの木はこういう木かな・・・など想像しながら描いていきました。
近くの目黒区の林試の森公園という所にクルミの木がありまして、そこでスケッチしたりして。それをまた末吉さんにぶつけてみて、いやここにはこういうのがあった方がいいというやりとりがあったりして。そんな風にして出来上がっていきました。」
―― 絵を描かれる方はそんな風に実際に取材をされる方も多くいらっしゃるかと思うのですが、末吉さんも物語を書かれる時に実際に見られたものからインスパイアされる事は多いのですか?
末吉:「そうですね。頭の中だけでつくっちゃうとなんとなくリアリティがなくなっちゃう、という事もあるんですよね。また、実際に風景を見たことで内容ががらっと変わった、ということもありました。
以前、林明子さんと組んで書いた絵本『もりのかくれんぼう』という作品なんですが、最初に思い描いていたイメージは真っ黒い森のイメージだったんです。
林明子さんはもともときちっと取材をされて絵を描かれる方なので一緒に軽井沢の森の方へ見に行ったんです。紅葉の真っ最中で、金色がとってもきれいだったんですね。それで文章はころっと変わりましたね。<きんいろにけむったような秋のもり>というイメージになったんです。」
★1977年に長編第1作として書かれた「星に帰った少女」の舞台となった場所を、リニューアル出版の機に再び訪れている取材記録が末吉さんのHPに掲載されており、こちらも作品と合わせてご覧になるととても興味深い内容なのです!こちらから>>>
■ キャラクターの魅力
―― 末吉さんが書かれる物語の魅力の一つはそのユニークなキャラクター!例えば「ぞくぞく村のおばけ」のユニークなおばけ達、破天荒で子どもらしい性格の「がんこちゃん」や一風変わった登場人物などなど。今回も架空の世界と現実の世界の橋渡しをしてくれるくるみっこを始めとして色々なキャラクターが登場しますね。
末吉:「そうですね。やんちゃな男の子コータだったり、ひきがえるのヘータロだったり、おばばだったり。特にクルミおばばについては「森の守り主」と言っていいような、超自然的な存在というものを一度描いてみたかったというのがあるんです。ちょっと怖いような、でも親しみがあるように人間くさいような部分も出してみて。顔もくるみの殻をちょっとずらした感じのカスタネットみたいな感じで・・・なんて言ったら多田さんがイメージ通りにキャラクターを描いてくださって!とても気に入っているんです。」
―― そんな独特な性格を持つユニークな登場人物を多田さんが描き出されたんですね・・・
多田:「末吉さんの文章から、おばばはこんな感じかな、コータやくるみっこはこんな感じかなと想像しながらキャラクターをつくっていきました。僕が考え出したものを末吉さんや編集の津田さんに提示して、また練り直したりして。それなりに色々と時間はかかりました(笑)。」
―― 確かにこの物語の中で、クルミおばばとくるみっこのその姿は物語の印象を決めるとっても大事な存在こんなやりとりの中で生まれていくのですね。
▲そして生まれたクルミおばば!確かに性格がにじみ出ているような。
▲おばばの部屋。細かく見れば見るほど魅力的!
切りかぶのテーブル、細い草の葉で編んだテーブルかけ、ひょうたんや貝殻のおちゃわん、
木のいすやベンチなど、眺めていると更にその物語の世界を深く楽しめるのです。
末吉:「今制作中の2巻目には、おじいちゃんのちょっと不思議なことが描かれていますよ。」
そういえば、最後の方の終わり方には色々な含みがあるような(おじいちゃんの思い出、とかね)。一体どんな展開になるのでしょう。
■ 森の四季の移り変わりを描く
―― 「クルミ森のおはなし」はシリーズを通して春・夏・秋・冬と森の四季を描き出される予定なのだそうです。最初に登場した第1作目の季節は「夏」。随所に夏ならではの魅力にあふれた表現が登場します。生い茂る緑の木々は見ているだけでも気持ちよく、今にもセミの大合唱が聞こえてきそうです。そしてクルミおばばが作るかんろ水、ひんやり冷たくて美味しそうにみえますね・・・。
末吉:「そうですか?かんろ水は読者の方に飲みたいかどうかは微妙、と書かれた事がありますよ(笑)。確かに色々なものが入っていますし、特に極めつけの秘伝のたれがね。」
―― そういえば、見た目は何だか美味しそうなのですが、想像のつかない色々なものが入っているんです(詳しくは読んでみてね!)
じゃあ、さすがに実際につくってみたなんてことは・・・?
末吉:「そこまではしませんよ(笑)。架空の飲み物なので実際には手に入らないものをわざと持ってきてるんです。どんな味なのかなぁと、読んでくれる人が想像してもらいたいですしね。でも、しそジュースとかは最近ちょっと凝っているんです。しそを煮て、こして砂糖と酢を入れて出来上がり。すっとして美味しいですよ。」
―― クルミ森の四季を描きながら、子ども達に感じ取って欲しいことは何かありますか?
末吉:「自然や森が生かしているものは人間だけでなく、小さな虫から小さな動物、それから大きな動物まで全部ひっくるめて生態系として森の中でめぐりめぐって生きているんです。人間だけが生かされているわけじゃない、そういう部分が描けたらと思っています。」
―― そういう自然というものを絵にするのは難しいですか?
多田:「僕は東京の下町育ちなんです。だから田舎の森で遊びまわった体験というのはあまりないんです。どちらかというと森は憧れの存在ですよね。それは大人になった今も子どもの時も変わらないですよね。森の中を走り回ったり、動物に出合ったり、その時の驚きなんかを体験したかったなぁと思うのです。例えば、大人になって子どもと一緒にキャンプに行ったりしても、うっそうとした森の奥を見てしまうとちょっと怖くてそれ以上は立ち入れなくてくるっと引き返してしまったり(笑)。そういう部分も含めて表現したいなあとは思ってますよね。」
―― 1巻目が「夏」と言う事は、2巻目は・・・?
末吉:「秋の森が舞台です。秋のクルミまつりが行われるんです。紅葉の美しい森と、お祭りに集まってくる森の新しいキャラクターが沢山登場してきます。」
多田:「そうなんです。新しいキャラクターは沢山描きました!あ、今日はちょっと持ってきていますよ。」
今まさに制作の真っ最中とのこと。そのラフをちょうど持っていらっしゃったという多田さん、編集の津田さんも初めてご覧になるというその貴重な場面にラッキーにも居合わせてしまうというハプニングもありました。(遠くからその様子を拝見させて頂きました。)
▲紅葉の場面の美しさに目を奪われます・・・。まだ未決定なので完成品は発売を楽しみにしてくださいね。
■ 『クルミおばばの魔法のおふだ』のみどころを伺いました!
―― これから読まれるであろう方に向けて、おふたりに改めてこの物語のみどころをお伺いしてみました。
末吉:「クルミっこ達と一緒に歌ったり楽しんでもらえたら嬉しいですね。
例えばいつもちょっと不機嫌なヒキガエルのヘータロや、こわいところもあるけど豪快で人間味のあるおばば、やんちゃなコータなどのキャラクターも、例えば声に出して読まれるんだったら声色を変えてみたりして楽しんで欲しいですね。」
―― 歌も沢山出てきますよね。
末吉:「以前、テレビ版がんこちゃんの中でもよく途中で歌が入っていたんですね。それで子どもたちが嬉しそうにしているのがいいなあと思って。それからは読んでいる子ども達が喜んでくれるように、機会があれば歌の場面を入れたいなぁと考えるようになったんですね。」
―― 楽しい詩が印象的。メロディーもあるんですか?
末吉:「リズムやメロディーなんかは特に考えていないので、読んでいる人が好きなように適当に入れて楽しんでくれると嬉しいです。」
―― (多田さんにお伺いします)特にここは見てもらいたい!という場面を教えてください。
多田:「おばばの家の場面(※上記参照)や、おばばの家の入り口の場面なんかですね。(※クルミの殻が並べて飾ってあったりして、こちらもとても愛らしいんです。)
後はやっぱりおばばなり、くるみっこなり、コータなりのキャラクターですね。」
―― 今回の多田さんのタッチは、既刊「おばけ屋」シリーズの絵のタッチと驚く程違いますね!
多田:「今回はタッチをがらっと変えてください、という要望もあり細い線で細かく描いています。」
(※編集の津田さんよりこのあたりをご説明いただきました)
ファンタジーの中でもこの本のように骨子がしっかりしていて、リアリティーの延長線にあるファンタジーであるという事や、コータが現実と架空の森を行き来するという事もあり、リアルさを保ちつつ異世界に行くという意味でも今回はこのような細密なタッチでお願いしました。
確かに森の様子や、部屋の様子、表情など細かい部分まで描かれていることが、子ども達にとってもかえって安心して架空の世界を楽しんだり思いっきり想像したりできるのかもしれませんね。
更に、森の木々の大胆で大らかな表現と線描とのバランスも独特で面白いのです。更に2巻目からの表現方法も楽しみになりますね。
■ 末吉暁子さん御自身について伺いました。
―― 今後こんな物語を書いていきたい、というのはございますか?
末吉:「今まで小さい子向きの童話から高学年向けの児童文学まで色々な物語を書いてきました。でもやっぱり小さい子が喜んでくれると嬉しいんですよね。
先日もね、「ぞくぞく村のファンです」って近所の幼稚園に通っているという女の子がお母さんと一緒にお手紙を直接自宅に置いていってくれたんです。小さい子が自分で読んで面白いって言ってくれるのがいいじゃないですか。親から勧められたり課題図書で選んだという訳でもなく自分で選んで読んでくれたのが嬉しいですよね。
だからこれからも、こんな小さな子達が喜んでくれる様な物語が一番書きたい!と思っています。また、絵本というのは全然つくり方が物語とは違うものだと思うのです。だから、やっぱり小さな子でも読める物語というものを作っていきたいですね。」
―― 「ぞくぞく村」は特にテレビ絵本(NHK教育テレビ)になって放映されてからの反響も増えたのでは?
末吉:「そうですね。最近また反響が増えたように思います。テレビ絵本がきっかけとなって、また本を読んでくれたらそれはとても嬉しいですよね。
このテレビ絵本というのは、ナレーターの人の感じで大分印象が変わったり、ちょっと動いたり、そのバランスが結構面白いですよね。」
―― 最後に絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いできますか?
末吉:「親子で一緒に楽しめるというのは低学年向けの童話ならではだと思います。
子どもと一緒に読みながら、親の世代の人もちょっと童心に返ってストーリーの楽しみを共有してもらえたらと思います。
また小さい子向けの童話にとって、絵はとても重要なんです。
「クルミ森のおはなし」なんかも絵を見ただけではちょっと笑ってしまう、なんて場面があると思います。
そういうところは絶対親子で共有できると思いますね。
そんな風に本を読みながら親子で一緒に共有(笑ったり楽しんだり)できたらいいですよね。」
★末吉暁子さんが絵本ナビ読者の方へ向けて素敵な直筆メッセージを書いてくださいました!
■ 多田治良さん御自身について伺いました。
―― 多田さんはずっと広告やイラストの仕事を手掛けられてきたそうですね。「おばけ屋」シリーズでの大らかで大胆なタッチはずっと児童書を手掛けられてきた方と思うくらいのびのびと魅力的な絵だと思います。児童書、絵本を描かれるようになったきっかけというのはあるんですか?
多田:「学生の頃から絵本の世界には興味があったんです。仕事をしている時は広告の仕事が多かったので、なかなか機会がないという事もあったんです。
それで、粟田と(デザインスタジオで一緒に仕事をされているあわたのぶこさん)そろそろ始めますか・・・と児童書の創作に取りかかりました。「おばけ屋」シリーズの時は、墨と筆ではみ出すような感じで描こう!とはじめたものです。」
※現在は、あわたのぶこさんとのコンビで数々の作品を発表されている多田さん。多田さんの作品はこちらからどうぞ>>>
―― 絵本も読みものも制作されているそうですね。今回の「クルミ森」のように物語の絵を描かれる時の楽しさはどんな所でしょう?
多田:「やっぱりストーリーですね。ストーリーの世界の中でどういう絵にしようかと考えたり、流れを断ち切らないようにしながらどう描いていくかと考えながら制作していきます。
広告の仕事の時は一枚で完結させていく事が多いのですが、こんな風にストーリーのある世界をつくっていくのはまた全然違ってそういう流れを感じながら、という部分が楽しいですね。」
―― 最後に絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いできますか?
多田:「本をじかに手にしてページをめくる楽しさ。次に何が出てくるのか期待する感覚。
そういう手触り感というのは子どもには必要なんだと思います。
本に触れることでそんな経験をたくさんして欲しいと思いますし、子ども達が思わずめくりたくなるもの、楽しさで惹きつけられるものをつくりたい、というのは常にあります。
僕は、これからもそんな風にものをつくっていきたいと思っています。」
★多田治良さんが絵本ナビ読者の方へ向けて素敵な直筆メッセージを書いてくださいました!
このまま一つ絵本が出来上がっちゃいそうですね。
■ おまけ画像!
▲末吉暁子さんが特製「がんこちゃんせんべい」を送ってくださいました!可愛い。
「がんこちゃん」らしくなかなかの歯ごたえでした(笑)。
▲こちらは多田さんの近刊絵本です!また雰囲気が全然違いますよね。
(書店では流通していないものの為、残念ながら現在は購入できません。)
▲最後に記念にパチリ。
末吉暁子さん、多田治良さん、ありがとうございました!
小さな女の子が公園で出会ったちょっぴり不思議なお話『こうえんのかみさま』。
ユーモアたっぷり、ほのぼのとしたお話は、子ども達には勿論、大人が読んでも懐かしい気分になれそうです。
内容の詳細はこちらから>>>
◆作者のすぎはらともこさんよりこの作品に寄せてコメントを頂きました!
幼い頃見たかもしれない、でも忘れてしまった色いろなものを想像して、この本を描きました。
偶然捕まえた泣き虫なこうえんさまと出会い、まあが見る「景色」が、いちばんのみせ場と思っています。
大人の方は、眠った記憶を呼び起こし、小さい方はこれからの出会いを思って、お読みいただければうれしいです。
◆本作品を担当された編集の方にもすぎはらともこさんの作品の魅力をお伺いしました。
著者似顔絵からも伝わるように、すぎはらさんは絵本の主人公まあちゃんをそのまま大きくしたような女性。ちょっとおっとりした雰囲気ながら、さらっとおもしろいことを言ってしまう・・・『こうえんのかみさま』は、そんなすぎはらさんならではの、とぼけた味の絵本です。
絵本ナビ読者のみなさんに向け特別に、<こうえんさま>とはどんな人(?)か、すぎはらさんに伺ったところ・・・
1.公園の安全を守る人。
2.みんな知らないけれど「動くお地蔵さん」みたいな身近な存在。
3.時には、ケンカやケガからも守ってくれる。
4.乗り物に乗ることもある。季節によって、種類を変えるらしい。
5.人に見られないよう、生活している。・・・だそうです。
絵本を読んだ後、公園で「こうえんさま」を探す子どもたちに出会えたら・・・と夢見ています。すぎはらさんの次回作も、どうぞ楽しみにしていてくださいね!
◆すぎはらともこさんが直筆メッセージを描いてくださいました!
本当に素敵なメッセージ、ありがとうございました。
これからも目が離せない絵本作家さんですね。
新作を楽しみにしています!
こんな可愛らしい絵本があります。
『ねこのミルとねずみのチムニー』
原 裕朗・作 森山杳里子・絵 ブロンズ新社・刊
この作品を出版しているブロンズ新社さんの担当編集者の方が山縣綾さん。
山縣さんがこの絵本の事を語られる時、まるで我が子を見るような視点でおっしゃるのがとても印象的で、思わずこの原稿を依頼してしまったのです。
編集の方の目線を知る機会というものは、読者である私達にとっては意外と少ないものです。
その想いの深さは、作者の方に勝るとも劣らずなのです。
『ねこのミルとねずみのチムニー』の制作秘話、作者の方とのやりとり、本作品のみどころなど普段伺えない貴重なお話から、原さん、森山さんの愛猫のお写真まで見逃せない記事となりました!絵本とともにご堪能ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
原さんと森山さんの手がけられた、とある作品を見て
私がご連絡をとらせていただいたのは、
さかのぼること7年前でした。
当時おふたりは、別のプロジェクトを手がけておられ
「絵本を描きませんか ?」という依頼に
こたえていただけない状態・・・難しいというお返事でした。
もちろん、編集者をしていれば、そのような事はあることですから、
その時は、「うう・・・(涙)」と落ち込むけれど、
翌日になれば明るく次へとむかっていく図太さが必要です。
「そう、物忘れの良さも、編集者には必要なのさ・・・」
などとうそぶきながら、
月日は流れ流れて2009年。
突然、その電話はやってきました。
「こんにちは ! 原です ! おぼえてますか ? ?
むかし作りたいとおっしゃっていたような
絵本の作品ができたんですけど、
ブロンズ新社さんでどうかなーと思って。
だいぶ遅くなっちゃったけど」
変わらぬ歯切れのいい、作家の原さんの声。
本当に久しぶりの、うれしいお電話でした。
早速お目にかかって、見せていただいたのが
この『ねこのミルとねずみのチムニー』。
7年ぶりの再会でした。
あまえんぼミルとしっかりもののチムニーが友達になり、
はじめておうちに招待されるところから、物語は始まります。
お花をたずさえてドキドキしながらの訪問。
ところが猫のミルは、小さなねずみのおうちに入れない。
はじめてのご招待を楽しみにしていたミルは、
あんまりがっかりして泣き出します。
「せっかくよんでもらえたのに、中にはいれないよー」
「泣かないで、きっといい方法があるよ」
やさしいチムニーが頭をひねって・・・
そうだ ! と、思いついたのは、
ミルの体をバラバラに招待すること。
ええ! ! 一体どうするの?
・・・というが、物語のあらすじ。
まず、めくりの面白さをいかした
おもしろい構成に目がくぎづけに。
ねずみの家の「中」と「外」の場面をくりかえしながら、
ミルとチムニーの中と外からの
かわいい会話が進んでいきます。
読み聞かせてあげたら、小さな子も楽しめる
楽しいストーリーです。
家の「外」は豊かな自然に囲まれたシーン
ミルの表情が、なんともいえずかわいらしい !
まずは玄関から、おそるおそる前足を入れてお邪魔します。
家の「中」は、楽しいインテリアとチムニーの表情にフォーカス !
前足にそっと触れているチムニーの、
なんとうれしそうなこと。
でもそういえば、小さなころ、
仲良くなったお友達と手をつなぐのって
うれしはずかしの、大切な瞬間だったなぁ。
そんなはじめての友達との間に生まれる
うれしい気持ち、いたわりの心が
この本のテーマ・・・だと思います。
全篇、生き生きとした2匹の表情としぐさが
たまらなくチャーミング。
そして、クラシックな雰囲気の水彩画で描かれた
森の野の花や自然がとても美しい。
植物が大好きな画家の森山さんが
動物たちとのサイズの対比や、季節にまでこだわって
丁寧に描いています。
お話とイラストをいただいてから
さらにディスカッションをしつつ構成を整えて
イラストにも加筆、修正を加え
テキストを何度も見直していただき
最後は色校正で四苦八苦(淡い水彩画は色が出しづらいのです)。
試行錯誤の末、先日・・・
やっとやっと本の形になりました。
早速できあがった本を見に、弊社にお越しくださった
著者の原さんと森山さん。
20ウン年来、コンビをくんで
さまざまにお仕事をされてきたふたり。
一般書や、雑貨・アニメなどのお仕事も手がけてきました。
でも、絵本の仕事は中でも特別。
完成して本当にホッとされたご様子です。
聞けば
作家の原さんは、4匹の猫と3匹の犬たちと、
画家の森山さんは、2匹の猫たちと暮らす
大の動物好きコンビ。
森山さんはハムスターを飼っていらしたこともあるそうで、
猫とねずみの動きや表情の自然な愛らしさに
なるほどと納得させられたのでした。
さてここで・・・
著者のイメージの源である猫たちを
感謝もこめて、特別にちょっぴりご紹介・・・
原さんのおうちの4匹。
森山さんのおうちの2匹。
気ままな2匹はうわさによると
旦那様より大切にされているらしいですよ・・・
実は原さんのおうちには、
さらに3匹の犬たちもいるんです!
そろって何を見ているのかなぁ?
みんな、すっかり家族の一員・・・なんですね。
どのこもそれぞれに個性的で、かわいいです。
さてさて「ミルとチムニー」、
実はすでに第2弾を制作中。
2作目のラフが先日あがったのですが
これがまた、すばらしいできばえ !
ここで、お見せしたいくらいなのですが・・・
それは来春、乞うご期待です。
かわいい2匹が、自然の中をかけまわる
元気いっぱいの作品になりそうです。
シリーズ第1弾『ねこのミルとねずみのチムニー』
子どもから大人まで、楽しんでいただける絵本になっています。
どうぞ2匹と、友達になってあげてください。
編集担当 山縣彩
『くっついた』などのあかちゃんえほんシリーズ、『まかせとけ』などのはたらくくるまシリーズ、その他『バスがきました』『おしり』など小さい子が喜んで読む絵本がママ達にも大人気の三浦太郎さん。待望の最新刊の登場です!
大人の女性も思わず手をのばしてしまうほどラブリーな表紙!
一体どんな内容なのでしょう?
三浦太郎さんにお話を伺ってみました。
■ いつか女の子が登場する絵本を・・・。
三浦さんの作品の中でも「のりもの」がモチーフになっている(男の子が喜びそうな)絵本が印象にあるからかもしれませんが、今回は女の子らしさが全開の華やかでとても愛らしい絵本ですね。
うちの子は女の子なので、いつか、女の子が登場する絵本が作りたいと思っていました。
私自身はのりものやデザインが好きなのですが、実は、かわいいものも得意なんです。
■ お花をだれかにあげたいな、そう思う気持ちが素敵。
とにかくお花が咲き乱れている場面の鮮やかさ、美しさに目が釘付けになってしまいます。眺めているだけでも心が浮き立ってくるようですね。
本作でお花をテーマに絵本をつくろうと思われたきっかけを教えていただけますか?
後書きにも書いたのですが、スーパーに行くと娘が必ず、
お母さんにあげるからお花を買ってとせがむのです。
子どもはプレゼントをもらうだけでなく、あげたりするのも大好きです。
時にはそれがちょっと気前がよすぎたりなんかして。
お花を見ていて、綺麗だな、だれかにあげたいな、そう思う子どもの気持ちが、
とても自然で素敵に感じられたことから、お花をテーマで絵本にしようと思ったのです。
その後書きには娘さんとのこんな素敵なエピソードが書かれています!
<<お花をあげたい気持ち>>
娘といっしょによくスーパーへ買物に出かけます。そのスーパーは入り口のところで少しだけお花を売っていて、娘はそれを見ると毎回、「お母さんにあげるから買ってー!」とせがむのです。
子どもは、やっぱりお母さんのことが大好きで、好きという気持ちは何かをあげたい、という気持ちになってあらわれるようです。
生まれて最初にお花をあげたい相手、それはきっとお母さんなのでしょう。子どもにとってお母さんの笑顔は一番の幸せで、とても大切なものなのです。
そんなこともあって、休日にお花をおもいっきり摘むことのできるところへ行こう! ということになり、南房総へ出かけました。澄んだ青空の下、腕いっぱいにお花を摘む娘はとても満足げで、それを見ていた私もなんだか優しい気持ちになりました。
(『おはなをどうぞ』後書きより抜粋)
■ 子どもの目線から見た大人は・・・?
女の子と動物達のやりとりを見ていると、微笑ましかったり、ちょっとハラハラしたり。誰かに喜んでもらうのは嬉しいことだけど・・・。女の子の繊細な心の変化が画面全体から伝わってきます。その表現方法へのこだわりを教えていただけますか?
この本に出てくる動物たちは、子どもを取り巻く大人たちです。
子どもの目線から見ると大人はとても大きく威圧的に見えることでしょう。
そして、大人たちの言葉に喜び、時に不安になったりします。
しかし、最後は子どもにとって一番安心できる場所に帰ることで、
また子どもたちは成長していくことができるのだと思います。
そんな三浦さんの言葉を胸に読み返してみると、自分が子どもだった頃の記憶が重なって蘇ってくるようです。そして最後の場面ではとても幸せな気持ちになれるのです。きっと子ども達も同じように感じているのでしょうね。
■ この小さな優しい物語を演出するのは鮮やかな色彩。
オレンジやピンクなど、色の鮮やかさもとても印象的な本作品。
通常の印刷方法とはちょっと違うとお伺いしましたが・・・。
簡単にいうと版画に近い印刷です。
色同士をできるだけ掛け合わせずに、
そのものズバリの色を印刷しているので発色が良いのです。
このような印刷方法(※)は古い本によく見られます。
色が重なった部分が少し違った色になるのもこの印刷の特徴です。
※特色印刷
作り方の工程の説明については複雑になってしまうそうなので、印刷についてのみ
簡単にわかりやすく教えていただきました。
■ この作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
子ども達には勿論、大人の方にも喜ばれそうなこの作品。読者にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
子ども向けに作ったのですが、
出来上がると大人でも楽しんでもらえるのではないかと思いました。
出産祝はもちろん、誕生日や母の日にお花と一緒にプレゼントするのにもいいと思いますよ。
■ 三浦さんご自身についてお伺いさせて頂きます。
絵本を制作されていて、一番楽しい時はどんな瞬間ですか?
アイディアが頭の中で浮かぶ瞬間、これが一番楽しくワクワクします。
絵本作家になって良かったなぁと思われた事がございましたら教えて頂けますか?
私はイラストレーター時代に仕事をしていて、分担作業で自分の満足のいく作品を作ることが、
どれだけ難しいかを知りました。
絵本はある程度すべて、自分で決めることができます。それによって大変なことも増えますが、
自分のアイディアをかなり近い状態で、形にできることはとても幸せなことだと感じています。
今後どのような絵本を作ってみたい、作っていきたいと思われていますか?
最近は子どもも大きくなったので少しお話のあるものを作ろうと思っています。
私は子どもと寝る前に絵本を読んでいるので、長いお話は読むのが疲れます。
ほどよい長さのお話。子育てをしているとこれが重要だったりします。
■ 三浦太郎さんからのメッセージです!
最後に、三浦太郎さんに絵本ナビ読者の方へ向けてのメッセージをお願いしました。
絵本は子どもが読むものだけど、大人が決めて買います。
楽しい絵本が好きな親は、子どもに笑顔になってもらいたい。
優しい絵本が好きな親は、子どもに優しくなってもらいたい。
きっと、そう願っています。
たくさん、自分だけの絵本に出会ってください。
素敵な直筆メッセージも描いてくださいました!
絵本とまた違った味わい、ちょっと得した気分になっちゃいますね。
ありがとうございました!
アメリカではロングセラーとして35年も愛され続けているという絵本『アイラのおとまり』。
子どもから大人まで惹きつけてやまないこの作品、一体どんな内容なのでしょう。
待望の新装復刊を記念して、翻訳者のまえざわあきえさんにこの作品の魅力を語って頂きました!
『アイラのおとまり』
バーナード・ウェーバー 作 まえざわあきえ 訳
ひさかたチャイルド/チャイルド本社 刊
▲翻訳家まえざわあきえさん。
※こちらの写真はミュンヘン国際児童書図書館内にある、絵本作家ビネッテ・シュレーダーのコーナーで撮影されたものだそうです。後ろにあるのはビネッテ・シュレーダーがデザインした機械仕掛けの作品だそうで、小さな扉を開くと、オルゴールがなって中の景色や人物が動くそうです!
■ 『アイラのおとまり』の原書との出会いは・・・。
まえざわさんは『アイラのおとまり』の原書に出会われた事が翻訳の道へ進むきっかけになったとお伺いしています。その時のエピソードなどを教えて頂けますか?
アメリカの大学留学中、英米文学科の絵本の授業で『アイラ』に出会いました。教授が持ってきた絵本のなかに『アイラ』を見つけたクラスメートたちから、「読んで!」コールが起きたのです。教授は、「しかたない……」といった感じで、『アイラ』を読み始めました。原書のリズムは、くるくると変わるアイラの気持ちにぴったりでした。学生たちは、笑顔で聞いています。子どものときにアイラを読んだ彼らが、おとなになっても愛してやまない様子を目の当たりにして、絵本の力を改めて感じた瞬間でもありした。
そしてわたしも、この本のとりこになりました。おとまりに誘われて、大喜びしているアイラの無邪気なようす。次の場面から一転、アイラは真剣に悩み始めるのですが、その表情もまたかわいい。
アイラを取り巻く家族にも、魅せられました。お父さん、お母さんの愛情がつたわってきますし、お母さんがソファでゆったり新聞を読み、お父さんはチェロをひいて……なんていう心の余裕にもあこがれました。
五歳年下の弟のいるわたしには、おねえちゃんの気持ちも痛いほどわかります。弟がかわいいからこそ、家で甘やかされている弟に、世間で受けるかもしれないキツイ一撃を教えてやらずにはいられないのです。(最近わたしの弟にそんな話をしたら、「いや、受けたほうにしてみれば、あれは愛情じゃない、ただのいじわるだった」と言われ、とてもショックでした……。)
レジーも、ちょっとずるいけど、いっしょうけんめいで、そこがまたほほえましい……。
最後に安心して本を閉じることができるのも、いいなあと思いました。
授業のあと、アメリカの公立図書館で、『アイラ』を読み聞かせしている場面にも遭遇しました。子どもたちが、身を乗り出すようにして絵本を見ています。アイラがぬいぐるみをつれていかない、というと、みんな、小さな肩をがっくりと落とし、「オー…」とためいき。やっぱりつれていこう、となると、こんどは「そうだよ!」「つれていったほうがいいよ!」と歓声があがります。
アメリカの子どもたちは、ごく小さい時から、親とはべつの部屋で寝ます。わたしのアメリカの友人たちは、親と寝ていた記憶はなくて、もの心ついたときには、ぬいぐるみと寝ていた、と言います。ひとり泣きながら寝た夜のことも、ぬいぐるみだけは、ぜんぶ知っているのです。そんなぬいぐるみと離れて友だちの家で寝るのは、すごく勇気のいることに違いありません。だからアイラの問題も、他人事ではないのです。
こんなにみんなに愛されている絵本なら、日本の子どもにだって読ませてあげたい……。そう思ったのが、『アイラ』の翻訳を思い立つきっかけでした。
子どもの頃まるで自分の事のように共感しながら読んでいた子たちが、大人になっても嬉しそうにお話を聞いている様子。なるほど「絵本の力」というものの原点を感じるエピソードです。きっと日本の子ども達にも愛されるでしょうね。
■ アイラの素直さが伝わるように・・・。
お話自体はちょっと長めなのですが(48ページ)、アイラと一緒の気持ちになって迷ったりドキドキしているうちにあっという間に読める印象を受けました。小さな子でも楽しめそう!翻訳される時に意識された事はありますか?
アイラの素直さが伝わるように……と思いながら訳しました。それから、英語で読んでもらったときの軽やかなリズムも、忘れないように――。重たいリズムでアイラが悩んでしまったら、聞いているほうも、しんどいですから……。
日本でも、いろいろな方が読み聞かせしているのを聞いたことがあります。会話が多いせいか、読む人によっていろいろなアイラやレジーが登場して、とても楽しいです。みなさんにも、ぜひ、声に出して読んでいただけたらと思います。
■ 作者のバーナード・ウェーバーさんは家族をとても大切にされている方。
作者のバーナード・ウェーバーさんはどんな方なのでしょうか?
ウェーバーさんは、グラフィック・デザイナーをしていたとき、彼の作品集を見たアート・ディレクターたちから、児童書のイラストも描いてみてはどうかと勧められたそうです。ちょうどそのころ、ウェーバーさんは自分の三人の子どもたちに絵本の読み聞かせをするようになり、絵本の魅力にのめりこんでいきました。子どもをつれて図書館へ行くと、夢中になって絵本をあさるので、子どもから、「パパはおとなの本棚に行って」と言われたとか。それから絵本を作るようになったそうです。
「自分の作品は、家族の愛情や支援があってこそできたもの」と、ウェーバーさんは家族をとても大切にしています。その気持ちが、また、絵本に反映されていると思います。
▲バーナード・ウェーバーさん。
(作品やエピソードから受ける印象どおりの愛らしさ!!嬉しくなっちゃいますね。)
■ 『アイラのおとまり』のみどころを教えてください!
アイラにふりかかった問題や、家族とのやりとりのようすは、年齢や文化を超えて共感できるものだと思います。だれでも子どものころには、おとなから見ればささいなことで不安になった経験があるのではないでしょうか。
でもよく考えてみると、おとなだって、他人から見れば取るに足らないことで悩んだりするし、心に不安があれば、なかなか決断を下せない・・・。「これがあると安心」「これがないと不安」というものだってあるはずです。アイラは、だれの心の中にもいるのだと思うのです。この本が長く愛される秘密のひとつは、このあたりにもあるのかもしれません。
また、ウェーバーさんは、絵本の形をうまく活かして、言葉では語りつくせない感情の機微を伝えたり、読者を物語の世界に引き込んだりします。
たとえば『アイラ』で、真っ白なページに、「だけど おねえちゃんが いうんだ」とか、「そしたら おねえちゃんは いうんだ」とか、でてくると、たいてい次のページのおねえちゃんのセリフはいじわるです。こんなふうに決まったパターンを繰り返すと、小さな子どもでも、次にどんなことが待ち受けているのか予測できます。予測できると、子どもたちはますます絵本に引き込まれていきます。
以前、3歳の男の子に『アイラ』を読んであげたことがあります。物語中盤、真っ白なページに書かれた「でも おねえちゃんは いうんだ」という一文を読んだら、その子は次のページへ進もうとするわたしの手をおさえこんでいいました。
「ねえ、おねえちゃんも、『つれてくのがいい』っていって!」
おねえちゃんのいじわるは、もう、聞きたくない、アイラには、ぬいぐるみを連れて行ってほしい――と、いうわけです。この絵本を初めて読む3歳の子でも、展開を予測していたのです。この子の頭の中には、自分だけのアイラの世界が広がっていたに違いありません。
ウェーバーさん自身、絵本を余すことなく楽しんで作っているなあと思うのです。
■ いつか自分でも、アイラのようなかわいいお話を・・・。
まえざわさん御自身についてお伺いします。こんな絵本を翻訳されていきたい、というのがありましたら教えて頂けますか?
おなかを抱えて笑ってしまうような話でも、涙が止まらない話でも……何度でも読みたくなるような絵本、何かの時に取り出して、また読んでみようと思うような絵本を訳せたら、幸せです。いつか自分でも、アイラのようなかわいいお話を作ってみたいです。
▲こんな可愛い手書きのサインを頂きました!!
まえざわさんのつくったお話、楽しみですね。ありがとうございました。
『山からきたふたご スマントリとスコスロノ』
乾 千恵 再話 早川純子 絵 松本亮 監修 福音館書店 刊
詳しくはこちらもどうぞ(福音館書店HP)>>>
申し訳ございません。
こちらへ移りました>>>
「おまえも自分で探してごらん。」ある日、じぃじは一冊の本を貸してくれた。ぼくが生まれるずっと前に、じぃじが密かに観察した「コビトの記録」。ぼくは、その本を頼りに未だ見ぬコビトを探しに行くことにしたんだ・・・。
『こびとづかん』は実際読んでみるとわかると思うのですが、本人の意思とは別の所で惹きつけられていってしまうような絵本なのです。(子ども然り、大人もまた然り。)何か秘密があるのでしょうか。作者のなばたとしたかさんにお話を伺いながら探ってみましょう。
■ 『こびとづかん』誕生のきっかけは・・・?
―― 何といってもインパクトのあるのが「コビト」。見たことのない様な姿をしたコビトが次から次へと登場するのです。一体どこからこんな発想が生まれてくるのでしょう?この絵本をつくろうと思ったきっかけを聞いてみました。
「もともと小さい頃からすごい怖がりだったんです。」と、なばたさん。
「家に居る時も、誰もいない二階や、物音、タンスの隙間なんかにすごく敏感で。確認できない音だったり、見えない場所だったりがすごく怖くて。その怖さを紛らわせる為にいつも色々想像していたんです。きっと何か小人みたいなものが住んでいて音を立てたりいたずらをしたりしているに違いないとか。思い込むことで安心したかったんですね。」
※その具体的なイメージは「みんなのこびと」「こびと大百科」のイエコビトのページで存分に楽しめます!
「大人になってから、そういえば最近そういう感覚ってないなぁ・・・と思い出し、形にしてみようと思い立ったんです。それで最初に粘土で作ってみて出来上がったのがこんな形だったんです。」
―― コビトのこの姿は、長い間なばたさんの体の中で温められてきたものだったのですね・・・。
「出来上がってみたら、自然の中にいても結構違和感のない感じで。このコビト達が住んでいる世界をつくってみたい、見てみたい、そう思ったのが絵本をつくろうと思った直接のきっかけです。」
―― 怖がりを克服させる為につくったイメージから生まれた絵本『こびとづかん』。その他にも子どもの頃の記憶や経験が生かされている部分があるのでしょうか?
「僕は石川県の輪島(輪島塗の里)で生まれ育ったのですが、すごく自然に恵まれていたんです。毎日外で遊んだり虫と戯れていました。特に意識している訳ではないですが、その影響はすごく大きいと思います。『こびとづかん』では生態の面白さは勿論のこと、風景の広々とした豊かな自然を描くことで少しでもその美しさや大切さを感じとってもらえたら嬉しいですね。」
■ 探す楽しみや発見する喜びは虫採りと同じ感覚!
―― インパクトのあるコビトの姿だけでなく、ページをめくる度に、びっくりする程細かいコビトの姿も子ども達はどんどん発見してしまいます。それはまるで虫探しをする時の感覚に似ていますね。その辺りは意識されているのでしょうか?
「まさにその感覚だと思います。
虫を見つけた時など、大人だと知識があったりするので「ねばねばしそう」とか躊躇してしまう事の方が多いと思うけど、先入観のない子どもにとっては虫だろうとコビトだろうと、全部が新しい発見。好奇心のみで未知の生き物に向かっていけるのだと思います。自分が子どもの頃にもそうやって夢中で遊んだ時の感覚、探す楽しみ、発見する喜び。絵本を通して、そういうものを子ども達にも味わってほしいと思っています」
―― この絵本に登場する「コビト」というのは、友好的というよりはむしろ強暴だったり、極端に臆病だったり。でも子ども達に自然に受け入れられているのが意外な感じもするのですが。
「そうですね。いきものを観察する上で様々な性質があるのは自然な事だと思います。身の回りの昆虫や生き物でも想像を超えた姿や習性のあるものも沢山ありますしね。子ども達から手紙などで普通に質問が来ますよ。どうやったらうまく捕まえられるのか、強暴なリトルハナガシラに会わずにすむ方法を教えてください、とか。僕がもらう手紙はほとんど生物学的な質問ですね(笑)。本人達にとっては真剣な問題なんだと思います。」
こんな風に子ども達がこの絵本の世界にとてもすんなり入り込んでいってしまう様子がとても驚きなのです。また不思議なことに、
「この絵本には僕のきらいなものもたくさん登場しています。」
特に「みんなのこびと」にはちょっと強烈な虫も登場します。でもどうやらなばたさんも苦手だそうなんです。怖い、きらい、好き、面白い。どうやら子ども達となばたさんにとって、ここの辺りの境界線は限りなく低いのかもしれません。
■ 予想以上の反応について。
―― 「小さい子が『こびとづかん』を夢中で読んでいる」「保育園のお遊戯会はこびとの格好で!」「小学校の図書館で『こびと大百科』がずっと貸し出し中」「大人になってから初めて絵本を買いました。」などなど、じわじわと確実に各方面・各年齢層で話題になっている「こびと」シリーズ。
制作をされていた時は年齢を意識しましたか?
「制作している時は、自分が楽しみたい、とにかく面白いものがつくりたい、という事ばかり考えていたので特に意識はしていませんでした。
『こびとづかん』が出版された当初は大人の人の反応が大きかったように思います。でも、気がついたら子ども達から沢山に手紙をもらったり、小学校のクラス全員でオリジナルこびとを描きました、という話を聞いたり。保育士さんやお母さん達からの反響も大きくて、自分でもびっくりしています。」
―― 年齢を意識しなかった事が逆に楽しめる年齢層を広げている、という部分もあるのかもしれませんね。
「大人の楽しみ方と子どもの楽しみ方が全然違うのが面白いなぁと思いますね。
大人はこの絵本をみて懐かしいと感じたり、キャラクターの面白さを楽しんだり。
一方子どもにとっては現在の出来事。虫採りだったり自然に触れ合う事と同じ様な感覚で楽しんでいるんです。」
■ どんどん広がる「こびと」の世界。
―― そして続刊『みんなのこびと』では、全国から寄せられたコビト目撃情報満載。意外と身近にいる事もわかります。
「『こびとづかん』はコビトを発見する話です。描き終わった後、今度は発見した後の事を描きたいなぁと思いました。『みんなのこびと』はこびとを見つけた時の対処の方法をコビト博士が教えてくれる、という形になりました。こちらはコビトがいる、という前提から始まっている内容ですね。」
コビトの意外な生息場所や、出会ってしまった時の子ども達の表情がみどころ。一冊目の『こびとづかん』とは視点が変化している、という部分もとても面白いのです。
発見したり、捕まえたりしたら、今度はその生態を知りたい!当然沸き起こってくる好奇心の流れを受け止めてくれるように更に登場したのが『こびと大百科』。立体版のこびとの登場です。
「大百科」の名にふさわしく、更に細かいこびとの生態情報を写真を交えて教えてくれます!一見おふざけの様にも思えますが、かなり真剣につくられています。
―― 実際の図鑑のつくりにあまりに忠実のためか・・・子ども達ののめり込み方が半端じゃありませんね。
「サイン会などに出向くと、すでにぼろぼろになっている『こびと大百科』を持ってくるこびと博士の様な子も結構いるんです。僕がサインでこびとの絵を書き始めた瞬間に「カクレモモジリでしょ。」「またリトルハナガシラだよ!」なんてマニアックな突っ込みも(笑)。」
イベントとして、学校の校庭でみんなで「こびと探し」をした事もあるそうです。バケツやロープまで引っ張り出してきたりして。子どもの集中力というのは・・・あきれる程スゴイのです。
▲サインを描いて頂きました!何のコビトでしょう・・・きっと小さなコビト博士に見せたら即答です。
■ 「こんな本が読みたかった!」と思いながらつくった。
とにかくこの「こびと」シリーズ、想像力を刺激される本なのです。
一冊目、二冊目・・・と、順を追っていくとどんどんはまっていってしまうのがまた凄いところ。
それはなばたさんご自身が純粋に面白がってつくっているからなのでしょう。
「こんな本が自分の小学生の頃あったら毎晩読んでいるんだろうな・・・。」
本を見ながらそうつぶやくなばたさんの言葉が象徴しているようです。
子どもの頃から未知の生物や架空の生物が大好きだったなばたさんが「こういう本が子どもの頃読みたかった」という思いでつくられたこれらの絵本。子ども達が共感してしまうのも納得なのです。どうやらこんな所にみんなを夢中にさせてしまう秘密の鍵があるようですね。
そんななばたさん。本業はイラストレーターで、特に絵本だけにこだわっている訳ではないそうです。
「絵本は表現方法のひとつ。面白そうな事があればどんどん実現していきたいと思っています。」
でも「今度は、ふとコビトと一緒に住むことになってしまったらどうするか、何て内容も描きたいなぁ。」などつぶやいておりましたので「こびと」シリーズはまだ続くようですよ。安心安心。
■ 最後に絵本ナビ読者に向けて!
まずは子ども達へ・・・
「子ども達には、とにかく楽しんでほしい、面白がってほしい一心です。プラスアルファとして命の大切さ、自然の大切さを感じとってもらえれば嬉しいです。」
大人の方には・・・
「表紙で判断して敬遠されている方もいるかもしれませんが、読んでいるうちにコビトが可愛く見えてくると思います!」
そしてママにも・・・
「家のトイレのトイレットペーパーを三角折にして子どもに「コビトがやったのかなぁ。」と言ったら凄く喜んでくれて・・・なんてお母さんの声も頂いています。こんな風に親子で楽しんでもらえたら僕としては最高です。」
直筆メッセージを描いてくださいました!!
▲熟れた桃が大好きな○○○モモ○○ですね!(『こびと大百科』で探してね)
ありがとうございました!
なばたとしたかさんのHP>>>
こびとづかん公式サイト>>>
こちらもご覧になってみてくださいね。
夏休みの散歩も「コビトを探してみようか」なんて言うだけで、ぐっと遊びの想像の幅広がりそうですよね。そんな遊びの延長として、是非新しいコビトや見かけたコビトなんかを絵に描いてみてください。
なばたとしたか先生からの夏休みの宿題です!
詳細はこちらから>>>
宿題の前に、まずは絵本を・・・という方に朗報です。8月中はずっとサイン本を販売しています!
(売り切れになっていても、8月中は補充しますのでちょっと待ってみてくださいね。)
仲川道子・漫画 「紙しばいだいすき」パンフレットより参照
子どもたちは、絵本も紙芝居も大好き! それぞれにすてきな魅力があることを、ちゃんとわかっているんです。絵本は、読んでもらっても、自分で読んでも、絵をじっくり見てお話をたっぷり楽しむ中で、一人一人の心が豊かに深まっていきます。
紙芝居は、向かい合って顔を見ながら、一緒に楽しむのがうれしい!
暖かなふれあい、同じ思いを分かち合ううれしさが、共感しあうよろこびとなります。
世界中で愛されている絵本『にじいろのさかな』。シリーズでは何と1500万部を突破したそうです。今年の夏、そんな「にじいろのさかな」シリーズの待望の新刊が発売されました。
『にじいろのさかな うみのそこのぼうけん』です。ちょっとたくましくなったにじうおくん、見たこともないような深海の生きものたちの登場など今回もみどころが満載の一冊となっています。
その発売を記念して、今回は出版されている講談社さんの御協力のもと作者であるマーカス・フィスターさんへのインタビューが実現する事ができました!『にじいろのさかな』から最新刊のお話、また読者からの質問も含めて丁寧に答えてくださいました。是非絵本と合わせてじっくりお楽しみください。
マーカス・フィスター(Marcus Pfister)
1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろのさかな」シリーズなどがある。1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろのさかな』をはじめとする「にじいろのさかな」シリーズは、世界で1500万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。
■ 『にじいろのさかな』についてお伺いします。
―― 絵本『にじいろのさかな』を目の前にすると、世界中の誰もがまず「ひかるうろこが美しい!」と感じるのではないでしょうか。だからこそ成り立つお話なのだとも思います。この作品のアイデアを思いつかれたきっかけというのを教えて頂けますでしょうか?
ひかるうろこは、たしかにこの本の重要なポイントです。でもこの本が、大きな成功をおさめたのは、うろこのためだけではありません。多くの学校や幼稚園に買っていただいたり、人々が本屋さんで、友だちへの贈り物としてこの本を買ってくださったのは、このお話のコンセプトによるところが大きいと思っています。このお話をみんなで分かち合いたい、と思ったのです。
うろこを選んだ理由は、そうですね、もし、このにじいろのさかなを他のキャラクターから際立たせるものが、「色」だけだったとしたら、他のキャラクターは当然味気ないグレイにするしかありません。なので、私はそれ以外の特徴を探しました。そして結果的にうろこは、このお話をもっともすばらしい形で完成させることに役立ちました。「分かち合う」というコンセプトを底のところで支える、そういう要素になりました。ただ色のついたさかな、だけではこういう風にはならなかったと思います。
本物のきらきらひかるうろこをあげてしまう-これがこの作品を特別なものにしたのだと思います。
―― 読者の間では「自分の大切なものを人に分け与えればこそ幸せになれる」という部分に大きなテーマを感じられている方も多いようです。色々な捉え方をされるのが絵本だと思いますが、マーカス・フィスターさんが考えられているこのお話の中のテーマをシンプルな言葉で教えて頂けますでしょうか?
私たちを特別な何者かにするのは、何を持っているか、によってではなくて、何をしているか、によってではないでしょうか。もっているわれわれが、もたざる誰かとそれを分け合うのはとてもよいことと思います。あるいは、ただたんに、誕生日やそのほかの機会に贈り物を贈る、という習慣のことを思い起こしてください。誰かを幸せにするってことはとても楽しいものですよね。
―― 「にじいろのさかな」シリーズ第2~5作の中で、にじうおは様々な困難や周りとの関係性に立ち向かっていきます。それはまるでにじうおの成長記を見ているようですね。マーカス・フィスターさんが実際にお子様との触れ合いの中からお話に影響を受ける、という事もあるのでしょうか?実際ににじうおにはモデルがいたりするのでしょうか?
いえ、モデルはいません。私はそれぞれ違うところからインスピレーションを得ています。
たとえば第2作においては、私の長男の学校での経験から、第3作では私自身が子どものころ年長のきょうだいと一緒に経験したことからインスピレーションを得ています。
想像するに、これら6つのにじいろのさかなシリーズは普通の子どもたちの周りに起こりうることを反映しているように思います。
■ 最新作 『にじいろのさかな うみのそこのぼうけん』についてお伺いします。
―― 今までとは少し違い、自分にとって本当に大切なものがはっきりみえているようにみえるにじうお。自分の中の明確な意思を持って知らない世界に立ち向かっていく様子がとても印象的でした。また、その成長を祝福するかのようにたくさん降り注ぐキラキラが素敵ですね。第一作が登場してから随分時が経っています。この6作目に対する想いというものを教えて頂けますか?
私はこの話のテーマが大好きです。私は今でも子どものころ大事にしていた、他の何にも代えがたいテディベアをなくしてしまったことをずっと覚えています。
この本はまた私たちが、これ以上もう望むものはなく現在持っているもので十分幸せなのではないか、ということを教えてくれます。私たちも子どもたちに「つつましさ」を教える時期が来ているように思います。
―― これから手にする日本の読者に向けて、この作品の「みどころ」を教えて頂けますか?
上でご説明したことに加えて、私は、にじうおに、新しい世界を発見させるのが好きです。ですから、日本の読者の方にも、にじうおといっしょに深海に住む新しいさまざまな生き物との出会いを楽しんでほしいと思っています。彼らはとても美しくて、格別ですから。
■ 絵本作家マーカス・フィスターさんについてお伺いします。
―― 絵本を制作される時、どの瞬間が一番楽しいですか?また大変な部分というのはどの辺りですか?
それはもちろん新しい話を考えているとき、でしょうね。新しいキャラクターを考え、最初にスケッチするときもわくわくするかもしれません。でも本を完成させるには大変な苦労が伴います。それが一番苦しいところです。
―― 絵本を通して子ども達へ伝えたいメッセージというのはございますか?
それは本によってそれぞれですね。全ての本に重要なメッセージを埋め込む必要もないと思っています。ときどき私はただ自分の楽しみのためだけ、そして、それはすばらしく魅力的な本の世界を若い読者に紹介することで、彼ら自身もそれを楽しんでくれる、そういうために書く本もあります。
―― 絵本作家になって良かったなぁ・・・と感じられる時はどんな時ですか?
アトリエで仕事に向かっているときはいつも幸せです。本当に仕事が好きですからね。でももちろん、いろんな世代の読者からの反応がかえってきたときはやっぱりよかったと思いますね。
■ 絵本ナビ読者の方からの質問です!
※ここからは、皆さんが寄せてくださった質問の中から答えて頂きました。
―― 海の風景や生き物がとってもきれいです。海がお好きなのですか? (ご自宅から海が見渡せるのでしょうか?ダイビングをされるのでしょうか?にじうおのモデルの魚は?登場する魚を選んでいくポイントは?)
残念ながら私の住むスイスには海はありません。でも旅行をして、他の国で海を見ることは大好きです。毎回新しいお話を考えるときに、このにじうおの世界を完璧なものにできる新しい動物のキャラクターはいないか、探しています。
―― うろこのきらきらを印刷するのはとても大変そう!実現はすんなりできたのでしょうか?
担当の編集者がたいへんな苦労をして安い料金でこの印刷ができるところを見つけてきてくれました。こういうキラキラ印刷(ホログラフィック)をする費用はとてもかかるので、当初考えていた値段で印刷ができるとわかったときにはとてもうれしかったです。
―― 海の色の青を始め、色彩がとっても美しいです。色をつけられる際、何を一番大事にされていますか?
色を塗って、まだぬれているところに、さらに色を重ね、にじませる塗りかたをします。水の雰囲気がとてもよく表現できるので。
―― 『にじいろのさかな』読者からの嬉しかった反応はございますか?また国によって反応は違いますか?
国によって反応が違うということはありません。うれしかった手紙……。小さな読者からの「こんなお話を書いて」というお願いだったり、おばあちゃんが孫に私の書いたお話を読んで楽しかったとか、そういうものですね。
―― にじいろのさかなの夢はなんですか?
彼が夢を僕には話してくれたことはありません。でも想像するに、ただ、多くの友だちに囲まれてきれいで健康的な海で平和に過ごすことではないかな、と思います。きれいな環境を維持できるかどうかは、われわれにかかっているわけですが・・・。
―― 絵本を描かれる際に読者の年齢を意識されますか?
もちろんです。でも同時にこれを手に取り、子どもに読み聞かせてくれるご両親のことも意識しますね。
―― 絵本を制作される前など何か日課はありますか?
申し訳ないですが、これといってないですね。
―― 子どもにとって本とは?
たんに美しい絵とすばらしいお話がある、というだけのものではないですね。ママやパパ(あるいは両方)と一緒に座って、お話を聞いたり、質問したりして、両親をちかしく感じる。そんなすばらしい習慣をもたらしてくれるものです。
■ 最後に絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いします!
日本に多くの読者がいることをとても誇りに思います。魅力的な国、日本で過ごしたすばらしい日々を今も思い起こします。また近いうちに是非訪れてみたいです。
マーカス・フィスターさん、ありがとうございました!
「にじいろのさかな」シリーズはこちら>>>
にじいろのさかなWeb水族館はこちらから>>>
にじいろのさかなと七つの冒険(鳥羽水族館・講談社合同企画)イベント詳細はこちらから>>>
今年15周年を迎えられた瑞雲舎さん。「絵本ナビの読者の方へ向けて何か面白い企画を・・・」と考えてくださって実現したのが今回の豪華サイン本まつり&色紙プレゼントキャンペーンです。そして更に、瑞雲舎井上富雄社長へのインタビューもご紹介します。普段なかなかお伺いできない貴重なお話となっていますよ。サイン本、色紙にご協力頂いた絵本作家さん達との出会いのエピソードなどもお伺いしています。サイン本が完売してしまった後も是非合わせてお楽しみください!
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■豪華サイン本のご案内・・・好評につき完売致しました。
■サイン色紙プレゼント・・・あの作家さんの直筆です!
■社長インタビュー
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■ まずは豪華サイン本ラインナップのご紹介です。
●やなせたかし直筆サイン本『あれはだれの歌-やなせたかし 詩とメルヘンの世界-』
●かこさとし直筆サイン本『どうぐ』
●味戸ケイコ直筆サイン本『夢の果て-安房直子十七の物語-』
●黒井健直筆サイン本『HOTEL(ホテル)』
●中川宗弥直筆サイン本『みいくいおひめさま』
●舟崎克彦直筆サイン本『なんでもはかせのなんでもパンツ』
●和田誠直筆サイン本『ことばのこばこ』
●秋山とも子直筆サイン本『おとうさん』
●早川純子直筆サイン本『はやくちこぶた』
●バーナード・ワッツ&松岡享子直筆サイン本『まつぼっくりのぼうけん』
<<読み聞かせ絵本シリーズ全5冊>>
●飯野和好直筆サイン本『瓜子姫っこ』
●堀越千秋直筆サイン本『ふるやのもり』
●朝倉摂直筆サイン本『お月お星』
●太田大八直筆サイン本『狐とかわうその知恵くらべ』
●片山健直筆サイン本『天さあがった男』
■ 貴重です!豪華直筆サイン色紙プレゼントキャンペーン。
今回、5人の作家さんが絵本ナビ読者の為にイラスト入りの直筆サインを描き下ろしてくださいました!
★プレゼントキャンペーン期間中
【2009/7/8(水)~7/22(水)】・・・キャンペーン期間は終了致しました。
瑞雲舎さんの作品を一冊以上お買い上げ頂いた方の中から、抽選で5名様に下記の色紙のうちいずれか1枚をプレゼントさせて頂きます。
瑞雲舎さんの作品はこちら>>>
早速その貴重な色紙のご紹介を、瑞雲舎井上社長との出会いのエピソードと共にご紹介します!
【やなせたかしさん直筆サイン色紙】
やなせたかし先生とは、35年ほど前、月刊「詩とメルヘン」の編集部時代お世話になりました。 まだ20代のころで、先生や奥様に可愛がっていただきました。地方でのサイン会などに同行することも多く、楽しい思い出がたくさんあります。
【かこさとしさん直筆サイン色紙】
かこさとし先生とは、2001年『どうぐ』の復刊のときからのお付き合いです。それいらい『土木の歴史絵本全5巻』『海を渡った日本人シリーズ』などをご一緒に仕事をさせていただきました。
【味戸ケイコさん直筆サイン色紙】
味戸ケイコさんとは、「詩とメルヘン」時代にたくさんの作品を描いていただきました。特に安房直子さんとの17の作品は、思いで深いものです。ようやく2005年に一冊の作品集『夢の果て』として出版することが出来ました。
【飯野和好さん直筆サイン色紙】
飯野和好さんとは、やはり「詩とメルヘン」でイラストレーションを描いていただいたのが最初です。『瓜子姫っこ』は鈴木サツさんの昔話の語りに絵をお願いしました。作品が完成するまで足掛け3年以上かかりました。でも待ったかいがあって美濃の和紙に素晴らしい絵を描いてくださいました。なんと印刷も美濃和紙にした豪華版です。
【早川純子さん直筆サイン色紙】
早川純子さんとは、2005年に言葉あそび絵本の企画をしたときに初めてお会いしました。早口言葉を一冊の絵本にするため、構成もお任せしたところ1年半以上かかって斬新なラフを描いてこられました。3匹のこぶたとオオカミのストーリー仕立ての内容に驚きと、その面白さに脱帽しました。
★その他サイン本にご協力して下さった作家さんとのエピソードもご紹介します。
【和田誠さん】(『ことばのこばこ』)
和田誠『ことばのこばこ』について、この絵本はある図書館員の皆さんとの集まりがあった際、強く復刊を希望されました。さっそく和田誠氏にご連絡さしあげたところ、原画がないので、もし印刷所にフィルムが残っていたら復刊してもよいといわれました。原書の出版社すばる書房は倒産していたため、奥付で印刷所をつきとめ、訪ねていったところ廃棄寸前の状態でした。おかげさまで1995年の復刊以来、毎年のように増刷をかさねております。
【片山健さん】(『天さあがった男』)
片山健=絵『天さあがった男』については、遠野の方言の昔話絵本全5巻のうちの第3巻目の作品に絵を依頼しました。片山さんも鈴木サツさんの語りを生で聞いたということで、2年をかけてキャンバスに油絵で力作を描いてくださいました。
【バーナード・ワッツさん、松岡享子さん】(『まつぼっくりのぼうけん』)
バーナード・ワッツ=絵 松岡享子=訳『まつぼっくりのぼうけん』について、この絵本は2007年にボローニャ国際児童図書展に行ったとき見つけました。日本に帰って翻訳をどなたに依頼しようか考えていたところ、昔「松の実文庫」を主宰していらして現在東京子ども図書館の理事長の松岡享子さんが浮かびました。ご連絡したところ、快く翻訳の仕事を引き受けてくださいました。今回はイギリスに住んでおられるワッツさんに絵本を送ってサインしていただき、さらに松岡先生に連名でサインしていただいた貴重な絵本です。
【中川宗弥さん】(『みにくいおひめさま』)
中川宗弥=絵『みにくいおひめさま』については、昨年「復刊ドットコム」やWEBサイトで、この本の復刊を希望される声がたかまっておりました。中川先生にお話したところ、40年以上前なので原画が見つからないとのことでした。なんとかしようとお伺いしたところ幸いにも、原画が見つかりました。ただ印刷技法が古い時代の2色、3色の印刷のため、現在のデジタル製版ではうまくいきそうにありませんでした。そこで印刷所の技術者に協力していただき、不要な色を抜く作業を教えていただき、印刷可能になりました。出来上がりに、中川先生も満足され大変喜ばれました。
続いて、瑞雲舎社長井上富雄さんへのインタビューをご紹介します。「瑞雲舎」立ち上げのエピソードから復刊絵本への想い、読者へのメッセージまでお伺いしました!
今年で15周年を迎えらたという事ですが、瑞雲舎を立ち上げられたきっかけとなった作品、またエピソードなどがございましたら教えて頂けますか?
今から15年前、勤めていた会社を退職してから半年間、近所の公立図書館に通いました。そこで絵本を中心に調べていたところ、多くの本が絶版になっていることに気がつきました。たとえば瀬田貞二著『絵本論』のなかに出ていた、行きて帰りし物語の傑作とされた『あひるのピンのぼうけん』(マージョリー・フラック=文 クルト・ビーゼ=絵)はどこを探しても見つかりませんでした。あるとき石井桃子先生にお会いしたとき、兵庫県のある図書館で、英語の原書に訳文を貼って読み聞かせに使っているということをお聞きしました。その図書館を訪ねてその現場を見ることが出来ました。翻訳されていたのが間崎ルリ子さんで、さっそくご相談したところ、いくつか手直ししてくださいました。版権交渉もうまくいきその年の11月に発売することが出来ました。その後も『シナの五にんきょうだい』や『ことばのこばこ』など次々に復刊してまいりました。
多くの名作絵本を復刊されている印象のある瑞雲舎さんですが、『ちびくろ・さんぼ』『シナの五にんきょうだい』などに代表される様な、特に訳あって長い間絶版になっていた絵本を復刊するという事はかなりのエネルギーが必要なのではないでしょうか?
絵本の復刊については、絶版になった作品の中で、内容的に問題ないのにもかかわらず、単なる言葉狩りのような理由で消えてしまった絵本、例えば『シナの五にんきょうだい』はシナという言葉だけで、『ちびくろ・さんぼ』はサンボという表現だけで出版されなくなりました。いずれも多くの子どもたちに愛読されていた絵本です。私どもはそれぞれの問題点をしっかりと把握したうえで、何ら問題ないと判断したうえで復刊をしてきました。いずれの絵本も元の出版社とのやりとりに相当なエネルギーがいりましたが、それに屈せずに主張を通して復刊にふみきりました。結果は現在も増刷をかさね、多くの読者に喜ばれています。本当に苦労が報われました。
しかし私としては、倒産している場合は別ですが、元の出版社が復刊してくれるのが一番だと思っています。そのきっかけになれば、それでよいと思います。
▼参考
特別寄稿「ちびくろ・さんぼが帰ってきた!」(月刊文藝春秋2005年6月号掲載)
『ちびくろ・さんぼ』の復刊への想いが綴られています。是非読んでみてください。
絵本を復刊される際に、特に大変な作業、また特に嬉しい瞬間・・・などを教えて頂けますか?
復刊を企画する段階で、まず著作権者の承諾を得ることからはじめますが、昔の出版物の場合どなたが著作権を継承されているか探すのが大変です。それと原画の有無も重要になります。原画の状態など退色していないかも気になります。原画のない場合でも現代の印刷技術の向上から、原本から上手にとることも可能になりました。この秋に復刊予定の『このラッパだれのかな』(まど・みちお=文 なかがわそうや=絵)も原画がなくて苦労しましたが、デジタルの技術で再現が可能になり、中川先生にも満足していただき、こちらも喜びをかんじております。
創作絵本にも精力的に取り組まれていますね。
『はやくちこぶた』を例にしますと、企画段階では『ことばのこばこ』につぐ「ことばあそびえほん」を出したいと思いました。絵を依頼する人を探していたところ、早川純子さんが候補にうかびました。さっそく打ち合わせをしましたが、なかなか良いアイデアがでず、四苦八苦していましたが、とにかく「早口言葉」にすることが決まり、代表的な早口言葉を、ふたりで決めました。それからが大変でした。どのような構成にするかが重要でしたが、1年が過ぎたころ早川さんが、ラフ画をもってこられました。そのアイデアの面白さと構成の絶妙さに驚きました。その5ヵ月後、描きあげた原画をみて、その細密なイラストレーションの見事さにさらに感動しました。
今後どんな絵本を出版されていきたいと思いますか?
絵本は子どもから大人まで幅広い年齢層に楽しんでもらえる素晴らしい媒体です。ひとりでも多くの人々に共感と感動をいただけるような絵本を創りたいと思います。
子ども達には絵本をどんな風に楽しんで欲しいと思いますか?
まず絵本を読んでもらうことから、面白さを知っていただき、自分で読めるようになったら、さまざまな本にチャレンジして「本当の読書の楽しさ」を体感してほしいと思います。
絵本ナビ読者の方へメッセージをお願いできますでしょうか?
絵本ナビのメンバーの皆様のレビューは、出版社にとってもとても参考になります。今後も復刊を希望される絵本がございましたらご提案ください。お待ちしております。
井上さん、ありがとうございました。
色々な人達の「想い」で成り立っている絵本の世界。出版されている方からお伺いするお話は、いつもとはまた違った視点でとても興味深く聞かせて頂きました。
こんな風に、これからも様々な角度から絵本をご紹介させて頂ければと改めて思いました。
毎年夏に開催される「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書が今年も発表されました。その中からピックアップするのは小学校低学年向けの絵本です。考えてみると、それまではただ楽しんでいただけの絵本です。いざ感想文を書くとなっても想像がつかない・・・なんて気持ちはよくわかりますよね。
そんな子ども達のお手伝いをすべく、今回は課題図書『ちょっとまって、きつねさん』を取り上げて、感想文を書くときのヒントをご提案します。
「なるほど、こういうポイントで絵本を読んでみると何だか書けそうな気がしてくる!?」
親子でそんな会話をしながら進められるよう、まとめてみました。参考にしてみてくださいね。
●絵本『ちょっとまって、きつねさん!』を読んで感想文を書いてみよう!
『ちょっとまって、きつねさん!』
作・絵: カトリーン・シェーラー
訳: 関口裕昭
出版社: 光村教育図書
●まずは読んでみよう!
きつねとうさぎのぼうやが顔を付き合わせて、とても可愛らしい雰囲気の表紙。
でも、きつねの大きな口からはぺろりと舌がはみだしているようで・・・一体どんな会話をしているのかな?まずは思いっきり楽しみながら読んでみよう。
それからいざ、感想文にトライ!
「どんなお話だったのか、まとめて書いてみればいいのよ。」というお母さん、
「ちょっとまって!」
あらすじだけ書いた感想文・・・書く方も読む方もちょっとつまんなくないですか?例えうまい文章でなくとも、それぞれ自分の感じた事を言葉にしていく方が、読む方もぐっと興味が湧くと思いませんか。
そこで、以下に挙げるポイントを気にしながらもう一度読んでみる事をおすすめします。気がついたことはそのまま原稿用紙に書くのではなく、まずはノートに好きな様にどんどん書き出していってみよう。
※【例えば・・・】の部分の例文は、アドバイスされる方だけが読んだ方がいいかもしれませんね。
●ポイント1> どうしてこの本を選んだの?
まず、本題に入る前に
・どうしてこの本を選んだの?
・表紙の絵を見て、どう思った?
・タイトルからどんな内容を想像した?
こういう視点でお子様と会話をされると、いい書き出しが出てくるかもしれません。
(感想文は書き出しが肝心!)
【例えば・・・】
◎どうしてこの本を選んだのか?
・表紙の絵がすきだからこの絵本をえらびました。
・本の題がたのしいから。
◎表紙の絵を見て、どう思ったか?
・きつねは、とっても大きな口をしているな。
・ベロを出しているのはなんでだろう。
・きつねにくらべると、うさぎはとても小さいな。
◎タイトルからどんな内容を想像したか?
・なんで「ちょっと まって」なのかな?とふしぎに思った。
・きつねとうさぎは追いかけっこをしているのかなと思った。
●ポイント2> 登場人物になってみよう
・自分と重ねてみよう
・自分と比べてみよう
自分がもし登場人物だったらどう思う?お子様にそう投げかけ、もう1回読んでもらうことで、物語にぐっと親近感が沸きます。その時思った感想を素直に言葉にしてみてくださいね。
【例えば・・・】
◎自分を重ねてみよう
・もし私がうさぎだったら、きつねに食べられてしまうのではないかとこわくなりました。
・もしぼくがきつねだったら、うさぎに言われた通りに「おやすみなさい」なんて言うかな?
◎自分と比べてみよう
・うさぎぼうやは私と比べて―なぜなら・・・。
●ポイント3> 疑問に思ったことをあげてみよう
何度読んでもちょっとわからなかった事や、疑問に思った事も言葉にしてみよう。それも大事な感想です。
【例えば・・・】
・なんで「かならず おやすみなさい」を言うのかな?私も、お父さんとお母さんから、あいさつは大事だと言われています。でも、こわいきつねにもあいさつするなんて、へんだと思いました。
・パパうさぎが、きつねをぼうでたたこうとしたとき、うさぎのぼうやがそれをやめさせたのはどうしてかな?
●ポイント4> 読んでいて楽しいと思ったことをあげてみよう
どんな些細なことでも「面白い」「楽しい」と感じた部分をあげてみると、みんなちょっとずつ違うはず。そこがまた感想文の面白いところですよね。
【例えば・・・】
・きつねが、何度もうさぎを食べようとするのに食べられないところがおもしろかった。
・うさぎに塩をかけたり、お皿にうさぎがのっかっているところをそうぞうしているところがおもしろかった。
・きつねが、歌をうたってうさぎを眠らせようとしたら、自分がねちゃったところがおもしろかった。
・さいごで、うさぎのぼうやが、パパとママといっしょにねているところがかわいかった。ホッとした。
その他にも・・・
●お話しのテーマを考えてみよう
●お話しを読む前と後で、気持がどう変わったかを言葉にしてみよう。
などなど。
たくさん感想がたまってきたら、
さぁ、後はその材料をもとに書き出してみてくださいね。
子ども時代に「思ったことを言葉にする」楽しさを発見できるといいなぁ、と思いますよね。
では最後にこの絵本の「みどころ」をご紹介します。こちらは「感想文」の参考にはならないので、大人の方が読んでくださいね。
まいごになったうさぎのぼうや。そこに忍びよるはらぺこきつね・・・。
こんなドキドキするシチューエーションで始まる物語なのですが、一つ面白いのはここが「きつねとうさぎがであうと
おやすみなさいをいう約束」の場所だってこと。一体どんなやりとりが始まるのでしょう?
うさぎに近づいた腹ペコきつねは、勿論口をガバッとあけます。「あ!食べられる」と思うと、うさぎのぼうやは
「ちょっと、まって!」とさけびます。「しってるよね、ここはきつねとうさぎがおやすみなさいをいう ばしょだってことを?」このうさぎのぼうや、小さいクセになかなかどうして堂々たる態度なのです。慌てて「おやすみなさい!」を言うきつねですが・・・。
ここからのやりとりは読んでからのお楽しみとして。
結構緊迫したやりとりのはずなのに、うさぎぼうやがひょうひょうとしているからか、きつねが意外に素直だったりするからか、ほのぼのとした雰囲気をかもし出しちゃっている二人が見ていて何だか可笑しいのです。特にきつねがうさぎのぼうやを寝かしつけている姿なんて・・・「そんな事している場合?」なんて突っ込みたくなったりして。
うさぎぼうやの家族の関係も素敵。勇敢なぼうやの意思を尊重するパパうさぎ、ぼうやを包み込むママうさぎ。最後の場面も含めて、小さな子がうさぎぼうやを自分と置き換えて読んで行くととっても楽しめそうな内容ですね。
更に、くるくると変わる豊かな表情、毛並みの触感や体温まで伝わってきそうな迫力あるけど温かくてとても可愛らしい絵が物語を更に盛り上げてくれます。色合いや構成も日本の絵本とは一味違って新鮮に映りますね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
こんな2冊の絵本がくもん出版さんから発売になりました!
それぞれとっても個性的な絵本。
共通のテーマは「あいうえお」と、どらもちとびっきり楽しい絵本だという事です。
『あいうえおん』みどころ>>>
『あいうえおべんとう』みどころ>>>
『あいうえおん』の作者のあきびんごさん、『あいうえおべんとう』の作者山岡ひかるさんの
作品に寄せるコメントをご紹介させて頂きます。お二人の作品に対する想いが伝わってきます。
■ 『あいうえおん』作者あきびんごさんのことば
子どもの時から、せっかちでじっとしていられない私は、手あたりしだいに本を読んでいました。大人になった私は「もっと知りたい」という知識欲から読みますが、子どものころは、「腹がへったー」という食欲か本能で読んでいたように思います。
小学校の図書館の本を読みつくして「本を読みたい、ひもじいよー」とわめく私に手をやいたのか、母は、私を近くの書店につれて行って「この子がほしがった本は、すべて渡してください。ツケで払いますから、おねがいします」といってくれました。
今思えば、書店の本棚が私にとってオトナ世界への入り口でした。まずびっくりしたのが、同じタイトルの本でも、大人向けと子ども向けでは内容が全然ちがうことでした。子ども向けのものは、あまりにあっさりとしていて、「もっと知りたい、もう一度読みかえそう」という気にならなかったのです。子ども向けの本は、読めば読むほど知らないことがへっていきますが、大人向けの本は、読むほどに知らないことがふえていくのですから。
こういう体験からもつくづく思うのは、子ども扱いについてです。大人たちは勝手に「子どもらしさ」をつくり、それを与え喜んではいても、子どもからみれば、はたしてどうなのでしょうか。とりわけ感性については、子どもも大人もないと思うのです。
かつて「幼児と母親の色の好み」について実験をしたことがあります。80色のなかから子どもたちに人気のあった色は、カナリア色や梅鼠(うめねず)といった中間色で、私たちを驚かせました。「幼児は原色がすき」というのは、原色しか与えないからでしょう。12色しか知らないで育つと、大人になっても12色のままではないでしょうか。
人間は、最初に体験したものをそのまま受け入れて、自分のものさしをつくってしまいます。豊かな感性に育てるには、よいものと接することが大切です。子どもだからこそ、よいものを与えるべきではないでしょうか
<くもん出版 絵本のたから箱より>
■ あきびんごさんが絵本ナビ読者の為にこんな作品をつくってくださいました!!
■ あなたの好きな「あいうえおん」は?あきびんごさんからの質問です。
好奇心のとまらないあきびんごさん、
子ども達がどの「あいうえおん」が好きなのか気になって仕方がないそうです。
そこで、「あいうえおん」を読んだという方。大人でも子どもでも結構です。
是非、あきびんご先生に教えてあげてください!
★「あきびんごさんからのアンケート」
あなたのお気に入り「あいうえおん」を教えてください。
抽選で5名の方にあきびんごさんからのプレゼントがありますよ!
アンケートの回答はこちらからどうぞ>>>
【募集期間 2009/6/24~8/10】
詳細はこちら>>>
■ 『あいうえおべんとう』作者山岡ひかるさんのことば
子どもの頃、運動会や遠足で一番楽しみなのは、お弁当の時間でした。
むしろ私の場合、お弁当を食べる、そのためだけに、必死に運動をしたり、わざわざ遠くの公園まで出かけたりしていたような気がします。
いろいろな匂いがごちゃごちゃに混ざった空間も、お弁当の時間ならではのお楽しみ。猫舌とは無縁で、鍋焼きうどんを鍋からじかにすするほど、冷めた食べものが許せない私でも、お弁当だけは特別です。
小さな箱の中に閉じ込めて、ゆっくりと冷ましてからでないと味わえない、不思議なおいしさがつまっているのですから。
体が弱かった私は、行事のためにお弁当を作ってもらったのに、直前になって出かけるのをあきらめたことが、何度があります。
それほど体調悪く、食欲などまるでなかったときですら、お昼になって家の中でお弁当のふたを開けると、ぱぁっと明るい気持ちになったものです。
そして、そんな日に、私といっしょに母が食べていたのは、サンドイッチの端っこや、謎の形のウィンナーなど、同じ素材で作ってあるとは思えないヘンテコなお弁当でした。そのおかしさは、行事に参加できなかった寂しさとは別に、今も心に残っている幸せな思い出のひとつです。
<くもん出版 絵本のたから箱より>
■ 『あいうえおべんとう』について山岡ひかるさんに質問をしてみました!
↑こちらのお弁当も全て色紙を切って、貼って作ったものなのだそうです。ごはん粒一つ一つまで・・・!コロッケもほくほくして美味しそう。
Q.「あいうえお」という制約があるにも関わらず、
どのお弁当も色合いや栄養がバランス良くできているように見えますね。
どんなところに気を配ってつくられてのでしょう?
A.炭水化物・たんぱく質・野菜・果物を入れることを決め、
「○○ちゃんのばっかりずる~い!」ということのないように考えました。
色は、お弁当グッズで何とかしちゃえ、です。
Q.山岡さんのいちばんお気に入りのお弁当はなんですか?
A.私の周りの人々に、なぜか全員一致で「料理が苦手」と決めつけられて、
お気の毒な「やよいせんせい」。
応援の気持ちもこめて、「や行」に一票入れたいと思います。
Q.美味しそうにみせるための一番のこだわりはなんでしょうか?
A.自分の曖昧な記憶に頼らず、実物を味わいながら制作することです。
美味しいです。
(しかし、油や汁を飛ばして、作り直した絵も数知れず…)
■ 小野明さんが山岡ひかるさんに寄せてコメントを書いてくださいました!
編集者・エディトリアル・デザイナーの小野明さんからも山岡ひかるさんの本作品に寄せて素敵なコメントを書いてくださいました!
ま、絵本作家たるもの、作品のアイデアの2つや3つは常に持ち合わせています(推測)。絵本ぽく言うと、種、かな。すくすく育つ種もあれば、なかなか発芽しない種もある(推測)。いずれにせよ、作家自身が積み上げてきた経験や、良い結果を導いた直観の記憶などによって、いける、と思えた種はためつすがめつしながら大切に育てていきます(推測。しつこい)。で、山岡ひかるさんの『あいうえおべんとう』は、それら幾多の種の中でもとりわけ輝く種であり、本人のじっくりと心をこめた丹精のおかげで、みごとな大輪の花とまことに美しい実として地上にあらわれたのでした。はい、まことの実、誠実、です。これが子どもに向かうと、愛、とも言いますね。そうなんです、この絵本、おべんとうを作ったおかあさん(に代表させますが、もちろん父、姉、兄、爺、婆…ネコのタマもありです)の愛がオーラのようにキラキラ感じられる、そういう温かい作品です。そしてその愛は、作者から読者への愛でもあります。「おいしい」というのは「好き」ということですよね。すばらしい。ちなみに私は「なにぬねの」のおべんとうが一等好みです。うう、食べたくなってきたぞ。ぱっくん!
小野明(編集者・エディトリアル・デザイナー)
■ 山岡ひかるさんから素敵な直筆メッセージを頂きました!
コアラちゃんは貼り絵です!可愛いです。
関連メルマガ>>>
野球少年たちへ朗報です。
あの松井秀喜選手が絵本になった!?
『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』
監修・広岡勲 作・あさのますみ 絵・飯野和好 学習研究社
絵本の詳細内容、立ち読みはこちらからどうぞ>>>
表紙からインパクト大!のこの絵本、一度でもご覧になった事のある方は
とっても気になる存在になっているのでは?
・どんなお話なんだろう?
・どうして松井秀喜が主人公になったんだろう?
・そっくりなんだけど、一体誰が描いているんだろう(やっぱりあの人?)
・松井の成績は今どうなんだろう・・・(これはちょっと違う疑問?)
多くの人が気になっているであろうこの辺りの疑問について
この度、出版されている学習研究社の担当編集者藤井さんに多大なるご協力を頂き、
絵本制作時のエピソードを交えながら、色々と秘話をお聞かせいただきました。
また作者のあさのますみさん、絵を描かれた飯野和好さんからのコメントもご紹介します!!
★本題に入る前に・・・まずはこの絵本の主人公「マツイヒデキ」ってどんな選手?
松井秀喜(まついひでき)
1974年石川県生まれ。星陵高校時代、春夏4回甲子園に出場。93年ドラフト1位で巨人に入団。
98年、2000年、02年に本塁打と打点の二冠王、01年に首位打者、96年、00年、02年にはMVP(最優秀選手)を獲得。02年にFA(フリーエージェント)権を獲得し、03年からニューヨーク・ヤンキースに移籍。日本での成績は、1390安打、332本塁打、889打点、通算打率3割4厘。
メジャーでの成績(2008年まで)は、852安打、112本塁打、507打点、通算打率2割9分5厘。
07年日米通算2000本安打達成。右投左打、身長188センチ、体重104キロ。
(『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』に掲載されている経歴から引用させて頂きました。)
補足説明はお父さん達、よろしくお願いしますー。
■ 松井秀喜選手の絵本をつくるきっかけは・・・?
まず、なぜ松井秀喜選手が登場する絵本をつくる事になったのでしょうか、その辺りを『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』の編集を担当された藤井さんにお伺いしてみました。
全ては藤井さんの送った何気ない1通のメールから始まったようで・・・
「この絵本の企画は、お世話になったライターさんに私自身(藤井さん)の異動を知らせる
一通のメールから始まりました。
『お世話になりました。次は絵本をつくる編集部に行くことになりました。
親しくされているヤンキース広報の広岡勲さん(※)と一緒に、
松井秀喜選手の絵本ができるといいですね』
ちょうどその頃、私は野球をして遊ぶ子どもたちをあまり見かけなくなったことを一野球ファンとして、憂慮していました。そこで、「絵本を通じて、子どもたちに野球の楽しさを伝えることができればいいな」と思っていました。
このメールを書いたのが2006年の10月。
『松井秀喜物語』『松井秀喜メジャー物語』 『松井秀喜 ぼくには夢がある』(いずれも学習研究社刊)の著者でもある広岡勲さんが、絵本にも詳しい方だったということもあり、
とんとん拍子に企画が進んでいったのです。
広岡さんには、この絵本の監修も務めていただくことになりました。」とおっしゃる藤井さん。
松井選手のお父さま、松井昌雄さんにも
「秀喜が絵本になるんですか。とても楽しみです。」と、
ご快諾を頂いたそうですよ!
※広岡 勲(ひろおか いさお)
1966年東京都大田区生まれ。ニューヨーク市立大学大学院修士課程を修了。専攻は思想、哲学、ジャーナリズム論。報知新聞社では長嶋茂雄、松井秀喜番など巨人担当記者を務める。2003年よりニューヨーク・ヤンキース球団広報。06年から環太平洋担当兼務。
(『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』に掲載されている経歴から引用させて頂きました。)
■ 飯野和好さんに絵を依頼されたのは・・・?
この作品を目にした時に、まず目につくのが飯野和好さんの描いた松井選手の顔ですよね。そのあまりの迫力に思わず「似てる!」とうなってしまいます。
この絶妙な組み合わせ、どのように決定されたのでしょう?
「飛距離抜群のホームランなど、
パワーあふれるプレーでファンを魅了する松井秀喜選手。
そして、ボールを追ってテレビから出てくるという、
あさのますみさんの奇想天外なストーリー。
とにかくダイナミックに描いてもらいたいと願い、
力強い絵を描かれる飯野和好さんがいいのではと、
編集部で意見が一致しました。」
▲とにかくどのページもパワーに溢れているんです。
他にも実はこんな面白い理由もあったそうですよ・・・。
「松井選手にはちょっと怒られるかもしれませんが、
飯野さんの『くろずみ小太郎旅日記』シリーズの、くろずみ小太郎を見て、
松井選手に非常に近いものを感じたというのも、理由のひとつです。
▲こちら!
さらに、飯野さんが野球がお好きだったということも大きかったです。
松井選手の大ファンだったということは、依頼後に知りました。
余談ですが、それからはいつも、飯野さんと連絡をとるときは、
「きょうの松井選手」の話に花を咲かせています。」
■ 松井選手は同世代のヒーロー!
そんな藤井さんに松井秀喜選手について語って頂きました!
「私はまだ、直接松井秀喜選手にお会いしたことはありません。
しかし、実は松井秀喜選手と同じ1974年生まれです。
小学生のころから少年野球チームに入り、
松井選手が甲子園で活躍されているころ、私も同じ高校球児として白球を追いかけていました。
ただ、私はまったくのへたくそでしたが…。
ということで、松井選手が甲子園を沸かしていたころから、われわれ同世代のヒーローでもあるのです。」と、藤井さん。
この気持ちはすごくわかります!!
「そんなヒーローが、ちょうど飯野さんのラフコンテが出来上がってきたころに、
シーズンオフだったので、故郷の石川県に帰ってこられていました。
お父さん宛に送った(飯野さんの)ラフに目を通されて、笑っておられたそうです。」
本物の松井選手が目を通している!そんな姿を想像しただけでも、ちょっと感動してしまいます・・・。
■ 松井選手は現役の選手!
作り手側の大きな思い入れで完成したこの作品ですが、
松井選手は現役の選手です。当然、制作中にも色々なニュースが飛び込んできたのではないでしょうか?
「勝負の世界は、とても厳しい世界。明日どうなるかは誰にもわかりません。
実際のところ、絵本の制作中にも、松井選手のけがや移籍のうわさなどのニュースが
たびたび流れてきました。
しかし、私たちはひたむきに努力をされている松井秀喜選手を信じて、
応援を続けていました。」
■ 野球を楽しんでもらうきっかけになれば・・・!
先日のWBCでの日本代表選手の活躍で、近くの公園などで、
野球をして遊ぶ子どもたちをちらほらと見かけるようになり、とても嬉しい
とおっしゃる藤井さん。本当に野球がお好きなのですね。
この絵本に寄せて松井選手から子ども達へこんなメッセージを頂いたそうです!
(※松井選手による直筆メッセージの画像を使わせていただきました。)
この絵本を通して藤井さんからもメッセージを頂きました。
「松井選手のメッセージにもあるように、
野球に、そして世界を代表する松井秀喜選手に、
この絵本を通じて少しでも興味をもってもらい、野球を楽しんでもらうきっかけになれば、うれしいです。
将来、小さいころに『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』を読みました!というメジャーリーガーが出てくることを期待しています!!」
ご丁寧に答えて下さり、ありがとうございました!!
最後に、
『ぼくんちに、マツイヒデキ!?』の作者あさのますみさん、絵を描かれた飯野和好さんにも
本作品に寄せてコメントを頂きました!
■ 作者のあさのますみさんにコメントを頂きました!
あさのますみさん
今回の絵本のお話をいただいたとき、実は私は、野球というものを、ほとんど知りませんでした。最初は、こんな私に書けるのかな、という不安もありましたが、「いや、よく知らないからこそ、これから野球や松井選手のことを知る子どもたちに、親しみやすいお話が書けるはず!」と思いなおしました。
松井選手は、スーパーヒーローですが、絵本の中では、子供たちに身近に感じてもらえるよう、あえてドジっ子にさせてもらいました。お掃除をしても、お風呂に入っても、おにぎりをにぎっても、ドジばかり。でも、ひとたび野球のバットをにぎると、誰にもできないすごいことができちゃう。そんな、松井選手のプロとしてのかっこよさと、人としてのあたたかさを、子供たちに感じてもらえたらうれしいです。
私自身、このお話を書くうちに、すっかり松井選手のファンになってしまいました。この作品が、子どもたちが野球や松井選手に興味をもつ、きっかけになったらいいなと思います。
■ 絵を描かれた飯野和好さんにコメントを頂きました!
飯野和好さん
この仕事をしていると、いろいろな人を描くことになります。
あるときは西行を、あるときはニーチェを、赤ずきんを…。
そして、今回はなんと!
あのニューヨークヤンキースのマツイヒデキ選手を
描くことになりました!
高校球児のころから、読売ジャイアンツ時代、
そして、米メジャーリーグへ。
ずっと、ファンとして応援しつづけてきた私にとって、
本当にびっくり、うれしい仕事でした。
そして、絵本になりました。
パワーいっぱいの絵本です!
『給食番長』で強烈な印象で絵本作家デビューされたよしながこうたくさん。
迫力のあるその画風と、ユーモアたっぷりながらどこか筋が1本通ったストーリーに、
子ども達のみならず、全国のお母さん達まで夢中に!という声を多数頂いています。
我らが絵本ナビオフィスにも、遠く博多から何度も遊びに来て下さっています。
(最多記録更新中!!)
初めての登場!>>> 2作目の登場!>>>
爆笑の制作日記!>>> 読み聞かせ動画もあります。>>>
記事からもお察しの通り、かなりお茶目でサービス精神旺盛なこうたくさん。
最近ではお話会でもひっぱりだこのようです!
そんなよしながこうたくさんの待望の新刊が登場!
『おふろだいすき!ぷっぺ』 よしながこうたく 作 小学館刊
・・・という事で、
勿論絵本ナビでは、今回も色々と作品に関する質問に答えて頂きました。
こうたくさんの素顔の部分を想像しながら(笑)、お楽しみください!!
■ 「お父さん、スゴい!」という絵本を描こうと思い・・・。
『おふろだいすき!ぷっぺ』は、主人公のぷっぺとお父さんが銭湯へ出かける所から始まります。
この作品が生まれるきっかけが『PaPa’s絵本33』(※)だった事もあり、
「お父さん」というテーマは最初からあったのかな・・・と想像するのですが、
その舞台に銭湯を選ばれたところがとっても興味深いですよね。
そこでこうたくさんに、この作品のアイデアが生まれたきっかけなどを伺ってみました。
最初、『PaPa’s絵本33』のテーマが「お父さん」だったので
「お父さん、スゴい!」という絵本を描こうと思いました。
それで、お父さんってどげな時に凄かったかいなぁ~・・・と思い起こすと、
自分を背中に乗せたまま泳いだときに、父ちゃんスゲ~!!と思ったなぁと。
じゃぁ、親父がいっぱい出てくる水辺ってどこかと考えたら、銭湯でした。
僕自身、銭湯が好きで、東京に住んどる時は、いつも首にタオルを巻いて
見つけた銭湯には片っ端から入っとったので、舞台はここだ!と。
加え、親父だらけのムチムチした絵本を描いてみたかったんです。
加え、全国お母様達からの「子供がお風呂に入りたがらないんです」というメールはデカいです。
※『PaPa’s絵本33~パパのためのROCK’N絵本ガイド』(安藤哲也著)。
『おふろだいすき!ぷっぺ』は、この本の巻末に収録する為に書き下ろされた(豪華!)作品を
改めて書き直して出来上がった絵本です。内容も少し変わってます!
■ 実際の銭湯のイメージを細部まで再現!
この作品の魅力の一つは、何といっても隅々まで丁寧に描かれた銭湯の様子。
初めて見ても、何だか懐かしいような気分になってしまいます・・・。
ぷっぺを読んだ子供達が、実際に銭湯に行った時に
「もし今この銭湯に本当に動物達が入って来たらどんな感じなんだろう?」
とイメージしやすいように、銭湯を細部まで再現しました。
銭湯資料とにらめっこはもちろん
スーパー銭湯に通い詰めたり、
福岡は天神にある老舗「本庄湯(創業50年)」にも取材協力をしてもらいました。
おじいちゃんに「青年、わたしは写真、ノーサンキューよ!」とか注意されながら
バッシャバシャ写真を撮りまくりました。
■ ぷっぺの名前の由来は・・・!?
お話の中に登場する様々なお風呂と、そこに入っている動物の習性が絶妙に絡んでいるのが
とっても面白いのです。
そして、主人公はぷっぺ。ぱっと見ただけですぐに何の動物から当てられる人はかなり通?
ぷっぺは水を噴く生物という設定にしたので、最初は象だ!と思ったんですが、
「ベタだ・・・それでも変な絵本作家か!」ってことで、テッポウウオになりました。
ヒネリ過ぎて「で、テッポウウオって何ですか?」と尋ねられる、落ちないオチでございます。
のおぉ~んってな感じで本編の隅っこに動物図鑑まで描く懇切丁寧説明的な作り!
ちなみに「ぷっぺ」は大分県の温泉地「別府(べっぷ)」をひっくり返した名前なんです。
ちなみに最初に思い浮かばれたのは・・・?
最初にイメージしたお風呂は「スカンクの泡風呂」でした。
読み聞かせの時に笑いをとりたい・・・という切なる想いから、
おならは必須だな!と。わかりやすい!(でも実際に湯船でおならはしないでね。)
▲こちらが「スカンクの泡風呂」!ブクブクですね・・・。
■ こうたくさんにとっての父親像とは・・・?
『PaPa‘s絵本33』の中で収録された際と、エンディングが大分変わっているのが
印象的でした。(違いを読み比べてみるのも楽しいですよ!)
この作品に登場するお父さん達は、結構怒ってます。
こうたくさんの中で、理想の父親像などは具体的にあるのでしょうか?
僕の父は、マナーの悪い若者を見ると、どこでも大声で怒るんです。
レストランでも、ガソリンスタンドでも、店員の礼儀がなってないと怒鳴る。
そして怒ってる理由は子供の僕でも明解で。
父には、若いものには絶対に負けない!という迫力がありました。
(兄がグレた時も、最終的には父の力でおさまる構図でした。)
それを見ながら育つうちに、僕は礼儀を覚えました。
親父とは筋の通った強さで子に背中を魅せるものだと思っとります。
だから『ぷっぺ』に出て来る親父達は、怒る、怒鳴る、威勢を張るのでございます。
■ 制作中、一番楽しかったのは・・・。
本作品の制作にあたって楽しかった点、苦労された点などはございますか??
老舗の銭湯取材中に近所の小学生が数人お風呂に入ってきたんですが、
おいさん達が「どこの小学校だ?」「何年生だ?」と話しかけてたんです。
「なるほど!これが今の日本に必要な街の小コミュニティやね!」と、感心しちゃって、
「よし。そんな絵本ば描こう!」と思って人間観察しとる時が一番楽しかったですね。
絵で苦労したのはお湯の表現です。お風呂を温かそうに描くのが意外と難しいんです。
あと、動物って、茶色とか黒とか、意外とカラーが地味なんですよ。これも悩みの種でした。
■ 動物の気持ちを想像しながら楽しんで!
読者の方には、この作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
各お風呂の「効能」を目当てに入っている動物の気持ちを想像して楽しんで欲しいです。
効能もあえて子供達が分からないものにしました。
「二日酔いって何?」「二日酔いってのはね・・・」と親子で会話して頂けたらと思います。
そして読んだ後は、親子で実際に銭湯に行ってもらいたいです。
子供も大人も、実生活とファンタジーが強く結びついて、楽しい夢を持ってもらえたら幸いです。
■ 絵本ナビ読者の方へ・・・
最後によしながこうたくさんより、絵本ナビ読者の方へ直筆イラスト入りメッセージを頂きました!
皆さんも、こうたくさんの気迫に負けない位の気持ちでこの絵本を楽しみましょう!!
よしながこうたくさん、ありがとうございました。
「緑のカーテン」という言葉を聞いたことありますか?
暑い夏、窓辺をつる植物でおおうことで、太陽の光をさえぎり、空気をひやして、
涼しく過ごす生活の知恵、それが「緑のカーテン」です。
人が汗をかいて体温を下げるように、植物も暑いときに地中から多くの水分を吸い上げて
葉っぱから蒸発させるそうです。その「蒸散作用」が、カーテンの内側の温度上昇を
おさえてくれるのですね。
クーラーの使用を大きく減らせるため、CO2が削除できるのと同時に都会のヒートアイランド
現象も緩和できるのだそうです。
地球の温暖化問題への関心とともに、学校や公共施設でも「緑のカーテン」の活動は
広がりを見せているそうですよ。
さて、そんな「緑のカーテン」をテーマにした一冊の絵本が発売されました。
こちらです↓
「ねこさんかぞくのみどりのカーテン」 津田直美 作 ブロンズ新社 刊
「育てた時の楽しさや感動が素直に伝わってくるような絵本がつくりたいな・・・」
とブロンズ新社の山縣さん(編集者)が声を掛けられたのが絵本作家の津田直美さん。
津田さんは昔から植物を育てるのが大好きで、今までの作品の中にもたくさんその様子が
登場していたそうですよ。
この作品も、実際に津田さんのおうちでご家族と一緒につくった「みどりのカーテン」体験をもとに、ねこさん家族の楽しいおはなしとして描かれたものなのだそうです。
(※この作品は「NPO法人緑のカーテン応援団」の監修を受けています。)
今回は、ちょっとでも「カーテンづくり」の楽しさが伝わればと
津田直美さんが絵本ナビ読者の皆さんへのメッセージとともに
ご家庭でのカーテン作りの様子をちらっとお写真付きでご紹介してくださいます!!
まるで絵本の中の「ねこさんかぞく」そのままの雰囲気に、嬉しくなってしまいますよ・・・。
■ 津田直美さんから絵本ナビ読者の方へメッセージを書いて下さいました!
「 地球温暖化とか、エコとか、そんなの知らない、聞いたことないと言う人など、今どこにもいなくなったと思いますが、それでも、では自分にできることは何かとか、どうやって子供に教えようかとか、何となく漠然と思うけれど具体的に何をするか分からないと思ってらっしゃる方は多いと思います。小さなお子さんのいるご家庭ならなおさら。
私の子供は小学校2年生と保育園の年長さん。
難しい説明よりもまず、何やらやっているぞー、っと興味を持ってくれて、それがどうやら地球環境のためにもなるらしい!ということを生活の中で身を以て体験してほしい。
というわけで、毎日毎日のお水やりが、自然と楽しくなるように、カーテンそのもの以外にも、子供にも辛抱できる期間で、容易く手に入れられる収穫やイベントのある植物を取り入れて、『いろいろやってるうちにいつの間にやらみどりのカーテン!!!』(ながい!!)をテーマにこの本を作ってみました。
お子さん達と楽しみながら、ぜひみどりのカーテン作り、チャレンジしてみて下さい。
みどりのカーテン応援団の方のホームページも合わせてご覧ください! 」
<津田直美さんより>
「NPO法人緑のカーテン応援団」
板橋区の小学校で緑のカーテン作りがきっかけとなって集まった人々、企業、学校関係が
立ち上げた団体です。緑のカーテンの普及をめざして、学校の子ども達や一般家庭などに
育成指導などを行っているそうです。
★ご興味を持たれた方はこちらのHPも是非ご覧ください!
緑のカーテンコミュニティサイト>>>
こちらは、絵本の監修もしてくださった「NPO法人緑のカーテン応援団」の
理事でもある、菊本るり子先生の「緑のカーテン」。
菊本先生のブログ「緑のカーテンのある暮らし」もご覧ください。こちら>>>
■ 津田さんのお庭で生き生きと育つ野菜たち!
津田さんのご家庭で育つ植物の様子のお写真を、御本人の丁寧なコメントと共に!
お写真はこの絵本をつくる為に資料用として撮られたものなので、アップのものが多く、
「みどりのカーテン」全体の写真がなかなかなかったそうなのですが、
ちょっとでもその楽しさが伝われば・・・と今回ご協力くださいました。
お楽しみください。
▲
カーテン用の種をまく時に、収穫のはやい簡単にできる植物を一緒にまくと、
子供があきないのです。
本には全て単独でもカーテンになるようなものに限定して書きましたが、
二十日大根を一緒に育てるというのも一つの手。
文字どおり20日もあれば収穫できます。
発芽温度の高く、なかなか芽を出さないゴーヤーやヘチマをよそに、ぐんぐん大きくなって、気の短い子供達も毎朝楽しみに水やりできます。
自分で育てた大切な赤い実。大根サラダが食べられるようになりました。
▲
こちらも二十日大根と、ミニにんじん。
「かわいそうだよー」と、間引きができないのは私の遺伝子のせい??
結果的には、人参は失敗でしたが、それもまた勉強ということで...。
▲
きゅうりも単独でカーテンにするには向かないですが、一緒に育てると早くから収穫できて子供が喜びます。
みどりのカーテンの機能としては、多分蒸散のことなど考えるとゴーヤーが一番向いていると思いますが、私的にはほんの数本のゴーヤーを植えるとできる想像以上の数のゴーヤーの実を消費するのはかなり至難の業で...。
機能性とお楽しみの部分で満足できるのには、ヘチマときゅうりのカーテンがベストかなと思っています。
▲
またしてもおまけの写真でごめんなさい。
大好きなお豆類もカーテンが本格的に茂ってくる前にもチベーションを高めてくれる絶好の植物。これらの収穫が終わる頃になると、ようやく夏も本番。カーテンも本格的に育ち始めます。
▲
カーテンの下で涼しく過ごしながら昨年の夏はイタリアトマトの収穫。
▲
ドンコ椎茸。
ついでにこんなものもやってみました。日陰ならではの植物かなっと思
いまして。いくらみどりのカーテンの下でもさすがに夏には収穫できず。
残念(あたりまえ?)
▲
カーテンのお手入れや水やりをするはずが、いつもこんなこと
に...。お水やってから遊んでね!!!!
▲
だからーーー、お水やってから遊んでねってば!!
■ 編集を担当された山縣さんからもコメントを頂きました!
「みどりのカーテンの絵本を作りたい・・できれば単なる実用書という形でない、
育てた時の楽しさや感動が素直に伝わってくるようなものがいいな」
と思ったとき、頭にうかんだのは津田直美さん。
むかしから植物を育てるのが大好きで、著作の中でもしばしばチャーミングなイラストと一緒に、
その楽しさを紹介されていました。
絵本の依頼をさせていただいた時、
「これで堂々と、お仕事よ!ってたくさん植物が育てられる!」と
とても喜んでくださったのをおぼえています。
もちろん担当の私もカーテンづくりをしました。
津田さんと違って、植物音痴の私でしたが
とても楽しくゴーヤーやインゲンを育て、涼しさとおいしさを味わいましたから
園芸初心者の方もどうぞチャレンジしてみてくださいね。
私は今年も、カーテンづくり、はじめています。
<ブロンズ新社 山縣さんより>
地球温暖化、エコ・・・と聞くとちょっと大変そうなイメージもありますが、
こうして実際にお子様と楽しまれている様子や、つやつやで美味しそうなお野菜を
見てしまうと「やってみたい!育ててみたい!」と思ってしまいますね。
梅雨前に植えれば、夏のカーテンにまだ間に合うそうです!
今からはじめるなら、少し育った苗から育てるのがオススメだそう。
是非実際に試されて、しレビューをお寄せくださいね。楽しみにしています。
『 すじのまがった悪者には、勇気のねぎじるぴゅるるっととばす
畑生まれの正義の味方、ねぎぼうずのあさたろう 』
1999年に第1巻「ねぎぼうずのあさたろう とうげのまちぶせ」の登場以来、
その強烈な個性と、「浪曲風痛快チャンバラ時代劇」という他にはないジャンルで
大人から子どもまでを虜にしてきたこのシリーズ。
現在は全7巻、衰えることのないあさたろうの魅力が更なるファンを増やし続けています。
そして昨年(2008年)10月からはTVアニメ版としてもスタート!
また新たなあさたろうの世界が広がり続けています。
絵本ナビでも放送スタート記念として東映アニメーションさんに取材をさせて頂いています。
こちらからご覧下さい>>>
※2009年3月から九州朝日放送で、4月からは長崎文化放送でもスタート>
詳しくはこちらへ 東映アニメーション>>>
更に!
今月末にはついに・・・あさたろうのぬいぐるみも発売が決定しました。
▲かなり忠実に再現されています。一番右はなんとペンケース!
(ねぎ畑から飛び出す前ですね・・・)
そんな盛り上がりを見せる「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズですが、
この度絵本の出版をされている福音館書店さんに多大なご協力を頂きまして、
ご存知作者の絵本作家飯野和好さんへ取材が実現いたしました!!題して・・・
『絵本ナビに飯野和好さんがやって来た!』
着流しに素敵な帽子姿で颯爽と登場の飯野さん。
とてもお洒落で格好いいのです!
最近我が家でも息子とこのシリーズを愛読しているイソザキが、
たくさんのレビューを寄せて下さっている読者の方々の代表として、
「あさたろう」に関する素朴な質問から、絵本作家としてのお仕事の事まで
たっぷりお話をお伺いさせて頂きましたよ。お楽しみに・・・
■ 最初は「ねぎ」じゃなくて「たまねぎ」だった!?
既刊7冊を熟読して、すっかりあさたろうの世界にはまっている方でも、
今回初めて「あさたろう」の絵本の表紙をご覧になった・・・という方でも、
まず「どうしてねぎなんだろう?」という素朴な疑問が頭に浮かんできてしまうのではないでしょうか?(正確にはねぎぼうずですね。)
そこで飯野さんに率直にお伺いしたところ、「ねぎぼうずのあさたろう」が誕生するまでの
そのきっかけのお話を丁寧に語って下さいました。
あさたろう誕生が誕生するまで・・・
「若い頃は、作品のテーマとしてマザーグースやグリムなど西洋のファンタジーを
ずっと追いかけていました。憧れもあったんですね。
でも洋風な画風の表現というのは何十年と続けて行くうちにちょっと行き詰る事もあったりして。
そこで大きなきっかけとなったのが、イタリアのボローニャのブックフェア、
絵本「ハのハの子天狗」の原画を展示する為にイタリアまで訪れた事だったんです。」
その年のブックフェアは日本特集だったそうで、多くのベテラン絵本作家さんの原画と並んで
展示されたそうです。
「初めて訪れたヨーロッパでの刺激はとても大きく、
逆に日本人としての自分をとても意識させられる事も多かったんですね。」
「ハのハの子天狗」は飯野さんにとっても初めての時代もの、他の国の人達にとって、
とても興味深かった様で、反響も大きかったそうですよ。
「帰国すると、ちょうどすぐに新しい仕事がいくつか入ったんです。
まずはクレヨンハウスさんから「くろずみ小太郎旅日記」。
そして小学館さんの幼年誌「学習幼稚園」連載のお話。
主人公を人間の男の子、炭と来たので次はどうしようかな・・・と迷っていた時に
『掛け軸展』という展覧会に参加する機会がありまして。
そこで野菜をテーマに絵を描いたのですが、それだけでなく
きゅうりは浪人風、玉ねぎは玉ねぎ紋次郎など侍ものとして描いたんです。」
玉葱でたまねぎ紋次郎!
画像を見せて頂きましたが・・・これがもしやあさたろうのルーツ!?
「侍を描いているうちに、そういえば子どもの頃三度笠をかぶった渡世人に憧れて
チャンバラごっこをした事などを思い出してね。これでやってみようかな、と。
そうすると玉葱はちょっと語呂が悪いなあ・・・ねぎだったら ねぎぼうずがあるねえ。
野菜というのは朝早く採れると美味しいし・・・
板割浅太郎(いたわりのあさたろう)というのもいるし(浪曲国定忠治伝に登場)
あさたろうがいいねえ・・・と次々浮かんできて。」
こうして「ねぎぼうずのあさたろう」は誕生したんですね!
「学習幼稚園」の連載として3、4話書いたそうですが、とても気に入ったので
これを絵本にしてみようと思われたそうです。更に、
「そういえば子どもの頃浪曲が気に入って聞いていたなぁというのも思い出して、
すぐレコード屋に買いに行き改めて聞き直してみたら旅人ものですごく面白くて。
すぐに浪曲の出だし部分をつくって、絵を描き足してみたり。絵本としてつくっていったんです。
依頼された訳でもなかったので、出来上がったものを自分で持ち込みに行ったりして。
それからが結構大変だったんですけどね。」
飯野さんのご実家は代々受け継がれてきた農家、野菜への馴染みはいやという程あったそうで。ねぎは風邪の時などに喉に当てて寝たりされていたそうですよ。(本当に効くんですね!)
「絵本をつくり始めると、ねぎってやっぱりすごいな、と。
一本筋が通っているな、とか。ねぎ汁を実際に目につけてみたらすごい痛さだ!とか(笑)。」
■ あさたろうの魅力の秘密を探ってみよう!
そうして生まれた「ねぎぼうずのあさたろう」が登場してから早10年、
シリーズは既に7冊目。
ここまで愛され続ける事になる理由にはいくつものポイントがあるのでしょう。
その人気の秘密を一つずつ探っていきましょう。
浪曲絵本
この絵本の大きな特徴はまず「浪曲絵本」であるという事ですよね。
「街道を行く話、旅人、股旅もの・・・そして
今までにないようなものをと考えているうちに『浪曲絵本』が閃いてしまったんですね。
また、おっかさ~んと叫ぶ場面があるのですが、
これも読む人に言わせちゃおう、という目論見もあったりして(笑)。
この絵本は色々やってもらう事が多いんですよ。」
絵本の1ページ目を開くとまず目につくのが「二代広沢虎造※風浪曲節で」という表示から浪曲節が始まる導入部分。
※ 2代目広沢虎造という方はのは戦前から戦後にかけて一世を風靡した浪曲師。特に「清水の次郎長伝」で人気を博し、ラジオ放送の普及も相まって国民的に親しまれていたそうです。
「子どもの頃、親が聞いていたラジオから流れてくる浪曲が好きで
中でも虎造がすきでよく真似していたなあと思い出したんです。
『清水次郎長』の話がとても好きで。
子どもながらに虎造は他の人とは一味違ってテンポ良く、馴染みやすく、真似しやすいと
感じていたんでしょうね。
この絵本を描くにあたって改めて聞いてみると、虎造の芸は勿論、
話の筋立てなども『こんなに面白かったんだ』と。」
浪曲と言うのは節(歌)あり、セリフあり、音楽ありだそうで、和製ミュージカルとして
置き換えられそうですね(何ていうと怒られでしょうか)。テレビのない時代に大衆娯楽として
親しまれてきたのもうなずけます。ちょっと聞いてみたくなってきますね・・・。
「『浪曲が面倒くさいからこの絵本は読まないんです。』なんて言われる事もありますが、そんな事言わないで、せっかくだからちょっとでも興味を持ってくれたらいいなぁと思ってるんです。」
と飯野さん。(そんな方の為にも、読み方のコツなどを教えて頂きましたよ。後ほど・・・)
表情へのこだわり
次に、物語の主人公「あさたろう」の魅力は何と言ってもその表情!
顔がこんな大きくてまん丸顔で・・・とくると何だか可愛らしいキャラクターになりそうですよね。
ところがどうして、なかなかの男前、時には色気さえ感じるあさたろう。
「こだわりは、あります。」と飯野さん。
「時代劇というのは、役者さんの目力がとても大事。
登場人物たちの生き方がとてもはっきりしています。
私はその人のものを見る時の眼差しというのが好きなんですね。
悪者はわるものぶっているし、あさたろうなど旅人は旅人としての世の中を見ています。
迷いがないのでその目もきりっとしてくるんですね。」
映画が大好きな飯野さん、時代劇映画も子どもの頃から親しまれきたそうです。
「だから、かつての時代劇は目張りがすごくて・・・でも、それが結構好きだったり。
また時代劇スターは顔がとても大きくて迫力があったんです。
片岡知恵蔵も大変な顔の大きさでした。」
そう言えば、きゅうりのきゅうべえはあんなに顔が大きくて長いのに、
何だか立ち姿がとても格好いい。
「きゅうべえは、座頭市物語にでていた平手造酒役の天地茂がモデルです。」とスラスラ・・・
詳しいのです。
飯野さんの絵本の登場人物の殆どに~風というモデルがいるそうですよ。
そうは言っても、巻を重ねるごと様々な一面を見せるあさたろうの表情も見逃せません。
6巻で言うと・・・
にきちの手紙を読むあさたろうの気の抜けた顔。
「寝起きはみんなあんな顔になるかなと思って(笑)。」
更に赤とんぼを頭に乗せながら立ち止まるあさたろうの表情もかなり複雑。
どうしてあんな表情が思い浮かぶのでしょう。
「仕事柄、人の表情を観察するのが好きなんですね。」
そう聞くと、また改めてあさたろうの表情を意識して読み直したくなってきますね。
▲お父さんのこの表情も何だか堪りません。
キャラクターオーディション
あさたろうは勿論、あさたろうを盛り上げる周りにもとても魅力的なキャラクターの人達が
沢山登場します。
あさたろうの相棒、にんにくのにきちはかなりのインパクトのある顔ですが、
意外と女性に人気があったりするのが面白いですね。
「絵本をつくる際、まずキャラクターをキャスティングしなければいけないですね。
だから自分でオーディションを開催するんです。
色々な人が来るんですねぇ。だからかなり厳しいですよ。」
なんと!・・・勿論オーディション参加するのは飯野さんによって描かれた人達です。
敗者復活とかあるのでしょうか?
「からすうりのきんぞう(7巻登場)はかなり前からいたんですよ。
あれは本当に悪いですよ・・・。」
近年まれにみるほどの悪役顔。是非直接ご覧ください。
きんぞうは、まだまだこれからとんでもない事になるとかならないとか・・・。
服装が凝っている!
まわし合羽に三度笠・・・股旅姿のあさたろう。
以前、アニメ版あさたろうの取材をさせて頂いた時に、
「原作絵本でしっかり時代考証がされているので、特にあさたろうの服装なんかは
殆どそのままなんです」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
「もともと服飾デザイナーの仕事の経験もあったりして
洋服や着物はとても好きなんです。
特に着物は子どもの頃から親しんできたという事もあって
何となく雰囲気はわかっているんですが、明治以前のものなどは
資料で調べて時代考証などはきちんと行っています。」
その凝り様は飯野さんのお話し会でのお姿を見れば一目瞭然ですね。
こちら>>>
こんな温かいエピソードも聞かせてくださいました。
「あさたろう絵本関連イベントなどに呼ばれた時(もちろん股旅姿です)、
最初の頃はわらじなども適当に縛っていたのですが、
いらしていたお客さんに呉服屋の方がいて
『飯野さん、正式にはこうやって縛るんですよ』とわらじの縛り方を教わったんです。
また帯にしても、講演で一緒になった紙芝居のおじさんが
帯の粋な結び方を教えて下さったり。」
巻が進むにつれてどんどんお詳しくなっていったのですね。
「人の縁というのはとても有難いですね。
あさたろうというのは不思議なもので、この絵本を作ったときから
人の縁がどんどん膨らんで行くんですよね。
『ねぎぼうずのあさたろう』自体が人情話、人の縁の話なんですけど、
実際にもこんな、人との縁の深まりが沢山あって。
(横にいらした)有賀さん※もこの絵本が出来た当初からとても応援してくれていたんですよね。
何しろ変わった人だと思いましたね(笑)。」
※福音館書店ライセンス課の有賀さん、 「あさたろう」のぬいぐるみ商品化やアニメ放送の実現の為に東奔西走されています。今回のインタビューやアニメ版「あさたろう」の取材の件でも大変お世話になっています。他にぐるんぱ、だるまちゃん、きんぎょがにげた、トマトさんなどの商品化も!
股旅もの
「ねぎぼうずのあさたろう」は幕末が舞台です。
あさたろうは「旅人」という設定ですが、この時代にこういう「ひたすら旅をしている」人達というのは実際に多く存在していたのでしょうか?股旅とはどういうことなのでしょうか?
「股旅とは旅から旅へ股にかけるということです。
この時代は、一旦家を出て旅に出かけて、しばらく家に戻らないと戸籍を抜かれたんです。
だから、旅人というのは無宿人、帰ろうと思っても帰れない人達なんです。
訳ありの人も多いですね。」
そう言えば、あさたろうも最初追っ手であるやつがしらのごんべえから逃れての出発でしたね。
「一度旅に出れば二度と戻って来られないかもしれない。
でもここには居られない、またはここから出たい、だから旅を続ける・・・
という人たちは結構いたんです。」
現在で言う、戻ってくる事を前提としている「旅」とは大分意味が違うようですね。
「自分の心に中にはそういう股旅に対する憧れもあったんですね。
映画もたくさんありましたし。股旅ものの小説を数多く生み出した作家長谷川伸という人の
『瞼の母』はあさたろうのお話のきっかけになっています。
おっかさ~んと叫ぶシーンはこの話から来ています。」
「日本人の心のどこかにあるこういう部分、というのを絵本で表現していきたい
と思っていますね。
これは自分にとって、色々模索してきた中でやっと見つけた表現方法なんです。」
映画的な魅力
飯野さんの絵本には映画的な魅力がある、とおっしゃっている方がいらっしゃいました。
「映画が大好きなので、もともと映画のイメージがあってつくっています。
だから自然にそうなっていくのだと思います。
映画を絵本に置き換えてみて・・・絵本だと15場面になりますね。
自分もそこの世界にいたいと思い、どこから入っていくかを考えます。
映画でいうとカメラの視点ですね。
ページのめくりや場面展開は映画でいう所の編集。
この編集がとても大事、テンポの良さが決まってくるんですね。
いい映画程、あっという間に終わる感じがしますよね
導入やおわり方、余韻などもとっても大切です。」
まるで映画を撮っているかのようにつくられているのですね・・・。
語ってらっしゃる飯野さんの目も輝いて。
▲アングルを意識してもう一度絵本を開いてみると、また違う魅力を発見できます。
「だから映画と同じように、何度見ても楽しめるように小物とか服装、
背景も細かい部分まで丁寧に描いています。
街道から実際に見える風景は、視点の角度など考えて描いたりね。
村の境には必ず道祖神があったり、入り口に必ず大きな木などがあったり。
必ず目に入ってくるだろうと思うものは、描かないと気が済まないのでしょうね。
草の倒れ方にしてもリアルじゃないと嫌なんです。
見る人が見るとわかりますからね。」
本物が描かれているのは、子ども達にもちゃんと伝わるんですよね。
この辺りにも、子どもから大人までを虜にしてしまう秘密の大きなポイントがありました。
手描きの文字
飯野さんの絵本と言えば、文章が手描き文字である事が多いのも特徴的。
「絵と一体として考えているからでしょうか。確かに手描き文字が多いですね。
でも結構便利なんですよ。微妙に小さくしてみたり、太い文字で強調できたり。」
場面の中に自由に入ってくるこの手描き文字が好き、という方も結構いらっしゃいます。
「字は、絵が完成してから最後に描くので、とても楽しい作業です。
声を出しながら、笑いながら描いていますよ。
時代劇はセリフがはっきりしているので、読んでいても、書いていても気持ちいいですよね。
特に悪もののセリフの時はエヘヘと表情までつけて・・・」
絵本作家でなかったらちょっと(!?)という、人には見せられない状態になっているようで。
↓↓ ★2009年5月20日 <飯野和好さんインタビュー 後編>を追加しました!!
■ アニメ版「あさたろう」についてお伺いしました。
絵本「ねぎぼうずのあさたろう」がアニメになると初めてお聞きになった時の感想は・・・
以前の特集でたっぷり語って頂いてます! こちらからどうぞ!>>>
こももちゃんの登場について
アニメ版ではオリジナルキャラクターとして「こももちゃん」が登場します。 こちら>>>
キャラクター作りには積極的に参加されたと伺っています。
「はい。とても楽しく参加させて頂きました。」と飯野さん。
「あさたろうの世界を生きているものですから、新しい登場人物を入れましょう・・・となると
自分の中ではちょっと放っとけなかったんですね。
こももちゃんというキャラクターに関してはじっくりイメージを伝えてさせて頂きました。」
手を離れる事に不安はありましたか?
「制作される方々がとてもお話やキャラクターを大事にされている、という事が
すぐに伝わってきましたので、もう全面的に信頼しておまかせできました。」
こももちゃんをご覧になっていかがでしたか?
「僕が想像するよりとっても可愛いキャラクターが完成して、とても嬉しかったですね。」
シナリオを読む楽しみ
飯野さんにとってアニメ版の一番の楽しみというのがシナリオをもらう瞬間なのだそうです。
「映画ファンとしてたまらないですよね。
まだ完成前の作品のセリフなどをいち早く見ることができますし、参加できるって事がね。」
「毎回新しいシナリオを読む度に『名作だ!』を連発されていますよ。」と有賀さん。
「自分の作品なんですけどね(笑)。
絵本ですと決まったページの中でセリフを言っていますが、
それが動き出して合間のセリフなども喋ってくれるんですからね。
こんな嬉しいことはないですよ。」
時代劇の通の人が見ても・・・
飯野さんはアニメ版に於いても
「通の人が見ても納得できる、しっかりした内容にしてください。」
という事を、最初にしっかり制作される方へ話されたそうです。
アニメ版「あさたろう」もびっくりする程見応えのある、本格時代劇となっていますよ!
アニメ版「あさたろう」詳しくはこちらからどうぞ>>>
「絵本版としても、ちゃんと新作やその先のことも考えています。」
絵本版のこの先の予定も少しだけお伺いしましたよ。
どちらも楽しみですね・・・。
■ せっかくなのでちょっときいてみました!
そばがきげんえもん
せっかくの機会なので・・・私のお気に入りキャラクター「そばがきげんえもん」について
ちょっと聞いてみました。
「そば屋で蕎麦掻を頼んで、一杯やっていて・・・
ねちょねちょする感じが何か使えないかなぁと思ってて。」と飯野さん。
そうして生まれたそばがきげんえもん。
(ちなみにあさたろうは登場人物が全員野菜。蕎麦掻は加工品ですが・・・
加工品まではOKだそうです。)
一番気になっていたこと。
「ちょっ」の正しい読み方を教えて頂きました!
「セリフの後ちょっと間をおいて・・・小さく「ちょっ」と言ってください。
財津一郎の「あちょー」を少しイメージして。
それから、蕎麦掻のねちょねちょした感じも出して。」
財津一郎・・・!
すっきりしました。ありがとうございます。
▲顔色は悪いが腕は立つげんえもん。
お話し会でのポイント
絵本ナビ読者の方にはお話し会をされている方がとても多いのです。
声に出して読まれる時のポイントを教えて頂けますか?
「やっぱり浪曲絵本ですので、浪曲の山印の部分を唸ってもらいたいんですけどね。
広沢虎造風とはなっていますけど、私も結構自己流です。
自己流でも結構ですので、是非試してみてください。」
※アニメ版DVDの特典映像にも浪曲師国本武春さんの浪曲講座が収録されているそうですよ!詳しくはコチラ>>>
「後はせっかくですから広沢虎造の清水次郎長伝のCDを。『秋葉の火祭り』
ここから始めてもらえば。格好いいですから。足を踏み入れたい方は是非どうぞ。」
とはいえ・・・
「どうしても浪曲が出来ない、という方は、文体が七五調になっていますから、
語尾をちょっと伸ばして読んでもらえれば雰囲気が出ますよ。」
「もうちょっと軽く・・・と言う方は自分の節でも、講談調でも、また普通に読んでもらっても
勿論いいですよ。ちょっといつもと違うテンションだといいですね。
少し非日常的雰囲気で、自分を変えて読んでみると楽しいと思うんですよ。」
子ども達も喜んでくれそうですしね。
■ 絵本で表現したいこと・・・
絵本の魅力を発見して
飯野さんが絵本をつくりたい、と思われたきっかけは何だったのでしょうか?
「小さい頃はそんなに絵本が沢山ある時代でもなかったですから、
特に絵本に馴染みがあった訳でもなかったんですね。
(イラストレーター時代に)堀内誠一さんに絵を使ってもらった時に、
ファンタジーというものの魅力を教えてもらったんです。
そこで改めて絵本を見るようになりました。
絵本は描いた絵が本になる・・・という部分に相当惹かれました。
イラストが1枚の絵を描く仕事だったのに比べ、沢山の枚数の絵が描けますし、
その自分の描いた絵が本になる事によって1つの世界ができるなんて。
物語については小さい頃からもともと好きだったんでしょうね、
その物語と絵が一緒にできる絵本というのは、本当に魅力を感じました。」
ところが、当時としては斬新すぎた(?)飯野さんの画風は
なかなか絵本をつくっている出版社に受け入れてもらえず
絵本作家としての道を歩み始めるまでは長い時間がかかったのだそうです。
「もっと可愛い絵を・・・と言われてもなかなかピンと来なかったんですね。
生まれ育った環境を振り返ってみても、、牛やブタが沢山いて、
隣近所の女の子も泥んこでしたしね(笑)」
あ、じゃあ「ふようどのふよこちゃん」は・・・
「あれは・・・やっと可愛い絵が描けた!と思いましたね(笑)。
僕の中では一番の可愛さですね。」
やっと描けた!
表現について色々と模索をしていた頃の飯野さん、
特に目の表現について悩まれていたそうです。
その頃に、こんな出来事があったそうなんです。
「ある時、知人に会いにフィリピンのセブ島近くの小さな島を訪れたんです。
そこで現地の子ども達と一緒に遊んだり、絵を教えてたりして。
じゃあ、ともだちの顔を描いてみようという話になって、
僕も現地にいた目の大きな女の子の顔を描いたんです。
そこで目を一生懸命、丁寧に描いているうちに・・・」
初めて自分で納得する目が描けたそうなんです!
「描けた!!と思って。もう教えるどころじゃなくて早く日本に帰って絵が描きたいなと(笑)。
そして描いたのが「ハのハの小天狗」だったんです。
これで大分絵を描くのが楽になったんですね。」
その後は冒頭からお伝えした通りのご活躍です。
今後、絵本で描きたいものは・・・
表現方法も、表現したいものも見つけた飯野さん。
今後はどのような作品を描いていきたいと思われているのでしょうか?
「やっと見つけた表現方法として、日本のものをより深く探って行きたいですね。」
そうすると、やってみたい事が沢山ありそうですね。
「最近、九州の語り部の方のお話を、講演先で聞いてすごく感動したんです。
それを絵本にしてみたいなぁと思っています。
また、他にも今昔物語や泉鏡花の不思議な話などを絵物語として
子ども達に伝えていきたいとも思っていますね。
子ども達にはより深いもの、本物を伝えたいのです。
大人になってからじわーっと残るような作品をつくりたいと思っています。
自分が味わえる、というのも何より大きいですね。」
自分がそこの世界に入っていける作品、読んでいる方をそこに立たせてあげられる作品を
つくっていきたい、また表現されている方にはその事を伝えたいとおっしゃっていました。
■ 子ども達へ、絵本ナビ読者の方へ・・・
飯野さんに子ども達に向けてのメッセージをお願いしました。
「子ども達には絵本もとっても大事ですが、できるだけ外へ出て、
多少のケガを恐れずにどんどん自然の中に入っていってもらいたいです。
自然の中で、たくさんのにおいや空気を味わって欲しいですね。
それから絵本を読んで欲しいのです。
また逆に、絵本を読んでから実際に見に行くのもいいですね。
その両方が出来れば素晴らしいですね。想像力がとても鍛えられると思います。」
本物を知って本を読むのと、知らないで読むのでは
全然感じ方が違うのでしょうね。
その違いを感じる事が出来た時、また新たな世界が広がっていくのではないでしょうか。
それは大人にとっても言える事かもしれません。
それでは絵本ナビ読者の方へもお願いします。
「子どもが小さい時は、なるだけお母さんやお父さんの膝の上に乗っけてあげたり・・・
というスキンシップをして欲しいな、と思います。
僕が子どもの頃は、絵本はあまりなかったのですが、
新聞の連載小説の少年ケニヤなどを母の膝の上で読んで貰っていました。
今でも新聞のインクの匂いなどをかぐと、何とも言えない安心感を感じるのです。
子ども達はそういう感覚や思い出をずっと忘れません。
心のふる里、帰るところがある、と思う事ができれば、
大抵の事を乗り越えられる力がつくはずだと思っています。」
■ 直筆サインも描いて頂きました!
最後に直筆サインとイラストをお願いしましたら
快く描いてくださいました!
▲さらさらっと。
▲あっという間にあさたろうとにきちも!
こちら↓
全員で記念にパチリ。
右から2番目が飯野和好さん、一番左が有賀さん。
飯野和好さん、ありがとうございました!!
絵本ナビ読者の皆さんと一緒に「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズの新作を
首を長くしてお待ちしております。
「注目の新人作家さん」の特集記事でご紹介させて頂いておりますこちらの作品
作者阿部行夫さんがカバサンチのフィギュアをつくって下さると告知いたしておりました。
そこでお約束通り・・・
★「カバサンチ」阿部行夫さんが力作フェギュアをつくってくださいました!!
これが・・・本当に素晴らしい出来上がりなのです!
お待たせいたしました。1名様にお送りします。プレゼントが届きました幸運の方は
大事になさってくださいね。(2009/4/23~4/26辺りにお届けになります。)
絵を描かれたり、立体作品を創られる事が本当に大好きなのだそうで、
まったく苦にならないそうなのです。
それにしてもこの力作は・・・せっかくですので皆様もご覧ください!
ぷくっと膨らんだ可愛らしいトトがそのまま再現されています。
細部まで質感や色彩にこだわれています。
商品化されるといいなぁ・・・なんて思ってしまいますね。
阿部行夫さん、本当にありがとうございました!!
絵本ナビに絵本の評価・感想(レビュー)を投稿し、掲載されると、通常、20ポイントの絵本ナビポイントが貯まります。
(絵本ナビポイントは1ポイント=1円として絵本ナビ、絵本ナビShopでのお買い物にご利用いただけます)
キャンペーン期間中(4月16日~5月15日)はこのポイントが何と2倍!(40ポイント)になります。
(期間中に投稿された感想が、その後掲載された際にポイント付与されます。)
下記のルールをご確認いただいた上で、ぜひご参加ください。
===================================================================
◆キャンペーンのルール
ポイント2倍(40ポイント)の対象となる投稿は、下記に該当する投稿のうち、
掲載されたものとなります。
対象投稿期間:2009/4/16(木)~2009/5/15(金)
対象投稿数 :上記期間内で最大20件
※ポイント2倍対象となった投稿について、掲載された際にポイント付与されます。
※投稿受付から掲載までは1週間程度お時間がかかる場合がありますが、
キャンペーン期間内に投稿受付されていれば、掲載時期は問いません。
※期間内であっても20件を超えた投稿については、通常通りのポイント付与(20ポイント)
となります。
※再投稿についてはポイント付与の対象外です。
===================================================================
これまで評価・感想を投稿したことがない、という方は、ぜひこの機会をご利用下さい。
ちなみに、
・新規メンバー登録すると・・・30ポイント
・評価・感想の最初の投稿が掲載されると・・・ボーナス20ポイント
が加算されます。 (評価・感想の投稿にはメンバー登録が必要です。)
ここで改めて、絵本ナビの想いをご案内しておきます。
絵本の感想を書くということ。
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絵本を読むこと、それは親と子、大人と子供のコミュニケーションであると考えています。
とかく忙しい現代の生活の中で、楽しく、優しく、時として少し悲しい想いを
いっしょに感じることができる、それが絵本の魅力ではないかと思います。
そして絵本の感想を書く事は、子どもと一緒に感じたそんな想いを
もう一度思い出して、記しておくことなのです。
「この絵本を読んであげたとき、うちの子はこんなことを言っていたっけ」
「この絵本は、こんな想いで買ってきたんだった」 といったふうに、
感動をいつまでも鮮やかに思い起こすことができるのでは、と考えています。
また純粋に大人にとっても、一冊の絵本が呼び起こしてくれた自分の感性を、
記しておくことではないかと思います。
( 絵本ナビ ご利用案内 より抜粋 )
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ご参加お待ちしています!
「ともだちや」シリーズや、「きょだいなきょだいな」「まゆとおに」などの画家として
大人気の作家さんと言えば・・・降矢ななさん。
そんな降矢さんの最新作のテーマは「イソップ」童話。さて、どんな表現をされているのでしょう。
「いそっぷのおはなし」
木坂涼 再話 降矢なな 絵 グランまま社刊
↑表紙、裏表紙を合わせるとこんな絵になります。
◆内容紹介
世界中で愛され続けるイソップのお話から、特に親しまれている
9つのお話を絵本作品として磨き上げました。
制作期間3年、グランまま社25周年記念の一冊になりました。
イソップ絵本の新たな定番として自信を持ってご案内します。
「よくばりないぬ」「きこりとおの」「うさぎとかめ」「ありとき りぎりす」など、
イソップの人気作品を1話2見開きに ダイナミックな構図と技法で描きます。
木坂涼の軽やかな語りと、スクラッチ画法を絵本制作で初めて取り 入れた降矢ななが、
イソップの扉を力強く叩きます。
◆絵本「いそっぷのおはなし」の編集を担当された田中尚人さんより
本作品に寄せてコメントを頂きました。
「いそっぷのおはなし」を編集した田中尚人です。
「イソップ」というと、
「欲張りは、いけません」とか、「ウソをつくと、誰も信じてくれなくなりますよ」、
「こつこつ働かないと、貧乏になりますよ」などの教訓や処世訓に満ちた、
道徳の教科書みたいなイメージがあると思います。
だけど、僕は、イソップを何度も読み返すうちに、
ここには動物や人間たちが楽しく、時にずるく、時にまぬけに、時に厳しく織りなす絵本の原点があると感じました。
また、「うさぎとかめ」では、「あくせくと歩むカメよりも、木陰で昼寝したウサギは、きっと気持ちよかっただろうなぁ」とウサギ の味方をしたくなったり、
「ありときりぎりす」でも、夏の間、歌っていたキリギリスには、アーティストの生き様を感じたりもしました。
見方を変えると、お話の結末もずいぶん違って見えることが、とても新鮮でした。
そこで、読み手や聞き手が、そのつど色々な解釈ができるよう、結末の教訓をあえて入れず、
絵を見ながら、お話を聞きながら、自由に会話ができるよう工夫してみました。
さておき、まずは絵本を手に取って、ページを開いて下さい。
降矢ななさんのスクラッチ技法によって緻密に描かれたモノクロの扉ページと、
『おれたち 友だち!』シリーズで親しみ のあるカラーのページがダイナミックに構成されています。
木坂涼さんのしなやかで軽妙な語り口が、歌のように心地よく心に響き、大きく描かれた絵と絶妙にフィットするはずです。
◆降矢ななさん、木坂涼さんより直筆のメッセージを頂きました!
普段いらっしゃるスロヴァキアという国から描いてくださった降矢ななさん、
イソップ童話に新たな魅力を吹き込んでくれている詩人木坂涼さん、
豪華おふたかたが絵本ナビ読者の方へ向けて
素敵なイラスト入りメッセージを描き下ろしてくださいました!
それではじっくりと味わってくださいね。
<降矢ななさんより>
<木坂涼さんより>
★グランまま社刊「いそっぷのおはなし」の原画展を開催しています。
降矢ななさんによる圧倒的な原画の素晴らしさをぜひ、味わって下さい。
日時: 5月18日(月)~5月31日(日)
場所: クレヨンハウス 東京店
グランまま社刊「いそっぷのおはなし」より原画12点を展示中
再話の木坂涼さんによるサイン本も合わせて販売中。
詳細はこちら>>>
子ども達に大人気「そらまめくん」シリーズや「くろよんのくろくん」シリーズなどで、
絵本ナビでも御馴染みの絵本作家さんと言えばなかやみわさん。
なかやみわさんの作品はこちら>>>
なかやみわさん WEB SITE>>>
そのなかやさんが、小さな子ども達の為にこんな可愛いらしい「しつけ絵本」を出されているのはご存知でしたか?
『こぐまのくうぴい』シリーズ
※絵本の詳細内容は画像をクリックしてください。
あいさつ、トイレ、おふろ・・・など、子ども達にとって身近なテーマばかり。
なかやさんご自身が育児を経験され、母親の視点から描かれているという
『こぐまのくうぴい』シリーズ、とっても興味を惹かれますよね。
今回、このシリーズを出版されている三起商行(ミキハウス)さんにご協力頂き、
オンラインショップ「ミキハウスチャオ」と絵本ナビの連動企画の一つとして
『なかやみわさんへのインタビュー』が実現いたしました!
『ミキハウスオンラインショップチャオ』はこちらから>>>
■ 実際に育児を経験してみて・・・
『こぐまのくうぴい』シリーズは、なかやさんのお子様が誕生されてから創作された
絵本だと伺いました。実際の子育て経験が、この絵本をつくるきっかけとなったのでしょうか?
「しつけをテーマにした絵本は、各出版社から多数刊行されていますが、子どもを授かる前は、
正直言って、このような絵本を見てもピンとくるものがありませんでした。
むしろ絵本でしつけを子どもに伝えることが、本当に必要なのかどうかと疑問に思っていました。
しかし、育児というものを経験し、その必要性を実感しました。
歯磨き、トイレ、挨拶など、ごくごく基本的な生活習慣を、生まれてまだ数年しかたっていない幼児に教えていくことって、本当に難しかったからです。いくら教えても、しようとしない、嫌がるばかりで、親子共にイライラしてしまうことの繰り返し。
そんな時、各出版社から刊行されている「しつけ絵本」を読み聞かせた所、非常に反応がよく、トイレなどにも自然に興味を持つようになりました。
「トイレですっきり」より
それからは、「しつけ絵本」をきっかけに、いろいろな生活習慣を子供に分かりやすく、
かつ楽しく伝えることができたのです。私にとっては目から鱗の瞬間でした。
そして「しつけ絵本」の存在を、大変ありがたく思いました。
小さいお子さんをお持ちのお母さんには、こういった悩みは常につきまとい、育児そのものに
嫌気がさしてしまうことだってあると思います。そういったお母さんを応援したいという思いで、
このくうぴいシリーズを立ち上げました。」
■ 男の子でも女の子でも受け入れてくれるこぐまを主人公に!
このように、「しつけ絵本」をテーマとして立ち上がったくうぴいシリーズですが、
実際にこの絵本をお子様と読まれている方の話や、絵本ナビに寄せられたレビューの中でも、
「子どもが喜んで聞いている」「何度も繰り返し読んで欲しいとせがまれる」などの声が多く、
「赤ちゃん絵本」として小さな子ども達のお気に入りとなっている事を感じます。
これは・・・心を掴んでしまう何か秘密があるのかも!と、お伺いしてみました。
「しつけ絵本は、主人公と同じように、挨拶をしたり、トイレをしたり、食事をしたり・・・というふうに、主人公を通じて生活習慣を覚えてもらいたいという意図があり、そのためには、幼い子ども達に共感してもらえる主人公を作りこまなければなりません。
「ぱくぱくくうぴい」より
こぐまを主人公にしたのも、こういった理由が含まれます。
こぐまは、男の子でも女の子でも受け入れてくれる動物と言われています。実際、こぐまのぬいぐるみ(ティディベア)は性別、年齢を超えて世界中の人々に愛されています。
身近なモノを擬人化しているのも、幼児のそばにいつもあるものですから、親近感をもってもらえると思ったからです。3歳くらいまでの幼児というのは、生命のないものでも、生きていると思う傾向があると聞いたことがあります。実際、おもちゃなどを乱暴に扱っている時に、
「おもちゃくんが、痛いって言ってるよ!」
と言うと、たいていの子どもはかわいそうだと思いやめるそうです。中には、おもちゃを撫でてあげる子供もいるそうです。私の子どもも、同じでした。
そういった年齢の子どもを意識して、「くうぴい」というキャラクターを作りました。子ども達も小さいながらに「くうぴい」に共感してくれたからこそ、お気に入りの絵本となって親しんでくれているのではないかと思います。」
■ くうぴいは、こぐまの毛皮のふわふわ感やあたたかみを意識して・・・
『こぐまのくうぴい』シリーズを制作される時、他の創作絵本に取り組まれる時との違いは意識されたのでしょうか?
「『くうぴい』のシリーズは、とても小さいお子さんに読んでもらうものなので、絵柄や内容は
明快にするよう気をつけました。また、文はわかりやすい言葉を選び、読んでもらった時、
心地よいリズム感ができるよう配慮しました。
その点が、物語絵本を作る時との違いだと思います。
「くうぴい」は、太い輪郭で縁取られたキャラクターで、絵柄も単純ですが、こぐまの毛皮のふわふわ感や、あたたかさを少しでも取り入れたかったので、色をつける際には、単調にならないように、カラーインクを数回かさねて、色に深みを出すように取り組みました。」
「こぐまのくうぴいパペット」
↑こんなに可愛い!くうぴいパペットも発売されています。
くうぴいと一緒にあいさつや歯みがきの練習ができますね。
■ 思いやりの持てる子どもに成長してほしい・・・
(他の作品も含めまして)子ども達がパパやママのひざの上にいる時の様な、安心感のある温かい絵が、とても魅力的ななかやさんの作品。
また、まわりの友だちとの関係などをしっかり描かれているものが多い印象もありますね。
作品を通して子ども達に伝えていきたい事をはっきりとお持ちなのでは・・・と感じ、お伺いしてみました。
「特に、伝えたいメッセージがあるというわけではないのですが、自然にお友達とのやり取りなどを取り入れてしまうことが多いです。
やはり、小さい子どもでも、一人の人間なわけで、人と人が気持ちよく生きるためには、相手を思いやり、相手の気持ちを考えて行動しなければならないものだと思います。幼いうちは、まだまだ経験が少ないので、いろんな自我がでてしまいますが、それを子どもらしいという一言でかたづけるのはよくないと思っています。
幼い子どもが、絵本を通じて、こんなことをしてもらったら嬉しいなとか、こんなことをされたら悲しいなとか、なんとなくでもよいので気づいてもらえたら、いつか実体験を通じて、人に対して思いやりの持てる子供に成長してくれるのではないかと信じています。」
柔らかい口調の中でも、それぞれの作品に対して、そして子ども達に対して、とても真摯に向き合っているなかやみわさんの姿勢を感じられる言葉がとても印象的でした。
だからこそ、なかやさんの作品には親子で一緒に楽しめる温かい時間が流れているのかもしれませんね。
そんななかやみわさんが、絵本ナビの読者の為にこんな素敵な直筆メッセージを描いてくださいました!!
なかやみわさん、ありがとうございました!!
★絵本ナビメルマガバックナンバー(2009/04/08号) なかやみわさん特集号はこちらから>>>
何だかとっても面白そうな絵本だぞ・・・と思っていると、何とその作品が作者のデビュー作!
当然の事ですが、「新人作家」と一口に言っても、傑作、快作が生まれる瞬間の可能性というのは、常に平等です。「面白いから紹介しよう」と思っている時点では、あまりキャリアは気にしていない事も多いのです。だから、こんな驚きも実は結構あるのですね。
でも今回は、更にその「面白い絵本」が生まれてくるエピソードにとっても興味を惹かれてしまったのです。そこで、「新人作家特集」としてお送りしたいと思います!
お気に入りの絵本が見つけられたら、その時は是非、作家さんを応援してあげて下さい!
また新しい「お気に入り」に出会える可能性が高くなるはずですしね。
◆ 絵本らしい絵本!
最初に紹介させて頂く2冊はこちら↓
『ばけばけばけ ばけたくん』 『ジェリーの あーなあーな』
(ともに大日本図書刊)
お二人とも絵本デビュー作なのですが、まずその完成度の高さに驚かされます。
表紙から「何だか面白そうだぞ」「子ども達が喜びそうだぞ」という気配が漂っていますね。
お二人の共通点として「絵本塾」出身、というプロフィールがあります。
(作家になる事を目的としている講座です。)
今回は何と・・・
「絵本塾」の主催をされている
小野明さん(編集者)と増田喜昭さん(絵本専門店メリーゴーランド店主)が
お二人のデビュー作品に寄せてコメントを書いてくださいました!!
「絵本づくりのプロ」である小野さんと、「絵本を売るプロ」である増田さん、
それぞれのお立場からの紹介文はとっても読み応えがあります。
皆さんも、普段とはちょっと違った視点からその魅力を楽しんでください。
小野明さんからのコメントです!
●プロフィール
小野明(おの あきら)1954年、東京生まれ。編集者・エディトリアルデザイナー。
企画、編集、デザインで400冊以上の絵本・児童書にかかわる。
絵本ワークショップ「あとさき塾」を土井章史氏と共同主宰。
1994年度のボローニャ国際児童図書展の日本特集「Dancin’ Colours──90年代日本の絵本原画展」の実行委員のメンバー。共著に『絵本をよんでみる』『絵本をよみつづけてみる』(いずれも五味太郎+小野明╱平凡社ライブラリー)、編著に『100人が感動した100冊の絵本』『絵本の作家たちⅠ・Ⅱ』(いずれも別冊太陽╱平凡社)など。
●絵本塾、あとさき塾について
私は、東京であとさき塾という絵本のワークショップをトムズボックスの土井章史とともに始めて、18年になる。四日市メリーゴーランドの絵本塾ももともとは、15年前に店主の増田喜昭さんに誘われて、あとさき塾のやり方でやってみましょうか、と決めて始めたものである。それほどに、私にとってあとさき塾の方法は、まず、自分の性に合っている。
で、その方法とは、一、塾生に「教える」ことをしない。二、塾生を作家として遇する。まあ、この二点に尽きるかな。ともかくあとさき塾では、毎回毎回、塾生の気合いの入った(これもポイントのひとつ。だから毎回もってくるとはかぎらない)絵本のラフを、出席した塾生全員に全作回覧し、その後土井と私でそのラフを出版できるようにするため、その時点で足りないと思えることについて述べるのだ。あ、もちろん、そのラフの美点も話しますよ。でもまあ、あとさき塾の場合、それなりの倍率のオーディションをくぐりぬけてきた人達の集まりだから、見込みがあるのは前提として折り込み済み。そのすでにある能力をどうやって出版できるレベルまでもちあげられるか、それについて毎夜毎夜、エンエンと話し合っているのです。
●『ばけばけばけばけ ばけたくん』『ジェリーの あーな あーな』
シンプルは簡単ではない。シンプルは単純ではない。少なくともつくり手にとっては、そうだと思う。岩田明子さんと矢野アケミさんは、ともにメリーゴーランドの絵本塾にかつて在籍していた。だから、講師として参加していた私は、今回めでたく出版されたこの2作品を、最初のラフからずっと見守るという幸運に浴した。その出版のもとになった最終ヴァージョンへのプロセスを思い返すにつけ、ああ、シンプルって複雑だよなあ、と改めて感じるのですね。
創作においては、多彩で豊かなバックボーンをもっていればいるほど、上がりのシンプルさのエッジがくっきりする。鮮やかになる。しなやかになる。それは絵本のワークショップを20年近く続けてきて得た、確たる実感といえる。
そしてさらに心強いことに、この2作にはユーモアがある。『ばけばけばけばけ ばけたくん』の好奇心のはつらつさ。『ジェリーの あーな あーな』のひかえめなとんでもなさ。その楽しい魅力は、たしかなユーモアに支えられ、より輝く。そしてこのユーモアもまた、多彩で豊かなバックボーンゆえの達成でしょう。いやあ、いいスタートを切れましたね。次作も楽しみだなあ。
小野明
増田喜昭さんからのコメントです!
●プロフィール
増田喜昭(ますだ よしあき)1950年 三重県四日市市生まれ。
子どもの本専門店「メリーゴーランド店主」。
子どもの本の普及、遊びと学びのある子どもの居場所づくりに力を注ぐ一方で、プロの絵本作家・童話作家の養成ワークショップ「絵本塾」「童話塾」を主宰。「四日市こだるま道院」の道院長として、子どもたちに少林寺拳法も教える。著作に『子どもの本屋、全力投球!』『子どもの本屋はメリーメリーゴーランド』(晶文社)などがある。
みどころ、立ち読みはこちらから>>>
●『ばけばけばけばけ ばけたくん』によせて
子どものココロってなんだろう。ちかごろあまりにも大人たちのやさしい言葉の連続で、ほんとうのやさしさが見えなくなってしまうような不安におそわれます。
岩田明子さんの中にある、ちょっとイタズラなココロはきっと子どもにつながる道があるのです。それがカタチになったのが、この『ばけばけばけばけ ばけたくん』でしょう。
次から次へ、いろんなものを食べまくったあげく、ドロンと消えてしまうあたり、さすがです。
それにしても、本として出版された「ばけたくん」はりっぱです。シャンとしてて、かっこいいです。ダミーでみていたときよりずっと白と黒が生きています。
さあ、こんどはぼくたち本屋の番です。子どもたちと楽しみ、いっぱい売ること、手渡すことに専念します。
メリーゴーランド店主
増田喜昭
みどころ、立ち読みはこちらから>>>
●『ジェリーの あーな あーな』のこと
33年も子どもの本屋をやっていると、何となく子どもの喜ぶ本がわかるような気がします。
もちろん、次々と子ども達が生まれ、メリーゴーランドにやってくるのだから、少しづつ子どもたちの好みというものが変ってきてもおかしくないのだろうけれど、本質的に子どもの広い視野と何でも受け入れてくれる広い心には驚かされるのです。
大人たちの読んであげたいキモチが子どもにはよーく見えているのでしょう。
と、しても、この「あーな」の本は、大喜びする子ども達の顔が目に浮ぶ。ジェリーが大好きな穴は、子どもも大好き、できればいっしょにおでんのちくわの穴にもぐりたい気分なのです。
作者の矢野アケミさんは、そこんとこをよっく知っていて、(いや本能かな?)次々と楽しい作品を生みだしていく。このジェリーシリーズでも次々と続編が出るでしょう。絵本のサイズも色あいも、とても楽しい空気をつくり出しています。きっとファンが増えることでしょう。
もうぼくは、そのファンの第一号なのですよ。
メリーゴーランド店主
増田喜昭
作者の矢野さんと増田さんの2ショット、いい写真ですね・・・。
◆ 「純真無垢」な絵本
冒頭では「傑作、快作」にキャリアは関係ない・・・と申しましたが、
「デビュー作」ならではの輝き、というものも確かにあるのかもしれません。
絵本を描く楽しさ、瑞々しさに溢れているのがこちら↓
みどころ、立ち読みはこちらから>>>
『ピーちゃんのわくわくないちにち』(文溪堂刊)
「絵本が自然に生まれてくる」なんて事はないのはわかっているのですが、
絵本を読んでいても、作者御本人のコメントを読んでいても、
なんだか「ポロン」と転がるように生まれ出てきてしまった様に感じられるのです。
そう思わせてくれる所がきっと才能なのでしょうね。
作者のスミカワテルコさんに、絵本製作に於いての過程話をお伺いしました。
ねこのピーちゃんというキャラクターは、わたしが専門学校時代に、実家で飼っていたクロネコのプーちゃんをモデルにして描いたらくがきから生まれました。プー(Pooh)という名前の頭文字をとってピーちゃんという名前にしたのです。初めて描いたその瞬間から、とにかくよく動くキャラクターで、じっとしていません。私が課題の下描きをしていたり、らくがきをしている時でも、ピーちゃんは気が向いたときにやってきて、スケッチ帳の上を自由きままに散策。好きなだけ遊んでいくのです。当時は鉛筆で描くことが多く、色を塗る場合は、黄色く塗ったりもしていましたが、特定の色をもつキャラクターではありませんでした。
それから数年後、家の近所を歩いていたときに、突然ひとつのフレーズが、わたしの頭をよぎります。
「うちのねこは ぜんしんピンク、あらっても ピンク・・・・・・」
ねこがピンクだなんて、おもしろいなぁ、と思い、ピンクのねこはどんなねこだろうと想像した時に、私の頭のかたすみからヒョッコリ、ねこのピーちゃんが陽気に顔を出してくれたのです。
「アレ?ピーちゃん、ピンクいろに なってみたい?」私がきくと、ピーちゃんは、なんだかうれしそう、からだをモジモジさせながら、小さくうなずきました。こうして晴れて、ピンクのねこのピーちゃんが誕生したのです。
「ピーちゃんのわくわくないちにち」をつくるにあたって、わたしが一番に心がけたことは、ピーちゃんというキャラクターのもつ自由さ、天真爛漫さ、好奇心旺盛さといった、本来の素質を、できる限りそのままの状態で表現し通すということです。ストーリーの中でも、わたしが、ちから技でピーちゃんを動かしてしまわないよう、つねに心がけたつもりです。
いま、ピンクのねこのピーちゃんは、わたしのスケッチ帳や、机の上から、絵本というとても居心地のよい空間にまで動きだしました。やっぱり、じっとはしていられないようです。この絵本はよんでくださった方に、すこしでもピーちゃんのわくわくが伝染してくれたら、これ以上にうれしいことはありません。
スミカワ テルコ
◆ 大御所新人!?
最後に・・・
新人作家さんとして紹介するにはあまりにも迫力のあるその存在感!
がとっても気になるこちらの方>>>
デビュー作ではなく絵本2作目ですが、ご紹介させて頂きます。
みどころはこちら>>>
表紙を見ると、ほのぼのとして、とても可愛らしい雰囲気ですが、
背後に感じる壮大なスケール観は・・・
阿部さんは何と、現役として大活躍されているアニメーション監督さんなのです。
絵本「あらしのよるに」の劇場版アニメの美術監督も手掛けらたそうです。
だから、絵を描く事に関しては完璧なプロなのですね。
「どんどん どんどん いくらでも筆が進む・・・」なんて事も伝え聞いています。
ダイナミックなストーリー展開、印象的な場面の数々、細かく描き込まれた背景・・・
などなど見所満載な一冊になっていますが、
こんな経歴を念頭に読んでみるのもまた面白いですよね。
そして、今後どんな絵本をつくっていってくれるのか、とても期待してしまいます!
「カバサンチとアドバルーン」を制作する際の過程話を聞かせて頂きました。
今回、カバサンチを描くにあたって。
当初、家族のきずなと、エコロジーをからませたストーリー展開にしたため、少し難しくなってしまいました。
思い切って、エコロジーをはぶいてみると、だいぶ、すっきりとした感じになりました。
エコロジーは、非常に大切なテーマですが、いずれ改めて取り組んでみたいと思っています。
家族はひとつ、たとえ難問が振りかかってもみんなで考えたり、みんなで話し合ったり、みんなで力を合わせればなんとかなるさと思う事が大切だと思います。
いつもポジティブにね。
阿部行夫
※特集の為に、阿部さんが「カバサンチ」のフィギュア(人形)を作ってくださることになりました!!期間中(2009/3/25~2009/4/1)に「カバサンチ」をお買い上げ頂いた方の中から
抽選で1名様にプレゼントさせて頂きます。
これはかなり貴重ですね・・・。
(現在制作中だそうです。完成品はまた追ってアップさせていただきます!)
↓↓↓↓
★★「カバサンチフェギュア」の完成品が届きました!★★
こちらからご覧ください。>>>
今後も面白い作品が登場した時に、引き続き特集をピックアップしていこうと思っています。
お楽しみに・・・。
静かで透明な空気の漂う風景、そこに繊細に描かれる少女や鳥や植物たち。
植田真さんの描き出す世界はとても上品で愛らしく、
大人のファンの方も多いのではないでしょうか。
▲絵本ナビの為に描き下ろしてくださった自画像です!
植田真さんはイラストレーターとしても挿絵や装画、広告のお仕事など幅広く活躍されています。画面から伝わってくる洗練された雰囲気は当然なのかもしれませんね。
でも、もう一つの魅力は植田さんの紡ぎだす、ささやかながら夢の詰まった優しいストーリー。
繊細で傷つきやすい、だからこそ美しい子ども達の心の声が優しく丁寧に織り込まれ、
それを大きく包み込んでくれるようなファンタジーの世界は、読むものの感覚を子ども時代に戻してくれるようです。
一体どんなイメージをしながら創作されているのでしょう?とっても興味を惹かれますよね。
「まじょのデイジー」 (のら書店) ★みどころはこちら>>>
今回、最新作「まじょのデイジー」の発売を記念しまして、
作者の植田真さんに、新作「まじょのデイジー」について、
また制作時のエピソードなどについてもお伺いしました!
■ 作品がうまれてくるきっかけは・・・
新作「まじょのデイジー」に登場するのは、
魔法はまだまだだけど、天真爛漫で朗らかで素直な小さな女の子デイジー。
一方無愛想で一匹狼、まっくろな翼をもつ鳥ズズー。
とっても対照的な二人なのに、ふとしたきっかけで一瞬のうちに心が通じ合ってしまう・・・
そんな思いがけない場面がとても心に残ります。
「つくっていくうちにストーリーは変化していきました。」とおっしゃる植田さん。
どんな風に作品が生み出されていくのでしょう?
「絵本を作る時は、映画の予告のようにいくつかのイメージが頭に浮かんできます。
例えば今回の『まじょのデイジー』の場合ですと、幼いまじょがホウキで飛んでいる、
ホウキから落っこちてしまう、楽しくなるとまわりで花が咲き始める、など。
最初は、それらのイメージをもとに漠然とした物語が浮かんできます。
しかし、それは本当に漠然としたものなので、進めながらたぐり寄せるように物語を作っていきます。
進めていくと「こっちの道じゃなかった」というようなこともよくあって、
『まじょのデイジー』も一番最初の原稿と最終的な原稿で物語は結構違うものになっています。」
場面のイメージと物語が同時進行で生み出されていくのですね。
もしかしたらデイジーとズズーの関係も、最初はもっと違ったものだったのかもしれません。
■ デイジーの持つ天真爛漫さを物語全体に漂わせて・・・
植田さんの作品の中では、静かで美しい風景の場面というのがとても印象的です。
また、その風景の中で、小さなものが本当に小さく描かれていたり、
逆に思うよりもずっと大きく描かれているものがあったり。
それはまるで登場人物の心象を表しているかの様にも見えます。
色彩表現や風景の描き方など、表現方法についても少しお伺いしてみました。
「主人公の気持ちと密接に関わりがある、というのは意識します。
物語の絵の場合、その物語または文章を読んで、どんな絵、どんな構図または色が、
その場面を一番引き立たせられるかということを意識して描きます。
例えば、ズズーが「ともだちなんかいないやい」という場面では、
「少し寂しそうなズズーの表情」を描くよりも、
「美しい風景の中で美しい羽根の鳥たち」を描く方が、
ズズーの孤独感がより引き立つように思うのです。
という感じで、そこにはどんな空気や感情が存在するのかをまず頭に浮かべ、
何をどのように描けば一番引き立たせられるかと考えています。」
今作品の雰囲気は今までの作品と少し違うように感じますが・・・
「「まじょのデイジー」では、デイジーの持つ天真爛漫さを
物語全体に漂わせたかったので、色彩は明るく暖かいものを意識しました。」
と植田さん。春の陽だまりの様な優しい暖かさを感じますね。
■ 「空」「鳥」「葉っぱ」・・・植田さんの作品に登場する風景の原点は?
どの作品にも登場する広く大きく描かれた様々な「空」の風景、空を飛ぶ「鳥」、小さな葉っぱや草花・・・。
「生まれ育ったところが緑豊かだった為か、
空の広い場所や鳥や草花は、自然と絵の中に出てくるように思います。」
■ 子ども達には楽しんでもらいたい・・・
子ども達には作品を通じてどんな事を伝えたいと思われているのでしょうか。
「物語やメッセージ性は本を作る上での一つのきっかけなのかもしれないと思ったりしますので、
ただただ、読んでくれた子ども達がどんな形であれ、頭の中で色々と「想像して膨らませて楽しんで」ほしいなと思います。
人によっては、物語と離れたところ、物のカタチや色などで楽しむ場合もあるかもしれませんし、
それも一つの楽しみ方だと思います。
なので、まずは楽しんでもらって、本の中に入ってもらえたら嬉しいです。
そして、そのような本を作って行けたらいいなと思っています。」
■ 絵本ナビ読者の方へメッセージをお願いします!
「デイジー(とズズー)が歌う場面、ぜひ、いろんな節で歌ってみてください。」
色々と丁寧に答えて下さり、ありがとうございました。
最後に「まじょのデイジー」の寄せた植田真さんご本人の直筆メッセージを
ご紹介します!↓
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
絵本ナビの「マイページ」をリニューアルしました!
ご要望の多かった点を中心に、機能の追加、改善を行っています。
こんなことができるようになりました。
1.マイ絵本棚
・棚を複数作成できます。
・棚から直接買い物かごに入れられます。
・レビュー済みの絵本をまとめて追加できます。
・絵本ナビShopや絵本クラブで購入した絵本をまとめて追加できます。
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「うんこダスマンたいそう CDつき」
作・村上八千世 絵・せべまさゆき 作曲・岡本拡子
絵本ナビでも常に評価ランキングの上位に入っている人気の絵本
「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」。
その「うんこのえほん」シリーズ最新刊の発売を記念して、作者の村上八千世さんにお話を伺いました。
◆「うんこのえほん」シリーズのテーマ。
村上さんはもともと学校・駅・オフィスなどのトイレや公共トイレなどの排泄環境の調査・提案をされている方。トイレに関してはスペシャリストなのですね。
また、1998年より日本トイレ協会主催の「学校トイレ出前教室」の講師として数多くの小学校に出向き、「うんこに対する偏見をなくし、子ども達が楽しくトイレに行けるように。」と活動もされてきたそうです。
村上さんが最大のテーマとして掲げられているのが、
「うんこをするという事は恥ずかしいことではない」という事。
そんなテーマを基につくられたのがこの「うんこのえほん」シリーズなのです。
ですから「トイレトレーニング」などのしつけを扱った絵本とは一線を画した内容となっているのもうなずけるのです。既に全国の多くの小学校では授業の一環としてこの絵本の内容を取り入れているという話も聞きます。
今「食育」に熱心な先生方が増えているそうですが、毎日の生活と密接につながりのある「排せつ」の方から食事について考えさせてみると
「こんなうんこが出たのは、こんな食事をしたから・・・」
と実感のこもった話が出来るために合わせて取り入れられている、というのも興味深いお話ですよね。
◆絵本「うんこダスマンたいそう CDつき」が誕生するまで。
「うんこダスマンたいそう」というのは、2005年に小学校へ入学する新一年生に向けた雑誌の中で、新しい生活が始まる子ども達に、楽しくわかりやすく生活リズムを整える方法は・・・と考えられてつくられた企画だったとのこと。
そこに曲をつけて欲しいと、村上さんが短期大学の教授をなさっている岡本拡子先生に依頼されたそうです。岡本先生は、保育者養成に携わりながら子どもの歌の作曲などもなさっている方。
岡本先生が快諾なさって「うんこダスマンたいそう」が完成しました。
それからも、実際に岡本先生の授業の中や、生徒さん達が毎年行う教育実習先の
保育園で「うんこダスマンたいそう」は実践されていきました。
子ども達への受けがとても良く盛り上がる事から毎年のように行われ、また実習生の方達も
ダスマンのマスクをつくって踊ってみたりと積極的に工夫をしながら広まっていったそうなのです。
そんな現場から「CDをつくって欲しい!」という声が出てくるのも当然の流れのようですね。
そこで、村上さんからほるぷ出版さんへと企画を提案されたという事だそうです。
既に大人気の「うんこのえほん」シリーズですが、
実はどの絵本も巻末にとっても面白い付録が付いている事はご存知でしたか?
絵本が出来上がった最後に企画されて付く事が多かったそうなのですが、
この最新刊「うんこダスマンたいそう CDつき」は、「付録」の企画から先につくられた絵本とも言えます。それもまた面白いですね。
◆本当に嬉しそうに踊る子ども達!
実際に教室で踊っている子ども達の様子の写真を見せて頂きました。
(大阪のおおわだ保育園さんでダスマンたいそう実践中!)
一生懸命踊っている子ども達の目は、本当にキラキラしていていますね。
♪ダス ダス ダスダスマン~
♪おしりのあなーを ひきしめろ~ きゅっ!
♪そーれへんしん!ダスマーン!
♪「うんちいってきまーす」
体操が終わると必ず何名かは「トイレに行きたーい!」と駆け込んでいくそうです。
それが、とっても自慢気。「あ、うんこに行きたくなった。ラッキー♪」というノリ。
うんこをする事が嬉しい、と感じる瞬間がそこにあります。
小学生や大人の方ともこの体操をする事があるそうですが、
大人になるにつれ、いきなりこの体操を踊りだすのにはちょっと勇気が必要となってきます(笑)。
体操の前に、このたいそうの目的や説明をきちんと話すのだそうです。
(便秘にお悩みの方にはとっても効果がありそうですね。)
ところが小さな子ども達に説明なんかしているとすぐに飽きてしまいます。
いきなり音楽をかけて踊りだす!これが一番喜ぶそうですよ。
「なんだ、なんだ!」と言いながら、間奏の足踏みする振り付けを、それはそれは嬉しそうに踊るそうです。
うんこに対する先入観が何もない、こんな時期の多くの子ども達が踊ってくれれば、
うんこにまつわるイメージも大きく変わっていくのでは・・・なんて大きな期待を抱いてしまいますね。
それにしてもこの笑顔!
2009年絵本ナビは、うんこにまつわる絵本を積極的にオススメしていく事を決めましたよ。
去年(2008年)に出された絵本の中でも大きな話題となり、
赤ちゃん絵本の新定番として大人気となった『だるまさんが』。
絵本ナビでも、その続刊『だるまさんの』が出される時に特集を組み、
作者のかがくいひろしさんに絵本ナビ読者の方へ
▲こんなに可愛い直筆メッセージを頂き、大きな反響を頂きました。
そして・・・ついに待望の新作「だるまさん」シリーズ第3弾『だるまさんと』の登場です。
その新刊発売を記念して、かがくいひろしさんに
お会いして直接お話をお伺いする事ができました!
新作は一体どんな内容?今度はだるまさんがどうなっちゃうの?
そんなはやる気持ちをさておいて(笑)。
絵本ナビでもファン急増中のかがくいひろしさんの作品について、
皆さんのレビューをもとに、代表して質問を色々ぶつけさせて頂きました。
▲かがくいさんは、想像どおりの気さくで優しい雰囲気の方。
今までの作品について、絵本制作について、
そしてもちろん「だるまさん」シリーズについてもたっぷり語って頂きました。
さぁ、その人気の秘密を探ってみましょう・・・。
主人公がとってもユニーク!
その発想はどこからくるのでしょう?
作品を並べてみると皆さんも感じられるかと思うのですが、 こちら>>>
かかがくいさんの作品に選ばれる主人公って、とってもユニークだと思いませんか?
「おもち」「だるま」「やかん」・・・一体どこからアイデアが湧いてくるのでしょう。
「普通なもの、すでにあるものというのがあまり好きじゃないんですね。
絵本の主人公になりそうもないもの、身のまわりで光の当たらなそうなものに
脚光を浴びさせたい、意外性があるものでびっくりさせたい、という思いはあります。
ただ、そういうものをわざと選んでいるのではなく、自分の中で面白いと感じたもの、
絵本になると感じたものを選んでいった結果、こういう主人公が生まれてきたんです。」と、かがくいさん。
アイデアが浮かぶ時は、「もの」と「動き」がセットになって思いつく事が多いそうです。
例えば『おもちのきもち』だったら「おもちがびろーんと伸びるのって面白いな・・・。」という発想から。かがくいさんにとって、「この主人公面白いな、可愛いな・・・」と思って出来上がっていくキャラクターが、(くまさんやうさぎさんのような)いわゆるポピュラーなものじゃなかった、という事のようです。
「ふしぎなでまえ」の場合。
例えば『ふしぎなでまえ』の場合、じゃがいもとさつまいもが主人公。
個人的には「あれ、何だかとっても地味な主人公?」なんて思ってしまったのですが・・・。
(ところが、お話の展開はとてもダイナミック!なのです。)
「なまけものの野菜の主人公を探していて、おいもがごろごろ=なまけものというのが
思いついたのです。 さといもはちょっとわかりにくいなぁ、と思ってじゃがいもとさつまいもに。僕の中ではとてもポピュラーな主人公だったんだけどなぁ(笑)。」
『ふしぎなでまえ』
失礼しました!
でも、やっぱり出前に目がついているなんていうのも誰も思い浮かばないと思います。
確かに視点は普通の人とは違うようですが、結果的にとても可愛らしくみえてくるのが
とっても興味深い部分ですよね。
季節感は大事にしたい。
もう一つ気になったのが「和風な主人公」が多い・・・という事。
「こちらも特に意識している訳ではなく、興味あるもの、関心をひいたものが
結果的に・・・という事が大前提なのですが。
行事的なものや季節感というものは大事にしたいと思っています。
現在では少し薄れてきているけど、もともと日本は季節感がとっても豊かな国。
行事にも、季節と結びついているものが多いですよね。
そんな日本という風土で育っている子ども達の絵本を描いている・・・という部分が
根底にあるのかもしれないですね。」
質感や動きがとても気になる!
人形劇をされていた頃から・・・
皆さんのレビューの中でも多いのが、その動きや質感についての感想。
絵を見ているだけでも笑っちゃうような、おかしな動きが多いのもかがくいさんの作品の特徴ですね。
かがくいさんは、もともと人形劇をずっとされていたというお話を、
以前メールマガジンでもご紹介させて頂きました。 こちら>>>
その頃の経験が今の絵本づくりに大きな影響を与えているそうです。
※そのとってもユニークな人形劇を演じられている、当時の貴重な映像を見せて頂きました!
ウレタン(座布団の中身などに使われる素材)を二つに折って目玉を二つチョンチョン。
素材はそれだけ。それが、音楽に合わせて踊り出すと不思議!可愛い生き物に見えてきます。
他にも、傘の柄やホースなどの身の回りのものを使って演じられます。
ストーリーがある訳ではなく、音楽に合わせてものを動かすだけ。
これは、小さい子やハンディキャップを背負った子達でも楽しめるようにという発想から考えられていったそうです。
「物を注視していると何かに見えてくる、動きや音をのせるだけで違うものに見えてくる、
生命を持っているものに変化する、そういう事を自分自身も面白がって作っていました。
いつもアイデアの原点となっていたのは、『もの』『音』『動き』『見立て』。
絵コンテも、その人形の動きを書き留めていたものが沢山あります。
それを見ていたら・・・あ、これ絵本に近いなぁと思ったんです。」
実際に人形劇の映像を見せて頂いて、「絵本づくりの原点となっている」というのが
すぐに納得できました。本当に、その動きを見ているだけで何だか笑ってしまうのです。
実は初めて描かれた絵本は『はっきよい畑場所』だったそうです!
野菜たちが相撲を取るお話。シンプルだけど、
「だるまさん」シリーズにも人形劇にも通じるものがあり、
それ以降の作品づくりの原点として読んでも、伝わりやすいかもしれませんね。
豊かな表情が印象的。
困った顔、驚いた顔、恥ずかしそうな顔・・・かがくいさんの作品の登場人物の表情は本当に豊かですよね。
長年教師をされている事もあり、人の顔に興味があって意識的に?と思ったのですが、
お話をお伺いするうちに、むしろ動きやしぐさの一環として表情も描かれているのだなぁ、と
わかってきました。勿論、子ども達の笑顔を沢山見られてきているでしょうから、
そこは無意識でも表現にあらわれているのでしょうね。
思わず手に取りたくなるような題名の付け方も気になるところですが、
こちらも、アイデア段階や制作途中に自然と浮かんでくる事が多いそうですよ。
だるまさんシリーズ 誕生のひみつ!
さぁ、お待たせしました。「だるまさん」シリーズのお話をお伺いしていきましょう。
ずっとやってみたかったこと。
「だるまさん」シリーズは、他の作品と少し違って、特にストーリーがある訳でなく、
その動きや表情、擬音語だけで進んでいくとってもシンプルな絵本です。
「音と動きがくっついていて、小さな子やハンディキャップを背負った子など
ストーリーが理解しにくい子達にも伝わるような絵本、というのを
ずっとつくりたいと思っていたんです。」
「子ども達は、擬音語や擬態語というのが大好き。
音と言葉と動きがくっついているから、とっても伝わりやすいのでしょうね。
例えば僕が『どてっ。』と言いながら転ぶだけでも、すごく笑ってくれるんですね。
そんな所から発想が湧いてきたのかもしれません。」
日常生活でも、常に絵本のアイデアを考えているというかがくいさん。
新聞やテレビを観ている時、トイレに入っている時、夜中に目を覚ました時、
ふっとイメージが絵で浮かんでくるのをノートに書き留めているのだそうです。
そうしてノートの端々に沢山のスケッチがたまっていくのだそうで、
『だるまさんが』も出版される5年も前からノートに存在していたそうですよ!
「絵本作家さんでも、文章から書かれる方もいるかと思いますが、
僕はそれは出来ないんです。アイデアの段階で、言葉を書き留める事もありますが、
それも全部イメージは絵や動きで浮かんでいて、それを表わす面白い言葉として
メモしているんですね。」
そして、そのアイデアを絵本の形にした、記念すべき『だるまさんが』のラフがこちら!
▲原案とほとんど変わっていないのですね。
「このアイデアをブロンズ新社さんに見せたら、面白いから出版しましょうと
すぐに決めてくれて。凄い事ですよね。
僕のやりたい事をすぐに理解してくれて、実現してくれたので本当に有難かったです。」
そこから、絵の順序を少し変更したり、表情を編集の方とやりとりしながら加えていって、
完成したのが『だるまさんが』。出版されてから、あっという間に大人気の絵本となっていったのです。
かがくいさんは絵本制作の中で、
「アイデアが浮かんでから、それを頭の中で絵本の形にする時が一番楽しい瞬間です。
そこでラフに起こして実際に形としてあがった時というのは本当に嬉しいですね!」
と熱く語られていました。
▲その瞬間の状態というのがこちらの『だるまさんが』のラフ。
その喜びや楽しさ、勢いというものがこちらにも伝わってくるようです。
予想を超えた反響
続編の『だるまさんの』も同じように、沢山のアイデアスケッチの中からスムーズに決まっていったそうです。
同じように見えて、実は全然違うアプローチ方法なのが、また新鮮で面白いのです。
こうして出来上がった『だるまさんが』『だるまさんの』。
皆さんのレビューなどを読んでいて、小さな子や赤ちゃんにもユーモアというのはちゃんと伝わるんだな、と改めて発見させられました。
笑うだけでなく「何だこれ!?」と、小さな子でも絵につっこんだり出来るのも楽しいですよね。
でも興味深かったのが、小さな子だけでなく、小学生や大人までも大爆笑の渦に巻き込んで、世代を超えた人気の絵本となっている・・・という事。小学校のクラスでの読み聞かせにも使われたりして。
「それは僕も驚きました。
大人が面白いと思う絵本を、小さな子が全部面白いと思うのは(ストーリーなどもあって)難しい部分もあると思います。(誤解を恐れずに言えば)子どもというのはまだ大人ではないからだと思うのです。
でも、子どもが面白いと思うものを一緒に楽しめるのは、大人はみんな子どもだったからかな・・・と思っています。」
そして新作の・・・『だるまさんと』。
前作二作と違って、新作は少し試行錯誤が続いたそうです。
アイデアはいくらでも浮かんでくるのだそうですが(新しい事を考えるのはとても好きなのだそうです)、「意外性」と言う部分にもこだわって、なかなかすんなりOKとは行かなかったようで。
編集の方からのヒントやアドバイスも入り、それに対してまた沢山のラフスケッチを作成します。
「一つ提案をすると、思いもよらない形で本当にたくさんのスケッチが返ってくるんです。」
編集の方も、かがくいさんとのお仕事にとってもやりがいを感じられるとおっしゃっていました。
そんなやりとりの後に出来上がった『だるまさんと』は、かがくいさんもとてもお気に入りだそうですよ。
このシリーズは、次はどんな展開でくるのか想像するのも楽しみの一つですよね。
その期待を裏切っていきたいとかがくいさん。
「この展開は読めないでしょう・・・。」と皆さんの驚く顔を想像しながら、楽しんでつくられたそうです。
さて、どんな驚きが待っているのでしょう!!
「だるまさんと」みどころはこちら>>>
笑顔のあふれる絵本を
絵本のちから。
皆さんのレビューに、子ども達の反応や様子が書かれていると本当に嬉しいとおっしゃるかがくいさん。子ども達に届いているんだな、と実感できるそうです。
かがくいさん御自身もお子様にたくさん絵本を読まれてきたそうです。
「例えば子どもに絵本を読んであげる時、ちょっと読み間違えただけで気づくんですよね、『ちがうよ!』と。これはきっと、何回も何回も読んでもらっているうちに覚えてしまっていて、『読み聞かせて』もらいながらも『自分で読んでいる』という気持ちになっているんだろうね。それで、訂正してもらったり、一緒に読んでみたり。
テレビやビデオなんかだと、間違えたりする事もないし、こういうやりとりは起きないですよね。こんな風に、人と人の関わりが生まれるというのが、絵本の持っている大切な部分で大きなちからだと思うのです。」
この「だるまさん」シリーズは、読んでいる大人の方も笑っちゃう絵本。
親子で楽しそうに過ごしているその時間が浮かんでくるようです。
自分も驚いていたい。
それでは、今後どのような絵本をつくっていきたいと考えられているのでしょう?
「とにかく色々なものをつくりたいと思っています。自分に規制はかけたくないです。
その時その時に受けた刺激をどんどん吸収して、形にこだわらず浮かんだアイデアをどんどん実現していきたいですね。」
常に新しい事を考えるのが好きだとおっしゃるかがくいさん。それはしかけ絵本かもしれないし・・・
「描いていて、自分も驚いていたいし、楽しんでいたい。常に新鮮な気持ちでいたいです。もちろん、音や動き見立てなど、自分の興味を引くものはずっと大事にしていきたいとも思っています。」
最後に絵本ナビ読者の方へ・・・。
先程も記した通り、皆さんのレビューを本当に喜んで読んで下さっているというかがくいさん。
素敵なメッセージを頂きました!
「今の大変な時代に悲しい本というのは、ちょっとつらいなぁと思うのです。
僕はふんばって笑顔になれる、笑える絵本というのをつくっていきたいと思っています。
絵本を通して、一時でも親子で楽しく笑顔になってくれればと思うのです。
僕も実は悲観的な考えになってしまう事も多いのですが、
絵本を描く事で笑顔になっています。
皆さんもどうか元気な笑顔でいてください!」
▲お忙しい中、ありがとうございました。記念にぱちり。
◇かがくいさんのお人柄が伝わるおまけエピソードを一つ。
「僕の誕生日は福山雅治と一緒だと言う事も伝えてくださいね!」
お約束は果たしましたよ!
絵本ナビでは特集を組みながら、たくさんのしかけ絵本をご紹介しています。
その中から、こんな作品をご覧になった事はありますか?
「あかまるちゃん」
可愛らしいネーミングの入ったこの表紙を開けると、
想像を超えた形としかけが次々と飛び出してきます。
その数々の見事なしかけの中には必ず「あかまる」が隠れているのです。
その「あかまる」を探しながら進んでいくという設定に、子ども達は大喜び。
また、そのセンス抜群の色や形はまさにアート作品。大人をも魅了し続けています。
詳しくはこちら>>>
昨今、精巧なしかけや、派手で華やかなしかけなどが話題をさらい、
賑わっている「しかけ絵本界」、本当に楽しいですね。
でもその中で、ちょっと異色を放っているこの作品。
(続きに「あお2ちゃん」「くろまるちゃん」「きいろしかくちゃん」があります。)
一度目にしたら忘れられない、その卓越したセンスとユーモア感覚溢れるシリーズ、
持ってはいないけど、とても気になっている・・・
という方が多いのではないでしょうか?
絵本ナビでも、この作品の作者デビッド・A・カーターの魅力をもっとお伝えしたい!
そう思い、日本で彼の作品を出版されている大日本絵画さんに
御協力をお願いしました。
早速大日本絵画さんにお邪魔し、
いつもたくさんの楽しいしかけ絵本を紹介して下さる嵐田さんと、
日本語版のデビッド・A・カーターのしかけ絵本の訳と編集を
全て手掛けられてきた北村さんに、
彼の作品について、またその魅力についてなどなど、
沢山のお話をお伺いしてきました!
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デビッド・A・カーター(作品はこちら>>>)
1957年生まれ。
現在カルフォルニア州Auburn在住。
1987以来、50~60ものポップアップ絵本を作り続けている。
1988年の「How many Bugs in a Box」(邦訳『はこのなかにはなんびきいるの?』品切れ)
に始まるBugシリーズ(むしむしシリーズ)が各種あわせて600万部を超えるベストセラーとなった。
「One Red Dot」「Blue2」「600Black Spots」(邦訳『あかまるちゃん』『あお2ちゃん』『くろまるちゃん』)
で、2007年ニューヨークタイムズベストイラスト本を受賞している。
最新作は「Yellow Square」(邦訳『きいろいしかくちゃん』)など。
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◆二面性の魅力
まずずらりと並べられた彼の作品を前に、
「デビッド・A・カーターには2面性の魅力があるよね。」と嵐田さん。
改めて作品群を見てびっくりしたのですが、
今話題の「あかまるちゃん」シリーズに代表される、洗練されたアートの様な雰囲気の作品。
一方で「むしむし」シリーズや「しあわせならてをたたこう」などの様にとても可愛らしい雰囲気の作品。
それぞれ好きなしかけ絵本として手に取った事はあったのですが、同じ作者の作品だという事に驚かされます。
ただ、どの作品にも通じる彼の大きな特徴として
絵もしかけも彼自身がつくっているという事があります。
その優れたセンスと磨かれた技術を持ってすれば、
イメージする作品を、好きなように作品として再現できているのではないでしょうか。
それでは、それぞれの作品に共通する思いというものはあったのでしょうか?
◆初めて出会った彼の作品は・・・
大日本絵画で紹介されているデビッド・A・カーターの作品を
全て手掛けられてきた編集者の北村さん。
彼の作品を出版するきっかけとなったのが、
今から25~30年前に初めてご覧になったという、
「ほらあなたんけん」「かいがんたんけん」という作品だったそうです。
当時、他のしかけとは一味も二味も違うとても斬新なものを感じられたそうです。
↑こちらは「かいがんたんけん」。※現在絶版です。
↑海岸に打ち上げられた流木。めくってみると・・・
↑えびやざりがに、貝も出てきて。更に貝をめくって・・・。
↑最後のページにはオチと大胆なしかけも用意されています。
こちらは「ほらあなたんけん」。※現在絶版です。
↑岩を覗くと、虫がもぞっと動きます!
↑シンプルでもしかけも絵もセンスを感じます。
2作品とも、ただ驚かすだけのしかけではなく、
例えばめくりしかけの中に更にめくりしかけが用意されていたり、
シンプルなでも、どのページも全部違うしかけになっていたり。
勿論、びっくりさせてくれるページもあります。
このように、同じしかけにも一工夫されていたりして、とてもユーモアセンスを感じられたそうです。
切り絵で表現された絵も、洒落ていますよね。
「是非これを出版したい!」と北村さん。
大日本絵画でのデビッド・A・カーター作品第1号となったそうです。
◆アイデアの根底は・・・?
上記の「ほらあなたんけん」のしかけにも現れていますが、
デビッド・A・カーターのアイデアの根底には、小さい頃の遊びの記憶があったようで・・・?
「彼が小さい頃、一日中外の家の周りで岩や石をひっくり返しては、
『中に何が入っているだろう。』とわくわくしながら遊んでいたそうですよ。
ひっくり返して何が見つかるか・・・というその時味わったスリルを、
今度は彼自身がつくった絵本の中で、子ども達に楽しんでもらいたいと考えているようです。」と北村さん。
彼の一番好きな表現に、
「めくりしかけ」があるそうです。
しかけをめくると何かが隠れている・・・。
石をひっくり返すと虫が出てくる・・・。なるほど、同じ気持ちになりますね。
更に、そのめくった中で何かがもぞっと動いたり、
めくったけど、更にめくるしかけが出てきたり、
めくったら思いもかけない数の虫がいたり。
そんな遊び心を目一杯表現しているのが
「むしむしシリーズ」です。こちら>>>
日本でも人気のシリーズで、数多く出版されていましたが、
原書の出版事情で、現在購入できるものは一部。
(でも、再販に向けて準備中だそうです!近いうちにまた手に入りそうですよ。)
その第1作となっているのがこちら↓
「はこのなかにはなんびきいるの?」
↑めくると小さな虫が隠れています!ページごとに数が増えていき・・・。
隠れ方も違うんです。
↑いたずら心たっぷり!でもこのしかけ、あかまるちゃんにも通じるものがある!?
こんな風に、ストーリー性も持っているので、
絵本の中を巡りながらめくったり、ひっぱたり、探したりしながら、
次のページ、次のページとめくりたくなるのです。
またしかけの種類もバラエティーがとても豊富(ひっぱったり、まわしたり)。
根底に、遊び心、いたずら心、ユーモアがある事を感じずにはいられませんね。
25年位前にデビッドにお会いされたという嵐田さん。
その頃から御本人もとってもユーモアのある楽しいお人柄で
まさに作品のイメージそのままだったそうですよ。
↑「むしむし」シリーズだけでこんなにたくさん! しかけの種類も本当に豊富。
◆「あかまるちゃん」シリーズ誕生のきっかけは
改めて「あかまるちゃん」の魅力についてお伺いしてみましょう。
この作品を作ろうと思ったきっかけとして、
彼はこの様に語っていたそうです。
「例えば美術館に行った時、彫刻作品などに触りたくてしょうがなかった。
でも、美術館にあるようなアート作品に触る事は現実的には無理だよね。
だから、子ども達でも誰でも触れる事のできるアート作品が作ってみようと思ったんだ。」とてもわかりやすい動機だと思いませんか?
だからこの作品のつくり方としては、
一場面ごとに独立して「面白い形を・・・」とアイデアを練られたそうなんです。
↑全部で9場面。それぞれがアート作品として独立しています。(飾りたくなりますね。)
どおりで印象もしかけもそれぞれが全く違うはずです。
そしてこの作品のもっと凄いところは、
意外としかけのしくみがシンプルだという事。
今まで培われてきた経験と、センスとを組み合わせながら表現される事によって、
同じしかけでも、印象が全く違うものになるのだという事を証明してくれる様です。
と言いましても、素人の私達にはちょっと見てもその違いがわかりません。
そこで、一番わかりやすいのが
嵐田さんも大きな衝撃を受けたという「くろまるちゃん」からこの場面↓
最初のページを開いてびっくり!
驚いた後に良く見ると、何と白い紙を切って端をそれぞれのページに貼っているだけ。
「これはユーモアセンスがないと思い浮かばないよね。」と嵐田さん。
「やられたー。」と悔しがる快感もあるんです。
「経済効率は度外視だけどね(笑)。」とは北村さん。
(確かにこのシリーズの制作は本当に大変そう・・・)
「くろまるちゃん」
◆今までの作品と共通する部分も。
デビッド・A・カーターの作品には2面性の魅力があるとお伝えしました。
確かに、子ども達の遊びの目線に降りたわかりやすい作品と、
アートとも言える洗練された雰囲気の作品の違いがあります。
ところがよく伺ってみると、共通する部分もたくさん浮かび上がってきます。
「あかまるちゃん」シリーズはどの作品も、場面それぞれが独立したところから考えられています。
他のストーリー性のある作品とは違うようにも見えますが、
そこに「あかまるちゃん」が登場する事で、全ての場面がつながっていきます。
探しながら、次へ次へと進みたくなってくるのです。
更に、大きなしかけの中から「あかまるちゃん」を探す行為は
まさに「岩の中に何があるだろう・・・?」というスリル感と同じではないでしょうか!
このシリーズは「アートをもっと身近に!」という彼自信への挑戦でもあり、
また「子ども達に遊んでいる時の感覚と同じような気持ちで楽しんでほしい。」という全作品に共通した願いも感じられる作品なのですね。
全部で5部作なのだそうですよ。
残すは後一作品。果たして完結編は何色?どんな形?
楽しみに待っていましょう。
◆他にも魅力的な作品がたくさん
彼の作品の中でも、現在出版されて販売可能なものは残念ながら限られています。
北村さんも翻訳したい絵本はまだまだあるそうですが、
なかなか実現は難しいそうです。例えば・・・
↑「I‘m shy」目のところがギョロっと動きます。
大きさも小さくてシンプルだけど、驚きもあります!
実はしかけが単純なほど心をくすぐられる、という心理もありますよね。
あー、これが出版されたら欲しいなぁ・・・。
その他にも「におい」が出るものや「音」が鳴るもの。
アイデアも自由奔放。
そんな遊び心満載のカーターの作品は
言葉もかなり自由奔放だそうで、翻訳作業は毎回大変!?
(日本ではわからないような遊び言葉がいっぱい)
そこに、北村さんご自身の遊び心を取り入れながら翻訳作業をされているそうです。
そんな彼の新作は、ちょっとまた変化球↓
詳細はこちら>>>
それから、嵐田さんもお気に入りの絵本がこちら
↑手をたたく場面では、実際にパチパチ音が出ます!お話会の合間にみんなで歌ったりする時に使われたりして
人気があるそうですよ。
◆しかけの技術を伝える本!
デビッド・A・カーターは、御自身のサイトなどでもしかけ技術の情報を
提供されているそうです。
そして、彼のしかけの技術がぎゅっと詰まったこんな絵本も出ています!
「実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識ポップアップ」
これはスゴイです!
しかけのしくみを一つ一つ丁寧に解説。
こんなしかけも中を覗けるようになっています。
そのしかけを全部合わせると、こんな画面が出来上がります。
「これを超えるものは今のところないよね。」とお二人。
保育系の先生方や、建築やデザイン関係の方もよく買われています。
こんなに丁寧に書かれていると、何だか作れそうな気がしてきますね。
「むしむし愛ラブユー」のこんな可愛い場面の・・・
作られている様子も載っています!
「実物で学ぶ ポップアップを作ろう」
誰でも飛び出すカードが作れるようになっているこちらも
とってもオススメです!
◆しかけ絵本の魅力
最後に大日本絵画さんで出されている全しかけ絵本を含めまして
その魅力などを語って頂きました。
大日本絵画で出されたしかけ絵本の
第1作目が1962年「まりとけんのかくれんぼ」です。
(品切れ重版未定です!)
その魅力は今でも伝わってきますね。
その当時からしかけ絵本は人気があったのでしょうか?
「しかけ絵本というと、例えば絵本の専門店や図書館などでは
絵本として認められない・・・という雰囲気は確かにありましたね。」と嵐田さん。
それでも、実際に手に取って見ている子ども達の喜び様は、
今と全く変わらないそうで、置いてくれていたお店では当時からよく売れていたそうですよ。
どうやら人気は今も昔も変わらないようですね。
それは、実際に手にとって見た方には説明などいらない事実かもしれませんね。
「しかけ絵本というのは、立体的に作られています。
通常の絵本に1次元増えるだけで、こんなにも違う世界の表現が出来るんですね。
例えば、カーターの作品なんかも、360度あちこちから見させる様になっていますよね。」
見せ方次第では、赤ちゃんでも楽しめるしかけ絵本。
(いないいないばあ、の原理と同じですよね。)
楽しめる年齢層がとても幅広いのも大きな魅力の1つかもしれません。
今後も色々なタイプのしかけ絵本が登場するそうで・・・
とても楽しみですね。
ちょっとだけ見せて頂きましたよ!
手を入れて遊ぶ絵本!すごいインパクトです。
海辺の生き物の鳴き声がかなりの高音質で流れます。癒される・・・。
どちらも来年の出版になるそうです。
最後に記念にパチリ。
嵐田さん、北村さんお忙しい中、ありがとうございました!!
絵本『はやくちこぶた』。
「はやくちことば」ではありません。
はやくちこぶた。
3びきのこぶたとおおかみが登場するようです。
でも読んでみると、やっぱり「早口ことば」の絵本のようで・・・。
期待通り、よく知っている早口ことばのオンパレード!
そして、驚く事にストーリーにもなっているのです。
どうしてこんな不思議な絵本が出来上がったのか、
気になってしまいませんか?
そして、この絵本の最大の魅力が「早口ことば」にのせて
ストーリーが進んでいく早川純子さんの描かれる絵。
一体どんな発想で考えられたのでしょう?
まずは・・・
この企画を発案された瑞雲舎の井上さんにお話をお伺いしました。
◆「早口ことば」を絵本に・・・。
―「早口ことば」を絵本に!と思われたのはなぜですか?
弊社(瑞雲舎)の『ことばのこばこ』(和田誠)が好評で、
ことば遊びの絵本の第2弾をつくりたいと思っていました。
『ことばのこばこ』
なぜ「早口ことば」になったかというと、読み聞かせなどの合間に、子ども達の声だしにも
最適だと思ったからです。
―早川純子さんに依頼されたきっかけは?
早川さんの絵は、『しんじなくてもいいけれど』を拝見したときに、
この人に頼もうと思いました。
ダイナミックな動きあり、とても発想がユニークです。
その後個展などをみて、その才能にほれ込みました。
『しんじなくてもいいけれど』
その他早川純子さんの作品はこちらから>>>
そこで、「早口ことばを絵本にしたい。」という事と、
代表的な早口ことばを30個程提示しました。
それをもとに早川さんに自由に考えてもらいました。
(その時の様子をご本人が語って下さっています!後ほど・・・)
―完成した「はやくちこぶた」みどころは?
子ども達一人ひとりの見方で、こまかいところに伏線があるので、
自分なりのストーリー展開が楽しめます。
また、「早口ことば」は、声を出す事によって、脳を活性化するので、
楽しみながら遊んでもらえたら!と思っています。
「はやくちこぶた」が完成するまでの貴重なエピソードを、
作者の早川純子さんにお伺いしました!
瑞雲舎の井上さんが、早川さんに依頼されてから、
長い期間をかけて生まれた絵本だったそうです。
完成までのエピソードは、とても興味深い内容になっています。
また、絵本の制作に関するいくつかの質問にもお答え頂きました。
◆『はやくちこぶた』が生まれるまで・・・。
お話を聞いて・・・。
2004年の春、瑞雲舎の井上さんから早川さんに
「早口ことばだけでお話がすすむ絵本を描いてくれないか。」
と依頼があったそうです。
子供たちがずっと楽しめる絵本を・・・と言う事で、
色々な早口言葉のリストや『ことばのこばこ』などを早川さんに提示されたそうです。
早川さんは面白そうなお仕事!とは思われたそうですが、同時に、
「早口ことばをどうやっって???」「なんで私にこの話が来たんだろう・・・」
思わず頭を抱えてしまったそうです。
なんといっても絵本。15見開きもあるのです。
最初はとまどいもあったようで・・・。
人形劇との出会い・・・。
その後、
「どうしようかな~。」
「『はやくちことば』と『はやくちこぶた』は言葉が似ているなあ・・・。」
などと、1ヶ月程考えていたそうです。
(この時既に「はやくちこぶた」というキーワードが登場しているんですね。)
そんな時、人形劇のワークショップに参加される機会というのがあり・・・。
(※早川さん注/チェコを拠点に活躍されている沢則行さんのワークショプでした。
オブジェクトシアターという人形劇の新しい流れで、表現されている人形師のかたです。)
参加者は人形劇をやっている方や役者さん、沢さんの公演をみて興味をもった方など様々。
そこで親しくなった方たちから、改めて早口言葉を教えてもらったり、
発声練習などでも、早口言葉が使われていたり。
「これが結構転機となった気がします。」と早川さん。
表紙にも出てくる舞台の様な雰囲気、こんな所にもルーツが隠されているのでしょうか?
更にチェコの人形劇との出会い。
また暫く考える日々が続き・・・。
「この頃は、3人兄弟のこぶた達の、朝から寝るまでを早口言葉で進められたらと考えました。
でもラフを描いても最初の数ページ。
断片的な描きたいシーンはあるものの、展開を面白くまとめられません。」
そんな風に時が流れていって・・・‘05年の夏。
チェコの人形劇団の公演を観る機会があったそうです。
「演目は『3匹の子豚』。チェコ人なので当然日本語での公演ではありません。
何を言っているのかは不明です。
でもお話の筋は子供も大人も馴染み深いものなので、言葉がわからなくても楽しめます。
結構ブラックな表現でも直感的にわかり、小さい子たちも、勿論大人も盛り上がって見ていました。
(当然のようにブタたちは食べられ、天使のワッカをつけて飛んで行ってしまいます。)」
早川さんは、この公演などを観て、
「早口ことばの絵本も、無理にお話を作るのではなく、
『3匹のこぶた』や『赤ずきんちゃん』など、
説明しなくても皆が良く知っているお話をベースにするのが良いのかも。」
と、思われたそうです。
多くの人が知っているお話だったら、説明しなくてもそれぞれの頭に既にお話が入っていますものね。
アイデアがまとまっていき・・・完成!
そこで、最初から考えていた『はやくちこぶた』の語呂を生かしつつ、
3人兄弟のこぶたのアイデアもそのままに、
更にオオカミを登場させて『3匹のこぶた』のイメージへとつながっていったそうです。
オオカミがどうしてこぶた達を追いかけるのかは、説明が要りませんしね。
「後は、どう面白く追いかけっこさせていくか、
早口言葉の順番がしっくり来るまでが時間がかかりました。
追いかけっこなので、
絵本の中で読み手がページの前後で遊べるように。
また次のページに何となく続けられるように。
また絵本を舞台の劇中劇みたいに感じられるよう、描いている時に意識しました。
人形みたいなイメージ。ブタたちの首がグルグル回る感じ。
そのため絵に動きあるように見えるのかもしれません。」
その後もラフをまとめるのに苦労されながら、‘06年の秋ごろにラフ完成。
‘07年のゴールデンウェイーク明けに絵を描きあげられて、
その年の秋にいよいよ完成!絵本が出される事になったそうです。
「それまでじっくり井上さんが待っていてくれたからこそできたのかなあ、と思います。」
そんな貴重なラフを見せて頂きました!
↓表紙です!題名も構成もちょっと違いますね。
↓扉絵と、後ろ扉絵です。イメージ、雰囲気ほぼそのままですね。
↓見返しの絵です。早口言葉が並んでいます。
完成品では全体がある形になっていますね。
↓アイデアや、構成、画面の勢いがそのまま伝わるラフ画。
この段階でもとっても魅力的ですね。
↓完成品の場面と見比べるのも、楽しいですね。
『はやくちこぶた』という題名が浮かんでから、実際にそのこぶた達が動き出すまでには、なかなかすんなりといった訳ではなかったのですね。
早川さんのお話の中にもあったように、長い時間をかけられて創られたこの絵本。
企画の話があってから、ラフ、作画にかかる迄に
他の絵本を色々と描かれていたそうです。
例えば・・・
『まよなかさん』や『おおかみだんなとろば』
『かいじゅうじまのなつやすみ』『家缶』などなど・・・。
そんな他の作品からも、『はやくちこぶた』への影響があったそうですよ。
それにしても・・・『はやくちこぶた』には美味しそうな食べ物が出てきますね。
その辺りもお伺いしてみると。
「私が好きだという事もありますが、登場人物が美味しいもの好きのぶたの家族だからでしょうか。
『3匹の子豚の誕生日』というイメージなので、最後も食べ物を沢山登場させました。
また、早口ことばにも食べ物が色々入っていますね。
特に『すもももももももものうち』は、うっとりします。」
◆絵本作家早川純子さんについて・・・。
その他にもいくつか質問をさせて頂きました!
―もともと版画の作品を制作されていた早川さん。絵本作家となられるきっかけは
あったのでしょうか?
「もともと絵本には興味がありました。
でも、版画を作るのが楽しく、個展等で発表していました。
版画の絵柄がお話的?だからでしょうか。
絵本の編集の方や装丁家の方が個展に良く見に来てくれたりしていました。
そんな感じで、段々と挿絵の仕事などをポツポツといただいてました。
そんな中、ビリケン出版の『トリツカレ男』の挿絵をしているときに、
その編集者さんが個展に来てくれました。
そこで改めて今迄の雑誌の挿絵をまとめたファイルの中の絵(「母の友」)を見て、
「早川さん絵の具でも絵も描けるんだねえ・・・」と。
『しんじなくてもいいけれど』の絵本の挿絵の仕事につながりました。
―どの作品もとってもお話を吟味されて絵を描かれているようにみえます。
絵本の絵を描かれる時の、面白さ、醍醐味みたいなものを教えて頂けますでしょうか?
「そう思われていたら、嬉しいです。描き分けをしたりと、器用にはできないので、
毎回変えられたらと思いますが、特に意識していません。
音楽などで気持ちを切り替えていたりしているからでしょうか。
醍醐味・・・もまだわかりません。たぶんずーっとわからないのかも。
絵本をきっかけに、知らない分野を覗けるのが楽しいところでしょうか?
白い紙の時は描くのが苦痛ですが、だんだん絵本の世界に画面が変化していく時が楽しいです。
画面がしゃべってくる感じ。自分よがりに描きすぎてしまうのが、これからの課題です。」
―絵を描かれる時は、描きながらアイデアがどんどん出てくるのでしょうか?イメージが広がってくるのでしょうか?
「基本的には手を動かして考える感じです。ぐるぐる考えている時はあまり出ません。
散歩している時とか、寝ていてゴロゴロしている時とかにやってきます。
あとたまたまつけたテレビの画像とかからヒントをもらったり。」
―「こんな絵本を創っていきたい!」というテーマはございますでしょうか?
「読み手に長く愛される絵本が作れたら嬉しいです。
あの絵本!小さい頃読んですきだったなあ~と思われるような。
また『ウヘ~またヘンテコな絵本作ったなあ。』と思われる物を作れたら嬉しいです。」
ありがとうございました!わくわくする様な作品が次々と生まれてくるので、
今後も本当に楽しみですね。
最後に絵本ナビ読者の為に素敵な直筆メッセージを頂きました。
↓
メルマガ「はやくちこぶた」特集号へ>>>
早川純子「家缶」実際につくってみよう!>>>
絵本『家缶』。
缶詰の家だから「家缶」。
ヒックリーとカエルーのりっぱなおうちなんです。
一体どんなおうちなの?
どんな生活をしているの?
その生活ぶりのわかる絵本の詳細についてはこちら>>>
この「おうちの絵本」シリーズ。
何と、巻末に実際に絵本の中に出てくる家が作れる
ペーパークラフトが付いているんです!
早速『家缶』を作ってみましたよ!
↓こちらが立体版の『家缶』です。
中身はどうなっているのでしょう・・・?
その謎が一目で解ける、「家缶制作」スタートです。
★まずはパーツを切り取ります。
↑パーツ1 缶の中身
↑パーツ2 缶の外側
★のりで貼りながら組み立てていきます。
↑のりしろをのりで貼りながら、部屋を立体的に組み立てます。
↑その部屋を、くるっと丸く筒状にすると・・・。
↑部屋が出来上がりました!
↑ふたをします。
↑反対側も。
★完成―!
↑完成!家缶に入っていくヒックリーとカエルー。
玄関ですね。
↑外側を取ると、中の部屋が見えてきます!
↑部屋の様子は、こうなっているのですね。なかなか快適そうじゃありませんか。
缶をくるっと転がすと・・・
↑お風呂だって出現!お風呂に入っている間は転がらないといいねぇ・・・。
こんな自由なおうちもちょっと楽しそうですね。
「おうちの絵本」シリーズ 他のおうちも見てみましょう!こちら>>>
「家缶」の作者 早川純子さんの作品はこちら>>>
早川純子さんの特集ブログはこちら>>>
◆◆テーマ別で楽しむ「落語絵本」◆◆
担当編集の方から、テーマに分けて各巻をご案内頂きました。これなら、自分がまず読んでみたい1冊!というのが探せるはずです。
●その6 あの人が、またまた登場! 落語絵本のお馴染みさん
「じゅげむ」
『はつてんじん』の金坊とじゅげむは、どうやら同じ長屋の幼馴染み。
けんかもするけど、仲もいい。
両国の花火見物には、ともに家族揃って出かけていますよ。
「そばせい」
むらさきの羽織姿は、「おそばの清さん」こと、「そばせい」のトレードマーク。 ほかの2巻にも、ゲスト出演中。探してみて。
「ばけものつかい」
「ばけものやしき」に現れたのは・・・
一つ目小僧、ろくろっ首、三つ目の大入道と、
「おばけシリーズ」も好評の、川端さんお得意のキャラクターたちです。
★テーマ別で楽しむ落語絵本
その1 じつに、おいしそうなんです!・・・たべものの落語絵本>>>
その2 子どものきもちと、親ごころと親子を描いた落語絵本>>>
その3 落語好きもびっくり!・・・川端流アレンジの効いた落語絵本>>>
その4 落語はやっぱり、粋じゃないと!・・・江戸が舞台の落語絵本>>>
その5 江戸落語と上方落語。ところかわれば・・・関西発の落語絵本>>>
その6 あの人が、シリーズの別の絵本にも登場!落語絵本のお馴染みさん>>>
◆◆テーマ別で楽しむ「落語絵本」◆◆
担当編集の方から、テーマに分けて各巻をご案内頂きました。これなら、自分がまず読んでみたい1冊!というのが探せるはずです。
●その5 江戸落語と上方落語。ところかわれば・・・関西発の落語絵本
「ときそば」
上方では、「ときうどん」としてお馴染み。
が、じつに、絵本には向かない噺。というのも……場面は夜のみ、
しかも屋台のそば屋の前だけ。
でも、時(とき)でちがってくる夜の気配を感じられる絵本になりました!
「そばせい」
元は、上方落語の『蛇含草(じゃがんそう)』で、
そばに代わり、餅の大食いをする噺。
「あまりにもシュールで、こわくて、最後のページが開けません・・・」という声もあるのですが、さて!
「おにのめん」
落語では珍しい女の子が主人公の噺。
「お春」が、親元をはなれて住みこみで働く「河内屋」とは、
作者の実家の、かつて荒物問屋だったとき屋号から。 シリーズ唯一の関西弁にしたのは、「オチ」のひと言を利かせるためとか。
★テーマ別で楽しむ落語絵本
その1 じつに、おいしそうなんです!・・・たべものの落語絵本>>>
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●その4 落語は、やっぱり粋じゃないと!江戸が舞台の落語絵本
「めぐろのさんま」
殿さまは、着物も、笠も、馬も、食べものも別格。
でも、そのトンチンカンぶりに、花までコケる?
はぎ、くず、ふじばかま、なでしこ、おみなえし、すすき、ききょう・・・
秋の七草を探してみて。かつては、鷹の狩り場だった目黒が舞台。
「おおおかさばき」
左官の金太郎と、大工の吉五郎。
江戸っ子の職人気質は、意地を張るばかりでなく、芯も、気骨もある。
大岡越前守の面立ちや出立ちは、例のドラマがモデルです。 大岡越前守のいた南町奉行所は、有楽町マリオンのあたりにあったそうです。
「たがや」
お湯と手桶に、前祝いのに寿司とお酒もと、さすがに大店のだんな衆は懐も広いもの。
大関の寿山も、おろしたての浴衣をさいて、手ぬぐいにしてくれました。
裏表紙にも、その手ぬぐいが再登場!舞台である両国は、いまは国技館のある場所として有名です。
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●その3 落語好きもびっくり!・・・川端流アレンジの効いた落語絵本
「たがや」
花火見物で、あかちゃん誕生!
元の噺を知っている方には、驚きの展開でしょう。
屋形船のゆれる灯り、人々の顔が花火に照らされた様子など、
名噺家といえども、ことばでは表せませんよね。
「たのきゅう」
たのきゅうさんは、旅役者。人をまるのみにするという、うわばみを前に、
得意の「早変わり」で、いのちびろいをします。
おしろいの香も漂ってきそうな楽屋、きらびやかな衣装も、絵本ならでは。
ごひいき筋から贈られたのぼりには、クレヨンハウスからのものも。
「いちがんこく」
もともと落語には、そんなばかな! という噺が多いですが、
江戸時代に、なんと白黒テレビ!? 人気番組紹介やテレビガイドも!
絵本化にあたっては、「一目瞭然」ということばの力、異文化と出会うことへの
思いもあったそう。
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●その2 子どものきもちと、親ごころと・・・親子を描いた落語絵本
時代は違えど、子を想う親の気持ちは変わらない。でも、その表現方法は色々で・・・。
「はつてんじん」
とうちゃん、いやいや金坊を連れて出かけたものの、寒空のなか、
懐のてぬぐいを金坊の首元に巻いてあげているんです!
両親ゆずりの金坊のほくろにも、ご注目を。
「じゅげむ」
千年や万年だけじゃ、かわいそう。
「寿限り無し」にはじまり、縁起のいい、めでたい名前をつけたい。
「やあぶらこうじのやぶこうじ」は、冬でも葉が枯れず赤い実をつける
ヤブコウジから。
「たがや」
「ややこはね、じぶんで、よのなかにでてこようとしているんだよ。
はじめてのおおしごとをじゃましないようにね」という、
とりあげばあさんのことばに、わが子誕生のときを思い出した、という方も。
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●その1 じつに、おいしそうなんです!・・・たべもの落語絵本
落語のおはなしって、本当に美味しそうな食べ物がたくさん登場するんです。
全て和食なのもまた新鮮なのかも!(当たり前ですけどね。)
「まんじゅうこわい」
おやつの時間になると、子どもさんが「○○こわい!」というそうな。
おはぎ、栗ようかん、すあま……どれも、こわい!
ちなみに、元祖へそまんじゅうは「呉四(くれよん)堂」の名物です。
「はつてんじん」
たこやき、金太郎飴、くず餅、やきそば、かるめ焼、わたがし、あんず飴・・・。
いくら「毒だから、だめ」といわれたって、屋台の味にはひかれますよね。
「めぐろのさんま」
たき火のなかにほうりこみ、まっ黒けのアツアツに、しょう油をジュジューッ。
目黒ふうの「黒く長やかなるもの」はもちろん、表紙に描かれた秋の味も格別!
「おおおかさばき」
長屋住まいの吉五郎と金太郎、奉行所で大岡越前にふるまわれたごちそうにびっくり!
鯛の塩やき、さしみ、てんぷら、煮物。折詰めにし、家族のみやげにしたい、と。
「ときそば」
「この絵本を読んだ日の給食がごはん。そばが食べたいと、子どもたちからは大ブーイング」というおハガキがありました。
すきっ腹で読むのは、要注意!
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童話作家きむらゆういちさんのオフィスにお邪魔しました!
子どもから大人までを虜にした大ベストセラー「あらしのよるに」シリーズや、
赤ちゃんに人気の絵本としてながく愛され続けている絵本「いないいないばああそび」、
最近では愉快な設定が絵本ナビ読者の間でも人気を集めつつある絵本「どうなるどうなるあなのなか」など、数々の名作を生み出されている童話作家と言えば・・・・この方ですね。
きむらゆういち(木村裕一)さんです。
今回、新作絵本
「ワオとレオンのどっきりやっぱりまちあわせ」
※みどころはこちら>>>
発売記念という事で、きむらゆういちさんのオフィスにお邪魔させて頂き、
直接お話をお伺いすることがきできました!!
以前、書店勤務時代にお世話になった事があり、
その時の事を覚えて下さっていたきむらさん。
とっても気さくな方で、終始にこやか。
緊張感をほぐして頂き、和らいだ雰囲気で
新作「ワオとレオンのどっきりやっぱりまちあわせ」の事や、
絵本製作秘話までたっぷりとお話を伺う事ができました。
↑洗練された雰囲気の素敵なオフィスに、きむらさんの作品やグッズがいっぱい!
◆子どもの友情とは・・・?
今回この絵本を読んで一番印象に残ったのが、
(恐らくとっても小さな子ども達であろう)ワオくんとレオンくんの、
「ともだち同士」としてのやりとりの場面。
特に最後、お互いに全部わかっている訳ではないのに成り立っている会話のやりとりなんて、
何でもない様にみえて、大人の私でもぐっと来てしまう場面でもあるのです。
―きむらゆういちさんの作品には、「友情」というテーマで描かれているものもとても多いと思うのですが、今回の主人公の二人はとっても小さな子の設定です。「友情」を描く時に、また違った思いがあったりもするのでしょうか?
「お話をつくる上では、年齢や月齢の事は、特に考えている訳ではないのです。
でも『友情』『友だち関係』そのものは、色々な表現方法があると思っていて、
『ベタベタするだけが友達じゃないよ』という様な事は考えていましたね。」
ときむらさん。
例えばこのお話の主人公のふたりの関係。
レオンくんは、とってもいたずら好き。
レオンくんはワオくんが好きだから、いたずらしたり、ちょっかい出したりして喜ぶタイプ。
それに対してワオくんはちょっと「ボケ」の役割。ただただレオンくんを心配するタイプ。
レオンくんの手の中にワオくんがいる様でいて、でもちょっと手の外へ出てしまうと
レオンくんは慌ててしまったり・・・。
性格も表現方法も全然違うタイプのふたり、すれ違いもあったりするけど、
両方がベタベタくっついている関係よりもうまくいくんじゃないのかな?・・・ときむらさんは
考えられたそうです。
そんな関係って言われてみれば、思い当たるような・・・!?
◆友情には「段階」がある?
そうは言っても、やっぱり初めから大人の様な友達関係を築ける訳ではなく・・・。
きむらさんの息子さんが、幼稚園で初めてケンカをした時のこと。
先生からの報告を受けて「すみません・・・。」と謝っていたきむらさん、先生に
「やっとケンカができるようになったんですよ。」
と言われたそうです。
「集団生活の中で、自分を出せるようになる事ってスゴイ成長のひとつなのかもしれない。」
そう思われたきむらさん。
この子が好きという感情が芽生えて、その気持ちを表現しようとちょっかいを出したり、
くっついてみたり、ケンカしたり。
そうやって体ごと試しながら関係を築いていく・・・。
それが、小さな子にとっての「友情」の初めの段階なのかもしれませんね。
子ども同士の関係を見ていると、
時々こちらの理解の範ちゅうを超える様な行動を起こすこともあります。
毎日取っ組み合いのケンカをしている二人なのにとっても仲良し、
いじめっ子の事をみんなでかばったり、
好きな子に対してちょっかい出したり(ここは大人も同じ?)・・・。
そんな子ども達のやり取りは、きむらさんの目にはとっても面白く新鮮にうつるのでしょうね。
お話を創っていく上で、そんな部分をとても大切にされているそうですよ。
子ども達の気持ちを丁寧に描く事が、子ども達の大きな共感を呼ぶ秘密なのかもしれません。
「子どもというのは、相手が大人であろうが子どもであろうが、いたずらするのが好きなんですね。隠れたり、ちょっかい出したり・・・。
そういった意味で、実はこのお話はレオンの視点で描かれている物語かもしれないなぁ・・・。」
言われてみれば・・・
ワオくんが主人公として登場しますが、心が大きく揺れ動いたり、
事の一部始終を全て知っているのは実はレオンくんの方!?
うーん、奥が深いです。
大人も子どもも、例えば「好き」という感情一つとっても
基本的には変わらないのだとは思います。
でも、子ども達って一切「取り繕う」って事をしない。
だからこそ子ども達のやり取りには、魅力があり、
また様々な出来事が起こるのでしょうね。
◆きむらさんの作品が世代を超えて共感を呼ぶ「秘密」は・・・?
「冒険物語のように、舞台となる場面が大きく変化しながら展開するお話は勿論面白いと思うけど、ボクは、ちょっとした場面の中での会話や人間関係などから生まれるドラマの方が面白いと感じるなぁ。」
今作品でもそうですが、限られた設定の中で、会話劇でストーリーが進んでいったり、
二人の人間関係の変化やその緊張感などで盛り上がっていく・・・という物語を描く事に
一番興味がある、とおっしゃるきむらさん。
きむらさんの作品が、多くの世代の心をひきつけて止まないのは、
どうやらこの辺りに秘密があるようです。
そういった人間同士の関係性からくる会話や緊張感を丁寧に描く事で
読んでいる人が感情移入しやすくなるのでは・・・とは御本人の言葉です。
また、子ども達の習性や遊び、また面白がるような場面を入れる事も
子ども達の共感を得られる大きなポイントとなるそうです。
確かに、その方が子ども達もすんなり物語の世界に入れるのでしょうね・・・納得です。
◆ワオキツネザルとカメレオン。
さて、この物語の主人公のふたり。
パっとみて、ワオくんが何という動物かわかった方はいるでしょうか?
正式には「ワオキツネザル」というおサルさんなのですね。
レオンくんは(こちらは有名?)「カメレオン」です。
そして、舞台はなんとマダガスカル島。バオバブの木を見て「あれ?」と思われた方もいるかもしれませんね。
-どうしてこんな珍しい組み合わせの主人公になったのでしょうか?
「最初のきっかけは<リトルパンゲア>というマダガスカル島で存続の危機にある動植物を救うための活動されている方からのお話でした。」
ただ、きむらさんの創作活動の方針として、
「直接的な強いメッセージ性のある絵本をつくる」という事にはあまり関心がなかったので、
暫くはこのお話が生まれる事はなかったそうです。
ところが、マダガスカル特有の動物として「ワオキツネザル」や「カメレオン」などの存在を知り、
実際にご覧になった時に「ピンッ!」と来るものがあったのだそうです。
特に注目したのは「カメレオン」の大きな特徴の一つとして、体の色が自由に変えられること。
「もし自分が子どもだったとして、こんな夢のような体を持ったらどうするだろうと
考えると思ったんです。
体の色を変えて隠れたり、いたずらしたり、あんな遊びやこんな遊びや・・・!」
と嬉しそうに語るきむらさん。
「でも、やりすぎてちょっと失敗したりして。
その一方でボケ役のワオくんが受け止めたり・・・。
この組み合わせは面白い話がつくれそうだぞ!」
こうして「ワオとレオンのどっきりやっぱりまちあわせ」の制作がスタートしたのです。
絵を担当されているのは江村信一さんです。
江村さん御自身はリトルパンゲアの活動に参加されているそうです。
直接的にマダガスカル島を描いている訳ではないそうですが、
独特な色彩やのんびりした雰囲気は楽園という場所柄をとても感じます。
主人公のふたりのキャラクターもとっても可愛いですね。
それにしてもきむらさん。
カメレオンを見てそこまで発想が膨らんでいくとは・・・。
やっぱり子どもの気持ちを良くわかっているから?
それとも、きむらさん御自身の中にこどもの心があるのでしょうか?
こうして、また一つ名作が生まれていくのですね。
◆発想はどこからくるの・・・?
そんな風に思いついたら早い、きむらさんの創作活動の発想のもとは
一体どこからやってくるのでしょう。
-普段から、常に作品の事を考えられているのでしょうか?
「いつもじっくり考えている・・・とは言えないですが。
普段の生活の中でも、常に頭のどこかにはありますよ。
プロとアマの一番大きな違いというのは、アンテナの張り方だと思っています。
例えば商店街を歩いていても、
主婦という立場の方、喫茶店の経営をされいる方、デザイナーをされている方・・・
など、目に飛び込んでくるものはそれぞれが全然違うと思うんです。
ボクは童話作家なので、いつも自然にネタを探しているような所はあります。
そこに全然関係ないテーマ(例えばカメレオン)と結びついた瞬間に、
アイデアがむくむくと膨らんでくるのです。」
日常の会話の中にだって、人生の本質みたいなものが隠れていたりするものだ
とおっしゃるきむらさん。
さり気ない言葉ですが、「童話作家として生きていく」・・・という覚悟をしっかりとお持ちの上で、
その道を進まれている姿・・・というものをひしひしと感じます。
◆ラフ案を見せて頂いちゃいました!
お話を創作される際には、場面も一緒に思い浮かぶというきむらさん。
「絵本は場面だから。」
とはっきりおっしゃっていました。
だから、きむらさんのつくるラフ案というのは、
文章だけでなく、簡単な絵も一緒に出来上がっていて
すでに「絵本」の形を取っているそうです。
そのラフ案がきむらさんと画家さんとのコミニケーションの場。
最初のラフ案には(ここには描けないような・・・)様々ないたずら描きも
あったりするそうで(笑)。
今回は、2回目のラフ案というのを見せて頂きました!
貴重な画像ですね。
↑とってもわかりやすいラフ案。イメージが既にしっかりと見えてきます。
◆最後に・・・。
今回のメールマガジンでの特集に寄せて、
きむらゆういちさんが絵本ナビ読者の方々の為に
直筆メッセージを描いてくださいました!
おしゃべりをしながら、アイデアを出しながら、
本当に楽しそうに描くきむらさんの様子です。
↑完成がこちら!
最後に記念撮影をぱちり!
とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。
また、新作が出る際には何か面白い企画ができるといいねぇ・・・
なんて、嬉しいお話も出ていましたよ!
きむらゆういちさん
オフィスのスタッフの皆様
長崎出版さん
ご協力ありがとうございました!
「給食番長」「飼育係長」「あいさつ団長」といえば・・・よしながこうたくさん。
そして、こうたくさんと言えば博多バイリンガル絵本。
全国のおはなし会などでも大人気のこのシリーズですが、
「博多弁の部分を声に出して読むにはかなり勇気がいる・・・」
というお悩みの声もちらほら!?
そんな悩み、望みを叶えてくれるのはやっぱりこの方。
我らが人気者、よしながこうたくさん御本人です!
第1作「給食番長」にて絵本作家デビューをされて以来、
お話会デビューも共に果たされ、各地を回られて全国のちびっ子&ママ達を
魅了しているともっぱらの噂のこうたくさん。
今回は、絵本ナビ読者の為だけに特別企画!
自らの絵本を読み聞かせて下さいました。
↑「未だに緊張してダメです~。」なんて、御本人はかなり謙遜されていますが・・・
この絵本を手にとられた方は
「この読み方で合っているんだろうか?正確な発音が知りたい。」
などとうずうずされているのではないでしょうか。
そこでこの企画。
やはり本場の博多弁!
「こんな風に読むのか・・・。」圧倒されますよ。
「小学生がわいわい言っている雰囲気」が再現されるのも面白いのです。
↑絵本ナビスタッフの目の前で読んで頂きました!これは贅沢。
まずは最新刊のこちらから配信スタート!
こちらは、何と言っても「外国からの転校生サムソン」の発する言葉
「オ、オハヨウゴザイマス・・・」
から始まるという、読み手にとってはかなり高度(?)な内容になっています。
会話がとても多く、サムソンのカタコト日本語、それを真似するせいじ、
どんどん日本語が滑らかになっていくサムソン・・・。
あんまり意識すると、気後れがしてしまいそうですが、
こうたくさんの勢いと雰囲気を是非ご参考に!
【よしながこうたくさん「あいさつ団長 」】
さらにさらに・・・
『給食番長』と『飼育係長』も読んでくださいました!!
【よしながこうたくさん「給食番長 」】
【よしながこうたくさん「飼育係長 」】
先日(9/24)、絵本ナビメールマガジンで特集しました、
絵本「おこる」特集。
メルマガバックナンバーはこちら>>>
その際に募集しました、
「中川ひろたかさん、長谷川義史さん 名入れサイン本 企画」
ですが、おかげ様で大好評のうちに終了いたしました。
現在、ご応募頂いた方から20名様が選ばれて、
サインを入れて頂くべく準備中でございます。
楽しみにお待ちくださいね!
さて、そんな絵本「おこる」へ向けて、
作者の中川ひろたかさんから絵本ナビ読者の方達へ向けて、
素敵なメッセージが届きました!!
また、「おこる」の世界を迫力ある絵で表現されている長谷川義史さんからも、
質問形式で絵本の完成に寄せてメッセージを頂きました!
中川ひろたかさんから
絵本ナビ読者へ向けて、素敵なメッセージが届きました!
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怒るというのは、
なかなかやっかいな感情です。
怒るのは、嫌だけど、
怒らなければならないってことは、ある。
人はどこまで、許せるか。
長谷川義史の「いいからいいから」というおじいちゃんみたいに
どこまでも、許せたらいいんだけど。
許せないことって、いったい、どんな時なんだろう。
怒らなくてはならないのって、どんな時なんだろう。
これって、人権のこと、平和のこと、
地球に暮らす人類全ての問題に通じることなんだよね、実は。
中川ひろたか
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絵本「おこる」に寄せて、
長谷川義史さんへのいくつかの質問をさせて頂きました!
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Q:完成した絵本「おこる」をご覧になっていかがですか?
A:さて、この『おこる』というこの子は、どううけとめられるのでしょう。
Q:苦労した場面、逆に気に入っている場面はどこですか?
A: 苦労した場面=海の花火の場面
気に入っている場面=海でおしっこしている場面、鉄棒にぶらさがっている場面
Q:「怒る」という感情についていつも思っていたこと、または改めて感じたことは
ありますか?
A:おこっても、なんにもいいことおこらない。
Q:怒らない人になれそうですか?
A:なれないでしょう。
Q:(絵本ナビを含め)読者にメッセージをお願いできますか?
A:つまらないことでおこらないでね。
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アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」の登場人物をご紹介します!!
アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」には、絵本シリーズでお馴染みのキャラクターはもちろん、
オリジナルキャラクターも登場するようですね!
物語は、この3人が中心となって進んでいくようですよ。
「あさたろう」
あさつき村うまれのねぎぼうず。暴れ者から故郷の畑を守るため、東海道の旅にでる。
悪いことにはがまんができない。
必殺技のねぎ汁で、悪ものたちをやっつける。
「にきち」
元盗賊のにんにく。盗賊だったが義理固い。だじゃれやギャグが大好き。
あさたろうの一本気にふれて、いっしょに旅をすることになる。
必殺技はにんにくの粉の目潰し。
※絵本版では2巻から登場しますね!
「こもも」
謎の少女。あさたろうたちの行く先々で、三味線をひいている。
歌とおいしいものが大好きで、「東海道味巡り」という本を持っている。
じつは忍者見習いだが、忍術はヘタ。
※アニメ版のオリジナルキャラクターです!
「こもも」
「こもも 烏追い旅姿」
「こもも 忍者姿」
詳しくは
東映アニメーション ねぎぼうずのあさたろうサイトをご覧ください!こちら>>>
◆メルマガバックナンバー「ねぎぼうずのあさたろう」特集号はこちら>>>
今回の取材の打ち合わせをさせて頂いている際に、東映アニメーションのプロデューサー浅間さんと、アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」の担当をされている福音館書店ライセンス課の有賀さんが、ちょうどシナリオ(だいぶ先の分のお話のようです。)のやりとりをなさっている時期でした。
有賀さんの
「飯野先生が出来上がったシナリオを改めて読まれた後、こんな事をおっしゃったんですよ。」
と話して下さった、飯野先生のお人柄がうかがえるエピソードがとても面白く、
思わずもっと伺ってみたくなってしまいました。
そこで「アニメ化にあたって一言感想などを・・・」とお願いしてみましたら、
↑原稿用紙にこんなにびっしり書いて下さいました!
絵本ナビの読者の方へ向けて書いてくださった素敵なメッセージです。
飯野先生の言葉を通して、アニメ版の魅力も伝わってきちゃいますよ!
※飯野先生からの原稿をそのまま掲載させて頂きます
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最初に、アニメ化のお話があった時は、本当にびっくりしました。
今までも、絵本の原画そのままを動かし、ビデオにした事もあったのですが、
今回は、本格的アニメーションとしてのお話だったですから、新たにアニメ制作作家の方が絵を描く事に、多少の不安がありました。
しかし、そんな心配はまったく必要なく、丁寧にそして、気持ちを込めてねぎぼうずのあさたろうの世界を描いて下さり、愛嬌と勢いのある素晴らしい絵になっていて、私の描いた野菜のエキス感たっぷりのチャンバラ絵本のアニメーション化になっています。
そして、絵本から広がる新しいキャラクターもたくさん登場します。特に、あさたろう、にきちと一緒に旅をする事になる、元くの一こももは、本当に可愛いです。
旅から旅へ、三人旅をする中でいろいろな人や美味しい食べもの、悪もの達との出会い。
自分の心の筋を通し、正義のねぎじる、にんにくの粉、こももの忍術で悪を倒しながら街道を行きます。
笑いあり、歌あり、涙あり、そして、この物語の人情話としての味を際立たせるのが浪曲です。
♪うーうー唸って、唄って語る、強くて面白い芸。浪曲チャンバラ絵本の味が、アニメーションでも増々効果的に入っています。ですから、幼稚園のこども達から大人まで本当に楽しめる物語になっています。ギャグもいっぱい!
そして何より、物語にぐっと渋味と苦味とほのかな甘味を加わせているのが、きゅうりのきゅうべえです。
浪人となり用心棒となり、哀しみのまじる不敵な笑いは、果たしてその訳は?
謎を含み、敵対するあさたろうと筋の通った情の戦い!
自分が何かにかかわった時、どうしたら解決できるだろうか?
心と体ではっきりとぶつかっていく勇ましさ。
「てやんでいっ、そいつはいけねえぜ、悪い事は許さねぇんでいっ」と、はっきり相手に言い切るあさたろうと仲間達、いつしかきゅうべえはそんな純真さに惚れながらも・・・。
ああ!もっといっぱい書きたいけれども、後はテレビで観て下さい!
予告編や、最初のテスト版を観させて頂いた時、その画面から出てくるあさたろう達の勢いのよさと楽しい感じが満ち満ちとしていましたので、本当に嬉しくなりました。早く、全国の皆さんに観て頂きたいと強く思いました。私は、こどもの頃からチャンバラ映画が大好きで、その映画が源になって絵本ねぎぼうずのあさたろうが作れたので、こうして、アニメーション、映画になると言う事は、本当に嬉しいのです。
今回、企画を立ち上げて下さった方々、プロデューサー、アニメーター、シナリオライター、演出家の方、監督さん、テーマ曲と詩を作って下さった方、歌手の方、制作スタッフの方々、そして、あさたろうと仲間達にぴったりの素晴らしい声優さん達!たくさんの方達のおかげで「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ版の出発です。朝早いですけれども、是非、早起きアニメーション「ねぎぼうずのあさたろう」じっくり、お楽しみ下さい。
2008年9月29日 飯野和好
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おはなし会で全国をまわられる飯野先生!
◆メルマガバックナンバー「ねぎぼうずのあさたろう」特集はこちら>>>
2008年8月6日に絵本ナビメールマガジン上で告知しました、「ちびくろ・サンボ」フェア。
お陰様で、大変好評を頂き、たくさんの方にご応募いただきました。
その中のひとつで、
「『ちびくろ・さんぼ』のお話を聞いた後に、自由にお絵描きをしたものを送ってください。」という募集がありました。
この度、最優秀作品が決定いたしましたので発表させていただきます!
「うーふ と むーふ をたすけに行くサンボ」
千葉県 りりかちゃん (6歳)
こちらは「ちびくろ・さんぼ2」からのお話ですね。
うーふとむーふ、お猿さん、サンボなどみんなが登場して、大きな木を前に奮闘している様子が
画面一杯に力強く表現されていて、とっても楽しい絵ですね!
りりかちゃん、おめでとうございます。
この絵本を出版している「瑞雲舎さん」が大きな大きなプレゼントを贈呈してくださいます。
楽しみにしていてくださいね!
応募して下さった方々、ありがとうございました。
中川ひろたかさん作、長谷川義史さん絵の新作「おこる」がいよいよ発売です。
絵本「おこる」が生まれたきっかけというのは、通常の絵本と比べてもちょっと変わっているようです。
どうして「おこる」というテーマが生まれたのか、
どうして長谷川義史さんが絵を描くことになったのか、
どのように完成を迎えたのか・・・等々、凄く興味ありませんか?
今回は、「おこる」「ないた」を担当された、金の星社編集の方が、
絵本ナビ読者の方々の為に、とっても分かり易く「おこる」誕生秘話を語ってくださいました!
この絵本に関わっている方々の、熱い想いがひしひしと伝わってきます。
必読です。
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◆◇絵本『おこる』が完成するまで・・・◇◆
―― 「これ、絵本にしてみよっか」
『おこる』が生まれたきっかけは、ちょっと変わっています。
昨年の3月、中川さんが「情熱大陸」というドキュメンタリー番組の取材を受けていた時のこと。
ディレクターの小山さんから、「中川さんはどんな子供だった?」と質問されました。
中川さんは即座に「ほめられて伸びるタイプだった」と。
それで、
「子供の頃は、怒られたら逃げるタイプだった。怒られるのはなんかイヤだなぁ。
なんであれはイヤなんだろうね? 怒られるってなんだろう? そもそも怒るってなんなんだろう?これ絵本にしてみよっか?」
そんなふうに絵本の文章を書くことが決まったのだそうです。
小山さんは、ある意味奇跡的に、絵本が生まれる瞬間に立ち会ってしまったのですね。
その小山さんが、番組で絵本が完成するまでを追いたいと熱烈なラブコールを中川さんに送りました。
――『ないた』と『おこる』
4月に入って、『おこる』の最初の原稿が出来上がりました。
中川さんからそれを見せてもらった小山さんは、あの時の会話がこうなるのか! と心躍らせ、
出版社との打ち合わせもカメラで撮りたいと中川さんに、またまたラブコール。
出版社を決めていなかった中川さんは、「情熱大陸」の取材を受けるきっかけになった『ないた』を出版している金の星社に、白羽の矢を立ててくださいました。
どうして『ないた』がきっかけになったのかというと、番組のカメラマンをしている桜田さんが、この絵本を読んでとても感動してくださって、中川ひろたかさんを取材したいと小山さんに申し出てくださったそうなのです。つまり、『ないた』がきっかけで『おこる』は生まれたわけです。
『ないた』は、中川さんにとって特別な思いのある絵本です。
ご自身のお母さんとの実体験を描いたものですし、尊敬する絵本作家の長新太さんが、入院を目前に控えているにもかかわらず、渾身の力で絵を間に合わせてくださったからです。
さらに絵本が出た後も、全国読書感想文コンクール課題図書に選定していただいたり、日本絵本大賞を受賞するなど嬉しいニュースが続きました。
長さんはそんなさなかに他界されてしまったのですが、中川さんは長さんが亡くなった数か月後に開かれた原画展「チョウナンセスな絵本たち 長新太の世界」のなかで、「長さんを語り歌う」といったトーク&ライブを行いました。私もイベントに参加させていただきましたが、偉大な絵本作家を失った悲しみと、長さんが残した作品は永遠だよねという思いが会場全体を包みこみ、たくさんの方々とすばらしい時間を共有できました。
そして、今度は「情熱大陸」の取材の話。
「『ないた』は本当にたくさんのお土産をくれるよね」
中川さんは番組への出演が決まった時だったと思いますが、こんなメールをくださいました。私もなんだか、長さんがごほうびをくださっているように思えて、切ないようなうれしいような気持ちがしていたのを覚えています。
――新たなキーワード
打ち合わせの撮影は、金の星社でと決まりました。
5月10日。
中川さんと番組スタッフの小山さん、桜田さんの三名が金の星社にやってきました。
応接室には『ないた』の日本絵本大賞受賞のトロフィーが飾ってありました。それをご覧になって「わざわざ今日のために?」と中川さん。「まさかまさか。ずっと置いてあります」。そんなやりとりで、少し緊張がほぐれたようなほぐれないような。
作者と編集者の打ち合わせは、いわば絵本の作戦会議。秘密ということもありませんが、ふつうはだれにも見せないものです。正直カメラを前にして、いったいなにを話せばいいのか……と、戸惑っていたはずだったのですが、いつのまにかカメラも気にせず1時間半か2時間はたっぷり話していました。
話しているうちに、新たなキーワードが浮かんできました。
それは「キレる」と「許し」。極端に許せる範囲が狭いのがキレるってことなんだろうね、といった話をして、「それを原稿に流しこんでみよっか」と中川さん。
最終的には「キレる」という言葉は「すぐおこる」に言い換えたのですが、「キレる」と「おこる」のちがいは十分にでたように思います。長く読まれてほしいから、あえて普遍性のある言葉で表現されたのだと思っています。
そんなやりとりを、番組スタッフのお二人は熱心に聞いていらっしゃいました。実際にこの場面が放送されたのはほんの2、3分でしたが、しっかり新たなキーワードが浮上した瞬間をとらえてオンエアしていたのはさすがだと思いました。番組にかける熱意は、私たちの絵本づくりと同じなのだなとひしひしと感じました。
――長谷川義史さん
『おこる』の画家さんは、長谷川義史さんにお願いしたいとひそかに決めていました。
中川さんにご相談すると、「うん、いいね」の一言。中川さんと長谷川さんは野球仲間でもあり、D-1(だじゃれグランプリ)メンバーでもあり、すでに何冊か絵本も組まれています。
長谷川さんは、今もっとも忙しい絵本作家さんのひとりですから、スケジュールが心配でしたが、子どもの生活感を描ける画家さんとして大好きな画家さんですし、ぜひお願いしたいと思いました。
さっそく長谷川さんに原稿をお送りすると、OKのお返事が。きっと素晴らしい絵をつけてくれるはず。期待がぐんぐんひろがりました。
「情熱大陸」の小山さんに画家さん決定を知らせると、長谷川さんに依頼にいくところを撮影したいとこと。放送日が決まっているので、取材の時間などあまりないはずですが、彼らの熱意におされて中川さんと私、そして番組スタッフ二人の計四名で長谷川さんの住む大阪へ向かいました。
長谷川さんは天満宮で待っていてくださって、ご自宅へ案内してくださいました。こちら側に中川さんと私が座り、向いに長谷川さん。少し離れて小山さん。これまでの経緯を話したりして、やがてだんだんと話は作品の内容へ。日帰りの強行軍で時間の余裕はほとんどなかったのですが、いろいろな話ができました。
絵本の中盤に、主人公の「ぼく」があまりに毎日怒られるので、怒られないところに行く! と、ボートで海にこぎ出す場面があるのですが、長谷川さんはそこをどんな風な絵にしようかなあと、早くも意欲をのぞかせていらっしゃいました。まさに私がもっとも楽しみにしている場面です。取り組みがいのある作品だと言ってくださって、うれしくなりました。
また、兄妹げんかしてお母さんに怒られる場面があり、具体的な設定は決められていなかったのですが、長谷川さんはちょうど三人の男の子の子育て中だから相談してみようと中川さんと話していました。
そしたら、長谷川さんが「最近けんかしてたのはあれ」、と天井を指差しました。
見上げると、木の梁や筋交いがむき出しになっているそのすき間に、丸めた新聞紙がはさまっています。なんでも新聞紙で作ったボールで野球をして遊んでいたら、あそこに打ち上げてしまったのだとか。
それがもとで、ずいぶん派手に兄弟げんかをしたらしいのです。天井を見渡すと、いくつも新聞紙のボールが。なければ作ってしまうのが子供。絵本の場面にこそなりませんでしたが、長谷川さんのお家らしい光景だなあと思ってしまいました。
短い滞在時間のなかで、とても強く印象に残っているのは、「誰も怒らなくていい世の中になるといいよね」と話したことです。
記憶の範囲ではありますが、こんな話だったと思います。
———怒るって感情はなくなるわけじゃない。怒らなければならない局面って必ずあるから、なくさなければならないものでもない。でも相手の気持ちを考えるとか、人の嫌がることをしないとか、みんながそれを実行できれば、誰も怒らずにすむはずなんだよね。———
そんなふうに話しはじめて、
———ただ、相手の気持ちがわかるには、人とのつながりを持たなきゃならない。一緒に過ごしたり、向き合わなければわかるわけがない。他のだれかとつながることでしか、許容範囲を知ることができない。だから、誰もが怒らないですむ世界は、究極の理想の世界なのかもね。だけど、そんな世界になったらいいよね。———
どんどん話が壮大なスケールになっていって、でも大人たちがこうしたことを真剣に語り合うのは悪くない気がします。自分が児童書の編集者で良かったと思う一瞬でもあります。
ただ、この大阪訪問には後日談があるのです。
「情熱大陸」の放送では、長谷川家での場面はすべてカットされてしまったのです。
膨大な時間のビデオテープを、番組では二十数分にまとめなければならないわけで、長谷川家でのやりとりはオールカットの憂き目に遇ってしまいました。家中を掃除して迎えてくれた、長谷川さんの奥様でやはり絵本作家のあおきひろえさんには本当に申し訳なく思っています。
でも打ち上げの席で、当時の番組プロデューサーの中野さんや小山さんから、中川さん本人に迫る番組のフォーカスがぶれてしまうくらいいい話をしていたから、カットせざるをえなかったというご説明がありました。
そんなわけなので、長谷川さん、あおきさん、どうかお許しください。
↑長谷川さんが描かれた、中川さん&長谷川さんの似顔絵です!
――2つのゴール
そしてついに8月5日。
「情熱大陸・中川ひろたか」の放送がありました。
放送という名のゴールの日です。
バレーボールの延長戦などがあって、いつもより30分遅れのスタート。小さなお子さんのいるお母さんたちには辛い時間となってしまいました。
マンホールに向かって叫ぶ中川さん、歌う中川さん、読み聞かせをする中川さんが映ります。そして定点カメラの前でパソコンに向かう中川さんも。絵本の企画が生まれた瞬間もありました。取材する側とされる側の濃密さが感じ取れる空気感。もちろんあれが中川さんのすべてではないのは当然としても、ある側面としては、とても現実に近い状態で画面に顕われていたように思う放送でした。
それから約1年。絵本のほうもようやくゴールをむかえました。
今年9月に絵本『おこる』が完成したのです。
絵本の最後の一文は最初「ひとは なんで おこるんだろう」でした。
「情熱大陸」のエンディングにもなりましたが、中川さんはその一文を書き変えました。
「なるべく おこらないひとに なりたいんだけどなぁ」。
疑問を投げかけていただけの気持ちが、「怒ること」についていろんな人と話して、考えて、この一文にたどりついたのだと思います。
自分がそうなれるかどうか自信がなくて中川さんは「なるべく」と入れたのでしょうか。でも、それがかえって、「みんながそうなれたらいいな」という前向きなメッセージになっているようにも思えます。大人にとっても子どもにとっても「怒らない」ということは、とても難しい宿題だと思いますから。
番組放送後、「あの絵本はどうなったんですか?」という問い合わせをいただいたりしましたが、果たして覚えてくださっているでしょうか。
待っていてくださった方も、そうでもない方も、ぜひ手にとってご覧になってみてください。
そして「なるべく怒らない人になりたいんだけどなぁ」と思ってくださったらうれしいです。
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「ちびくろ・さんぼフェア」
締め切り間近!ラストチャンスです。お絵描きもまだまだ大募集!
どしどし送ってくださいね。
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★その1 「ちびくろ・さんぼ1,2,3」いずれかをお買い上げの方の中から
抽選で「さんぼ」と「とら」のぬいぐるみプレゼント!
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上記の3冊いずれか1冊お買い上げで豪華賞品が当たっちゃいます!
◆1等 ぬいぐるみ 3点セット
★ ちびくろ・さんぼぬいぐるみ
★ とら ぬいぐるみ
★ とら マスコット
(※写真の絵本3冊はつきません。)
◆2等
★ ちびくろ・さんぼ ぬいぐるみ
(全長約20cm)
◆3等
★ とら ぬいぐるみ
(全長約20cm)
「ちびくろ・さんぼ」ご購入の方はこちら >>>
「ちびくろ・さんぼ 2」ご購入の方はこちら >>>
「ちびくろ・さんぼ 3」ご購入の方はこちら >>>
※当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。
(期間終了後に抽選を行い、当選者あてに賞品を別送させていただきます。)
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★その2 「ちびくろ・さんぼ」お絵描き大募集!!
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「ちびくろ・さんぼ」のお話を聞きながら、自由にお絵描きをしてみませんか?
今回は、子どもたちの「絵」を募集します。どんな「さんぼ」が生まれるのでしょう。
瑞雲舎の井上社長からのメッセージです。
2005年4月「ちびくろ・さんぼ」を復刊した際、あるテレビ局が幼稚園を取材し、
そこの園児たちが読み聞かせの後、自由にお絵かきした絵が深く印象に残っています。子どもたちが自由な発想や創造力でたくさんの絵が寄せられることを期待しております。
(瑞雲舎 井上富雄)
大きさ、紙、画材は自由です。内容も自由です。
面白い作品は、絵本ナビサイト上で発表させていただきます。
また、瑞雲舎さんの方で、大賞作品(1名様)を選んでいただきます。
大賞作品には、こんなビッグなプレゼントがありますよ!
通常版の絵本そのままに、
驚く程大きいサイズで大迫力のビッグブック版。
おはなし会で、幼稚園、保育園で、喜ばれること間違いなしの、
魅力的なプレゼントですね。
●応募方法について
応募方法:「ちびくろ・さんぼ」を題材に描かれた「絵」を、下記までお送りください。
(作品はお返し出来ません。予めご了承ください。)
応募期限:2008年8月31日
応募先住所:〒108-0074
東京都港区高輪2-17-12 ニューシティレジデンス高輪302
瑞雲舎「絵本ナビ ちびくろ・さんぼ お絵描き」係
大賞作品発表:2008年9月下旬に、絵本ナビサイト上で発表いたします!
※お問い合わせは、こちらまでメールにてお願いします。
◇クレヨンハウスさんが、翻訳絵本の出版をスタートされました。
★絵本ナビ読者の皆さんに向けてクレヨンハウスさんより、メッセージを頂きました★
わたしたちクレヨンハウスは、
「とにかく子どもたちをよろこばせたい!」
と、本をつくってきました。
翻訳絵本をはじめたのも、気持ちは同じです。
英語圏の絵本が紹介されることが多いなか、
世界にはもっとおもしろい絵本がたくさんあるんじゃないか?
そんな本を探して日本の子どもたちに届けたい! と思い、旅に出た……というわけです。
そして、運命的な出会いだったのが、フランスの絵本「リゼッテ」シリーズ。
フランクフルトのブックフェアで、はじめて見た瞬間、ひとめぼれでした。
ええっ、くつしたがぼうしに!? なめくじのぬいぐるみって~??
子どもたちの毎日そのもののような、ハッピーなユーモアに、翻訳してくれたふしみみさをさんとも、
「おかしいですね、かわいいですね」と、くすくす笑ってばかりでした。
久しぶりに、こころからほがらかな絵本だと思います。ようやくみなさんにご紹介できるのが、
とてもうれしいです。
これからも、子どもたちが何度も「読んで!」と持ってきてくれるような絵本を探し
てきますので、期待してください!
※編集を担当された吉原さんより頂きました。
文中にも出てきます、「リゼッテ」シリーズが、翻訳絵本の第1弾。
フランスからやってきたこの2冊です!
ひろった靴下の、もう片一方を探しているだけなのに、
なぜか、とっても愛らしさと切なさが漂っていて、まるで短編映画を見ているよう。
だって、リゼッテのスカーフの巻き方や、必死になっている様子、途方に暮れている姿など、
どこをとっても「くすっ。」と笑ってしまう可愛さに溢れているんですもの。
お母さんも、何だか色気があって、でも優しくて魅力的。
「かわいくってちょっとヘン!」っていう紹介文がぴったりくる、
フランス生まれのチャーミングな絵本です。小さな元気をもらえるよ!
発売を記念して、初回限定数に素敵なおまけ(オリジナルメモ帳)が付いてきます!
↑「リゼッテとみどりのくつしたかたいっぽう」にはこんなメモ帳!
↑「リゼッテとかたつむりのうばぐるま」にはこんなメモ帳が。
「リゼッテとみどりのくつしたかたいっぽう」メモ帳付きを購入の方はこちら>>>
「リゼッテとかたつむりのうばぐるま」メモ帳付きを購入の方はこちら>>>
※メモ帳付きは、なくなり次第終了とさせて頂きます。
いつも「絵本ナビShop」および「絵本クラブ」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
たくさんのお客様にご利用いただきました「ギフトラッピング無料キャンペーン」を、2008年6月30日をもちまして終了させていただきます。
2008年7月1日ご注文分からは、絵本ナビのロゴを大きくプリントした、オリジナルデザインのギフト袋にてお届けいたします。1配送につき、ラッピング代金300円(税込)にて、承ります。
■絵本ナビShopでの開始予定
2008年7月1日注文分より、随時受付
■絵本クラブでの開始予定
2008年6月24日(7月配本分)より、随時受付
新ラッピングの内容やご指定方法など、詳しくはコチラをご覧ください。
「絵本ナビShop」および「絵本クラブ」は、今まで以上にお客様にご満足いただけるよう、よりいっそうのサービス向上に努めさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
両手を広げて、ちょっとすかした感じの男の子が立っているだけの
この表紙、発する言葉は「だから?」。一体どんなお話なのでしょうか?
まずは、この絵本を翻訳された
田中尚人さんのコメントからご紹介しましょう!
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なんでも「いや!」なテリブルツーの2、3歳児、
なんでも「なぜ? どうして?」の4、5歳児、
そして、なにをしてあげても「で? だからなんなの?」とシラケた6歳児。
子どもってのは、大人を困らせる天才だ。
「ホトケの顔も三度まで」そんなひねくれ坊主に見舞うきつ〜い1冊がこれ。
絶対にありえない結末に、きっと子どもは腰を抜かすはず。
絵本の常識をくつがえす衝撃のナンセンス絵本。
なにをしてあげても喜ばない気むずかしい男の子。
お父さんだったら、さて、どうする?
2005年度イギリスBCCBブルーリボン絵本賞受賞
・・・だから?
*********************************************************
パパ‘s絵本プロジェクトのメンバーであり、
ファザーリング・ジャパンの幹事でもある田中パパ。
我が絵本ナビスタッフとも、とっても仲良くさせて頂いておりますが、
今回は、『翻訳者たなかなおと』としてお話をたっぷりお伺いしました!
田中さんの本業は、絵本編集者(現在グランまま社編集長)。
数々の絵本の制作・編集・出版に関われてきた田中さんが、
今回、初めて翻訳者として本格デビュー!
それは、やっぱりこの絵本との強い縁も関係があるようで・・・。
◆原書「whatever」との出会いは・・・?
パパ‘sのおはなし会で、田中さんが
(決して役には立たないナンセンス絵本)
「うんちっち」を嬉々として読んでいるその姿を見て、
「この人は、『whatever』の世界にセンスが近いに違いない!」
ぴんと来たらしい、セーラー出版の方。
(ちなみに『うんちっち』は田中さんのオハコなのだ。)
田中さんなら、ちょっとヒトクセある、やっかいなこのお話を、さらっと訳してくれるだろう・・・。
絶対的な確信のもとに依頼が来たそうです。
そして・・・
その思惑通り、田中さんが読んでみると、
「これは面白い!」
思わず大笑い。
このくだらなさが実にいい、大喜びしながら翻訳も快諾されたそうですよ。
◆改めて、この絵本のどんな部分に魅力を感じたのでしょうか?
「最初から読み進めていくと、このお話は、実にまっとうなプロットに従って
進んでいく・・・が、油断していると、最後に足払いをくらう!
こういった、イギリス人的ないたずら心を基につくられている
この絵本にとても共鳴できるんだよね。 」
絵本作りに忠実に見せかけて、実は真っ向から立ち向かっている姿勢そのものも、
田中さん御自身の絵本への取り組み方と重なる部分があり、
共感できるそうですよ。
◆ビリーってどんな子?
一見、煮ても焼いても食えないような表情をしている男の子、ビリー。
どんな男の子なんでしょう?
無感動なのか、感情表現が下手なのか・・・。
「どっちでもない、どこにでもいる普通の男の子だよね。
子どもって、小さい頃の『いやだ、いやだ』の時期が終わると、
今度はちょっとすましてポーズをとったりする子っているでしょ?
あまのじゃくっていうのかな。何でも素直に言わない。」
いるいる、たくさんいるよね、そんな子。
「だからって、この子が悪い子って訳じゃない。
素直な子どもがいい子とは限らないって事もあるしね。
子どもらしい子どもだと思うよ。でも。いつもいつもこんな態度とられていちゃ、
我々大人は、我慢できなくなる事だってある訳で・・・。」
「あるー!」
(↑子育て真っ最中のパパ、ママの声)
◆では、ビリーのパパはどんな人?
ビリーを喜ばせようと、あの手この手で辛抱強くビリーに付き合うパパ。
例えビリーに「だから?」なんて、すかされようとも。
本当に優しい優しいパパなの・・・かな?
そう思って、ビリーも読んでいる方も油断していると。・・・衝撃の結末!!
「ここからが、このお話の面白いところ。」
と田中さん。
「仏の顔も三度まで、て言うでしょ?
たいがいにいしろよ!大人だっていつまでもいい大人でいる訳じゃないよ。」
これならどうだ!と来るのです。
ちょっとびっくり。たいがいにひねくれた子だって、びっくりする。
そして、急に現実に直面して素直になっちゃったりするんだけど・・・もう遅い?
絵本なんだから、たまにはこの位のパンチを子どもにあびせるのもいいのかも?
これは効きそうですねー。
そう。実はこの絵本。
子どもが子どもなら、大人も大人なんです(笑)。
是非パパに、笑いとばして楽しんで欲しいところです。
↑あれ?どこかで見たような・・・。
そうなんです。ちょうどよしながこうたくさんも絵本ナビにいらしてたので、
「だから?」を読んでもらってます。この後、こうたくさん。
ひっくり返って笑ってましたよ!!
(こうたくさんの来訪ブログも近いうちにアップしますね。)
◆子どもには、このお話をどう受け止めてほしい?
問題の最後の終わり方。
「えっ!どうして?」
「これで終わってどうするの?」
こども心にも「良い」のか「悪い」のか判断がつかない。
つじつまが合ってない。ちょっと気持ち悪いよね。
でも、そこが狙い?
「予定調和的なお話が多い、最近の絵本。
でも、記憶に残るお話、心にひっかかるお話ってどのくらいあるのかな?」
確かに、理不尽だったり、理解しきれない部分っていうのは、
大人になっても覚えていたりするもの。
更に、常識をくつがえす、理解の範囲を超える、
こんな場面に出会う事で「苦々しい」って感じを味わって欲しいと田中さん。
(ここでちょっとにやり。)
◆親だって一緒?
子ども以上にちょっとびっくりしちゃうママだっているんじゃないかしら。
子どもと同じ「苦々しい」顔をしていたりして。
「どんな捉え方をするのかは、勿論自由だけど、
ママだって色々考えずにすかっと楽しんで欲しいよね。
この本を読んだ後にどう解説するのか、どう誘導するのか・・・なんて考えなくていいと思うんだ。」
さぁ、読むか読まないか。
これは、田中さんからの挑戦状!?
◆翻訳作業で楽しかったのは・・・。
タイトルの「whatever」。
これをどう訳すか。これが今回の翻訳作業の醍醐味だったそうです。
子ども達の世界を表わすことば「whatever」。
例えば最近流行りの
「そんなの関係ねー!」
子ども達の間の世界では、いつの時代だってこんな風味な
気分を代弁しちゃうような言葉が頻繁に飛び交っているのです。
この翻訳が決まってから、
田中さんが、子ども達の会話に耳を傾けるていると・・・。
多く使われる話ことばとして聞こえてくるのが、
「あ、そ。」
「それで?」
「それがどうしたの?」
「ふーん。」
「で?」
などなどなど・・・。
別に覚めている子が使っている訳じゃなく、
普通に使っている。(何となく解りますよね。)
数多い候補の中から、このニュアンスを表わす言葉は?
「whatever」=「だから?」
あ、もう、うちの息子が真似してる・・・。
◆田中さんご自身の絵本作りへの思い。
この、一筋縄ではいかない、いたずら心満載な作者ウィリアム・ビー。
田中さんが彼に共感する部分は、上記でも述べている通り、
「絵本の常識をくつがえす作品をつくりたい。」
という姿勢。
そんな田中さんが手掛けた、思いが込められている作品、
例えばこちら>>>
「子ども心を忘れてしまったら。この本に書き留められたものを読む事で、
タイムマシンの様にかつて子どもだった時代に戻れる瞬間があるはず。」
こちらのシリーズも>>>
「子どもが感じる言葉にならない五感を、絵本にしてみたい。
子どもの方が、心と結びついて感じている五感もあるのではないか。」
◆最後に、この絵本を読む時のポイントってありますか?
「この絵本は、だらだら読まないで、スピーディーに軽やかに読んでほしいな。
じっくり読むから味わえる・・・とは限りませんよ!」
ここでも田中さんらしいコメント。
早速我が家でも、息子(4歳)に読み聞かせ。
さすがに最後の場面の進むにつれ、口がぽかーん。
読み終わった後は、びびってる顔(でも嬉しそう)をしながら、
「まだ、続きがあるんじゃないの?」
なんて言うから、
すました顔で
「ないよ。」きっぱり。
なかなかの成功例じゃないかしら、田中さん!
田中パパ「だから?」
さぁ、6月下旬発売予定のこの絵本。
絵本ナビでは、田中さんの「名入れサイン本」の予約を開始します!
田中さんがご希望のお宛名入りでサインを書いてくれますよ。
この機会に是非、おすすめします。
↓↓
◆◇おまけ◇◆
先日、パパ‘s絵本プロジェクト主催で行われた
「絵本ジャンボリー」にて、
田中さん自ら、まだ発売前で出来上がってもいない
手作り「だから?」を持参して
青空の下、みんなの前で読んでくれました!!
↑「だから?」
田中さんが読み始めると、どんなお話か想像出来ないみんなは、
興味津々で見つめているので、静かになりました。
↑お話はどんどん展開して行きます!
「どうなっていくの?」
最後の場面では、子ども達は「ぽかーん。」
お母さん達は、「えーーー!!」
いい反応でした(笑)。
あっという間に退場する田中さん。
みんなの間に「苦々しさ」は残ったかな?
この絵本の作者トニーは、今も子どもの心を持ったまま。だから、子どもと同じ位に想像力が衰える事を知らない様です。
だって、このお話の主人公のジミーは、大好きなお菓子「ムーンパイ」をもらう為に
地球を飛び出してしまうのですから!
翻訳は、前作「ぼくとおとうさんのテッド」と同じく安藤哲也氏。
トニーと同じく遊び心を忘れない大人として、幅広く活動を行っている彼だからこそ、
感覚はぴったりと合うようです。
ストーリーは、自由奔放なトニーの世界が炸裂!
ママからごはんの前に「ムーンパイ」を食べようとして怒られたジミー。
「でも、どうしても食べたい!」
さて、ジミーは誰からムーンパイを手に入れる?
グーグーグルグル呻っているかいじゅう「グリグラ」とは?
このおかしな宇宙人達は一体・・・?
そして、ジミーの遂げた偉業とは何なのでしょう!じっくり読んで堪能して下さい。
それにしても、このお話のもう一つの主人公「ムーンパイ」とはどんなお菓子?
「”ムーンパイ“は1917年にアメリカ合衆国テネシー州で生まれた、2枚のクッキーのあいだにマシュマロをはさみチョコレートコーティングしたお菓子。ユニークな名前の由来は、このお菓子の大きさを決めるとき、ある人に、どのくらいの大きさがよいかたずねると、夜空にうかぶ月を丸く手でかこみ『このくらいの大きさ』といったことから、といわれている。」(絵本の帯文より引用)
確かに親の目から見てしまうと、食事の前にこんなお菓子なんて!と。
でも、ちょっと思い出しみて。そう言えば日本にも同じ様な形の「~パイ」というお菓子が・・・。
小さい時、とてつもなく美味しそうに見えていた事ってない?
その頃だったらやっぱりジミーと同じ位頑張っちゃうんじゃないかしら。
とにかく、子どもの世界は広くて深くて豊かなのだ!羨ましい・・・。
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やっぱり小さい頃「~パイ」を食べ過ぎて怒られた記憶のある安藤パパ。
「果たして、大人がここまで夢見るような食べ物ってあるのかなぁ?」
翻訳作業は、声に出して子ども達に読み聞かせながら、
テンポよくお話が聞ける事を念頭に置きながら、進めていったそうです。
そして、発売日である6月15日(日)「父の日」。
ちょうど行われていた「パパ’s絵本プロジェクト」主催の
「絵本ジャンボリー」(@北軽井沢)にて、
安藤パパが自らこの「ジミーのムーンパイ・アドベンチャー」を
読んでくれました!!(初めてです。)
パパ‘sのお話会では、
どんな絵本でも自由奔放「ロック」な読み方をするスタイルが、
御馴染みの安藤パパ。
さてさて、このお話はどんな読み方をするのでしょう?
動画はこちらから!!↓↓
こんな様子でした。↓↓
この解放感!外で絵本を読む、なかなか気持ちがいいのです。
「ぼくとおとうさんのテッド」と「ジミーのムーンパイ・アドベンチャー」
の2本立て。「『ぼくとおとうさん・・・』は、是非お父さんが家でじっくり読んでほしい。」
と、今回は大人の為にあらすじだけ。
「ジミーのムーンパイ・アドベンチャー」は冒険アドベンチャー絵本。
ドキドキやワクワクを大切にするべく、テンポ良く読み進めていく安藤パパ。
ぱっとめくって、宇宙の場面が広がるのも効果的!
これは???
わかる方もいるでしょうか。宇宙人の言葉をしゃべっているのです。
「ワレワレ ハ ウチュウジン ダ」
誰もが一回はやった事あるのでは?あれですね。
あっという間に、子どもの目が釘付けに!
安藤宇宙人がしゃべる度に笑い転げる子も。
更に、アングルをぐぐっと引くと・・・。
思い思いの格好でお話を聞く子ども達。
安藤パパの存在感の大きさと、
男の人特有の声の大きさで、
こんなに人が大きく広がっていても、集中できる?
いい雰囲気です。
終わってから、最後に息子がぽつり。
「あの、うちゅうじんがこうやって(安藤パパの真似)しゃべるお話が面白かった。」
とにもかくにも、息子の頭の中には強烈に印象に残ったようですよ!
皆さんも、この絵本を遊び心たっぷりに読んでみてはいかがでしょう。
「父の日」に発売されたこの絵本。
前回「ぼくとおとうさんのテッド」でも大評判だった
安藤パパの名入れサイン本を今回も大募集です!!
オランダの絵本作家ヒッテ・スペーさんとハルメン・ファン・ストラーテンさんが、
新刊絵本の発売を記念して来日されました。
仲良しのお二人と、お二人の絵本を翻訳されている野坂悦子さんもご一緒に
イベントが行われたそうです。
お二人ともオランダでは、子ども達との交流をとっても大事にされているそうで、
どんな様子で行われたのか、興味が湧きますね。
◆お二人の絵本です。
その様子を、出版社ジェネオンエンタテイメントの方が教えてくださいました!
写真と共にご覧ください。
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去る5月17日(土)・18日(日)に、
オランダ絵本作家さんのイベントを行いました。
お二人とも、オランダを代表する、人気絵本作家さんです。
そして、このお二人の作品をやさしい日本語で翻訳してくださった、
野坂悦子さんの3名でイベントは進められました。
小さなお子様向けや、絵本作家さんを目指す方、大人向けなど、
色々な切り口での今回のイベントは、どこも盛況で、熱気にあふれた楽しいものになりました。
子供たちが、読み聞かせに聞き入っている姿や、
作家さんと一緒にお絵かきをしている姿、嬉しそうにサインをもらう姿などを見ては、
スタッフとしては絵本出版の醍醐味を味わうひと時でした。
次回もこのようなイベントがある際には、ぜひ皆様ご参加くださいね。
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翻訳者野坂悦子さんによる、新刊絵本の読み聞かせが行われました。
ハルメンさん、お絵かきタイム!
みんなも一緒にお絵かきタイム。
ヒッテさんも一緒に絵を描きます。
オランダ語の数の数え方って?
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ハルメンさんは、自国オランダでも学校訪問やイベントを沢山行われているそうですよ。
そちらでの様子もお写真を見せて頂きました。
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子ども達も嬉しそう!
あ!消防士のエルフだ。今度の新刊の主人公ですね。
風木一人さんがあそびにきてくださった記事は移行いたしました。
とある めだたぬ ちいさなまちの
とりわけ めだたぬ いっけんや・・・
本当に普通の家。でも、一歩中に入ると全然普通じゃない!
日が沈む頃になると、家で、お庭で、結構激しい修行が繰り返され・・・。
「忍者」の日常と、現代人の日常(お父さんはサラリーマン!?)の、
この見事な溶け込み具合がとっても印象的なのがこちらの絵本。
↑背景はビルなんです!
この作品の絵を描かれているのは「山本孝」さん。
一度目にしたら、忘れられないような強さを持つ山本さんの絵。
イソザキもとっても気になっていた作家さんです。
そんな山本孝さんに、今回、お話をお伺いする事が出来ました!
↑ブロンズ新社さんの素敵なオフィスにて・・・。
◆早速ですが、今回「忍者の絵本」を創られる事になったきっかけは?
「今作の設定を考えたのは、作者の市川さんです。
初めて組ませてもらう、という事もあったので、市川さんのイメージを明確に把握する為に、色々と具体的な指示を出してもらいながら、絵本を創っていく上でたくさんのやりとりをしました。」
山本さんはそこからイメージを膨らませて絵本をつくっていく、という作業だそうです。
色々な作家さんと組まれて、絵本を創られる事も多い山本さん。
伝えられたイメージから出発する、という作業も結構好きな方だそうです。
そうおっしゃる山本さんでしたが、
修行の様子、家の中、運動会会場・・・気になる場面がたくさん!
ちょっとずつ聞いてみましたよ。
↑これは貴重なスケッチブックです!キャラクターを決めていく
最初の段階のラフスケッチがたくさん。・・・何だか楽しそう。
◆昔も今も、変わらず人気なのが「忍者遊び」。
何と言っても、最初からドキドキしてしまうのは、
普通の家のドア、そこを開けた途端に
突然繰り広げられる忍術の世界。
廊下を駆け抜けたり、床から刀が出てきたり、手裏剣の練習をしていたり、
居間の天井に張り付いていたり・・・!?
こんなギャップにとても弱いのが子ども達。真剣な顔つきで見入ってしまう様子が簡単に想像できます。本当にあるのかも・・・というリアルな感じがたまらないのかもしれません。
「忍者遊びというと、小学生の頃、実際に僕もやっていました。
設定があって、掟があったり、走ったり、隠れたり。バリエーションがあったり。
とても総合的な遊びなんですよね。
それに忍者って、みんな知っているしね。(ハットリくんの功績?)
だから、とても描きやすかったし、面白かった。」
確かに、その辺の小さな子に「忍者ごっこだー!」と言いながら手裏剣の真似なんかすると、あっという間にみんな夢中で遊び出すなぁ。
ところで、具体的な道具や忍術なんかも登場しますが・・・
「特に、具体的に現地取材などはしませんでした。深みにはまりそうでしたし(笑)。」
設定が現代、と言う事もあって、割と自由なイメージで描かれたそうです。
でも違和感などは全く感じない、これが忍者の世界の懐の深さ?
↑「たっだいまー!」学校から帰ってくるとあっとういう間に早変わり。
例えば、沢山登場する忍者達がそれぞれ着ている衣装。
設定が活かされています。よーく見ると、かなり遊んでますよ。
「一見オーソドックスなつばめ丸の服も、つばめを意識したつくりになっています。」
そうなってくると、からす丸は?こかも丸は?・・・いい味を出しています。
更に、ライバルのがまのしんはカモフラージュ。他にもよく見るとリストバンドをしていたり、マスクがちょっと変?だったり。まだまだ他にも。見つけてみて下さいね。
◆細かいものを描くのは好き!?
もう一つびっくりするのが、富士山の火口が登場する場面!
夜の空にそびえ立つ富士山。それが、上から見るとこんな事になっているなんて。
こんな画面を思いつくのは・・・何か経験が?
「いつも故郷の松山に帰る時、飛行機の上から富士山の火口が見えるんです。
写真を撮っておいたのが役に立ちましたね・・・。」
実際に見られた事があるんですね!
それにしても、その中で行われている運動会の様子。かなり細かいです。
「細々したものを描くのは、好きなんです。」
そうはおっしゃるけど、本当にすごい人の数なんです。
「逆に、少し顔が見える位に近づいた時の場面の方が苦労しました。
顔の表情がわかるので、同じ顔が並ぶのはちょっと・・・と思っていると、
全部の表情を考え出しちゃって。」
そ、それは・・・
「だから、色々の人の顔をモデルにしたりしました。知り合いだったり。
例えばこの人は○△さん・・・。」
だそうです。特に、山本さんの周辺の方々は要チェック、ですね。
これまでで、一番沢山人を描いた!という感想も聞き逃せません。
◆一番苦労されたのは、どんなところですか?
実際に絵本を創っていく上で、一番苦労された点は「アングル」だそうです。
例えば、庭で手裏剣の練習をするシーンだったり、
火口から飛び降りる時のシーンだったり。
↑色々なアングルから、何通りものパターンが描かれていたり、家の間取りが描かれていたり。すごい!!
場面によって、より効果的なのはどのアングルか・・・
カメラで撮る時の様に、目線を意識しながら考えて決めていくそうです。
更に、読み聞かせをする時の事もとても意識されていて、ページをめくった時に驚くように、見開きのページを多くしたり、テンポの良い展開を考えたり。削られたシーンも結構あったそう。
◆絵本作家を目指すきっかけとなったのは・・・?
このお話からも、山本さんの絵本づくりへのこだわりが伝わってきます。
それもそのはず。「絵本作家になりたい!」と思われたのが高校二年生。
きっかけは、図書館で見かけた長谷川集平さんの絵本『はせがわくんきらいや』。
「こんなすごい絵本があるんだ!」と感銘。と、その横に長谷川さんの描かれている
「絵本づくりトレーニング」という本が置いてあって・・・。
こんな、うまいこといく展開ってあるんですねぇ。
その後、絵本学科のある専門学校を卒業され、「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」へ通われて。
しっかりと、絵本づくりの基礎を学んでらっしゃるのですね。
今、好きな絵本のお仕事をされて、更に憧れの作家さんと組まれて絵本を創られたり。
その喜びの大きさは、計り知れないものがあるのでしょうね。
◆夜を描かせたらスゴイ人!
山本さんの作品を見ると、画面の隅々まできっちり描かれていて、本当に見応えがあります。
さぞかし一つの作品に、かなり時間がかかるのでは・・・ぎりぎりに上がってくることも?
「でも、出来上がりが予想以上に力強いので、文句なんて言えません!」
と、この絵本を担当された編集の山縣さん。
すかさず山本さんが
「力の抜き方がわからないんですよ(笑)。」
と言えば、
「今回のこの本は、より熱くあって欲しいというイメージがあったので。
実際、本当に期待以上の熱気で・・・。」
こんなやりとりも、とっても興味深く、面白いですよね。
更に山本さんに依頼された理由として、山縣さんは
「例えば『ちゃんがら町』など山本さんは、夜を描かせたらスゴイ人、と思っていたんです。」
山本さんの描く、夜の暗闇は、生々しく、色気がある。
なるほど、そう言われてみると『にんじゃつばめ丸』の夜の場面も、不思議な迫力を感じます。
印刷の仕上がりも、山本さん大満足の出来だったそうですよ。ご覧になってみてくださいね。
その『ちゃんがら町』の世界もとっても独特。
読んでみて、共通して浮かび上がってくるテーマが「遊び」。
山本さんご自身、そうやってよく遊んだ記憶があるのでは・・・と伺うと、
まさにその通りで、故郷の松山では、『ちゃんがら町』で描いている世界と
そんなに変わらなかったそうです。
放課後に、ひたすら遊んだ子ども達だけの時間。
その実際の記憶に、幻想を交えてつくりあげた世界がこの絵本なのだそうです。
その、自分にとって居心地のいい場所に、子ども達を遊ばせる感覚で描き上げる。
登場する子達も、生き生きしているはずですね。
この感覚は、『にんじゃつばめ丸』にも共通しています。
読んでいる子ども達の心を掴んでしまうのも、納得です。
そして、こうもおっしゃっています。
「是非、お父さん達にも読んでほしいです。この頃の遊びの事なら父さん良く知ってるぞ!
とか、忍者のことならまかせとけ!とか。得意気に読んでほしいです。」
同世代の人たちが読んで、ピンとくるポイントが沢山あるんです。
試しにパパに見せてあげてみて下さいね。
「むしプロ」という絵本も、昭和のにおいがぷんぷんしますよ。こちらもオススメ!
お会いした山本さんは、とっても親しみやすい雰囲気の方で、
気さくに絵本について、色々語って下さいました。
お話を伺いながら、絵本を、こよなく愛しているのが伝わってきます。
(奥様も絵本作家さんだそうですよ!)
この貴重な機会に、直筆サインを描いてもらいました。
↑すずしい顔をしているつばめ丸に比べて、
がまのしんの方が描き慣れている顔立ちだそうです。すらすら。
↑遠目の写真だけね。(届いてからのお楽しみ。)
その優しさに調子にのって、こんな写真までお願いしちゃいました。
↑(私達、ちょっとはしゃぎすぎてます。)感謝。
それでは、おまちかねのサイン本はこちらから!数量限定です、お早めに・・・。
更に最新作こちら>>>
山本さんは妖怪が大好物、だそうですよ。お楽しみに。
帰り際には、カナガキ事務局長もすっかり山本さんの大ファンに!
これからも、目が離せなくなってしまいましたね。
現在公開中の話題の映画「スパイダーウィックの謎」。
その原作となる本「スパイダーウィック家の謎」のイラストを手がけている
トニー・ディテルリッジの創作絵本がこちら↓
「ぼくとおとうさんのテッド」
この巨大なピンクの生き物はいったい?
小さな子ども達のパパでもあるトニー。
遊び心たっぷりのアイデアはいくらでも出てくるようで・・・。
凝ってます!トニーのHPはこちら>>>
その翻訳作業として白羽の矢がたったのが、同じく3人目の子どもも生まれて
パパスイッチが全開に入っている状態の安藤哲也氏。
安藤さんのプロフィールはこちら>>>
安藤さんの主な活動がNPO法人ファザーリングジャパンの運営。
ファザーリングジャパン(FJ)とは?>>>
出来上がってきた作品の内容を読めば、依頼の理由もなるほど!と頷いてしまいます。
安藤さんは絵本ナビの取締役でもあり、パパ‘sプロジェクトのメンバーでもあります。
せっかくのこの機会!同じく子育て真っ最中のパパであり、パパ‘sのメンバーでもある絵本ナビ代表金柿も交えてたっぷりとお話をしてもらいました。
↑ 予想通り、絵本の話から、色々と話は膨らんでいき・・・。
◆まずは・・・このお話(絵本の翻訳)が来たときどう思われましたか?
安藤「最初は、翻訳というのは・・・と言う事で迷っていたんだけど、とりあえず読んでから決めよう、と。」
読んでみて、「子どもと向き合う事によって、父親が失ったものを呼び起こさせてくれる」というテーマに共感。安藤さんが、現在活動しているFJと同じメッセージを感じたので引き受けた、とのこと。
実際に始めてみると、子どもや父親など色々な立場から言葉を考えたり、実際に自分の子ども達に読んでみながら変えていったり・・・とても意義のある作業だったそうです。
金柿「安藤さんの言葉としてすんなり頭に入ってきて読みやすい、と言う事と、テルノちゃんとヒロシくんの二人の子ども達の意見を聞きながら、一緒に参加して作り上げたと言う点が、とても面白いなぁ、というのが最初の印象ですね。」
確かに、何だか安藤さんの声が聞こえてきそうなんですよね・・・。
更に、このお話のポイントとして、「仕事が忙しいお父さんが、子どもと向きあっていないために失ってしまったもの。それを、テッドが代わりにコーディネートしてくれている。」という事をお二人共通して感じ取った様です。
◆お父さんが思いを馳せる絵本。
もし父親という立場の人だったら、この絵本を読みながら
「そういえば、自分は子どもの頃ネッドと遊んでいたかな。」
「うちの子にはテッドという存在はいるのかな。」
「今の自分の顔って、こんな顔ってもしかしてこんな感じなのかな・・・。」
ふつふつと色々な事を考えちゃって「うーん。」なんて、唸ってしまいそう。
金柿「これは、お父さんが思いを馳せる絵本だね。」
安藤「そうだね。そして、子ども達は、そんな風に絵本を読んでいる大人を見ているんだよね。」
どうやらこの絵本、テッドが「ぼく」を通して揺さぶりをかけているのは子ども達の心だけではない様で・・・。
◆テッドの存在
このお話に登場するテッドというのは、いわゆる空想の中でのともだち。大人はどう捉えたらいいのでしょう。
磯崎「例えば、わが子が同じようにテッドの様な存在を主張してきたら、どんな対応をしますか?」
金柿「やっぱり、自分の娘にも色々と不思議な話をしているなぁ・・・と思った時期があったけど、そういうというのは時期があるものなんだ、として一緒に付き合っていましたね。」
安藤「ぼくだったら『大事にしろよ』とか、『パパにもいたなぁ』と言いながら会話を膨らませていくかな。」
絵本でもテッドのような存在というのは、度々登場してきますね。
毎日を必死で生きている子ども達にとって、空想の世界、空想の友だち、そういった「自分を守ってくれる」ものを存在させる事で、心のバランスを取っている・・・という側面もあるのかもしれませんね。
子ども達にとってはとても大きな存在なのでしょう。
(それにしてもこの大きなお腹の持ち主。なぜか落ち着くんです。日本でも人気のあるキャラクターをちょっと思い起こさせますね。この感覚は万国共通?)
◆「やんちゃスピリット」を持て!
そのちょっと過激なともだちテッドのやること。
ママ目線で見ると、悲鳴を上げちゃいそうなシーンがたくさん!
壁に大きな落書きをしたり、部屋をプールに(!?)しちゃったり。でも・・・。
安藤「うちの子ども達が一番喜んだのは、プールのシーン。
僕から見ると、大きな揺さぶりをかけていて、とっても爽快な気分で見られるね。
人の考えつかないような、壮大ないたずらを考えろ!世間を驚かすくらいの事を考えろ!
そういう『やんちゃスピリット』を伝えたい、という気持ちは父親として僕の中には常にあるから。」
私(磯崎)から見ると、テッドの提案する事で、「ぼく」が怒られるだろうなあ・・・と思うと、
ちょっと切なくなってしまったりもしたのですが、そこが、「先読みして守ろうとする」ママ目線と、
遊び方一つをとっても「どんどん常識を打ち破れ!」というパパならではの発想との違いなのかもしれませんね。
気がつくと、ママまでテッドに揺さぶられています。
◆「遊び」のちから
この「とことん遊ぶ」という経験、今の子達は出来ているのでしょうか?
安藤「うちの息子は、毎日ランドセルを放り出して遊びに行くよ。
でも、忙しい子が多くてなかなか群れとしての遊び方が出来なくなっている事も現実だね。」
金柿「ちょっと前まで、原っぱ遊びと言って、何もないところでみんなで遊びを考え出していくのは普通だったんだよね。それってとてもクリエイティブな作業。ちょっとづつ変化させていったりね。」
安藤「そうやって自分達の考えた遊びだと、例えば判断する事の繰り返しだったり、またこの遊びを流行らせよう!と考えたり。遊びの中から教えられるものって実はとても大きい。そしてそれは決して忘れない、仕事にだって生かされていく力になっている。」
その話を聞いて思い出すのは、「ぼく」のお父さんがかつて友だちだったネッドを思い出す瞬間のシーン。
あんなにも急に変われるものかな・・・とも思ったのですが、
結局お父さんには「遊んだ」記憶というものがしっかり存在していたからなんですね。
この「記憶」があるか、ないかというのも、大きなポイントの様な気がします。
◆仕事と育児は同じじゃない。
では、ネッドを思い出す前のお父さん。(結構日本的な雰囲気ですよね。)
何であんな表情しちゃうの?
安藤「きっと、真面目なお父さんほど、子育てに対しても
ビジネスと同じ感覚になっているんじゃないかな。」
おもちゃをあんなに買ってあげたのに・・・
色々連れて行ってあげたのに・・・
成果が上がらないと失敗?
安藤「子どもの様子を見ながら遊んでないんだよ。でも、そんなの絶対つまらない!会社と同じモードは通じないんだよね。」
子育てなんて、笑ってやらないとちっとも楽しくない。
子どもに「お父さん、いつもつまなそう。」なんて言われて嬉しい?
最後のページのお父さんの表情を見れば一目瞭然。ぼくとそっくりな顔をしているんだって、気がつくんだもの。
金柿「自分でも経験があるからわかるんだけど、子どもの様子をよく観察している時期というのはあって、
でも、ある程度経つと安心してまた仕事に集中してしまう自分がいたり。でも、はっと気がついてまた目が子どもに向かったり・・・。そうやって、仕事モードと育児モードを揺れ動いているようなお父さんは結構多いのかも。この絵本は、そんな揺れ動くパパスイッチを呼び戻すきっかけにもなると思う。」
安藤「『きみのお父さんは、いつからあんなに、つまらないやつになったんだい?』なんてセリフにどきっとした人、今日からでも、『遊びごころ』というものを思い出してみては?」
◆最後にこの絵本を担当された編集者の方よりこんな素敵なコメントを頂きました。◆
「安藤さんに翻訳を依頼してよかった、と一番思うことは、安藤さんのお子さん(テルノちゃん、ヒロシくん)に、実際に読んで、その場で子ども達から返ってきた反応を、日本語の文章に活かして頂いたと言う事です。」
例えば、壁に落書きをしてしまうシーン。
原書にはなかったけど、壁に落書きをする前に「『ぼく』の同意がないよね」と言う事で、
「オーケー、かべにしよう!」という一文が加えられたり、
その落書きの字を英語のまま活かそう、と決めたのも安藤さん。
「このページを開いたとき、『これは何て読むと思う?』と問いかける楽しみがなくなってしまう。それに、このアルファベットを自分で読み、意味を理解できるようになった時、2度楽しめるよね。その時に『あの時は読めなかったのに今意味も分かる!』と、自分の成長も感じることができる。」
何気ない事ばかりだけど、オトナではなかなか気づかないところばかり。コドモの目を考えて訳されている、と感じられるのです。
こんな会話がどんどん広がっていく絵本、
「ぼくとおとうさんのテッド」
絵本ナビでは、発売を記念して、
安藤パパの名入れサイン本を予約販売します!
6月にはやっぱりトニーの絵本でもう1冊。
「ジミーのムーンパイ・アドベンチャー」を発売します。
こちらもお楽しみに・・・。
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
先日より、絵本ナビに感想を投稿するフォームに、
「何歳のお子さんに読んだ感想ですか」
という項目を追加し、選んでいただくようにしています。
この項目について、補足説明します。
絵本ナビでは、現在新しいコーナーページの開発を進めていまして、
この項目は、そのコーナーの準備のための項目です。
題して、『絵本ナビ セグメントページ(仮称)』
絵本ナビでは、年齢別オススメ絵本の特集ページ以外は、
子どもの年齢に関わらずたくさんの情報を掲載してきました。
情報が盛りだくさんで豊富な一方、たとえば5歳のお子さんを持つママからすると、
「自分の子どもに読む絵本を探しに来ているのだから、同じ歳くらいの子を持つママがどんな絵本を
読んであげていて、どんな感想だったのか知りたい。」
といったニーズがあると思います。
(僕も今7歳の娘がいますが、そのくらいの子たちがどんな絵本・児童書を読んでいて、
どんな感想なのか、同じ歳くらいの子たちで人気の本は何なのか、凝縮した情報が
知りたいと思っています)
以前もそんな「年齢別コーナー」を検討したことがあるのですが、
事務局側で絵本を年齢別に分類していくことはデメリットもあり、
実現されなかったのです。
また、メンバー情報として登録されているお子さんの年齢を使って分類を試みたことも
あるのですが、最新の年齢に更新されていなかったり、複数のお子さんのどの子に読んだ
感想なのかがわからないという難点がありました。
「それなら、感想を投稿してもらうときに、『何歳の子に読んだ感想なのか』を選んでもらって、
それを元に年齢別コーナーを作ってみてはどうだろうか。」
というのが、今回の新コーナーの企画です。
「その本が何歳の子にオススメか」、ということではなく、
「5歳の子に読んだら、どうだったか」という、リアルな生の声が知りたいのです。
たとえば同い歳のお友達の子のママから、その子と読んだ絵本の感想を聞く、
といったシーンを思い浮かべてもらうとわかりやすいかと思います。
「この絵本は○歳くらいの子におすすめだと思う」という感想よりも、
「うちの子の反応イマイチだったよ。ちょっと早すぎたかなー」といった
感想を聞きたいと思いませんか?
自分の子と同い歳の子を持つママの感想だけがいっぱいのコーナーが登場する、
そういうことなのです
子どもに読んだのではなく、大人のみなさん自身が読んだ感想の場合は、
その感想は、大人としておもしろかったかどうか、という感想のはずですので、
「大人」を選んでくださいね。
<「何歳のお子さんに読んだ感想ですか」に何を登録すればいいの?>
・読み聞かせた場合 ・・> 読み聞かせたお子さんの年齢
・自分で読んだ場合 ・・> 読んだのがお子さんであれば、その年齢
大人であれば、大人
・その他 ・・> 選んだ際、主に対象にした年齢
--------------------------------------------------------
さて、新しいコーナーページ、『絵本ナビ セグメントページ(仮称)』は、
年齢別だけじゃありません。
いろいろ考えてますので、どうぞお楽しみに!!
「絵本ナビ」と言えば、ママと言うイメージが強いのが現状だと思いますが、
(実際に、レビュー数の割合はダントツにママが多いですしね。)
でも、パパ達に向けたメッセージを強く発信している会社でもあるのです。
例えば・・・
◆絵本ナビ誕生のきっかけが・・・
かつて愛娘が生まれた事をきっかけに、勤めていた会社を辞めたカナガキ事務局長。
育児に専念する中でひらめき、立ち上げたのがこのサイト「絵本ナビ」なのです。
パパの目線、パパの発想で始まっている会社とも言えるのですね。
◆「パパ‘s絵本プロジェクト」「ファザーリング・ジャパン」の活動
そのカナガキ事務局長もメンバーとして活動している「パパ‘s絵本プロジェクト」、
「NPO法人ファザーリング・ジャパン」の大きな目的は「笑っている父親を増やそう!」。
絵本を読む為に日本各地へ赴き、現役子育て中のパパ達の生の声も
積極的に聞いています。
◆絵本ナビスタッフも実は・・・
絵本ナビスタッフ、実は半数以上が「パパ」という立場なのです。
(ちょっと意外?)
◆それ故に。
絵本ナビでは、男性社員による「育児休暇」の奨励をしています。
現在も「育休中」のスタッフが一人います。
「父親が育児や家事に積極的に参加する姿勢を、評価する」
こんな方針も、絵本ナビの特徴の一つなのです。
◆パパ向けコースを新設!
毎月『幸せな時間』をお届けするサービス絵本クラブ。
新コースに「パパ向けコース」が追加されました! どんなコース?>>>
パパが、会社帰りに絵本をカバンに入れて持って帰る。なかなかいいアイデアだと思いませんか?
セレクトも、現役子育て中のパパ達の声をベースにしています。
ママとは一味違う、パパとの絵本タイムを楽しんでくださいね。
コヨセ・ジュンジさんがあそびにきてくださった記事は移行いたしました。
よしながこうたくさんがあそびにきてくださった記事は移行いたしました。
「せかいでいちばんあたまのいいいぬ ピートがっこうへいく」
マイラ・カルマンさく 矢野顕子+坂本美雨やく(リトル・ドッグ・プレス)
訳者インタビュー
坂本 美雨(さかもと みう)さん
プロフィール
ミュージシャン。1980年生まれ。9歳のとき家族でニューヨークに移住し、97年Ryuichi Sakamoto featuring Sister M名義でデビュー。99年、本名で本格的に音楽活動を開始。近年は舞台やテレビCMにも出演し、音楽活動のほかに詩やエッセイ、映画評の執筆・翻訳、ナレーション、ジュエリー・ブランドのプロデュースなども手がける。2007年12月12日、ニューアルバム「朧の彼方、灯りの気配」リリース。
Official Home Page http://www.miuskmt.com/
ブログ ニクキュウブロローグ http://blog.excite.co.jp/miuskmt/
いぬのピートがいつも考えているのは、食べちゃいけないものをたべること。そのピートがある日、学校じゅうのスターになってしまう・・・・・・。アメリカの小学校を舞台にピートが巻き起こす珍騒動を通して子どもの世界が生き生きと描かれた作品「せかいでいちばん あたまのいいいぬ ピートがっこうへいく」。ミュージシャンの坂本美雨さんはお母さんの矢野顕子さんと一緒に日本語訳を手がけられました。この絵本の魅力、翻訳が仕上がるまでの裏話を美雨さんに伺いました。
――今回、お母様との共訳ですね。
母が以前からマイラ・カルマンさんの絵本のファンで、「しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる」を日本語訳してリトル・ドッグ・プレスさんから出版しました。今回「せかいでいちばんあたまのいいいぬ ピートがっこうへいく」の日本語版の出版にあたって、母にさそわれて共訳することになりました。
この本を読んでみて、すぐにファンになってしまい訳すことにとっても興味がわきました。アメリカの公立小学校の雰囲気がよく現れているんです。個性的な先生たち。好き勝手にしている子どもたち、ランチのときの大騒ぎ・・・・・・。私が通っていた小学校もこんな感じだったな~って懐かしく思い出しました。
――この絵本の魅力はどんなところですか?
たくさんありますけど、やっぱりインパクトあるのは、ルールを超えたはみだし感ですね。お話はポピーワイズという女の子が語っている口調で進んでいくんですが、子どもの頭の中のとっちらかっている感じがそのまんま。「がっこうなんてきらい!」といいながら、いいことがあると「がっこうだいすき!」になるし、授業中に「プリズム」から「にじ」「たこあげ」を連想して、ぼ~っとしてたり。先生の描写がまた面白いんです。かんしゃくもちの数学の先生は「がまんしようっていうきもちを かばんのなかにつめたまんま わすれてきちゃったみたい」とか。
いぬのピートが大活躍するところも、「そんなわけないでしょ!」っていう不条理な展開なんですが、そのシュールさが妙にかわいいんです。ひと騒動終わって気持ちがほっとしたところで、いきなり「ぬきうちテストだ!」とくる。極めつけは最後の「このほんにのってないもの」(笑)。「え!そうくるか~?」って。
おちゃめで粋な展開に、思わずにんまりしてしまいます。
「ぬきうちテスト」の中に「へんてこなことばはどれ?」という質問があるんですが、よく見ると本当にわざとへんてこにしてある言葉があるんです。探してみてくださいね。
――絵もとても魅力的ですね。
マイラさんはニューヨークでは、ファンの多いイラストレーター、デザイナーで、ファッション分野でも大活躍されています。大胆な色使いや、落書き的な素朴な絵柄が魅力です。でも、それが逆におしゃれ。人や動物の表情が豊かで、特にピートのいたずらっぽい目つきが多くを語っていますね。「ふふん、実は僕は何でもわかってるんだぞ」って言ってるみたい。
しゃれのきいた細部といい、不条理の世界に遊ぶ楽しさといい、マイラさんの世界観が隅々まで表現されている絵本だと思います。
――翻訳ではどんなところが大変でしたか?
まず母と私それぞれが、全体をざーっと訳したものをお互いに見せ合って、それから細かいところを詰めていきました。2人とも東京とニューヨークを行き来しているので、メールでのやりとりが多かったです。
なにしろ、不条理が「味」の絵本なので、そのまま日本語に訳してもなんだか脈絡ないところがあるんです。たとえば突然ストーリーと関係なく、石ころが出てきて、「こいしはポケットのなかで じゅぎょうがおわるまで じっとまってる」とか。大人が筋道を考えながら読むと、まとまりなくてよくわからないことも、子どもにとっては別に不思議でもなく、そのまますっと受け止められるのでしょう。
気をつかったのは、文字が絵の一部となっている点です。原書では手書きの英語が絵の一部のように配置されているんです。その場所におさまるように、しかも雰囲気をそこねない日本語に置き換えるという作業には、かなり試行錯誤がありました。たとえば数学の先生の髪の毛一本一本に、「へいほうこん」とか「ぶんすう」とか、数学で使う用語がびっしり書きこんであって、これが先生の頭の中を表しているんですけど、そのあたりは、母と何度も相談したところです。文字のニュアンスや配置ではデザイナーさんがかなり苦労されたようです。
全体を通して、子どもが日常使っている言葉を選んだのですが、犬のピートがしゃべれるようになるシーンでは、わざと頭よさそうな持って回ったもの言いを工夫したりと、とっても楽しんで翻訳できました。
――小さい頃から絵本はよく読んでいたのですか?
大好きでした。9歳まで日本にいたので、表参道のクレヨンハウスにはよく遊びに行きました。棚の高いところに置いてある本を台に乗って取るときは、特別な宝物を手にするような気持ちになりました。「はらぺこあおむし」(エリック・カール作 もりひさし訳 偕成社)「ぐりとぐら」(中川李枝子作 山脇百合子絵 福音館書店)、「がまくんとかえるくん」シリーズで有名な「ふたりはいっしょ」(アーノルド・ローベル作 三木卓訳 文化出版局)など定番の名作もよく読みました。犬の絵本では「アンジュール」(ガブリエル・バンサン作 BL出版)とか。谷川俊太郎さんの「ことばあそびうた」(谷川俊太郎詩 瀬川康男絵 福音館書店)は特に好きで、今も尊敬する作家の一人です。あのそぎ落とされた言葉のリズムからは、とても影響を受けています。
――美雨さんが音楽をつくるときに、絵本の世界からの影響を感じますか?
直接的というわけではないですが、詞をつくるときのスタンスはいつも、伝えたい情景や感情を、周りから描写していって中心にあるものを浮き出すように心がけています。好きだなと思う絵本は、そういった描き方をされているんですね。たとえば、「ちいさいおうち」(バージニア・リー・バートン作 石井桃子訳 岩波書店)は、静かな田舎がどんどん開発されて街になっていく様子が小さな一軒家の視点から描かれています。そのことで、「ちいさいおうち」が感じてる寂しさや都会化することへのやるせなさが浮かび上がってくる。そんな表現形式は絵本や詞に共通するところだと思います。
坂本美雨さんのニューアルバム
「朧の彼方、灯りの気配」
『せかいでいちばんあたまのいいいぬ ~ピートがっこうへいく』
>>> 限定サイン本のご購入はこちらから
(限定サイン本は、ご好評のうち完売しました。ありがとうございました。)
こんにちは。絵本ナビ事務局長のカナガキです。
先日発売の新刊で、一目ぼれしてしまった絵本がありました。
『せかいでいちばんあたまのいいいぬ ~ピートがっこうへいく』
マイラ・カルマンのイラストがカラフルでセンスがよくて、さらに内容がいい具合にかっとんでいるのです。
小学生くらいの子の考えることって、こんなふうにとりとめがなくって、空想と現実の境界があいまいなんですよね。
手書きの文字の感じといい、色使いといい、完璧にツボにはまってしまいました。
親として、とか、大人として、ではなく、僕の中の子どもの部分が共鳴したのです。
この作品の魅力を言葉で表現するのはなかなか難しいので、出版社さんにお願いして、
(1)絵本ナビで立ち読みできるようにしてもらうこと
(2)翻訳をした坂本美雨さん(矢野顕子さんと共訳)にお話を伺って、
絵本ナビのお客さんのためにサインをしてもらうこと
を実現しました!!!!
>>> 限定サイン本のご購入はこちらから
(限定サイン本は、ご好評のうち完売しました。ありがとうございました。)
こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
いつもご利用いただきましてありがとうございます。
絵本ナビオープン以来、ご愛顧いただいていましたパーソナル絵本ショップですが、
諸般の事情により、サービスを終了させていただくことになりました。
これまでご利用いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
また、今年のクリスマス絵本受付を楽しみにされていた皆様には深くお詫び申し上げます。
絵本ナビのパーソナル絵本ショップにて取扱っておりましたパーソナル絵本は、
ウィッシングブックとクリエイト・ア・ブックの2シリーズがございます。
それぞれのシリーズ名で、検索サイトにてお調べいただければ、同様の商品を販売するサイトがでてまいります。
購入ご希望の方は、他のサイトにてお求めいただけましたら幸いです。
(どのサイトも、絵本ナビとは関係ございません)
今後は、絵本ナビShop、絵本クラブ、リアルショップ(伊勢丹百貨店各支店、HAPPY LAWSON山下公園店内)での販売に注力してまいります。
今後ともご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
絵本ナビのスペシャル企画
「colobockle(たちもとみちこさん)の名入れサイン本セット」
こちらの販売に向けて、先日絵本ナビShop店長の篠が
たちもとさんの自宅兼アトリエにお邪魔してきました!!(羨ましい・・・。)
緊張する篠を迎えたのは、
見晴らしの良い場所に建つ、お洒落でかわいいマンションの一室。
「お邪魔します・・・おぉー!!」
中へ入った途端に感激!!
ご覧の通りの素敵すぎるお部屋なのです。
奥に少し見えるのは、バーベキューもできる程広いガーデン。
この作品は、ここのガーデンに集まる小鳥達を見ながら描かれたそうなんです。
癒されそうですね・・・。
その夢の様なアトリエの中で、またまた可愛らしい御本人に
早速サインを描いてもらいましたよ。
その姿、絵になるんです。
真剣ですね。
完成―!
イラスト入りの可愛いサイン出来上がりました。
後はお手元に届いてからのお楽しみ♪
アトリエの中には、たちもとさんのお気に入りのグッズも飾ってありましたよ。
アニーは特等席でおすまし。
ぬいぐるみのひつじの妹ちゃんみーっけ!
インテリアにとっても馴染んでいい感じに佇んでいたそうですよ。
お話をしていると、横から「チュンチュン」と聞こえてきたので、ふと見てみると、
かわいいぶんちょうがいました。
ナマエは、「くるみちゃん」。
たちもとさん、ことりが大好きだそうです。
篠「やっぱり、良いイメージを沸かせるには、作業するところからこだわらないとなんですね」
た「そうですねぇ~ 一応・・(照)」
とっても内気でおとなしい雰囲気のたちもとさん。
でも、イラストやデザインにかける情熱や信念は、穏やかに会話していても
十分すぎるほど、伝わってきたそうです。
今度は、妻と子供を連れて遊びに来ますね!
と少々ずうずうしい店長の発言にも、笑顔で、「ぜひ!どうぞ!」と答えていただいて。
穏やかで、やさしい人柄は、絵本にも表れてますね。
とっても、楽しいひとときを過ごせたそうです。
それにしても、このアトリエのセンスを一目見た瞬間に
「だからこんな絵本やグッズが出来上がるんだなぁ・・・。」
納得です。
憧れてしまいますね。せめて私達は、彼女の絵本の中でその雰囲気を満喫しましょう。
それでは最後に篠店長とたちもとさんのツーショット写真です。
いいなぁ・・・(再び)。
以前にもイベントなどで何度かお世話になっている伊勢丹吉祥寺店。
この夏休みの間も、玩具売り場にて絵本ナビプロデュースのイベントとして絵本やグッズを販売していたのです。
お陰様で吉祥寺店の方からも好評を頂いて、9月も5階玩具売り場にスペースを頂くことになりました。
絵本ナビリアルショップリニューアルOpenです!
今日は伊勢丹吉祥寺店の閉店後、社員総出で設営へ。
イベント事をこなす度に進化していくチームワーク。今回の機動力もなかなかです。(平均年齢の割りに・・・という意味ですが。)
到着すると既に伊勢丹の現場の方々がかなり作業を進めて下さっており、スムーズに設置作業へ。
絵本ナビで人気の絵本、キャラクター、特集などからセレクトした品揃えです。
皆様のレビューも絵本を選ぶ際の大変貴重なヒントになりますので、今回もポップとして大活躍です。
こんな感じ。テーマは少数精鋭、絶対オススメできる絵本・・・といった方針です。
人気絵本キャラクターのぬいぐるみも一緒に並べて・・・。
完成~!
時間は22時。今日は私磯崎も両親に子供を預けているので安心、安心。もっとかかると思ったので、調子に乗ってみんなでカンパーイ!(でもコーラ。)たまにはいいでしょ。
東京近郊にお住まいの方、機会がありましたら是非覗いてみてくださいね。
ではまたこれからも報告していきますね。
先日、「給食番長」の作者よしながこうたくさんが絵本ナビに遊びに来てくれました!!
福岡在住のよしながさん、今週は東京に来られて色々な方に会われているそうです。
そのお忙しい合間をぬって、長崎出版の編集担当の瀬尾さん、営業担当の小尾さんと共に訪れてくださいました。よしながさんも絵本ナビをこまめにチェックして下さってるそうで、読者の方々のレビューをとても喜んでおられましたよ!
よしながさんの手前にあるのはなんと番長立体版。
こんな感じ。更にインパクト大!!完全手作り1点ものです。
絵本から想像される通り(?)でとってもユニークで気さくな感じのよしながさん。
「給食番長」制作中のエピソードなど、聞き逃せない内容の話が次々と飛び出し盛り上がります。
初めは給食番長の活躍の仕方が、もっと激しいものになっていく話だったらしく、編集の瀬尾さんの「より爽やか、よりわかりやすく・・・」という誘導で出来上がった結果がこのガツン、とパンチのあるこの絵本という訳なのです(笑)。貴重な絵画作品の写真も見せて頂いて納得。確かにこの絵本が爽やかに見えてきた・・・。
給食のおばさんを主人公とした『番外編』、その後の給食番長の成長を描く『続編』などのアイデアもどんどん飛び出して今後の動きも目が離せません。
そして、何と言っても感激したのはよしながさん御本人が博多弁バージョンの触りを声に出して読んでくれたこと!こうなるのか・・・なかなか激しくて面白い。気になっていた語尾の発音などもなるほど、なるほど。
大人が読むと結構ケンカ口調だったりするのですが、子供が読んだらかなり可愛いそうです。聞きたいなぁ・・・。
そしてそして、最後によしながさんから絵本ナビにビッグなプレゼント!
オリジナル手書きの絵が入ったサイン色紙です。丁寧な番長の絵に感激、サインも素敵。
「ばり うまかー」
最後に記念写真をぱちり。
とても楽しいひとときでした。
これからも絵本ナビ一同応援していくとです。あれ、使い方へん?
◆立ち読み機能について<絵本ナビ事務局より>
絵本ナビでは、出版社様からのご依頼により、立ち読みサービスの提供を始めました。
基本は数ページですが、特別にすべてのページがご覧いただくことができる作品もあります。
私たちが子どもに絵本を選ぶときに、中味を吟味せずに購入することがあるでしょうか?
昔からある名作や、特別な話題作を指名買いすることはありますが、オススメされているからといっていきなり購入することは稀です。(予算は限られているのですから!)
絵本ナビは、利用者の皆さんのエージェントとして、またナビゲーターとして、絵本選びが楽しくなる、最も詳しく役に立つ情報をお届けするべく努力を重ねています。立ち読みサービスは、何万という絵本の中で、お気に入りの作品を手にするためのきっかけ作りであり、あくまで実際に絵本を手にして、紙の質感、ページをめくる感じ、子どもと過ごす幸せな時間を楽しんでいただくことが本質であると考えています。
今後、出版社や作家さんのご依頼に基づき、数ページ程度(もちろん全ページなら最高ですが)の立ち読みサービスを行って行きたいと考えています。
絵本ナビでは、デジタルデータまたは現物絵本をもとに、立ち読みファイルを作成し、絵本ナビの利用者の皆さんにPRしてまいります。ぜひこのプログラムに参加し、子どもに絵本を選ぶために情報を求めている読者の皆さんに、御社作品を告知してください。
立ち読みファイルの掲載は無料です。
まずは下記までメールでお問い合わせください。詳しく説明させていただきます。
info@ehonnavi.net
絵本ナビ事務局長 カナガキ宛